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2012年6月27日 (水)

不可能でないことなら自分にはできる…

光るクラゲ  ヴィンセント・ピエリポン デヴィッド・F・グルーバー  青土社

 サブタイトルが蛍光タンパク質開発物語なんですが、どゆ本というと、生化学系の話になるのか?日本人的なとこでいくと下村脩という名でピンとくるのではなかろーか?ええ、かのノーベル賞受賞者でごさります。でまぁ、タイトルが生きてくると(笑)全てはクラゲで始まったとな(笑)

 火ではないのに光るものとゆーのは昔々のその昔から不思議なものであったとな?でそれを解明しよーと人類は突き進んできた訳でんねん、と(笑)ホタルやクラゲやキノコやイカや、光るものは数々あれど、その理由は?その物質は?と本書はそれこそアリストテレスの昔からお話が始まります。

 何にせよ、よくできた本だと思うので、中学生の化学の副読本にどーか?とお薦めしときますが(笑)下手な教科書よりよっぽどタメになるし、面白いと思うんだが(笑)

 面白いといえば、出て来る科学者達が皆、個性的で面白いを地でいっている人多しです(笑)ある種、波乱万丈といおーか?ハーベイしかり、ストークスしかり、クイーンズしかり、ウォードしかり、チエンしかり、チャルフィーしかり、プレームしかり、ルクヤノフしかり、マッツしかり、ラパスしかり、カハールしかり、デルガドしかり、イサコフしかり、著者の一人であるピエリポンしかり、そして下村脩しかり(笑)それぞれの生き様は本書をドゾ。

 アリス的に蛍光タンパク質…そんなの関係ねぇー(死語)になるのか?まぁ被っているとしたらホタルのとこかなぁ?ちなみにホタルってイタリアでは「亡くなった先祖の魂だと信じて非常に恐れる迷信があった」とな…何かマレーに捧ぐなりそーですが…

 さて、モノとして何で光るのか?とか、光りとは何ぞや?とか、蛍光とは?とか、そしてこの蛍光タンパク質で何が出来るのか?とウミホタルやクラゲの光っているとこを求めて狩りじゃないけど、まず捕獲からと海に出ていく科学者の群れ…取りあえず何とかモノが精製されたけど、量を得るのが難しいから分子生物学の発展で研究室で幾らでも増やせるよーになった、どんどん研究できるぜよとゆー遺伝子工学的な時代の発展の波に乗って進んでいくのもあり、また、この辺りが実にアメリカ的なのか?お上から研究費が出ないとなれば、研究者がいなくなるとゆーのもあって、この光る道は平坦ではないんですねぇ…

 昔どこかで、下村先生は皆が使い易いよーにわざと特許は取らなかったとどこかで言っていた記憶があるのですが、もーモノがバイオ、そして場が米となれば、それはないんではなかろーか?な世界も見えるぅ(笑)

 本書は本当に面白過ぎる博士がいぱーい、個性的過ぎる博士もいぱーいですけど、本書の中で一番マテリアルなのはロジャー・ヨンジュン・チエン博士ではなかろーか?と…中華系米人らしいのですが、まさにそのものだよなぁ(笑)本書によると「チエンを動かしているのは金ではなさそうだ。彼はボタンダウンのデニムシャツを着て、自転車で仕事場に向かうのを好み、目の悪い麻痺のある犬キリを抱いてラ・ホーヤの街を散歩している姿がよく見かけられる」のだそーな…へーへーへー

 で、何百の科学論文を書いて、何十もの賞を頂いて、60を超える特許を持ち、10億ドル規模の生物工学企業の共同設立までしてらっさると…そしてこれまた言動が凄い、同僚のアレクサンダー・グレイザーが光合成シアノバクテリアからフィコピリンタンパクの最初の遺伝子をクローニングしたとこの会話「これは宝の山だよ」とな…科学とは「何かしら新しいことを突き止めなければならなかった」という中「科学が人間の生活の向上に利用できるとき、あるいは役立つ可能性のあるときは、なおさらだ。技術の開発も同等に尊いと彼は信ずる」で、開発にいそしむ訳ですねぇ…でeGFPに行きつき「この技術革新を、修飾緑色蛍光タンパクとして特許を取った。特許の範囲は広く、GFPの変異による修飾のほとんどをカバーし、知的財産権をしっかり守っている」とな(笑)

 さて、研究(開発?)はどんどん進んで結晶構造や新たな変異タンパクの論文をサイエンスに出したれとしたならば、突っ返されたと…「我々が下村とプラシャーの論文しか引用せず、GFPの機能についてのモランやヘイスティングスの重要な論文などのGFPの初期の歴史に十分言及していないことにクレームを付けた。彼らは我々が下村をGFPの発見者としていることを非難し、モランとヘイスティングスを発見者とすべきだと言った。私は査読者が誰だったか察しがついた」(@チエン)アメリカ様なお話か(笑)この話のオチが、ネイチャーを引き合いに出したら、その翌日にOKとゆーから、サイエンスのお里も知れるとゆーものか(笑)「ネイチャーとサイエンスはものすごいライバルどうしだから、どちらも相手に先を越されたくない。それですぐに翌日に論文を受理したのだ」(@チエン)

 でで特許の方だけど「その一部はチャルフィー、ブラシャー、チエン、ハイムに届いている」そで、「蛍光タンパクの技術供与特許に関わった人々は、かなりの金銭的な報酬を得た」そな…そして「チャルフィーに発光タンパクについて教えたポール・ブレームは除外されたと感じている」とな…研究者(開発者?)の水面下も霧の中っぽいですけど、これ以上にスゲェと思わされたのはプラシャー博士の後日談ですかねぇ訳者あとがきによると「下村、チャルフィー、チエン博士は、2008年のノーベル化学賞に輝いたが、チャルフィー、チエン両博士にGFPのDNAを無償で提供したプラシャー博士は選に漏れた。プラシャー博士はこのDNAのクローニングの後、研究資金を得られずGFPの研究から離れ、農務省やNASAでしばらく研究したが、2008年10月のアメリカのNPRのニュースによれば数年前に失業して、何とある会社の送迎シャトルバスの運転手をしているとのことだ」だとか…米の研究者ってパネェ…ちなみにプラシャー博士いわく「チャルフィーやチエンが自分の町にくるようなことがあったら、ディナーくらいおごってくれてもいい」とな…

 本書の中でもチエンのとこは一部なんですけど、そのチエンとこをかいつまんでもこんだけ濃い内容だったりして…いやもー弱肉強食の米科学界って奴ですかねぇ…殺伐とした雰囲気もアレなんで、本書的にちょっとピンぼけだけど当りクジ的なラバス博士のとこも微笑ましいんですけど、やはり最後は下村先生に〆て頂きましょー…「「遠い昔、なぜ海の中からクラゲをすくい集めたのですか」と聞かれて彼が答えたように、それは生物発光の神秘に魅せられて、どうしてもその「謎を解きたかったから」…お後が宜しいよーで(笑)

 目次参照  目次 生物

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