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2012年11月28日 (水)

市民であると言う事は?

ローマ人の物語 6 勝者の混迷 上  塩野七生  新潮社

 ハンニバルとの戦いが集結したポエニ戦役以降のローマは、外に敵がいなくなったら内に敵だらけでごさるの巻か(笑)本書は、紀元前133年から紀元前90年位までのお話かなぁ?内容はというと、ハンニバルの言う通り「いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。国外には敵をもたなくなっても、国内に敵をもつようになる」そのものかも…かくして、グラックス兄弟の出番となってくる訳なんですねぇ…

 さて、紀元前二世紀後半…最強ローマ軍団とうたわれていたはずなのに、敗走に次ぐ敗走とはこれいかに?で、理由が中産階級の崩壊が主因…ハンニバルとの戦いで元老院が主な実験を握る事になってしまう…さて、ローマ軍は国民皆兵的な組織だったけど、装備も自分持ちの戦いに行くぜ方式だったとな…だから無産階級の人は兵役なかったんですよ、奥さん(誰?)だったと…で、主に国民は農民というか牧畜民というか、いわゆる第一次産業の皆様…小作農が殆どだったと…

 ローマが帝国を広げていく事で属州その他の農耕地から小麦などが輸入され、価格競争が起きるとな…これで農家は大打撃…もう一つが税金も属州の上がりが入ってくるよーになって直接税が廃止されてしまった事…「「直接税」は、資産の多少によって課されていたので、これが全廃されて利益を得るのは裕福な階級になる」とな…何かどこかの財務省の言い訳を聞くまでもない税金の話し…ローマを見る限りどこぞの財務省の言葉を信じる気になれる人は幸せであるってか(笑)

 小作農である中産階級は大打撃で土地を手放して無産階級に転落、その土地を元老院に所属するセレブが買い占めて儲かりまっかの世界…一応、元老院は商売してはいけない事になっているから、妻とか、自分とこの奴隷の名義にして肥えていくと…この辺りのどこぞの政治家や官僚と被らないか?妻の名義です、秘書の名義ですとか…法を犯していないなら何したってええやんけ(笑)

 かくして、失業者があふれ、マルクス風に言うなら階級闘争勃発っスかねぇ…

 アリス的にローマ…あんまり関係ないと言いつつ、まぁアリスのデータベースには入っていそーだと思いつつ、本シリーズをここまで読破してきた身の上としては、うーん、小学校で英語を勉強するよりは、数学と歴史、特にこのローマ帝国の興亡を勉強した方が為になるよーな気がしてきた(笑)ハンニバルの辺りは少年冒険物的な血沸き肉躍る感が無きにしも非ずだけど、本巻になるともー身につまされる感じだなぁ…平和時の政治家や官僚、セレブってこーゆー人達なんだと知るだけでも、特に今必要でしょお(笑)

 ちなみにローマでも失業者対策に福祉の充実をはかっていますが、「福祉を充実させれば解消する問題ではない。失業者とはただ単に、職を失ったがゆえに生活の手段を失った人々ではない。社会での自らの存在理由を失った人々なのだ」という認識に立てば、「多くの普通人は、自らの尊厳を、仕事をすることで維持していく。ゆえに、人間が人間らしく生きていくために必要な自分自身に対しての誇りは、福祉では絶対に回復できない。職をとりもどしてやることでしか、回復できないのである」とはけだし名言かと…国民の生活が第一とか、あははははははは…

 かくして、グラックス兄弟の改革が始まります。この結末も、何とゆーか暗示的だよなぁ…平時においては正論を言う人は殺されるというのが何とも…既得権益の為なら何をしても、しかも法的に問題ないと言い逃れれば、オケなのは洋の東西どころか、時代の前後にも、そんなの関係ねぇーなんですねぇ…ええと詳細は本書をドゾ。

 ところが外圧がそんな暴利をむさぼる、ついでに平民見殺すを許し続けはしないんですねぇ…内圧には強権を発動できても、外圧には権力ききませんから(笑)かくして、ローマ軍団を編成するにあたって国民皆兵の徴兵制から、志願制に移行する事になるんですよ、それに伴って職業軍人が創出される事になると…マリウス的にはやる気のある人を集めたにすぎないよーな気がするけど、これが軍の士気の向上と失業者対策を担ってしまうという…グラックス兄弟は国民よ、農地に帰れで失敗した訳だけど、マリウスは国民よ、軍に集えで大成功してしまうとな(笑)

 どんな社会も中間層が荒廃したらおしまいなんだよという事か?はともかく、市民権の問題も浮上してきて、今度は身元格差の問題ですね…帝国が拡大するにつれて、ローマの市民権を持つか否か?は大問題に発展していくと…ローマ中心主義、元老院中心主義にとっては受け入れられない話しなんですが、これも周辺諸国というか、都市国家?地方?が蜂起するに至ってユリウス市民法が施行されるまでが本書のお話…ローマ建国以来戦いに次ぐ戦いだったけど、今回の内乱というか、内戦が一番背筋にくるよーな?だって、ハンニバルの時に負けに負けていた時だって周りの諸州はローマに付き従っていたのに、今回は初めてそれらの国々が反旗を翻したんだぜ、そして翻されて初めて特権とは甘いものだけど、最後には己の破滅への道標に過ぎない事を身をもって知る事になるんですねぇ…

 まぁ人間、喉元にナイフを突きつけられないと危機を察知できないのはいつの時代も同じという事でしょーか?本書は派手な話しは殆ど無いのですが、それだけに人として重いものがあるよーな…人を人として働く場を与えた(まぁそれが軍隊というのがアレだとどこぞからクレームがつきそーだが/笑)マリウスの功績は大きいのかもなぁ?後の歴史家がそれが私兵化への一歩だったと否定しているよーだけど、そーゆー切り捨て歴史観は「解そうとしない欧米のインテリだからである」とこれまた著者が切り捨ててますが(笑)

 最後に、差別と区別の問題ですかねぇと…最終的にローマ帝国内にいる人は市民権持ちにのユリウス法にいきつく訳ですが、紆余曲折は多々あった訳で…内乱とはいえ戦争状態勃発ですからねぇ…それでもそれが可能だったのは「ローマ人の考える同胞は、ただ単に、ローマ市民権をもっている人」という観念だったとこが大きいかなぁ?これがギリシャ人だと「同じ血が流れ同じ土地に生まれた人」だったそで、時代というより国民性か?

 どちらかというとローマでは市民であるか?より、その中の階層間の差の方に比重が大きい気がするのは気のせいか?名門貴族か、平民貴族か、騎士か、平民か、無産者か、解放奴隷か、奴隷なのか、それの方が問題だったと…差別じゃありません、区別ですとか…

 社会に対する考え方の違いというのは大きいよなぁと…例えば日本では「外国人流入に反対する日本の鎖国論者を、頑迷な守旧派と思ってはならない。彼らは、国家の構成員全員は平等な権利をもたねばならないと信じている、純情な主権在民民主主義者であるのだから。共同体内部での全員平等を金科玉条にすれば、異分子は排除せざるをえなくなる」との件は考えさせれるとこじゃなかろーか?まぁ一応憲法上は法の下の平等ですからねぇ…

 さて、市民格差か?階級格差か?それが問題だってか(笑)

 目次参照  目次 文系

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