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2012年11月10日 (土)

正義と不正義ではなく、ただの勝者と敗者…

ローマ人の物語 5 ハンニバル戦記 下  塩野七生  新潮社

 カルタゴ対ローマの戦い、最終巻はハンニバルとスキピオのこれまた最終決戦と言ったところか?さて、本書は紀元前206年から始まります。異例の若年執政官を拝命し、スピキオはシチリアへ向かうのが紀元前205年…ハンニバルはカラーブリアにお籠り中、ちなみにこちらにはもう一人の執政官リキニウスが向かったと…そして更に翌年紀元前204年、前執政官となったスキピオはカルタゴに上陸すると…舞台はイタリアからアフリカに移ったとな(笑)

 ヌミディアの王シファチェをカルタゴ軍のジスコーネとの交渉の仲介をお願いする。会談という敵情視察を得て、スキピオは夜襲をかけて勝利すると、更に再戦もスキピオの圧勝…ヌミディアの王も捕獲しローマに護送…かくしてカルタゴはハンニバルに帰還命令を出す事に…こーして第八戦ザマの戦いがきって落とされたと、時は紀元前202年になっていたと…

 戦いの詳細などは本書をドゾ。なんですが、今回で一番異例なとこはこの戦いの前日にハンニバルとスキピオが会談というか、会見しているとこですかねぇ…

 アリス的にローマというより、地中海、うん、何となくアリスは地中海好きそーなイメージが勝手にあるんですけど、とそれはともかく、歴史ロマンも好きそーだよなぁ…例の雑学データベースで(笑)男の子なら古戦場という響きだけでもうっとりしそーだし(笑)

 さて、毎回思うんだが、象の大群って役に立っているのだろーか?それを前面に出すと毎回負けている気がするが?気のせいか?制御できない乗り物って意味ないよな?はともかく、ザマの敗戦の詳細は本書をドゾ。ちなみにハンニパルの布陣は「現代の戦史家たちでも、古代の武将中最高の戦術家の名に恥じない布陣だと、賞賛を惜しまない」出来だったとな…

 戦いがというか、人生がここで終わったらハンニバルもスキピオも幸せだったのではなかろーか?と思うのはあまりに穿ち過ぎなんだろなぁ?それにしてもこれだけの天才を活かす事が出来なかったその後を思うと何だかなぁ…いえ、それでもスキピオはローマの権力の中枢に留まるんだけど、それにしても最晩年があまりにあまりだよなぁ…まぁ前向きな男には、後ろ向きの男が陥れるのが世の倣いとしても…これまた詳細は本書をドゾ…

 さて、第二次ポエニ戦争が終わって、その後のローマは今度はギリシャに振り回される事になる、と…これまたギリシャという国はというか、当時だから都市か?それに伴って周辺国家の皆様はヘレニズム万歳ってか…この地域対立が激しいのと、結束力の無さって最早致命的というより致死レベルじゃね?でしょか?むしろ、今まで国が残っているのが不思議なレベルのよーな気が…

 纏まりが無いという点ではカルタゴもヒケをとらず、敗戦後緊縮財政で再建だぁーGoの世界に邁進していたハンニバルだけど、「効果もあったが、敵もつくった」とな…これまた反ハンニバル派はローマに注進してハンニバルはシリアに亡命する事になると…何かもーハンニバル的にはどーよの世界だよねぇ国の為に戦って戦って、敗戦後は国の立て直しに尽力を尽くしていたら、同国人が密告で、国を捨てる羽目に…

 マケドニアの王様フィリップスの鬱屈も詳細は本書をドゾ。その息子の結末も。取りあえずローマは、カルタゴ、マケドニア、シリアと倒して地中海の覇権を手中におさめた、と…この時代、ローマが世界の中心だったとゆー事でしょねぇ…

 国の動きはともかく、スキピオの方にも魔の手が(笑)はい、大カトーの登場ですよ…この対立は個人的にはモーツァルトとサリエリみたいな雰囲気だと思うんだが?まぁこの場合スキピオの才能はオレしか分からんのノリではなくて、カトーという人はとことん人を信じられない人だったとゆー事でしょか?更に拡大して国も信じられなかった…ましてや他国なんて全く信用ならん、と…そしたらどーする殲滅するんですよ…カトー君戦士としては凡将だけど、政治家としては、ね(笑)

 そゆ事でカルタゴの運命は決まったも同然となったと…小手先対応で凌ごうとしたカルタゴも何だが、ギリシャのローマ観、幾ら新興勢力で伝統がないといっても敗戦国だったはずなんだが…「ギリシア人たちは、そのローマの態度を、力をもつ者の寛容ではなく、ギリシア文化に劣等感をもつ者の弱腰と見た。この時期に、ギリシアの都市国家の一つであるコリントを訪問したローマの元老院議員たちが、コリント市民から無礼というしかない態度で迎えられるという事件が起こる。これが、ローマ人に、寛容主義の限界を悟らせた」とな…いや、何かどっかを思い起こさせるエピですが(笑)

 それにしても煽った方が全て滅ぶというのは、何だかなぁ…こーしてみるとローマがケンカ売ったというより、売られたケンカを買ったらこーなったみたいなノリか…国としての趨勢の行方はこれまたともかく、私的には紀元前183年の両巨頭の死が重いッス…ハンニバルはビティニアで客死というか、毒飲んで自殺に追い詰められるし、スキピオはリテルノの別荘で多分病死…晩年はローマに近づきもしなかったとゆーのはともかく、死後遺体をローマの自分家代々の墓に入れる事さえ拒否したとゆーから恨み骨髄だったんだろなぁ…ちなみにハンニバル享年64歳、スキピオは52歳とゆーから、早すぎる死ではあったよーな?ついでに政敵の大カトーは二人亡き後も84歳まで生きる訳で、やはり憎まれ者世にはばかるっていうのは本当かも(笑)

 この二人の人となりについてはハンニバルは殆ど個人エピ残っていないからなぁ…スキピオは人懐こくて開放的で敵さえ魅了したタイプだったらしーし、ハンニバルは孤高の将軍そのものだった模様…性格的に対極にあったよーな二人だけど、戦術家としてはまさに他に追随を許さない双璧だからなぁ…何にせよ、カリスマには間違いないのだろーと…「優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない」まっ勝ち組だけで世界が構成されている訳でなし、でも勝っていると忘れている人多しだけどね(笑)

 何が凄いってハンニバルの軍って傭兵軍なんですよね、しかも多国籍軍、言葉も風習も違う人達の集まり、しかも資金不足に陥っても、物資が枯渇しても、「まったく一人も、ほんとうに文字どおり一人も、ハンニバルを見離した兵士はいなかったのである」…結局、人とは器の大きさがモノを言うという事ですかねぇ…たいてい世の中肩書がいぱーいあっても人望のない人たちの群れなのに(笑)

 目次参照  目次 文系

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