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2011年9月16日 (金)

ハニー、何とかしなくっちゃ(笑)

地球最後の日のための種子  スーザン・ドウォーキン  文芸春秋

 何の本かとゆーと、戦後の農業史になるのかなぁ?誰が種子を管理しているのか?とゆー世界規模な話ですが、結局、それが作物も病害を救う最後の砦になるとゆー…非常に重く、非常にディープなお話ですが、文体は平易なのでこれまた分かり易いです。著者が米人なので的を絞って展開しているところも一助になっている模様(笑)で、本書の主人公はベント・スコウマン、デンマークの植物学者ですが後にCIMMYT(国際トウモロシ・コムギ改良センター)の小麦のトップ、現場のトップ、もしくは事実上のトップに君臨する事に。一種のノンフィクション・ドキュメンタリーのノリかなぁ?

 緑の革命というと今となっては失敗のイメージが強いんですが、実はそれで救われた命もたくさんあったんですよね…スコウマンは何よりも飢餓と飢饉に立ち向かっていった人でして、現場主義というか、現地主義を貫いた人かなぁ?まさに事件は現場で起こっているんだぁーってか(笑)

 農作物の安定供給をはかろうとすると、天候や病害虫や土壌に影響されないものを生み出すしかないんですねぇ…例えば、小麦なんか茎が短い方が風の影響をうけないとか、乾燥に強い、湿気に強い、カビに強いなど、その土地土地で必要とされてくるものは同じ穀物でも違うと…またいったん病気が蔓延するとそれが国境を越えて世界中に広がる可能性もある訳で、その時に頼りになるのは、ジーンバンクなんですよとゆー話(笑)

 植物多様性なんて、今となっては言い古された話かもしれませんが、結局、いざ鎌倉となったらストックされている種子からその病害虫に抵抗力のあるものを選びだして、対応するしかないんですね…古いままではなく、進化させるにしても元ネタが必要なんですよ(笑)

 これを国境なき医師団ばりにやってのけたのが、スコウマンだったと…先進国、発展途上国関係なく、農業は農業だろを貫いた人とゆーか、世界から飢饉をなくすために飛び回った人でございます…

 アリス的に農業、何かを作る人というところでは共通しているのか?でも、アリス結構食べるの好きな気がするし、何よりも粉もん文化の大阪人だから、小麦の行方はそれなり他人事ではないよーな?

 さて、そんなこんなでスコウマンは世界中の種子を集め保管しよーと走ります。そして、必要とする人に配ります。を世界規模で本当に実施した方…この種子のネットワークが出来れば、何かあった時に対応できるとゆーので、これまた世界規模で交換していたのですが、問題が立ち上がります。いわゆる遺伝子工学ですか、植物の特許化が進んできた事によって、それまでオープンだった種子の流通が滞る事、もしくは非公開になっていく事と…換金性が高まった事で、これまた原産国が分け前よこせの世界に突入した事…そして、先進国は非営利団体であるCIMMYTなどの予算を減らしていった事、ついでに国内の農業関係の機関も民間に売却したとこ多しとか、まさに儲かりまっか、ボチボチでんなの世界に突入…相互扶助的なユートピアより、金だろ金の企業倫理がまかり通る世の中に…

 かくして半生をかけたスコウマンもCIMMYTをクビになり、ノルディック遺伝資源センターのトップになると…かのスバーバルの種子バンクのとこですよ(笑)で、本書のタイトルになる訳、ちなみにスコウマンの口癖が「もし種が消えたら、食べ物が消える。そして、君もね…」とゆー意味深なお言葉でして、何だかなぁ…

 さて、本書は本当に全ページがスコウマンの戦いの歴史でして、しかも、世界中の種と農民を救うのだと金儲けに走らない姿勢が凄すぎるので、是非本書を読んでくらはい。マジで命がけの仕事振り、世の中こーゆー人もいるんだなぁと感心しまする…まさに東○電力の対極にいらっさるよーなおっさんというより良い意味でのバイキングですねぇ…荒波なんて、そんなの関係ねぇーっ!

 さてさて、本書で一番にんまりさせてもらったのは、チベット種子収集の旅の章のとこでしょーか?中国で戒厳令が解除された90年8月の事でした…知らなかったのですが、カナダって大麦の大産地だったんですねぇちなみにチベットでは主食…そんな訳でカナダの大学教授が種子を求めて三千里、チベットまで行くだとゆー話に…ただ、中国側の許可が下りないとゆーのと、これまた中国とチベットの相互不信の中で、どーなんのぉーの遠征だった訳でございます…それでもカナダに中国人留学生、留学博士がやってきて、何とかツテをたどって行く事に…

 ちなみに旅前のハーヴィー教授の意気込み「中国は、遺伝資源を自由にやりとりする国ではありません」と、だからこそ「西側諸国では、何が欲しいと頼まれたとき、先方がまっとうな科学的感心を持っているということがわかりさえすれば、躊躇せず相手の希望をかなえる。だが、当時の中国では、何かを送ってくれと頼んでも、はぐらかされるだけでした。実際に中国に行けば、この悪しきパターンを打ち破れるかもしれないとわたしたちは思ったのです」とな、美しい架け橋を夢見てってか(笑)

 かくしてチベット側は西側を大歓迎してくれて「五四ヶ所から二五○点(大麦90点、小麦160点)もの標本を集めた」で、大成功っとなるはずだったが、何と中国から待てど暮らせど種子がやって来ない…カナダ、メキシコ、北アフリカにアメリカで参加した人が皆待っていたのに種子は来ない…電話しても、手紙書いても種子は来ない…中国側の答え「郵送中に紛失してしまったのです」「不幸な事故でした。非常に残念に思っています」とな(笑)

 後に中国に行った時にはチベットコレクションの種子の所在は不明、皆知らない事になっている上に、当時の中国側の担当リーダーは窃盗罪で刑務所にいるとの怪情報に出くわす始末…カナダ側からの問い合わせには「中国側は最初、このミッションに関する合意書を取り交わした覚えはない、と言ったそうだ。だが、カナダ側がオリジナルの書類を見せたので、このミッションは中国政府によって公式に認可されたものであったことを認めたという」…「乾燥地域国際農業研究センターとカナダは、この問題を追及していて、訴訟に持ちこみたいと考えている」そな…ご苦労さまなお話である(笑)

 さて、事の真相はどんなもんとゆーと「「種子は中国に留まり、北京の中国農業科学院に保存された」というものだった。中国ジーンバンクは、チベット人に好意的に迎えられる西側の収集家に仕事をやらせることで、チベットの農村で遺伝資源を収集する手間を省いたというのだ。しかも、西洋人たちに、調査ができるという"特権"のために、それぞれ三三○○ドルも支払わせて」…まぁよくある話じゃないかぁー…それにしても国際的評判とか、信用とかは死語なんだろかとふと思うのであった…まぁいざとなったら土の中に埋めてしまえばいいんだわーの国だものってか(笑)

 その他にも、刺激的なお話がいぱーいです(笑)日本人的には田場祐俊、岩永勝両氏がちらっと出てきます。詳細は本書をドゾ~穀物の世界も奥が深いです(笑)

 目次参照  目次 生物

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