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2012年7月 2日 (月)

波のまにまに…

魔界転生 上下  山田風太郎  講談社

 風太郎先生の忍法帖シリーズを追ってどこまでもの読書の旅、まだまだ続行中なんですが、今回は魔界転生…主人公は柳生十兵衛三巌…柳生忍法帖でも主人公だった記憶が…風太郎先生お気に入りか?ただ、柳生の方では徳川などつぶれて結構な啖呵を切っていらっさった記憶がある十兵衛も、本書では柳生家がつぶれるかもには苦悩するご様子…やはり十兵衛も人の子か(笑)

 さて、本書はタイトル通りのお話かなぁ?ある種、これは物凄く贅沢なお話かもなぁ?何せ一度死んだヒーローが甦ってアンチヒーローとなるお話のよな…善人ではなく魔人として復活するとこが、本書の醍醐味かもなぁ?で、その顔ぶれはというと、荒木又左衛門、天草四郎時貞、田宮坊太郎、宮本武蔵、柳生如雲斎、柳生但馬守、宝蔵院胤舜…日本人なら知っている武の男達ですか?更に影で糸を引いているのが、森宗意軒と由比張孔堂(正雪)とこれまた知る人ぞ知るで、しかもこの影の者たちのパトロンになるのが、徳川頼宣…紀州大納言にして家康の息子、いわゆる御三家の一人…

 てな訳で主な舞台は紀州藩内というか、紀伊半島の中で?なんですが、圧倒的戦力(?)の敵に向かうのが、柳生十兵衛という事になるのかなぁ?

 そしてそれぞれの底に流れているのが男の野心ですかねぇ…「器量を持ち、志を持てば、何びともその胸にきざさぬにはおられぬ野心であった。天下をとる、この一事がいかに男にとって凄じい魅惑であるかは、古今東西の歴史の修羅相、いや現代ただいまの政界をみても、何びとも納得するであろう」とな…ある意味この世で一番無駄なものにも見えるけど(笑)

 アリス的に、柳生…一応大和の国が本拠地だから、どっかで被るんだろーか?秀吉や幸村程ではないにしても関西人なら、どかな?と(笑)個人的に被っているなぁと思ったとこは、本書の十兵衛の年齢が34才ってとこですかねぇ?独身で、世を斜めっぽく見ているとことか、女性にモテるとことか、そして何より才能に恵まれ過ぎているとことか、何か准教授を見るよーな(笑)准教授よりはもーちょっとくだけているよーな気がしないでもないけど…本書のラストシーンは何かねぇ…勝者の悲哀がひしひしと漂っていて…詳細は本書をドゾですが、これ准教授と重ね合わせるといとむなしかな?勝つ事を義務づけられている男の生き様って、立ち止まる事も許されないんですねぇ…

 さて、本書の解説は永井豪と栗本薫なんですが、両者共いよーにテンションが高い…本人達が本書のファンだという事はよく分かるなんですけど、解説というよりファンレターな気がするのもこれまた気のせい?

 アリス的には串本とか、周参見とか、紀伊半島の土地の名前がたくさん出てくるとこかなぁ?昔からあったんだ、と変なとこで納得したりして…土地の名前って江戸の時から変わっているとこもあり、奈良の昔から変わらないとこもありで、色々だよねぇ(笑)

 さてさて、本書は昔映画化されたというのだけど、これ短編映画とするより、アニメ化でワンクールかけて創ったらどーか?と思うんだが?実写化の方が迫力あると思うけど、森宗意軒辺りがグロい気がしないでもないので…今時のCGならどんな映像も出来るだろーけど?一番のそれはこれを短くするというか、はしょるのはとても難しいお話ではなかろーか?と?出で来る男たちがアクが強すぎて、カットするにはもったいなさすぎる(笑)

 本書的に正統派ヒーローというか、正しき殉死者といおーかの三人、木村助九郎、関口柔心、田宮平兵衛という三老人(笑)がまとも過ぎて泣ける…本書全体的に魔に魅入られている人ばかりなりなので、こーゆー感覚が逆に新鮮な気が…

 本書の中で全編を通して主人公兼ヒーローは柳生十兵衛に決まっているんですが、一番おいしい役は松平伊豆守かな?実写化するならこの人の役が一番気になるかもなぁと(笑)

 目次参照  目次 フィクション

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