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2012年12月24日 (月)

あなたからもらいたいのはあなただけ…(笑)

悪女入門  鹿島茂  講談社

 サブタイトルが、ファム・ファタル恋愛入門なんですが、ある意味フランス文学案内かなぁ?今さらですが、愛の国フランスですから、小説の類も愛がテーマ、実質エロスがテーマ、で中身はというとコキュ文学か、娼婦文学という…フランス人本当に有難うございましたな世界なんである(笑)

 で、こちらに掲載されているのはそんな偉大なフランス文学の選りすぐりの、著者の独断と偏見基準の(?)娼婦文学かと…そして出会った男は皆破滅ですか(笑)で、具体的にどーゆー話が取り上げられているかというと、アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」、プロスベール・メリメ{「カルメン」、A・ミュッセ「フレデリックとベルヌレット」、バルザック「従妹ベット」、デュマ・フィス「椿姫」、G・フロベール「サランボー」、J,K,ユイスマンス「彼方」、エミール・ゾラ「ナナ」、マルセル・プルースト「スワンの恋」、アンドレ・ブルトン「ナジャ」、ジュルジュ・バタイユ「マダム・エドワルダ」というラインナップ…どこかで聞いた事のある有名どころがズラリと(笑)

 で、ファム・ファタルとは何ぞや?といえば訳語は宿命の女というのが相場だけど、意味的には致命的、命とりの女という方がこの場では正しいよーな(笑)女がいれば、男がいるでこの相手方の男にも条件があって「破滅するだけの「価値」のある男であることが必要となります」だそな(笑)絶大な権力、高い地位、莫大な財産持ちの壮年の男か、立派な未来を嘱望された優秀な青年じゃないと話にならないと…で、もちろん女性側は「男が人生を棒に振ってもかまわないと思うほどの妖しい魅力を秘めた絶世の美女でなければなりません」そんな二人が偶然出会う…行先は多分、天国経由地獄行き…

 アリス的に仏文学って…ミステリ的に愛憎がテーマというか、動機にはもってこいだけど、本人的にはどーだろー?まぁ、アリスも無類の顔フェチというか、美女に弱いからなぁ(笑)ロシア紅茶とか、一番分かりやすいのはスウェーデン館のヴェロニカさんか?あれも人妻だから、ある意味不倫一歩手前か?

 ヴェロニカさん的要素をファム・ファタル的メガネを通すと「悲運に耐えようとする健気な女ほど男の恋心を刺激するものはないのです」となるのか?アリスの場合、事件解決や、火村を呼ぼうとなる訳ですね、分かります(笑)

 さて、ファム・ファタルの方ですが、これが必ず男を裏切ってくれたりして怒りの男登場の場面でのテクニック「男から裏切りをなじられたとき、それに正面切って反論するのは正解ではありません。まず、後悔の涙、ついで自殺をほのめかし、最後に愛撫、これで男はイチコロです。どんなに怒り狂っている男でも、愛が残っている限り、心の底では、許そうと待ち構えているのです」だそな…愛はかーけひーきってか(笑)

 ついでに何故こんな事をしたんだの真実追求には「やっぱり、なにもかもあなたが一番だわ、お願い、許して、この繰り返しでいいのです」だそな(笑)それ聞いて男の方は「女が戻ってきたのは、自分が相手の男より優れていたからと思い込み、前よりも天狗になって、またもや盲目状態に入ってしまうのです」って、正しい手玉の取り方か(笑)

 その他にも男が泣き崩れている時に戻ってくるとか、貞淑そうな雰囲気とか、少しスキのある女とかファム・ファタルのテクニック恐るべしですので、詳細は本書をドゾ。

 何とゆーか、本書は男女の楽しい錯覚講座のよな?相手がファム・ファタルですから、たいてい履き違えているのは殿方の方ですが…「男をひきつける女の魅力とは、美貌でもスタイルでも、ましてや心や頭でもないのです。男がかくあってほしいと願う女に自分を重ね合わせる変身能力、これこそが一般に「女の魅力」と呼ばれているものの根源です。この能力を欠いている女性は、たとえどんなに美人であっても決してモテません」とまで言うと(笑)

 更に「男というものは、なぜ銀座や六本木の高級クラブに通いたがるのでしょうか?ひと座り最低でも三万円、平均でも五万円(もちろん、一人当たりの金額)の高級クラブがバブル崩壊後でも潰れずにやっていけるのは、そこに、性欲とは別のなにかが動いているからです」で、それは何かと言えば「「選ばれる(一般にはモテるといいます)ということに対する自尊心であり、愛とも性欲とも全然関係のない、自己愛の一種です。つまり、功成り名を遂げ、それなりの金を手にした男たちは、ほかの客でなく「自分」がホステスからモテた(選ばれた)ということを確認したいがために高級クラブに通うのです」俺が一番、自分大好きぃー(笑)

 この辺りは圧巻ですねで結局男っていうのは「「プライドと、虚栄心と、自尊心」に突き動かされて恋をするものなのです」と、成功した俺様偉い、真の勝ち組万歳って事で「女優やタレント、あるいは銀座の一流クラブのホステスに入れあげるのです」とな…「平たく言ってしまえば、成り金にとって、女とは、メルセデスS600とか高級ゴルフ・クラブの会員権と同じジャンルの「見栄商品」にすぎないのです」シャネルの女よりエルメスの女ってか(笑)

 付加価値があるかどうか?他の男から見てうらやましい女であるかどうかが全てですって事か(笑)ちなみに「多くの女性が犯しやすい過ちの一つは、男はあるがままの自分に恋してくれるものと思い込むことです。女性は自分がそうなので、ついそう思ってしまうのですが、これが大きな間違いのもとです」白馬の王子様を夢見ているのはむしろ男って、どーよ(笑)

 さて、今回おべんきょになったのは高級娼婦のシステムってどーなっているんだと常々疑問だったんですが、椿姫に説明されていたんですね…「パトロンが決まっているお妾さんとは多少異なり、「客」は何人がいます。それというのも、その要求する金額があまりにも高額で一人ではとうてい彼女の贅沢三昧を支えきれないので、何人かの男が共同で金を出しあい、部分的に(たとえば決まった曜日に)相手をしてもらう協定を結んでいるからです」素直にスゲェと言うべきか?男の見栄万歳なのか?一番高い女をキープしてるもんねという、それだけの自尊心って…

 何かもータイトルが悪女入門だから女のせーで身を持ち崩した男性被害者の会みたいなノリだけど、どー見ても男のうぬぼれで、自業自得に見えるのは気のせいか(笑)そーゆー上昇志向は「われわれ男は、なぜ美しい女が好きで、美しい女とセックスしたがるのか?それは美しい女が天使に似ていて、天使を犯すという瀆神の喜びが男を興奮させるからだ」って、貴様は何者のつもりじゃー…

 何か、もののあわれについて考えさせられる気がするが…それにしても仏文学、男性の快楽を追求しているよーで実は男性の受難についての物語ではなかろーか?目、醒ませよって言うのはヤボなんだろなぁ(笑)

 目次参照  目次 文系

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