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2012年11月23日 (金)

言いたい事もいえないこんな世の中じゃぁー♪

毒にも薬にもなる話  養老孟司  中央公論社

 かなり古い本なんですが、今読んでも成程なぁと感心するのが凄いとか(笑)いえ、時事問題がテーマになっているエッセイ多しなんで、時事なんて一週間もたてば陳腐化するのが相場だけど、本書の場合は時事が歴史になっている感じかなぁ?これまた成程、日本みたいなノリともいおーか(笑)

 HIVの非加熱製剤のとことか、オウムにTBS、建築偽装etc.と今聞くとそーいえばそんな話あったなぁという懐かしさがあるニュースがズラリ…ニュースって奴は起きた事は教えてくれても、解決(結末)は教えてくれないからなぁ(笑)ニュース番組も似たりよったりなんで、いっそあの事件は今みたいなラストを放送してくれるとこはないものか?裁判と官僚が浮き彫りになっていーと思うんだけどなぁ(笑)

 取りあえず、本書は軽いノリなんですが、ただし読むとなればある程度覚悟が必要かも?テーマは物凄く分散しているけど結局のところ「情報の開示は進めるべきである。ただし真実を知るには、それだけの強さがいることを銘記すべきであろう」「人間の作ったシステムは「やさしい」が、自然はやさしくない。それだけは忘れてほしくないことである」に尽きるよな…

 アリス的に時事…作家だから時にはその手のエッセイも頼まれるんだろか?アリスの時事って三面記事的なのを想像しちゃうんだけど、どだろ?うーん、夕陽丘で呻吟してるんだろか(笑)他にアリス的というと乱鴉からクローンの話がチラっと掲載されているとこかなぁ?ちょうどドリーちゃんの時だったみたいで…コピーなんだから同じでしょ?って、でも物か生ま物ですからねぇ…「生物が理屈どおりに動いてくれるなら、教育なんて楽なものである。自分の子どもだって思うようにならないのに、クローン人間が思うようになるわけがない」とな…

 他にアリス的なとこでは言葉の問題のとこでしょーか?言葉の無力化についてですけど…「言説とか、物語とか、言語ゲームという表現が、若者に与える影響はあんがい大きい」ってとこですかねぇ…若者言葉は言語ゲームであると…ちなみに言語ゲームといっても二種類あって、「言語の無力化によって起こった、若者の言語ゲームと、ウィトゲンシュタインや大森氏のように、言語を詰めていった結果、究極的な表現として生じる言語ゲームと」この違いはデカいとな…世の中には言語に絶するものもあるって知ってるかい?と…

 准教授絡みで大学的なとこというと「文部省のお役人は、先生たちの研究はまったくご自由です、という。私はそれを聞くたびに、皮肉をいわれていると感じていた。問題は管理であって、研究などではない。この社会では、管理に比べたら、研究など屁でもない」とな…独創的な研究なんて、どこにあるんだぁーってか(笑)まぁ日本はとても管理社会のよーです、普段はアバウトに見えて問題あったら即引っ張ってこられるよーに仕組む程度には…「管理自体が重要なのだという思考は、ほとんどわれわれの社会の骨肉になっている。だからこの国は、平和で安全なのであろう。もちろん、外力がないかぎり、である」とな…いざ鎌倉でハンコは抑止力にはならないんですよ、奥さん(誰?)

 更に専門家というものも「専門家にとっては、その世界だけが「現実」となる」はけだし名言だよなぁ(笑)ただし「自分の世界だけが現実になるのは、すべての人にあてはまる」とな…更にこれにもただしがつくと「その現実の広い人と、狭い人がある」そで、「狭い現実を持つ人は、子どもと折り合いが悪い」とな…黒鳥亭や乱鴉をみるとアリスってかなり広い現実の人だったんだろか(笑)

 ちなみに専門家には二つのタイプがあって「一つは自然を相手にする専門家である」で「もう一つは、人工を相手にする」と…「自然は読み切れないのが前提だが、社会は読み切れるのが前提」だと…ええ、後者の代表がお役人ですよ…「われわれは先を読むのが、もっとも苦手なんだ、と。お役人は先が読めることしかしないのである」って…だからいつも想定外なのか(笑)まぁ准教授的には「専門家には業界があり、業界の前提には従わなければならない」のとこが一番被るかなぁ?横紙破りってありっスかぁー(笑)

 ついでに国民とは何ぞや?となると「この国には、国民に関して二つの定義があるらしい。「拡張されたわれわれ」と、日本国籍を有する者である」とな…「「拡張されたわれわれ」の範囲は、状況によって適度に伸縮する」そで、「その範囲をいったいだれが決めたかというと、それが明瞭ではないという特徴がある」とな…例で言うと戦時中のスカートと口紅だそーですよ、おぞーさん(誰?)結局、暗黙の「世間はそれをこそ国民の範囲だと思っているはずだという」思い込みが成立すると…「これがいわゆる村八分の構造、いじめの構造の基礎にあることは、すぐに気づかられるであろう。そうした人たちで構成される報道が、「いじめの解決」になんの役にも立たなくて、あまりに当然である。無意識の仲間外れを、自分たちが日常的に実行していて、しかもそれにまったく気がついていないからである」いやはやいやはや(笑)

 それを日本では世間と言うって奴ですかねぇ…「あいつと俺とは違う。そう考えて、まず相手を自分と分けてしまう。それはとくに「不祥事」のときに起こる。同じ文化、同じ言葉、同じ社会の住民だと思わない。それが村八分であり、いじめの構造であり、差別であり、非国民であろう。これはどんな社会にもあることで、なにも日本だけというわけではない」とな…「いじめるほうは、自分が悪いことをしているなどとは、夢にも思っていない。いじめの根源には、正義がある」そで…それも自分の正しさが全てで、相手の正しさなんてこれっぽっちも考慮されないんですよね…唯一絶対の正しい己って、原理主義じゃない?

 日本人的な話しでは「なぜ昔の人は「危機管理」などと説かなかったのか。もちろん別なやり方を知っていたからである。もはや死語となったが、それが「覚悟」であろう。自分が体験したことがないこと、それがいずれは出会わざるを得ない。そのときの心構えを、古くは覚悟と呼んだ」とな…まぁ合言葉が想定外の国じゃ、覚悟なんてそんなの関係ねぇーだろーなぁ(笑)

 かくして「民主主義は平凡人の常識を信頼するものだとすれば、国の決めたことは、自分が死んでも守らねばならないとするソクラテスよりも、汚職官吏のほうが常識人に決まっている」とな…毒人参はどこですかぁーってか(笑)ついでに言うと「世の中のためにならない仕事なら、どうせ長続きするはずがない」そーですよ、奥さん(誰?)おまけに「公務員とは失業対策事業であると真面目に述べていた。厳しい世間で働く能力のない人に、安めの給料を与えて、遊んでもらっているというわけであろう」って…で、ちょっと働いちゃおかなぁーとなると「汚職官僚が出てきたということは、官僚が世間に出て、いくらか働くようになったということかもしれない。働かなければ、汚職にもならない」って…ケタの問題はどーなるんでしょーセンセぇー(笑)

 さて、結構昔の本なのに火種はその頃からあったんだなぁーと痛感させられたところが、今話題沸騰の従軍慰安婦問題のところです。ちょっと長いですけど、引用させていただくと「アメリカ在学中の娘が泣いて電話をかけてきた。いわゆる「従軍慰安婦」が可哀相だというのである。カレッジの学生のあいだで、それが話題になったらしい。娘は慰安婦に心から同情して、なぜ日本軍はあんなことをしたの、と電話口で泣きながらいう。アメリカでいったいなにがどう話題になったのか、どうせこんなことだろうという想像はつくが、詳細を知らない。ただ泣かれては困るから、戦争のときはいろいろある、時代もある、2・26の将校だって妹は吉原に売られるような生活だった。そう興奮するな、というと、なぜ冷静でいられるの、という。べつに冷静でいるわけではない。この問題で腹を立てるとしたら、真の相手は娘ではないと思うていどの分別はある。ともあれ、カレッジでの議論がなんだか変だと納得させるまでには、電話代にして数万円はかかったはずである」とな…

 他の項でも、「戦争に行っていた老人が、兵隊として俺がもらった給料と、慰安婦にそのつど払った金と、その釣り合いがわかっているのか、とボヤいていた」とか、「旧軍隊は消え、売春は消えた。したがって従軍慰安婦問題が浮上する。現在ではそれはもちろん「あってはならない」ことだからである」とか…

 それにしてもさすが、自称正義の国アメリカ、パールハーバーとか…とことこん白黒はっきり単純仕分けの国なんだなぁ…まぁこれで分かった事はあれだけ米のミステリーを愛読し、スティーブン・キングが好きだと公言していながら、どこかで著者は米を嫌いだと言っていたよーな記憶があるが、これが理由の一つだったんだなぁーとか?確かに己の娘を泣かした国をよくは思うまい…養老先生は男でございっ父親はかくあって欲しいものです(笑)

 本書でも海外の話題はチラホラと出てきてますが、今だとチャイナ・リスクだけど、一昔前はチャイナ・プロブレムだったのか?「多くは経済問題、政治問題で、その議論は要するに「危ない」というものである」って…その教訓は生きているのか?中国とは何ぞや?というと本書的には「「自然」という観念そのものが中国文化に欠如していること」ではないか、と…

 「権威も権力も不要な社会が理想社会であることは、すでに「十八史略」に描かれている」そな、「そんなことなら数千年前に気づいている中国の社会が、いまのような状態である。その意味では、人間が進歩するとは思えない」とは…先生ちょっとヤケ気味ですか(笑)まぁ当の「中国政府は、日本政府はともかく、日本の人民とは友好関係にあるとしばしば述べた。政府と人民は分けるのだが、これは「語るに落ち」ている。自分の国の常識を述べているのだろう。われわれはもう一度、「普遍性」に立って中国理解を試みるべきであろう」とな…成程、中国政府、全人代と言いながら政府と人民は別物なんですね(笑)

 では英はどーかというと「いつも思い出すのは、コヴェントリーの空襲である。イギリスはナチの暗号を解読していた。したがって空襲があることを知っていたが、それを一切住民に知らせなかった。暗号解読の事実を敵に知られる「可能性」よりも、空襲を受けて「罪のない」人たちが犠牲になることを選んだ」まさにイギリスの正義ってか(笑)

 そして米はというと、フランシス・フクヤマを例にしているが「歴史が人生をモデルとして描かれるというアナロジーの典型である。一生はつまり欲望と理性と気質である。お金と計算と名誉欲だ。個人がそれなら、人間を何人集めたって、同じことだろう」ですかねぇ…米はとことん実利の国なんだなぁ…まぁ何かにつけ個人の功績に行きつく国だからなぁ(笑)

 翻って我が国、日本ですが、「ヨーロッパの知人を招待すると、日本をはじめて訪問する人は、異口同音に言う。日本がこんなにアメリカ化していいのか」とな(笑)はい、ここ笑うとこぉーなんでしょか?著者によると米化ちゃう、脳化や、セツコの世界みたいだが(笑)

 その他にも「ローマ帝国も滅びた。個人が死ぬだけではない。文化や文明も滅亡する。それを教えるのが教会であり、お寺である」とか「自分の王将が詰みそうなのは、過去に打った手が悪かったからだが、そんなことをただいまの局面で言っても仕方ない。そこをなんとかごまかすのが政治家の仕事であろう」とか、至言の嵐なので、興味のある人は本書をドゾ。多分損はさせまへんでぇーだとは思う…ただし劇薬かもしれないけど(笑)

 最後に個人的に本書で一番ハーヘーホーしたとこを一つ「それは、事実でないことを、事実だと信ずることによって損害を受けるのは、なにより自分自身だということである。それで十分ではないだろうか」…お後が宜しいよーで~

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