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2013年4月 1日 (月)

合縁奇縁~

櫻よ  佐野藤右衛門 聞き書き・小田豊二  集英社

 サブタイトルが、「花見の作法」から「木のこころ」までとあるのですが、ある桜守の激白という気がしないでもないけど、まさに職人、日本にもまだホンマもんの職人さんがいたのだなぁと、涙流れる思いです…この人を前にしてうかつにも桜が好きですなんて言えないわなぁと言うべきか…一つの道に打ちこんでいる人を前にしては頭をたれるしかありません…いや、ホント…

 聞き書きとあるよーに、ほぼ全編が会話文なんですけど、これが実に軽い(笑)物凄くくだけた調子なのに、考えされる事ばかり…奇をてらっていない、誤魔化しのない言葉って凄いや。もーこちらは頷くしかありません(笑)

 さて、本書は前書きを瀬戸内寂聴氏が、そして巻頭対談を安達瞳子氏がなさっています。お題が桜だけに、女性率高しというとこでしょーか?ちなみに、その桜守の人柄を「遊び好きを気どっていうだけで、根は真面目で堅実な人と私は見ている」「生きた花見で花の女に溺れるような人は、本当は地味で根気のいる桜守などつとまるわけがないからである」(@瀬戸内)が全てではないだろーか?

 いえね、人は騙せても、植物、ましてや桜を騙し続ける事なんて、まずできないでしょー?生き物は嘘をつかないんですよ、マジで…

 アリス的に桜、花見のシーンとかは別に出てない気がするんだが、でもこちらの桜守の方、京都が本拠地、しかも嵯峨野らしーのでむしろ朝井さんのご近所か?何か朝井さん家の庭にも桜守による桜が植樹ざれていたら、凄いなぁ…

 桜って園芸品種を入れると300種位あるのではないか、という話しなんですけど、大まかには三種覚えていたらいいみたいです。ええ、山桜、彼岸桜、大島桜、これが日本の自生の桜だそーで、でもって、その元をたどるとそれはヒマラヤ桜に行きつくとか…そーか、桜はヒマラヤ原産なのか?とふと、遠い目をしてしまうけど、それが鳥を虫をかいして移動して、日本まできたと…はるばる凄いと思うけど、中国大陸には気象条件が合わなかったというのは…桜、オサスガ過ぎる(笑)

 取りあえず、何が凄いって、著者の一族でしょか?今16代目だそーですが、そのおじい、14代が、日本中の桜を接ぎ穂して回ったというから、凄い…北は千島、樺太、南は琉球でしょーか?台湾までいったのだろーか?何せ、戦前も戦前の話しですから…ある種執念ですよねぇ…銘木が枯れる前に次代を残しておかないとというのは…更に、それらの桜を絵師に頼んで図譜まで作成しているんですよ、完成前に亡くなったのでその後を父親、15代が引き継ぎ、出版したとか…しかも一山売ってまでして…祖父、父、息子と何とゆー系譜…

 桜の表現も、だからおサスガです。花には皆色気がある。と、でも姥桜に対しては「その「色気」を通り越すと、「色香」にかわる」と言い切るんですよねぇ…なかなか言えない科白だと思われ…そうなると本物なんだそーで…違いが分かるよーにならなきゃ花見だ、鑑賞だなんて甘いねんの世界でしょか?ちなみに花見でいけないのが、ブルーシートとカラオケだそーです…地面と幹を痛めるそな…そーだったのかぁーっ…

 豆知識も満載で、例えばムクドリって別名サクラドリと言われるそーな…桜の実が好きなんですね(笑)後は山にある桜の根が浮き上がっていたり、穴があいているのは危ない場所なので、昔の人は避けて集落を作ったそな…昔の人は自然のメッセージを読んでいたという事なんでしょねぇ…山の管理とかも、手入れって大切だと…

 著者的に言うならば「開花時期が例年に比べて異常に遅かったり、いつもなら白い花びらをつけるのに、いやに色が濃かったりな。今年の京都の桜はそんな感じやったけど、こういう年は、何か天変地異があるんです」と…自然に関わった人の言葉にはブレがないよね…

 京都の桜巡りなんかもしているんですけど、御所の左近の桜、平野神社の桜、原谷の紅枝垂桜、半木の桜並木、円山公園の祇園枝垂れ、地主神社の地主桜、仁和寺の御室の桜とあるある(笑)京都は桜の街でもあるよなぁ…まして桜守としては地元で更にかかわっているとこ多しだから(笑)

 街に桜をというと行政とのかかわりも多いと見えて、「お役人さんの世界は、日本中どこでも同じや。それでハンコついてくれるだけならいいんやけど、そういう人がなんやかや言うからややこしいんですわ」とな…自分の任期の内に咲かせろとか、見栄えよくしろの世界らしー…「あんたに合わせて、桜が咲かせられるか」とな…自然の事だから、10年、20年越しの見どころなんですよね…それでも「役人なんか、ひどいもんですよ。自分の任期中に、満開にしろって言うんですから」市民の皆様の桜じゃなくて、自分の為の桜なんですね(笑)

 で、矛先はそこだけじゃなくて他にも「自然保護の人たちは、あちこちの一本だけ残った桜をなんとかして残そうとしていますけどな、そんなことするな、って言いたいですね。桜だけ残そうとしてもダメなんだということを知っていてほしいんですわ。まわりに、いろいろな雑木があって、下草があって、苔が生えたりして、その桜が咲いているんやから」とは、けだし正論でしょー。これ以上の名言はないよーな(笑)

 アリス的に、京都の桜の方がらしーんだろーけど、敢えて石垣島の寒緋桜を上げときましょか?ラフレシアの時にアリス達も気付いたのかなぁとか?沖縄で自生しているのは石垣島だけだそーで、国の天然記念物なんだとか?何で沖縄本島に自生してないかといえば戦火で皆焼けてしまったからだそな…

 てな訳で日本全国桜の名木あれど、日本人として忘れないで見て欲しいのは、広島は江波山の被曝桜でしょーか…八重一重の珍しい桜だそーで、雨にも負けず、風にも負けず、原爆にも負けずに毎年咲いているとは…「一本一本の桜にはその土地と切り離せない「物語」があるんやと思います」いやはや全くご尤も。

 目次参照  目次 生物

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