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2012年4月26日 (木)

すべては形式にあり?

悪党が行く  鹿島茂  角川書店

 サブタイトルがピカレスク文学を読むでして、いわゆる悪党物語の悪党について語っている感じかなぁ?主に主人公が悪党という、アンチヒーローとは何ぞやかな?結局、悪の魅力みたいなノリになるのだろーか?本書的に言うと「悪と悪党の魅力とは、ショートカットの魅力である」となるらしい。で、このショートカットとは何とゆーと、殺人、強盗、障害、強姦、近親相姦、変態となり、原水爆、ホロコースト、民族浄化、侵略戦争などになるそな…でもって、「われわれ凡人は、ショートカットが十分に魅力的であることを知っているが、ルールの重さと懲罰への恐怖から、これを実行しえない。つまり、心には願望を抱えながら、実現には至らないのである」…まぁ、ショートカットが日常だったらそりゃ犯罪ばかりなりの世界だよねぇ…

 かくして「もし、ショートカットして上位でゴールインした者がいたと知った時には、激しい憎悪を燃やす「クソ、抜け駆けしやがって、太え野郎だ」と」…でまぁ、「文学においては、弱さや動物的欲望から生まれた犯罪者は主題となりえないのだ」そーで…じゃあ、文学におけるショートカッターとは何となると、これが確信犯のショートカッターなんだそな…己の意志で悪の道を突き進む、ある種強さの象徴か?

 とまー、こんな具合で、文学上の悪のヒーロー達を追う話でしょか(笑)ヴォートラン(バルザック「ペール・ゴリオ」「幻滅」「娼婦の栄光と悲惨」)とか、ドン・ジュアン(「ドン・ジュアン」)とか、ラーサロ(「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」)とか、フランシヨン(シャルル・ソレル「フランシヨン滑稽物語」)とか、ジル・ブラース(アラン=ルネ・ル・サージュ「ジル・ブラース物語」)とか、ヴァルモン(コデルロス・ド・ラクロ「危険な関係」)とか、ラモーの甥(「ラモーの甥」)とか、トム・ジョーンズ(ヘンリー・フィールディング「トム・ジョーンズ」)とかが紹介されてます。全部知っていたら本書の方向性がわかって頂けるかも(笑)

 アリス的に悪のヒーローというか、ピカレスクまでいかなくてもミステリもこの手の人材は必須だよねぇ(笑)ある時は殺され役にうってつけだし(何しろ徹底した悪人だから殺された理由に事かかない/笑)、また最有力犯人候補だし(これまた動機がありすぎるのと、徹底した悪人だから殺人位やりかねないとか…)、更に本当に犯人であった場合、追跡側との丁々発止がこれまた凄い事になりそーだし…うーん、アリスから見たらどんなもんなんでしょ?

 さて、本日はアリスの誕生日でして、それにピカロの本とは何考えてけつかるねん?の世界かと思うんですが、アリスだからこそこーゆーの一番ウケそーと思いまして(笑)キャラ付けで善人ばかりじゃ話にならない、かと言って悪人も小物ばかりでは謎にならないんですよね…偶然が重なったとしてもある程度頭のいい、辻褄あわせの出来る犯人じゃないとお話にならないんですよ(笑)ホームズ的に言うならば、モリアーティー教授のような方が出てこないと宿敵にならんがな(笑)

 そーすると将来、准教授に匹敵する悪の権化が登場するのかなぁ?美女だったら、アリスはコロっと騙されそうだけど…何せ面食いだから(笑)

 さてさて、本書は本当に悪の(?)至言の嵐なんですが、まぁ詳細は本書を読んでくらはい~で、アリス的に幾つか上げると文学という事で「難解な作家や難解な映画監督がカリスマとしてもてはやされるのは、自分をエリートと思い込みたがる若者の群れがいるためである」とか、演劇が都市のメディアならば「小説というのは最初から地方のメディアとして登場した。本さえ手に入れば、どんな辺鄙な場所でも物語を満喫できるからである」とか、「世に容れられざる大天才の作品を送り出した出版社は、未来の人からは高く評価されるだろうが、しかし、本はまったく売れず、出版社は倒産、作家は印税を払ってもらえず、社員も家族も路頭に迷う。反対に、ほとんど価値はないがよく売れるベストセラー作家の本を出している出版社は、社員には高給を弾むことができるし、社員の家族も贅沢な暮らしができる。その出版社から出している他の作家も印税不払いなどありえない。ただし、未来からの評価はゼロだ」…何かゴッホの絵を思い出してしまったりして(笑)

 極めつけは「この業界で、物書きが絶対やってはいけないこと。それは、最近ほとんど注文が来なくて、連載など一つも抱えていないと自分から言ってしまうことだ。そうすると、いよいよ注文がこなくなる」そな…夕陽丘でおこもりしながら締め切りに追われているアリスってば、作家の正しい姿だったのか(笑)何はともあれ、永遠の34才のお誕生日おめでとう~今年もフランス料理なんだろか~

 目次参照  目次 文系

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