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2012年2月14日 (火)

神々の食べ物?

チョコレートの世界史  武田尚子  中央公論新社

 サブタイトルが近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石なんですが、うーん、何とゆーか本書は甘いスイーツの話ではなくて、どちらかというと大航海時代からの社会史に近いよな?特に力が入っているのが19世紀イギリスのチョコレートメーカーの興業史かなぁ?もっと言うと19世紀から20世紀前半にかけてのロウントリー社の話のよな(笑)ロウントリー社ってどこ?と知らない人もあのキットカットの会社と言えばお分かりになるのでは?

 さて、本日はバレンタインデーでございまして、日本のチョコレート的には最大の祭っ(笑)でして、まぁチョコレート関連のお話を一発と思って読んでみたら、こぉーりゃたまだけたびっくらこいたぁーとなりましたとな…愛の日だけに甘い話希望だったんですけど、開けて見れば労働と貧困がメインな模様…大英帝国の繁栄の下には植民地での奴隷の酷使と死亡、そして本国でも貧民の増加という暗部がこれまた凄い事になっていたと…

 もともとチョコレートは南米の飲み物でありまして、ついでに言うと王侯貴族クラスでないとお目にかかれない貴重なもの、更に言うと原料のカカオ豆は現地では貨幣として流通していた位価値のあるものだったんですねぇ…

 そこへスペインの植民地化が進んで、カカオ豆も本国(ヨーロッパ)に流入したものの、貴重であるが故に最初は薬として入った模様でこれまた一部セレブと薬剤師位の世界だった、と…ヨーロッパでなかなか広がらなかった理由に、苦かったと…カカオ豆には三種類(クリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種)あるそーでなんですが、クリオロ種はそんなに苦くないのに対してフォラステロ種はとても苦いと…ちなみにクリオロ種はカカオ豆生産量全体の1%フォラステロ種は85-90%となると苦いのが主流、でそんな苦いの口にしたくないやんけとゆー話になる訳…じゃクリオロ種だけ栽培すりゃえーやんけ、とゆー話になるけど、病気の強さとか栽培法がクリオロ種の方が難しいとなれば…下手すりゃ全滅もありとなればそりゃね(笑)

 更に、キリスト教的にはココアは薬品か、食品か?で一つ、食べ物か?飲み物か?で一つ、宗教的にどっちやんけぇーと100年ももめていたらしい…暇としか言いよーがない気が現代ならするけど、当時はイースターだと絶食しないといけなかったらしく、薬品ならその絶食期間でもOKとなり、液体ならばこれもOKとなるとゆー、キリスト教徒的には大きな問題が立ちはだかっていた模様…ココア一つで世界は回るってか(笑)

 アリス的にチョコというと、スウェーデン館のバレンタインと、マレーの手土産になるんだろーか?どっちも固体のチョコレート、この歴史もまたアレよね…取りあえずヨーロッパ王侯貴族にココアが知られていくけれど、これはまだ液体というか、ドロドロですよねの世界…滑らかなココア(チョコ)の歴史は砂糖入れて、ミルク入れると苦みが軽減されるとゆー発見から、ドドーンとチョコレート(ミルク味)の歴史が始まると…

 製法が確立されるし、貿易も進むし、植民地生産も順当となれば、大量生産の道へゴーとなる訳で、時はあの産業革命期に突入していくし、そしてイギリスには蒸気機関だけでなく、クエーカー教徒もいらっさったと…全然知らなかったのですが、イギリスのその後の産業資本家の家系ってクエーカー教の方が占めてしたんですねぇ…「綿工業(ブライト家、アシュワース家)、製鉄業(ダービー家)、銀行業(バークリー家、ガーニー家、ビーズ家)、ビスケット製造業(ハントリー家、パーマー家)、ココア・チョコレート製造業(ロウントリー家、キャドバリー家、フライ家)、化学工業(クロスフィールド家)」などなど、実業界は凄い事になっていた模様…農村に住みたくても教会に税納めないとなればいられず、都市へ移住しても公職は禁止されていたら実業にいかざる得ないって、これ何かユダヤ教徒を思い出してしまうのは短絡的すぎるのか?とにかくクエーカー教徒の皆様は残されたニッチを最大限に生かし実業界の一角を占めていくんでございます…

 社会とこのクエーカーセレブと言っていいのか?な人たちの話は本書をどぞ。取りあえず、イギリス半端ねぇな世界が本書では展開されておりまする…特にロウントリー家のとこは事業としての儲かりまっかーだけでなく、企業の社会責任というとこが凄いかもねぇ…昨今の企業の利潤ではなく自分の利潤の追求しか頭にない経営者とは一線をかくするよーな…

 チョコ一つで世界が変わるというのもアレですが、イギリス的には労働者階級のアルコール中毒問題も社会的な大問題でして、過酷な肉体労働のウサもあったのでしょーけど、よーはてっとり早くカロリー取りたい、朝から酒だぁーって、それってありですかぁー?それに代わる物としてかの紅茶文化が入っていく訳ですが(だから朝から砂糖とミルクたっぷり、カロリー万歳ってか)、それだけじゃ口寂しいのでチョコレートもお伴に…かのチョコバー的なお菓子はそーゆー事から始まったらしいです…

 で小腹がすいたらキットカットってか?今はネスレ社ですが、元はロウントリー社のチョコ菓子…あの赤いパッケージは永遠です(笑)と思っていたら、実はWWⅡの時は青いパッケージで流通していた模様…理由が「チョコレート製造に使うミルクを充分に入手できないため、平和な時代に召し上がっていただいていたチョコレート・クリスプをいまは作ることができません。キットカットは現在調達できる原材料で作ることができる最も近い味のものです」と但し書きがついていたと…青いパッケージは冬の時代を表現してたとな…

 チョコレートの包み紙一つで平和を謳う…さすが大英帝国なのか…かくして王侯貴族が独占していたココア・チョコは、パンピーの世界へと流れていったとな…21世紀、チョコの、カカオの未来はどこに向かうんでしょーかねぇ?

 目次参照  目次 スイーツ  目次 文系

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