« 地中海で会いましょう? | トップページ | リサーチとかスカウティングって何だろぉ? »

2012年8月27日 (月)

トクヴィルを待ちながら(笑)

アメリカの眩暈  ベルナール=アンリ・レヴィ  早川書房

 サブタイトルが、フランス人哲学者が歩いた合衆国の光と陰なんですが、どゆ本というと旅日記かなぁ?一年間かけて全米を車で走破した話とでもいおーか?取りあえず、著者は仏人ですので、先人を追ってトクヴィルの思い出巡り的な要素を前面に出してはいますが、でも内容はというとレヴィ節炸裂ですかねぇ?

 とはいえ、軽いっス…今まで読んだ哲学者の書いた文章って大なり小なり成程哲学者な文章だったりしたんですが、こちらの文は旅行記?紀行記?のノリなので、小論文というより感想文といった感じ?日記というよりブログに近く、著者は孫もいる年齢のはずなんですが文のノリは若いよな(笑)これだけで判断するのはアレですけど、仏哲学も軽薄短小の方向性に言っちゃってるんでしょかねぇ?

 でもって、本書の凄いとこは目次がない(笑)この厚みの本で目次がない本って初めて手にしたわー(笑)これもわざとなんでしょかねぇ?どこから読んでも大丈夫って、どこぞのボードレールか(笑)一応、章分けはあって序と跋以外というと、第一章 最初の錯覚 ニューポートからデモインへ 第二章 動く西部 カロナからモンタナ州リビングストンへ 第三章 太平洋の壁 シアトルからサンディエゴまで 第四章 砂漠の眩暈 ラスベガスからテンビーへ 第五章 南部とともに去りぬ テキサス州オースティンからリトルロックへ 第六章幸せ者と呪われた者 ワシントンから、ケープコッドへ戻るでだいたいどのよーに周遊しているか分かるかな?と(笑)

 アリス的にアメリカ?ついでにフランス…うーん…米については妃は船を沈めるの鮫山さんの親せきの結婚式でニューヨークですか?後はアリスの師匠、エラリー・クイーンですかね(笑)さて、そんなEQの国はやはり一筋縄でいかない模様…

 さて、本書を一番端的に表しているとこはエピの「アメリカ人はまた、自らに誇り高く、自信に満ちた支配的国民であると頑固にも信じ込んでいるが、今日では、現状にこれほど不安を抱き、未来に確信を持てず、祖国の基礎を築いた価値観、すなわち神話の価値に自信の持てない国民はいない。それは混乱であり、不安である。指標となるものや確信の揺らぎ、今一度言えば"眩暈"であり、これは被観察者を捉えるからこそ観察者に伝わる眩暈である」ではなかろーか?と(笑)だからこその本書のタイトルなんですね(笑)

 本書は月刊誌で連載していたらしくって、章の中の一つ一つの項も非常にコンパクトにできていて一つの街の話もこれまた短くまとまっている感じなんですが、連載時は米でも好評だった模様…ただし、一冊の本にまとまったらこれまた不評だった模様…結局仏人の書いた米観ですからねぇ…アメリカ万歳とはいかないと…ただし、個人的には今まで読んだ仏人の書いた米文にしてはかなり好意的な文章だと思うんだけど?それでも米人は気に入らないんだろーなぁ?自国の事は他国人に言われたくねぇってことかも知らんが(笑)

 全米を歩いて、土地は勿論、色んな人に会っていらっさいますが、一番分かり易いのは、フランシス・フクヤマとサミュエル・ハンチントンと対談しているとこかなぁ?著者的にはこの二人の思想とは対極というか、全く関係ないみたいな事をしきりに述べているけど、傍から見たら…いや、みなまで言うなの世界か(笑)

 まぁ、個人的と言えば、著者は刑務所に興味があるのか?トクヴィルの追想なのか?やたらと刑務所巡りしているんですよねぇ?本書だけでも四か所?あのグアンタナモ?にまで行っているんですよ…何か執念感じるわぁー…更に仏人らしくというべきかエロスの殿堂、ストリップ劇場?今だとラップダンス・クラブというのか?にも訪れていますが、何と娼館にも行ってるんですよ…米、合法的に娼館があったのか?てっきり違法なのかと思っていたが?本書にこーも堂々と掲載されているとこみると違うのか?いやはやさすがビューリタンの国ってか?触れるか?触れないか?の境界線って凄いよなぁ…

 で、仏人から見ると米人というのは博物館おたくみたいに見えるのかなぁ?でして、その心は何でも展示している?「それは過度ではなくても、十分な過去を持たないという苦痛であり-陶酔かもしれないが、同じことだ-本来、あまりに歴史の新しい国民なので、自己の出自とか自己自身の奪われた過去の起源に立ち会えなかったという失望であるかのようだ。この失望感が本来の願いを上回って自己を取り戻させようとしている。つまり、「我々は最初の夜明けにはいなかったから、その分だけ復活再生のために努めよう」となる」そな…となると、米って最先端な国かと思っていたら実は遅れた国だったと言う事なのか?うーん…

 それにしてもアメリカン・ドリームというのは米人の十八番かと思っていたら、移民の目標でもあったんですねぇ…米には100万人強のアラブ人がいるそーで、上昇志向が凄い模様…本書的にいうと「あの奇妙なユダヤ的情熱、ほとんど強迫観念で、一度ならともかく、つねに敵ではなくモデル、それも欲望の暗い対象と見なされている共同体に対する模倣的なあの対抗心-ドレフュス事件以前のフランスユダヤ人の有名なスローガンをもじって、あえて言えば、"アメリカのユダヤ人のように幸福"になるというあの意志である」そな…これまた、うーん…

 マイノリティー的なとこと、博物館ではないけど記念碑的なとこでインディアンの話も出てきます…本書的にはアメリカン・インディアンの表記でいくよーこの辺の表現もアレだよなぁ…それはともかく、米人なら記念碑好きなのかと思っていたら、これを建てる建てないで現地のインディアンの意見も割れている模様…「白人はインディアンの苦しみを道具代わりに利用することにかけてはひどく狡猾なのに、記念碑など輪をかけて事態を硬化させ、白人の反感を買っていらいらさせるだけだろうよ」(@ジョン・イエローバード・スティール/インディアン局出張所長)もあれば、「記念碑をつくるということは戦争が終わったことを意味します。ところが戦争は終わってないわ。ごらんなさい、土地財産の没収は続いているし、条約は破棄され、ジェノサイドも続行中。戦争は終わっていないから、記念碑など存在する理由がありません」(@リンダ・ヴァルガス)/ソーシャルワーカー)…はてさて真実の記念碑なんてこの世にあるのか?うーん…

 後は著者がこれまたかなりこだわっているのか、ちょうどケリー対ブッシュの時に訪問したせーか?その水面下のオバマ対ヒラリーのとこにいって、更にその夫のクリントンのとこにいって、それであのルインスキー事件のとこにいくとこですかねぇ?ルインスキー、そんなにこだわるとこなのか本書のいたるところで出てくるよな?仏人なら仏大統領の愛人問題はどーなのか'(笑)むしろ、クリントン夫妻にそんなにこだわるなら、当時のインドネシアのマネーについての方が余程スキャンダルじゃないのかなぁ?と…

 さて、米の政治というと共和党か?民主党か?の二択しかない気がして、しかもお国柄旗色は明確にの世界が展開しているから、何もかも二分すればいいんだわの世界かと思っていたら、世の中そんなに甘くなかったってか?「共和党員のように思考し、一瞬たりとも自らの党を離れることなど考えもせず、気にもせずにジョージ・ブッシュに投票に行く民主党員に何度も出会った」そで、逆もまた真なりと…矛盾って何ですか?とか(笑)いや、物事そんなに明確なラインなんて無いって事ですか(笑)

 それと、政治的なとこで更に一つ付け加えるとしたら、「フランスでは絶対に触れてはならないことになっているが、ここでは金の多募がいかに優劣の差を誇示するしるしになっているかを見てきた」とな…思想的にどう?というより「彼は唯一の共通点として…金のことしか話さないのだ!」ビバ・アメリカってか(笑)資金集めが全てです…

 まぁお金に関しては、米ですから…本書でも大なり小なりお金持ちのお話も出てきますが、ヘンリー・クラビス、バリー・ディラー、そしてジョージ・ソロスと三人の金の亡者もといセレブも登場してます。どちらさまも後悔なんて一つもなく、一片の曇りもなく「世界の通貨に挑み、銀行をパニックに陥れ、彼らに対応・創意工夫を余技なくさせることは犯罪でも何でもなく、社会への奉仕、革命的行為、義務であると答えて憚らない」そな…うん、まねーいずおーる、それがアメリカのジャスティスだよね(笑)

 後は実に米的なとこで、メタボの話かなぁ?肉体的なそれはもー健康よりも痩身ビジネスの為にあるという…医療問題も保険問題も何だかなぁ?と…ちなみに「ギ・ソルマンの「みんながアメリカを嫌う」によれば、アメリカの国民一人当たりの社会保障経費は、フランスを含めて、大半のヨーロッパ諸国とほとんど同じであるという。だが、要注意!それは、(アメリカの)国家の分担に民間の諸機関や慈善団体のそれを加えるならば、という条件付きである-これこそ、トレーシーとトクヴィルの二つの話が教えてくれるところである」かなぁ?素晴らしき新世界ってか(笑)

 そして、実に仏人的反応だと思うのですが、ガン・ショーにてのナチ関係品の販売光景を見て「「こんな物を売って問題にならない?」-買う者がいるから、売る者もいなくてはね。-ヨーロッパでは、禁止されていることを知っている?-当然だよ、そっちは占領されたが、こっちは奴らを倒したんだ!-では、何の心配もない?-ないね。第三帝国はチンギス・ハンほど人殺ししなかったよ-ビン・ラディンの物も売りますか?-いや、売らん(本心だ)!全然違うよ!あいつらの物にはこのナチの品物のような美的価値がないから。それは確かだよ」それにしても米って普通に銃器販売しているんですねぇ…しかも展示会まであるんですねぇ…

 それと、これも実に仏人的反応の一つだと思うんだけど、「ヨーロッパ人にとって、もっとも驚き、理解しがたいのは、こういう状況、自然の大災害!-そのいくつかは「正」史に入り、アメリカの風景の構築に関与している-が容赦なく繰り返し起こることに対して、政治家や市民に見られる相対的な消極性である」取りあえず、莫大な連邦予算も落ちているのも知ってはいるけど、「家屋の脆弱さである。もっと仰天したのは、すべてが一様に同じプレハブ、ときにはトレーラーハウスに再建されて、野原のど真ん中ににわか仕立てで、ぐらつくようにぽつんと建っていることだ。新たにリリー、イジドアー、アリソンとか起こって同じような被害を受けた場合、どうすれば同じように吹き飛ばされなくてすむだろうか」とな…いや、台風や竜巻もだけど、地震はないのか?米?建物に対する強度の規定なんかもないんだろーか?その土地に永住するというより、いざとなればゴーウエストの国だもの、なのか?

 と他にもたくさんこれぞ米な話が満載なのでずか、詳細は本書をドゾ、非常に仏的視点ではありますが(笑)でも著者的には「「哲学旅行者」の真骨頂は、歩んだ見知らぬ国の道で知りえたきわめて細やかな屈折さえも、後に社会学的思想と呼ばれるものが見出す永遠の(あるいは新しい)法則に結びつけて、適切な帰納法的推論をくだすことにある」そーですよ(笑)それでもって、米とはどーゆー国かとゆーと「アメリカとは、逆説的でほとんど定義しがたい。その名のままの実体的存在であり、その絆となるものは、アメリカという単語がほとんど普通名詞としてただ果てしなく、繰り返し響き続けるしかない国なのだ」そー…何もかも呑み込んで昇華しているというよりは混沌に沈んでいる感じなんでしょかねぇ?底抜けの明るさは今いずこ、と(笑)

 目次参照  目次 国外

|

« 地中海で会いましょう? | トップページ | リサーチとかスカウティングって何だろぉ? »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

国外」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: トクヴィルを待ちながら(笑):

« 地中海で会いましょう? | トップページ | リサーチとかスカウティングって何だろぉ? »