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2013年3月19日 (火)

カエサル渡河、南進中。

ローマ人の物語 11 ユリウス・カエサル ルビコン以後 上  塩野七生  新潮社

 前巻で、ルビコンを渡ったのが紀元前49年1月12日、即日リミニ入りを果たしているんですね、そこからカエサルの生涯のクライマックスが始まると見ていいんだろーか?はともかく、本書は紀元前47年6月までのお話となります。そーあのクレオパトラとの出会いもあります(笑)が、その前に対ローマ、対元老院、対ポンペイウスとの戦いが待ちうけているとな…

 こー言っては何だけとここからカエサルの本領発揮な気がしないでもないけど、どだろ?40才までのうだつの上がらないのらりくらりとしてた時期や、ガリア戦記の40代を経て、男子50才にしてたつでしょか?ガリアの英雄たるカエサルに対する元老院の底意地の悪さは何ともいえないというか、でもカエサルが国法を破って進軍してくると知るや、皆逃げ出すんだぜぇーって、どーよ?しかも、旗頭のポンペイウスまで逃亡ですから…残されたローマのパンピーの心証はそれはカエサル寄りになるでしょーよ(笑)

 カエサルと他の人間の違いはと言えば、速さ、速度でしょか?動的な物理的な動きもそーなんですが、何より凄いのは決断力の速さかなぁ?決めた以上迷いがないよーに見受けられるんですけど?国法をおかすルビコン越えをするか?否か?で多少は迷ったみたいだけど、渡河してからの行動はまさに電撃的、故にポンペイウス達は後手後手に回らざるを得ないんですねぇ…

 とはいえ、後一歩のとこでプリンディシからの出航に間に合わなかったと…それが3月17日の事…ポンペイウスは首都ローマ脱出だけでなく、故国ローマからも出ていく事になると…向かう先はギリシャ・オリエントでございます(笑)

 アリス的にローマというより、カエサル…作家としては恰好のキャラだと思うんだけど?どーなんだろか?

 さて、ルビコン越えで国法を破った為賊軍のはずのカエサル軍ですが、何せ元老院のじー様達、それに二人の執政官からローマの主だった人達は皆ポンペイウスについていってしまったので、逆にカエサルはローマを制圧する事が出来たと…となれば、逆に議会を掌握してといっていいのか、逃げ出した役職をカエサル派で固め、更に、小麦の確保の為にシチリア、サルディーニャ島を確保すると、で本人は一週間と滞在しないですぐに旅立つんです。どこへと言えば、スペインへ…

 当時の地中海はほぼローマで支配されている状態だったとはいえ、そのガリアを除く殆どの地場がポンペイウス派だった事ですかねえ…かくして、ポンペイウスをかくまうというか、共に戦う人も金も土地も豊富にあったという事ですか?かくして、カエサルは長期戦を覚悟して一つ一つ潰していく作戦に出た模様…一応、地中海の制海権はポンペイウスにあったんですよ…

 途中マルセイユの蜂起みたいなアクシデントもありましたが、カエサルが出れば、取りあえず勝つという事でしょか?この逆境に強いタイプ、現場のあるものだけで何とか出来ちゃうタイプってカエサルがローマ最強だったんではないか?だいたい資金的なとこでもポンペイウスとは五倍位の開きがあったし…軍の数とか、船の数とか、糧食の数とか物量は全てポンペイウスにありだったんですねぇ…

 スペインを解放してというか、制圧して、カエサルが帰国したのがその年の12月2日、その後の10日間で、独裁官になり、翌48年度の執政官を拝命すると…もはや完全にカエサル派が体制派になった訳ですね…ちなみにこの一年の間にポンペイウスの方はギリシアで対カエサル戦の為に軍事訓練をしていたりして…グレートと呼ばれるというか、呼ばせた程の歴戦の勇士だったポンペイウスにしても実戦離れて15年以上たってますから、お金と人出はあっても使い物になるかどーかは怪しかったと…

 この間に、カエサル側はストライキやら、北アフリカでクリオに任せた部隊の全滅なんかもあったのですが、詳細は本書をドゾ。何にせよ、カエサルは決戦の舞台ギリシャへ向かい、紆余曲折、かなりというか大分不利な条件の中ファルサウスの会戦で劇的勝利を勝ち取るとな、時に紀元前48年8月9日…それまでの状況についての長い前振りは、本書をドゾ。それにしても一度や二度の敗戦とか失敗に全くめげないカエサルの心臓はパネェなぁと…ポンペイウスはこれにより、エジプトへ逃亡するんですが…

 そして、ポンペイウスは頼った味方のはずのエジプトで暗殺されるとな…これこそまさに非業の死という奴でしょね?追いかけてきたカエサルの下に、ポンペイウスの首が届けられると…ここでエジプトの凄いとこは、良い事したぁーっと思っているところ…敗将に街の門戸を閉ざす位の掌返しはよくある事だとしても、クリエンテスの身の上でパトローネスを暗殺するなんてありえない事だったとな…ローマ的な感覚が分からなかったエジプトという国も外交的にどーよという事だろか?

 そんなエジプトではクレオパトラと弟のプトレマイオス13世との王権をかけての内乱が生じていたりして…そこにカエサルが巻き込まれるのが、かの絨毯事件(本当にあったかどーかは別にして)のクレオパトラ登場となる訳だったして…取りあえず何とか平定して、休暇とって、再び旅立つ紀元前47年6月までが本書の粗筋だろか?

 ある意味、内戦内戦、また内戦の世界ですが、ガリアの時と違ってカエサルの戦いは歯切れが悪いというか、なるべく兵士の損失のないように、戦わないよーに持っていっている感じかなぁ?取りあえず今までは異民族が敵だったけど、今回はローマ人同士の戦いですからねぇ…カエサルは勝利した後も、敵方の兵士をそのまま放免にしていたりして、敵の損傷も軽減している感じかなぁ?お互いに恨みを残さない為、兵士の心情とローマ市民達のウケ狙いもあったとはいえ、簡単に人を許せるカエサルの性質は陽な人だったのだろーなぁと…陰な人なら皆殺ししているだろーし、後顧の憂いもないしね…

 「何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、自らの考えに忠実に生きることである。だから、他の人々も、そうあって当然と考えている」と言い切って、実行できる人はそーざらにはいないよな?「自分と立場をともにしない人々は抹殺されてしかるべきとは、彼は考えなかったのである」となり、本当に実行するんですよね…有言実行、カエサル程できる人が果たしてどこにいるのか?

 部下の敗戦を前にしても「配下の将への責任転嫁はもちろんのこと、部下への非難もしないのが常のカエサルである」とな…カエサルが上司だったら仕事はしやすいだろーなぁと?ただし体力がついていくかどーかは神のみぞ知るだけど(笑)

 更に「内乱が勃発して以後のローマ人は、将来に不安を抱くようになり、誰もが自己中心主義になり、ために経済は沈みきっていた」とな、その為に税制改革を行って、ガラス張りの税制を執行したのもカエサルだとな…最初にスペインに行った時もそーだったけど、この不公平感をなくし、透明性を高くするという事を本当にやってしまうとこがカエサルの凄いとこじゃね、と…ちなみにこれで徴税の実務を担当していたプブリカヌスの反感をかう事になると…ガラス張り透明性が進めば上前はねるうま味も減ると…既得権益万歳ってか(笑)かくして彼らはポンペイウスについていく訳ですね(笑)

 本書的豆知識としてはマキャヴェッリ先生の格言ですかねぇ…「民主的な討議でことを決する習慣をもたない民族に、それを移植しようと努めても無駄である」とな…ええ、どこかとか、どこかとか、どこかとか、どこかとかの話しかと思っちゃいました…21世紀を見通したよーな発言、さすがマキャヴェッリ先生やで(笑)

 最後に本書で一番ヘーヘーヘーと思わされたとこは、カエサルのお言葉「もしもあなた方がこのわたしの要請をしりぞけるならば、この重荷を投げ出すようなことはわたしはしない。国政は、わたし一人でもやっていく」と言い切ったとこですかねぇ…しかも有言実行…今時、そんな政治家今この世にいるんだろーか(笑)

 ちなみに逆バージョンでいくとキケロのポンペイウス評が「知性に欠ける。説得力はゼロ。肉体上の耐久力も、今や昔日の観。若い妻に溺れて国政をないがしろにするなどして、自己制御の能力もなし。持続する意思にいたっては、昔からなかったのではないか」とな…それはどこぞの住人かと思い当たる事が多すぎると思うのもこれまた気のせいなんだろなぁ(笑)

 他にもいぱーいエピ溢れていますので詳細は本書をドゾ。最初から最後まで教科書的でない、ある意味横紙破りなカエサル様が八面六臂で活躍していらっさいます(笑)

 目次参照  目次 文系

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