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2012年8月10日 (金)

字を追うということ?

猿飛佐助からハイデカーへ  木田元  岩波書店

 タイトルに深い意味があるのだろーか?読んでいる途中ではあまり無いと思っていたけど、読後の今となっては、これは意味深かもしれないと疑ってみたりして(笑)著者をご存じならば、ハイデカーは分かるというか、専門でしょという事になるのか?本書はグーテンベルグの森シリーズの一書となるみたいで、各著者の読書体験記みたいなノリらしい…なので、本書も著者の読書追想文かなぁ?子供の頃はこんなの読んでましたから始まって、今はハイデカーが周回しているみたいな(笑)

 哲学者なのであるから最終的に哲学書にいきつくのは当たり前っちゃー当たり前なんだけど、幼児というか小学生の頃に読んでいたのが、主に忍者ものですか?歴史小説というより、少年冒険小説に近い気がするけど?どだろ?で、忍者となれば猿飛佐助という事でタイトルになった模様…本書内ではそんなに猿飛佐助にこだわっているよーな気配はないんだけど、戦前の少年には忍者が一つのヒーローだったのは確かのよー(笑)

 さて、本書は読書日記もどきだと思うんだけど?思い出の本の数々とか?それを平行して著者の自伝的要素と重なってこれがまた半端ない…というのも、生まれも育ちも満州で、高校生位の頃は江田島にいて、敗戦してから家族も親戚も不明で、闇米闇市どんとこいの世界が展開…何とゆーか、エリートというより無法者の一生のよーな話しになりつつ、やっぱり本が好きっ!となって、学業に軌道修正していく辺りは、まぁ時代的というか?タイミング的というか?東北大の哲学科に行くことに…その理由が、存在と時間(@ハイデカー)が読みたいという一心だったところ、むしろ天晴れというべか(笑)

 アリス的に、哲学というとどちらかというと江神さんになりそーだけど、本書的に言うならば、一つ謎が解けたってか?というのも山田風太郎の解説で御大が、子供の頃に忍者ものが流行っていたみたいな話を書いていらっさったと記憶しているんだけれど、戦前にも流行っていたみたいだから、そーゆー下地は連綿と続いていたと…男の子は皆憧れるとゆー事なんだろか?うーん?昨今の世界的忍者ブームは、どの辺りを指しているんだろ?ナルトは知っていても佐助は知らないとしたら、それはそれで寂しいものが…

 まぁ本書は一つの読書記なので、ほぉーと思わされる本も出てきます。准教授的には「煙草の害について」(@チェーホフ)とかどーでしょお(笑)どうやら滑稽小説の類らしーんだけど?タイトルだけで引っかかるよね(笑)今のお笑いと笑いが違うと思うけど、笑いについては「笑いは不合理を母胎にする。笑いの豪華さも、その不合理とか無意味のうちにあるのであろう。ところが何事も合理化せずにいられぬ人々が存在して、笑いも合理的でなければならぬと考える。無意味なものにゲラゲラ笑って愉しむことができないのである。そうして、喜劇には風刺がなければならないという考えをもつ」となるそな…笑いといえば大阪な気が勝手にしているんだけど、オオサカンなアリスの意見はどーだろぉ?

 大学院生と論文についても「いまは大学院生でも、在学中からいくつも論文を書くことを義務づけられて、あっちを読んだりこっちを読んだりなんてことは許されないらしい。そのため、フッサールは読んでいるけど、デカルトもカントもヘーゲルも読んだことのない哲学の教師ができあがったりする」って…これがまことの専門バカ?社学も似たよーなもんなんでしょかねぇ?論文というより、書類提出してくださいの世界か?

 そして、この著者も一応メインはハイデカーのはずなのに、「ハイデカーのように裏表のあるあまり性格のよくない人の考えていることを理解するには、底意をさぐったり、裏を考えたり結構複雑な心理操作が必要で、あまりまじめな善良な人には向かない仕事かもしれない」とかあって、どーも人柄としてのハイデカーはイマイチみたい…でも哲学は凄いと…ある意味天才的な人だったとゆー事か(笑)

 その他、ミステリに寄り道というか、息抜きなのか耽溺していたり、哲学書の訳を現地に2.3年行った位の会話できるレベルでやられたらかなわないみたいな本音もチラリと出ていたり、するけれど、本書的に一番面白エピソードは小野二郎の話のとこで「新幹線が東京駅を出るとビュッフェにいって呑みはじめる。そこにいる客も、まだ国鉄時代のビュッフェの従業員も、みな小野二郎の話に誘いこまれて笑いころげ、名護屋でわれわれが下車すると、その従業員たちがホームに下りてきて名残りを惜しむという信じられないこともあった」のとこかなぁ?古き良き新幹線の時代ですよねぇ…今のダイヤというか、合理化サービスの世界だったらありえないでしょー(笑)

 さて、本だけに色々話は尽きないんですけど、著者的に一番ホーホーホーと思わされたのはあとがきの「永い人生のなかで、戦後のあの時期だけがポカッと青空をのぞかせていたように思いだされるから、妙なものだ」の件かなぁ?何か戦後の空気を知っている人は皆そんなコメントを残しているよーな?世の中あの頃に比べれば平安になったのかもしれないけど、堅苦しさは増していて日に日に曇天ばかりなりって、どーよ(笑)

 目次参照  目次 文系

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