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2013年1月28日 (月)

一億総オランダ通使か(笑)

パーネ・アモーレ  田丸久美子  文芸春秋

 サブタイトルがイタリア語通訳奮闘記なんですが、うーん、最初の章なんか見るともー半分以上伊人化しているんじゃないか?とか思わされるんですけど、後のシモネッタ以前の章を見ると古き良きお嬢さんだった模様…コレがアレになるとなると、単に年齢とったからとかは…うーん(笑)著者自身の個性も凄いが、登場する伊人達が凄すぎる…通訳は黒子に徹しないといけないというのもあるけど、通訳するには人間関係を無視する訳にもいかなくて、何とも…ある種通訳って仕事においては己を消すが良しとなれば、忍者の極意と変わらないのではないか?と思ってもみたり?

 それにしても通訳者って言語で個性がこんなに出てるものとは知らなんだ(笑)本書一番の笑いどころは、通訳・翻訳会社の社長メモではないだろーか?英語だと「くそ勉強した感じ(津田塾出身が多い)、自分だけは美人だと思っている、センスなし、実用一点張り、アメリカン・コンプレックス、帝国主義(世界人民の敵である)」となり、フランス語だと「自分が最も優れていると驕っている、美人もいた(フランス語単純過去、つまり歴史上の過去)、やたら理屈っぽい、最後には文学か文法の話になる」となり、中国語の場合は「泥臭い、美人がいたらよい、床屋政談が好き、しかし、最後は金儲けの話」で、スペイン語になると「ラテン語系の中では一番田舎臭い、みんなジーパンを穿いている、美人がいない、アバウト、最後は必ず料理の話」だとか、ロシア語はとゆーと「暗い、とても(性格が)、人生の不幸を自分一人で背負っているような顔をしている、将来が不安、不透明、頑固、頑迷、すぐ請求書がくる(生活が苦しく、まだ容貌の話までいかない)」とは…そして真打イタリア語は「服装が派手、性格が軽薄、媚を売るか、お高くとまっているか、趣味で仕事をしている感じのお嬢が多い」とななな…うわー当てはまっていると笑って、いいんでしょーか(笑)

 ちなみに本書で一番、著者自身で笑わせてもらったとこは、著者のあだ名の一つがシモネッタ(伊名)らしーのだが、英名の方がサラというのだという件…サラ、日本語でも通用する奇麗な名前じゃーんと思ったら、この語源が皿…食べ物のある宴で片時も皿を離さないからとな…何か昔どっかで読んだツバキ姫が、椿ではなくて唾棄だった並のインパクトがあるんだけど(笑)大和撫子には裏の顔があるってか(笑)

 アリス的にイタリア…その内国名シリーズで出てくるかなぁ?でもイタリアもいーけど、登場人物で通訳者を出すのは、是非やって頂きたいと強力プッシュしておこー…いやー、なんつーか人材のバラエティにおいて通訳者以上の職業ってないんじゃないか?と思える程?キャラづけでこれ以上はありませんって(笑)

 豆知識も満載で、伊人が尊称好きとは知らなんだ…大卒かどうかで(ついで学部ごとで)呼び方が違うとは聞いた事があるけど、地位がものを言う世界ですか?国会議員がオノレーヴォレと呼ばないといけないと、ちなみにこれ栄誉あるという意味らしい…さすがベルルスコーニの国は違うなぁ(笑)シニョーレ、シニョーラとうかつに呼ぶには大変危険とは、これまた知らなんだ…でふと思ったのがミスター・スポックとか、ミスター・ビーン…ビーンの方はともかくスポックの方は肩書並べたらそれこそエライ事になりそーなんだが?名前呼ぶだけで寿限無の世界とか(笑)

 更に、日本人としてうーんと唸らされたのが所謂差別問題…伊は英や仏に比べると「日本人を下に見る傾向は薄いようだが」とあるんですけど、伊人自身の社会の階層はくっきりきっぱり分かれているそな…同じ職場内のトイレとか食堂も地位と身分で違っているとか…プライベートでも同じ階層の人達としか付き合わないとか…成程、マルチェロ・マストロヤンニの人柄を、大食堂でエキストラと一緒にご飯を食べてた最後の大俳優と紹介するのもよく分かる…いずこの国も皆それぞれに、だよなぁ…

 その他、タクシーとか、服装とか、騙しのテクニックというか、日本人の習性というか、犯罪系も伊では棲み分けがはっきりしているのか「偽警官は化けるのは美男が多くスーツ姿が決まるルーマニア人。売春、用心棒に男尊女卑思想が強く乱暴な気質のアルバニア人。スリは手先が器用な南米系。路上ひったくりはすばしこいロマノ人の子供と相場は決まっている」とか…そんな訳なのか「今や刑務所は外国人のための住居のようになっている」とな…さすが、イタリアって事なのか(笑)観光で食っていくって、外に開かれている事で、それは清濁あわせ飲む位じゃ済まないって事か…

 そして、何よりこれぞ伊だなと感心させられたのが、宗教破棄院…再婚の場合は色々手続きが大変みたいです。詳細は本書をドゾ。司祭の仕事って多岐にわたっているんだなぁ…そして伊の男性視点が「素顔美人より、知的美人より、派手な化粧美人が好きなのも特徴」って、しかもグラマーがお好きって…何という分かり易さ(笑)

 さて、アリス的なとこでいくとスザンナ・タマーロのとこかなぁ?ちなみに伊では「誰にでも分かる平易な言葉で書いたものは、あくまで女子供の読物であり、文学作品とはいえない、文学は高尚、形而上的なものであるべきだという根強い固定観念があるのだ」とな…さすが神曲の国は違う…ミステリの出番なんてあるのかなぁ?何かマフィアもののハードボイルドの世界なんだろか?

 他にもたくさんエピがあって、世の中って広いんだなぁーと感心しますた…詳細は本書をドゾ。本当異文化間って色々あるんだなぁと納得する出来だと思いまする。という訳で最後に通訳のお話という事で言葉と言語のとこにいってみよーか、と…

 「通訳とは外国語が流暢に話せればできると考えている人が多いが、とんでもない間違いで、まずは一般常識をふまえて日本語がきちんと話せることが基本である」というのは、翻訳者とか、言語学者とか、言葉の第一線で働いている人は必ず言う事だよなぁ?まぁ英語だろーと、伊語だろーと普通の人も喋っているのだから誰にでも出来る事なんだろーけど、間口は広く奥行は限りなく深いというか、出来るのレベルは難しいとゆー事だよねぇ…よーはモノを知らなければ話せないとゆー(笑)

 この辺りは「外国語が話せるかどうかは、二義的な問題でしかありません。大事なのは自分が話すに足る内容を持っているかどうかです」(@オリヴィエーロ・トスカーニ)が至言かなぁ…何にしても内容が問われるんだよ、という言葉の重みでしょかねぇ…ちなみにオリヴィエーロの言葉としては現代若者ファッションについて「普通奇抜な服を着てたむろしている西洋の若者は、ドラッグをやっていたり、社会に絶望していたりして、攻撃的で不潔だが、日本の彼らは清潔で純真、功名心も問題意識もない。無意識に、経済と効率優先の日本の社会に背を向けているのかもしれないけれど、まさに現代の天使だね」と語っていたりして…自身の考察に自信がある態度が凄いよなぁ…例えば上の科白の他に日本の若者はユニークだとか、ブランドものの為に援助交際しているとか発言しているんですよ…

 で、通訳に戻ると「現在、通訳の仕事は二極化している」そな…でそれは「自社社員をつけるのは惜しいアテンド通訳か、プロでないとこなせない、むずかしい講演などの通訳である」とな…いやはやいやはやですが、伊でも英語化の世界が展開している模様…言葉は一極集中型に突入していくんでしょかねぇ…まぁ通訳解せず直で話し合いたいという欲求は人として当たり前だとしても、日常会話程度ならともかく、ビジネスとしてはどーよ、という事態もあると…

 まぁ最近は、国内企業も社内での会話が英語ですと高らかにうたっていらっさいますが(笑)それでなくても失言僻のある、もとい訂正する事のできない、もとい抗議する事の出来ない日本人がどーなるのか…自社の社員でいけば安くつくという皮算用もあるんだろーけど、「日本も訴訟時代に入る。これからは、まずい訳のせいで商売に失敗した、と訴訟を起こされることがあるかもしれない」とな…その道のプロがいかほどのものが、外部の人間が一番分かっていないよーな気がするが?

 その昔、国際派と超有名だった某社のトップ、勿論英語は得意、流暢で通っていたが、某B〇Cのインタビュー番組で字幕スーパー付だった話しがあったよな…ええ、当然英語での会話なんですよ、でもB○Cによるとその英語を聞き取れる視聴者は少ないとみて英語に英語の字幕を付けたと…現地で通用しない英語が社内を巡ると…まぁそれも今では一部の話しですよって事になるんでしょーか?

 法律スレスレなんて言葉があったけど、言葉の解釈でスレスレありそーだよなぁ?言葉の齟齬で契約や事業がぽしゃった時は、それも想定外で済ますのだろーか?何か責任者出てこいの世界になりそーな気がするのは気のせい?その時も騙された方が悪いんだぁーで納得できるんでしょかねぇ?何事にもニュアンスって、比重重いと思うんだけどなぁ?でも、そんな計れない事はおかまいなしなんだろなぁ(笑)

 ちなみに挨拶は、日本人はお詫びから、米人はジョークから、伊人は黙って美人探しから、だそな…話しはそれからだってか(笑)

 目次参照  目次 文系

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