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2012年6月28日 (木)

100年でも歴史は浅い(笑)

よい匂いのする一夜 西日本編  池波正太郎  平凡社

 何の本かというと著者のお気に入りの旅館という事になるのかなぁ?国内だけにホテルというより旅館でしょ(笑)で、こちら西日本編とあるよーに、対で東日本編もある模様…とゆー事で西日本とはどこからか?ですが、天下分け目の関ヶ原じゃないけど、本書は飛騨から向こうが西日本という事になるんでしょか?とゆー事で、飛騨古川の蕪水亭から始まります。

 登場する旅館は皆それなりに古いし、遮光的にも畳と障子の世界となれば色味もアースカラーだし、ベルサイユへいらっしゃい的なド派手なとこは一切ないんですが、日本人なら見て納得というか、落ち着く和室が並んでいるよーな気がする(笑)古き良き日本が残っている感じがありありと浮かんでいるんですね…行けばきっと、ああ日本だわぁとため息つける雰囲気が待っていると…

 それとレトロ感が半端ないんですけど、それ以上にホテルにしても旅館にしてもそこの従業員の方のテンポが読んでいてゆったりしているのが分かるといおーか?「北陸の温泉の女中さんたちの親切さは、むかしからよく知られている。いまも、むかしのようにはまいらぬにせよ、その伝統を旅館がくずすまいとしている。よしのやでも、アルバイトは一切使わぬ」とな…派遣やら外注やらパートやアルバイトでひたすら効率化の名の下にコスト削減している今日この頃…心意気が違うとこもあったんですねぇ…

 ちなみに湯布院の旅館も出てきて「もんぺ姿の女中さんの給与もよく、定着率もういらしい。近辺の民家の主婦もアルバイトをしているようだが、従業員の研修として、京都の俵屋、柊屋などの旅館に泊まらせ、瓢亭や大市などで食事もさせ、サーヴィスの研究をさせているとかで「従業員が、誇りを持ってはたらける職場だとおもいます」と、玉の湯の主人・溝口薫平さんが私にいった」とな…今でもちゃんと従業員教育しているとこもあるんですねぇ(笑)

 アリス的にホテルとか旅館になると、暗い宿のとこになるんでしょか?温泉宿もあれば、リゾートホテルもありでなかなかバラエティに富んでいたと思うけど、やはりアリスなら関西という事で本書だと、俵屋(京都)と和久傳(丹後峰山)になるのかなぁ?意外と庶民派のアリスだと、ええい敷居が高いの世界かもしれないけど?後は海奈良つながりで開花亭(芦原温泉)かなぁ?むしろ、蝶々の方かしら?蟹つながりで(笑)

 さて、気象的な事が今一分かっていなかったんですけど、北陸の雪って12月までは何とかなって、雪に閉ざされるのは年があけてからなんですか?そーいえば山陰のお正月に豪雪になったのもそんな関係からなんでしょか?うーん?

 戦後の都市の変貌についても「戦時中の軍人たちの傲慢と奢りが、そのまま政治(与・野党を問わず)と企業に乗り移ったかの感がする」と権力握った男の行く末あり、宿の変貌については「この宿へ泊ってみれば、日本の伝統というものは、かたちではなく、人のこころに引き継がれて行くものだということが、あきらかにわかる。したがって、宿の人びとのこころがむかしのままであれば、宿の形態も変わらぬのだ」と、個人の資質が問われる時代かな(笑)

 アリス的といえば、開花亭での酢肴越前ズワイ蟹(二杯酢)とか、デザートとして出て来る水菓子のメロンとか(何と俵屋では朝食のデザートがメロンだっ/笑)、イノダコーヒでテイクアウトでビーフとチーズとハムのサンドウィッチとか、和久傳の祖先は小浜の廻船問屋だったとか、倉敷アイビースクエアのステーキとカレーライスとか、ネタには困らない気がするけど…

 ネタに困らないでは俵屋エピは実にらしいのかと…俳優のマーロン・ブランドが宿泊した時、一泊の予定があまりの居心地の良さに十日も泊まってしまったとか…「アメリカでは望んでも望めぬものだからだ」って…

 著者的に時々、ポロっと本音が出ているとこが実にらしくてクスっとしまする「それにしても、むかしの金持は、政治ができぬことを自力で遺すことができた。いまは、悪事をはたらかぬかぎり金持になれないし、また、金持になったところで、その金の使い道をわきまえぬ時代となった。文化が、おとろえるわけなのだ」とか、溜息つかなきゃねぇーな世界も展開しますが、本書で一番秀逸なのは戦前のオヤジなというか、セレブのお言葉かな?「正ちゃん、切羽つまった生き方をしてはいけませんよ。たとえ気分だけでも余裕の皮を一枚、残しておかなくてはいけない。ことに男は、ね」男のやせ我慢が粋でいられた時代は遠くになりにけりってか(笑)

 掲載されている宿は、蕪水亭(岐阜県吉城郡)、蒲郡プリンスホテル(愛知県蒲郡)、開花亭(福井県坂井郡)、俵屋(京都市中京区)、和久傳(京都府府中郡)、倉敷アイビースクエア(岡山県倉敷市)、岩惣(広島県佐伯郡)、玉の湯(大分県大分郡)

 目次参照  目次 宿泊・温泉

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