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2013年2月 9日 (土)

書架の地平?

<狐>が選んだ入門書  山村修  筑摩書房

 世の中星の数程HOW TO本ってあるけれど、こちらに取り上げられている本は、お手軽なというか、他力本願的な手っ取り早く系ではなくて、それぞれの著者達の思想とか、生き方というと何か重くなっちゃうんで、むしろ好みに走ってみましたみたいな思いっ切り振り幅オケな世界かなぁ?果てしなく著者ワールド築いているみたいな(笑)

 取りあえず読んでおけの世界かも?なんですけど、本書の著者の解説は物凄く淡々としている感じで押しつけがましさが一切ないとこが、こちらの本の凄いとこかなぁ?選んでみました、お薦めしますよ、自分はここが推しですよ、と気さくに広げているみたいな?営業活動というよりは、鑑賞活動のすすめかな?と(笑)

 掲載されている本は全部で25冊。五冊ずつジャンルがわかれていて、言語、古典、歴史、思想、美術の珠玉の本達だと思います。いえ、解説読んだだけで、何となくその気になれるところも本書の凄いとこか(笑)

 アリス的に入門書とか、お薦め本とかは、商売柄幾らでもありそーな気がするけど、どだろ?だけど、この手の解説はむしろ准教授がまとめないといけないのか?授業を始めるにあたっての参考リストとか?しかし、最近の大学生は映画は見ない、本は読まないと言われて久しいんですけど、実際のとこ、どなんだろ?

 何とゆーか、本書の著者は本の解説なんかしている位だから本好き、読書好きなのは分かるんだけど、それがどのレベルかというと人生に落ち込んだ時に「しかし、本がある。どんなときにも読書というものがある。本好きはそれを救いとすることができます」とな…ちなみにこのタイプの方が厳選した本達ですから、一筋縄ではいかない本がズラっと(笑)

 アリス的にアリスにシンクロしそーなとこというと、「文章の話」(里見弴)のとこで「あくまでも「書きたいもの」を書けといっています。「書きたい」の「たい」が、往々にして、「ものを言う」からです。腹の底から湧いてくる、力強い「たい」こそ、ほんとうの「自」」とあるんですが、これなんか46番目の階段教室のアリスと被りませんか(笑)人間勢いが大切だと、さすればカレーが降ってくるとか(笑)

 後、「古典の読み方」(藤井貞和)の章で「私はここに、ともかく手当りしだいに濫読せよとすすめる評論家たちの無責任さとは画然とちがう、読者に対する誠実さを感じます。藤井貞和のいうように、手にふれるものを何でも自由に読もうというのは「放恣」であって「自由」ではなく、「秩序のない乱読は乱雑な文化人を作りだすだけ」なのです」とあるとこは、いやー全くご尤もの世界か…読書に対しても少し真摯な態度と頭が必要なのね、と反省だけはしました…ただ、乱雑な文化人にすらなってなくて、ただ乱雑ななだけなよーな気がすると己を振り返るとか…

 も一つ上げると「若い読者のための世界史」(ゴンブリッチ)の章での「若い人のための書物は読み手が批評家であること、それも、最も厳格な批評家、見せかけの敬語やいいかげんな感想などをたちまちま見破り、それに憤怒する批評家だということを考慮しなければならぬという点である」(@ゴンブリッチ「美術の歩み」)のとこは、しがらみが無いって素晴らしスって事でしょーか?どちらかというと王様の耳はロバの耳ぃーのノリか?上手に嘘をつける事が大人への第一歩ですからねぇ(笑)

 それにしても歴史について、世界的に自前の歴史があるのは地中海文明と中国文明だけだという分け方があるとは知らなんだ…これ歴史書を書く、残す人がいなかったかどーか?ヘロドトスと司馬遷がいたという事はかくも大きいのか?まぁそれが文化というものなんだろーけど(笑)でもってヘロドトス型が己の善じゃーが前面に出ているとするならば、司馬遷の方はどの皇帝が正統かという、それ…何か、どっかで見たよーな構図と思うのは気のせいか(笑)

 本書的に豪快な方多しで、世の中本当にこんな人いたのかと驚くばかり、「人間として考えるべきことをしっかり考え、生きるべきことをしっかり生きることができれば、クリスチャンであろうとなかろうと、そんなことはどうでもいいではないか」(@田川建三)とか言っちゃってるんですけど、この方クリスチャンなんですよ…いいんですか?と思わず聞きたくなるのは小心者って事ですか(笑)

 も一人は井筒俊彦の恩師のムーサー先生、主要なテキストは全て暗記しているという御仁…「あるとき、ムーサー先生がたまたま井筒俊彦の家を訪ね、その大量の本を見て大笑いしたそうです。火事にでもなって、その本がぜんぶ焼けたらどうするんだ。勉強できないだろう。なんと情けない。おまえは火事ごときで勉強できなくなる学者なのか」って…とかく、自分の書架を見せびらかしにしている大先生がいらっさいますけど…痛快過ぎて涙出てきた(笑)

 とまぁ、本書は最初から最後までノンストップで偉人変人奇人な天才達がズラリと待ち構えていたりして…詳細は本書をドゾ。もーエピが凄すぎて笑っていいのか?泣いていいのか?それが問題だってか?

 最後に本書で一番おろろいたところは、中村稔の東京大空襲の次の日の話し…駒場から実家の大宮に移動するんですが、若き日の中村先生の移動方法は何と電車…渋谷池袋間はさすがに徒歩だけど後は電車に乗って帰っているんですよ…井の頭線も、赤羽線も、京浜東北線も動いていたと…こーして見ると昔の鉄道の方が動いていたんだろーか?とふと思ったりして…いえ、東北の震災の時のアレもありますけど、山手線なんて平時でも風吹いただけで止まってるしなぁ(笑)昔と今じゃ性能上がっているはずだけど、根性が違うって事なんでしょか(笑)

 目次参照  目次 文系

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