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2013年4月 9日 (火)

3.15:懐古主義者たちの自己陶酔がもたらした、無益どころか有害でしかなかった悲劇…

ローマ人の物語 13 ユリウス・カエサル ルビコン以後 下  塩野七生  新潮社

 運命の紀元前44年3月15日、カエサル暗殺さるから紀元前30年の夏まででしょーか?何とゆーか、カエサルの死後、その収拾をつけるのに14年もかかったとゆー事ですね…ブルータス、お前もか?以前にブルータス、落とし前とは何か分かってんのかい?の世界か…

 まぁ、ある種どこかの政権交代に近いものが(笑)政敵倒した、皆俺たちについてくる、俺たち万歳のはずが、日を追うにつれて自分たちの居場所がなくなっていったでござるの巻か(笑)

 本書を読んでしみじみと思ったのは、己の能力に自信があるタイプが破滅していくという事ですかねぇ…キケロとか、アントニウスとか、その最たる者のよーな…ある意味、カエサルが天才的過ぎたという事ですが、所詮、出来るといっても秀才は秀才なだけであって、天才ではないんですよ…違いが分かる男というか、己の分が自覚できたか?否かが運命の別れ道だったよな…

 まぁ、逆に言えば一生気付かずに生きた二人は非常に幸せな人達だったとも言えますけど(笑)

 アリス的にローマかぁ…文人的にはキケロが上げられると思うけど、この人の文章は現代から見てもお手本になるよーなラテン語の文体だそーだから…学者か、ジャーナリストが才能的には向いていたよーな気がする(笑)ただ、男って奴は、権力欲に一生とらわれているからなぁ…故に政治を目指すってか?政治家として与党を反論する事では当代一だったと思われですけど、政策立案、実行に対しては微塵の能力もない人だったと…

 とまぁ、それはともかく、白昼のテロ行為の後…ポンペイウス回廊にはそして誰もいなくなったの世界ですか?ちなみに、カエサルは元老院全員にカエサルの身の安全の保障を誓約させていまして、サイン付きの証書まであるんですね…で、警備というか、SSですかを解散させていた訳ですよ、その前振りがあった上で会議場で14人の暗殺者から滅多切りにされると…元老院のメンバーの前で、しかも誰も助けず逃げ帰って、半日位カエサルの死体放置ですからね…ローマってパネェ…

 さて、実行犯ですが、マルクス・ブルータス、カシウス・ロンジヌス、リガリウス、アクィラ、ルプリウス、ナゾ、ガイウス・カスカ、ププリウス・カスカ、エノバルブスの息子とここまでが反カエサル派(旧ポンペイウス派)とするならば、更に親カエサル派も参加していたとな?それが、トゥリウス・キンブロ、ガイウス・トレポニウス、デキムス・ブルータス、スルピチウス・ガルバ、ミヌチウス・パジルスの五人…内四人はカエサルの高級将校、いわば歴戦の勇士だったとな…

 さてさて、何故にというならカエサルを王様にしないためにという大義名分の下の凶行ですが、とって代わられると簡単に思ったキケロやアントニウスはその後の結末がアレでも幸せな人達だと思うけど、どだろ?で、もー一方の心理としてはカエサルがあまりに偉大過ぎたという一点に繋がるよーな?今までは小山の大将で自分って出来る、自分って世界一とうぬぼれていられたけれど、カエサルを知れば知る程器の違いにとらわれたのではないか?と?所詮自分は小山の大将、相手は大山の大将、あるいはそれ以上かもしれない。この差は日に日に増大していくばかりで、やがて取り残さる己を見たというか?

 元から小人なら、カエサルでけぇーで済んだとこだけど、ある程度出来た、そしてカエサルさえいなければ自分がローマ世界のトップだとうぬぼれたままでいられたとなれば、後は差を埋めに精進精進じゃなくて、カエサルさえいなければいいんだわの世界に突入したよーにしか見えないんだけど?そー思うのは穿ち過ぎか?

 まぁ、ともかく暗殺は成功したけれど、ローマ市民は誰も拍手喝采はしてくれなかったと…で居場所がなくなってついにローマ脱出、逃避行の旧ポンペイウス派の皆さんですが、親カエサル派も後継者争いでそれどころではないと、政治的空白がぽっかり、やがてショックから立ち直った市民激怒、物事は雪崩うって再び内乱の世界に突入していくんですね…その収拾に14年間もかかる訳だから、テロリストの皆さんは本当に必要だったんですかぁー?なノリというか、単なる狂言回しだろ?か(笑)

 テロに拍手喝采したキケロと、後継者になるのは俺しかいないと自信満々のアントニウスだったけど、カエサルの遺言でいきなり表舞台に出てきましたが、オクタヴィアヌス…ローマ的には少年というより小僧程度の18才…ただ、戦争の才はなくとも政治的な才はあったよーで、オクタヴィアヌスから見てカエサルは大伯父にあたるそーだけど、カエサルの遺言でカエサルの養子となり、このカエサルの名を名乗る事ができるとな…

 かくして、オクタヴィアヌス対アントニウスの戦いが切って落とされる訳ですね…この辺り、昔のカエサルとポンペイウスの戦いに似ている気がするのは気のせいか?で、ローマの怖いところは、軍で常勝将軍でないとトップにはなれないとこですが、更に政治家としての能力がなければ終わりってとこですかねぇ?戦術だけでなく、戦略も備えていないと何もならんと(笑)

 最初は圧倒的にアントニウスが優勢なんですよ、何せアントニウスは当時38才、二十歳の開きは恐ろしく大きいと…経験も財力も軍事力も差と言えるか、どーかの世界か?ただ、元老院的にも、旧ポンペイウス派的にもアントニウスの独走を許す訳にはいかないと、となれば当て馬でもいいからオクタヴィアヌスをプッシュするとな…何、所詮は18才の少年幾らでも手玉にとれると安易に考えたのキケロ以下皆同じと…

 軍の才能が無いのは、カエサルも見通していたと見えて、ちゃんと能力のある同い年の少年アグリッパをオクタヴィアヌスにつけていたんですね…どこまで先が読めていたんだ、カエサルとちょっと不気味になってくるけど、オクタヴィアヌスの偉いところは自分にない能力は他の能力のある人を使う事で補う事が出来たところでしょか?ある意味、出来る事と出来ない事が分かっていた人とも言うなんてしょね…これが齢18才の時から分かっていたとしたら、オクタヴィアヌスもパネェというとこですか?さすがカエサルの見込んだ男ってか(笑)

 14年間の激闘については本書をドゾ。カエサルの望んだ許す文化は、粛清にとってかわられるけど、とにかく反分子は皆いなくなっていったという事ですかねぇ…ちなみにキケロもカエサル暗殺の首謀者の一人として殺されています…カエサルが生きていたら反論反論また反論でも生きていけただろーけど、カエサルがいなくなって自らの政治思想天下来たぁーとなったら返す刀で殺されていたら、キケロ的には意味あったんですかねぇ…死にざま的に情けないのは、この後ブルータスとアントニウスも続く訳だけど(笑)

 まぁブルータスのそれは典型的文系男のなれの果てな気がしないでもないけど、現実主義に生きるより、哲学的な世界に生きていた方がこれまた身の為だったよーな?キケロ以上に頭の中だけの人だったというのが、何とも…母の愛人って、そんなに反撥しないといけない相手なのかなぁ?男の子にとって?

 も一つ、最後にアントニウスですが、キケロ曰く「強欲で下品、娼婦たちと馬鹿騒ぎをすることしか知らない、肉体でも頭脳でも剣闘士なみの男」と一刀両断で切り捨てていらっさいますが、まぁ肉食男子というよりは体育会系の頭まで筋肉な人だった模様…クレオパトラ的なそれでいけば「優れた男は女の意のままにならず、意のままになるのはその次に位置する男でしかない」とな…で、結局クレオパトラはアントニウスを手玉にとり、彼とエジプトを破滅に導くと(笑)女としてのクレオパトラについてはアレですが、政治家としてのクレオパトラはあまりに才能がなかったという事ですかねぇ…

 背後に控えるローマの巨大さに気付かずにいたのはクレオパトラ的な愚かさでしょか?後頼みとする商人達(異民族と財界人)は「どこでも個人て生きていけるという国民性は、所属する共同体を維持する意欲に欠けるということになりやすい」というのも分かっていなかったとな…ついでに「衰退期に入って長い民族が、再び興隆したという例はない」そで…金がある、権力があるでも力があると言えないとこが政治の難しいとこですか?どこぞのアレじゃないですけど、わたくしはエジプトの女王なんですからっ(エコー付)なノリですか?この手の先行きって断頭台か、毒蛇かの二択になるんでしょーか(笑)

 何にせよ、強かな少年は齢33才の青年というより、壮年か?に育ち、政敵を全て葬ったんですから、肩書でもカエサルの息子の名はパネェって事か?はたまた、その腹黒い性格のなせる技か?まぁ帝国には影がつきものという事で、終わり良ければ全て良し、内乱終わってハッピーじゃーっ、凱旋式じゃ、お祭りじゃで次巻を待てって事ですかね(笑)

 目次参照  目次 文系

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