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2013年4月27日 (土)

元祖、日本の知識人達?

江戸の旅日記  ヘルベルト・プルチョウ  集英社

 サブタイトルが、「徳川啓蒙期」の博物学者たちなんですが、よーは昔の旅人は並じゃなかったって事でしょか?旅に出て記録をつける、まぁ日記的なんですけど、その視線が普通じゃない(笑)結構、細かいとこまでちゃんと記録しているんですよ、実に日本人的だと思うんですけど(笑)

 本書によると日本人の旅は歌枕の旅で、リアルより、その歌われた景勝地を愛でる傾向があるとそーな…よーは今を見ないで過去を見るとゆー話しらしー…それが江戸までの旅の基本だったそな…まぁ思い出の地巡りでしょーか?ところが江戸に入ってからは、現実主義というか、写実主義というか、妙にリアルになってきたと…その例がこちらに掲載されている人達なんだと思いまする。ロマンに生きるより、現状見ろよとゆーとこでしょか(笑)

 で、どちらかというと博物学的なアプローチでしょか?最初に出てくる貝原益軒なんて、シーボルト曰く「日本のアリストテレス」ですから(笑)百科事典的だったのだろーか?はともかく、日記といえども私的要素がちと低いというのが通常だった模様…「近代以前の日本では、自分の感情や感覚的反応を公にするには社会的、政治的、思想的権威づけが必要だったのである」とな…

 さて歌枕の旅の方ですが、これも「時によって「日本書紀」や「古事記」あるいは「延喜式」の描写は、地理的地形的な現実と一致せず、伝説を含む他の文献資料などによっても、なかなか断定することは難しかった」とあり、現地に行ってもどこやねんとゆー事はよくあった模様…この辺りは本居宣長のとこが顕著か(笑)

 アリス的にはどーだろぉ?アリスも結構あちこち旅に出ているんだから、旅日記の一つでもしたためていそーな気がするが?でもアリスの場合は全てミステリにつながりそーだよなぁ(笑)登場人物達は殆ど学者的な人多しなんで、むしろ准教授の方が近いのか?とも思うけど、本書の著者はスイス人、でもって日本の江戸の旅日記を語る…この辺りと被るのは文学部のウルフ先生か(笑)

 ただ、当時の知的格差がどんなもんかとゆーと、どんなもんだったんでしょーねぇ?例えば、こちらに登場してくる富本繁太夫は旅芸人なんですが、著者もおろろくすんばらしー筆致なんでございますよ…なのに、宣長のとこに出て来るのですが、訪ねたお寺の住職が漢字が読めない…自分のお寺の名前もひらがなオンリーって…読経はどーしているかなんて気にしちゃ駄目だ(笑)

 面白いのは文化財保護のところで江戸や京都から調査団やってくるみたいなんですが、これ地方の名主や年寄といった名家だけを大事にするので、パンピーには物凄く不評だった模様…勝手にただ働きもしなきゃねの世界らしーし…なのでブツがあってもありませんとゆー事に…保護のはずが返って隠されるか、四散していくかって…お役所仕事は昔からこーだったんだなぁ(笑)

 飢饉の項はこれちょっとマジっスか?と言いたいんですけど?親孝行のレベルが違う気がする…東北の飢饉は相当にひどかった模様で…人肉もとゆー世界が展開されていたよー…飢饉後何年も経ってから江戸の役人が訪問しているんですが、ここも日本なのか?とおろろいている位生活レベルというか、文化が違っていた模様で…詳細は本書をドゾ。ただ、国の民が餓死しても救援の手はあったと答えろと藩の役人に強制されていたりするとこは、どこぞの「ただちに影響はありません」に似ている気がするのは気のせいか(笑)更に、同じ飢饉でも藩によっては一人の餓死者も出していませんというから、天災というより人災なんですね、物事は…

 後は著者がスイス人だからなのか、アイヌの記述のとこが結構紙幅があるんですよ…欧米の人はなにげにアイヌファンが多いよな?詳細は本書をドゾ。

 さて、見たままにリアルに描写しているとこ多しなので、旅を続ければ当然の疑問も出てきたり…田畑が同じようなのに、他所の国と違って家屋が非常にボロいのは何故か?と言えば、「それはこの地の税金が高いからです」とな…藩ごとの行政なので日本全国だと税の不公平が顕著だった模様…税負担って悪政につながるんですよ、奥さん(誰?)耕す土地の広さじゃないんです、と…

 ある種批判精神の温床なのか(笑)科学的思考の人にとっては、まさに文系って何者?の世界に見えていたと見えて…「最近、儒者が科学について無意味なことを書いているように、儒者の間に、科学がわかり、科学について知っている人は一人としていない」と江漢なんかは切り捨てているし…

 まぁ怒りの江漢ですが、静山のようにありのままの人を受け入れろみたいなのもありで、恩師曰く「そなたの心さかしきはよけれど、人の情けを知ることなきこそあしけれ」は至言ですかねぇ…

 最後に本書で一番ほーほーほーと思わされたとこは「一犬虚に吠えると愚かな人はそれを信じる」ですかねぇ…本書によると「知識のある人は信じることもないだろうが」と但し書きがあるんですけど、けど、けど(笑)

 登場する日記の作者は、貝原益軒、本居宣長、高山彦九郎、菅江真澄、古川古松軒、立花南谿、司馬江漢、松浦静山、富本繁太夫、渡辺崋山、松浦武四郎

 目次参照  目次 文系

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