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2013年5月 5日 (日)

風さそふ花よりも猶…

男の系譜  池波正太郎  新潮社

 さて、本日は端午の節句という事で男の子の日、それにちなんでではないですけど、取りあえず、日本の男いっとく?の世界か(笑)どゆ本かというと、作家が語る偉人達でしょか?取り上げられているのは、織田信長、渡辺勘兵衛、豊臣秀吉、真田幸村、加藤清正、徳川家康、荒木又右衛門、幡随院長兵衛、徳川綱吉、浅野内匠頭、大石内蔵助、徳川吉宗、井伊直弼、徳川家茂、松平容保、西郷隆盛、それと戦国編の番外で戦国の女たちが上げられています。

 そうそうたる面子ですので、日本人なら知らない人はまずいないと(笑)それぞれの登場人物についての一家言が凄いかなぁ…例えば信長は「非常に人間を見通す目が鋭い」とか…息子にも厳しかった模様「まったく倅を甘やかさないというのは、なかなかできることじゃない」と…家康の目指した徳川幕藩体制というのは、「まずは第一に天下を治める」がメイン…「戦争をなくして徳川家の存続のもとに天下を治め、諸国の大名を全部屈服させるということが眼目ですよ。およそ天下万民の幸福をねがうというようなものじゃない」とな…

 更に政略結婚をしなかったのは上杉謙信だけだったとか、まぁ生涯独身だったんだけど、養女もらって政略結婚にという事も「彼はそれをいさぎよしとしない」だそーで、手段を択ばない戦国の世に珍しい人だった事は確か(笑)他には何故維新が成功したかというと「革命運動だ何だといったって、金がなけりゃ何もできやしない。薩摩、長州なんか金があったからこそ主流になれたわけですよ」って、先生それは身も蓋もないよーな(笑)

 史実的にアレなのは、孝明天皇暗殺説…犯人は岩倉具視とも伊藤博文ともいわれているそな…病死と言われているけれど槍で突かれたのがもとだとか…と当時の侍医の話しとして残っているらしい…厠を出たとこで襲われているわけだから当時は御所も恐ろしスの世界だったのか…

 アリス的にこの中で関係ありそーなのは、秀吉と幸村か(笑)秀吉観の感想は色とマザコンかなぁ(笑)「秀吉だって色を好んだというけれど、あの程度が普通ですよ、昔は」だそな…まぁとかく男の人は色事には甘いよね、他人であろうと自分であろうと(笑)また「遠い九州の地から何度も、おっかさんが死にそうだというと駆けつけてくる…朝鮮はおろか、明国からインドまでを相手にしようという秀吉だけども、おっかさんをしたう心は人一倍強烈だった」とな…これまた世の殿方ってマザコンにも…

 アリス的にというより大阪的なのかと「依然として京都大阪の人気というのは徳川よりか豊臣一辺倒。徳川が京都に来たってなんとも思わない。京都大阪は豊臣の、太閤殿下の都だということで一般の庶民も天皇も公卿も、みんな豊臣びいき」だったそーで、それが未だに続いているんですかねぇ?

 さて、大阪夏の陣で華々しく散った幸村ですが、この内戦というか、戦争で「戦国時代の花を咲かせたのが真田幸村ですよ。ほんとうの戦国武将だった」とな…戦いを知っていた男だし、死を怖れない男だったんだろーなぁと…この後、江戸、幕末とそのよーな潔い人はほぼなくなってしまうんですよねぇ…

 他にアリス的なとこでいくと作家論かなぁ?「このごろは作家のスケールが小さくなった。作家というものは浴びるほど酒を飲んで、それで絵空ごとを…そういうことをいいますよ。それが作家だなんて言語道断ですよ」とか…作家って酒豪じゃないと出来ない商売だったとは(笑)先生お怒りですが、更に「小説書く志望の人でもそうですよ。すぐ流行作家になりたい、原稿を金にしたい、それでやってくるんだから、いま」だとか…まさに印税生活できますか?の世界か(笑)それから「これは小説の世界でも同じだと思う。おそらく、やってすぐ人気作家になるというのはわけない話だ。わけないというのは才能があればね。だけど、それは、わけないということは、テクニックにすぎないことですからね」というのは、著者だから言えるよーな気がするが…まぁ小手先の小説は書けるけど、それは「二年、三年で食いつぶされることは目に見えているのだから」という事でしょか?小説の内容とこの先十年、二十年を見据えての執筆活動って…小説家も気軽な商売ときたもんだとはいかないとゆー事でしょーねぇ…

 その他アリス的というとネーミング的なとこで、有栖川宮幸仁親王とか、有栖川宮熾仁親王とか、家継の母親の月光院とかかなぁ?

 本書は本当にいずこの人も皆それぞれに個性的というか、トップのな方々ばかりなんですけど、個人的に一番、感動したっ!なのは松平容保かなぁ…会津は昔から聞くも涙語るも涙の物語だけど、幕末にもこれだけ高潔な人がいたんだなぁと…どちらかというと病弱なタイプだったのに京都守護職に無理やり就任させられる訳で、それも「この上は義の重きにつくばかりで、他日のことなど、とやかく論ずべきではない。君臣もろともに京都の地を死に場所としよう」という覚悟で向かう訳ですね…しかもかの地で「京都守護の責任は、何事も自分一身にある」と言い切る辺り…今時トップで自分一人で責任を負う人なんて、どこにいるんだぁーっ(エコー付)

 まぁ高潔のというと西郷隆盛が上げられるんだと思うけど、薩摩は蛤御門の時は幕府に、容保につき、その後に長州に寝返った訳ですからねぇ…結局維新と名のついたものの「武士階級の、特権階級の政権交代に過ぎないんです」に尽きるよな…そして「現実にできた新政府は、これは一体何だ、ということになった。新時代の理想も何もない。たちまち派閥争い、利権争いの場になっちゃったんだ」って…歴史は繰り返すってか(笑)「幕府の時代よりも、もっとひどくなっちゃった。成り上がり者がみんな威張り出してね」とな…よくある話しじゃないかぁー(笑)

 本書は歴史を語ると見せかけて、正しい政治批判の場なんでしょーか?先生(笑)「政治というものは、汚いものの中から真実を見つけ出し、貫いていくものでしょう」だと、正しい政治などというキレイごとはありませーんっとな…「汚いものの中から真実を通してゆく、それが政治家なんだ」青年の主張ならぬ作家の主張でしょーか…しかし、今時そんな奇特な政治家がいるんでしょーか?センセェ…

 そして、ヘェーと思わされたとこが「始めから天下を望んで、若いころから天下を望んだ人はみんな駄目です。信長だけがたったひとりの例外で」だとか?山は一つ一つ登るものなんですねぇ…

 最近の政治家に対しては「まったくお粗末になっちゃった」と…「すべてがそうではないが、大半は政治家と呼ぶにも値しない、とぼくは思うね」って言い切っていいんですか?先生…いえ、気持ちは痛い程分かりますけど…「内政も駄目。外交も駄目。ビジョンもなにもあったものではないし」って全くその通りでございます…返す言葉が思いつかない…

 ちなみに「現在、清正のような人がいて都知事になったら、さぞかし東京は住みよいところになるだろうと思う」とな…領国経営の手腕のある方求むでしょか(笑)私利私欲に走らず運営できる人って、それは(笑)「上にたって、みんなを引っぱって行く人間というものはね自分のことはもちろん、自分の身内というものを優遇していたら駄目なんだよ」って、正論すぎて泣ける…

 本書でいくと振袖火事の時の保科正之の対応が凄い…「いさぎよく幕府の財産を洗いざらい放出して、大火後の救済に当たった。やりすぎだという反対意見も相当にあったらしいけど、正之は一歩もひかなかった。こういうときこそ幕府のたくわえを下々に与えるべきであり、むざむざと積みたくわえおくだけなら、たくわえなどないも同然である」って…「今日の政治家たちは正之の爪の垢でも煎じて飲めといいたいね、おれは」って…その位で変わりようがあるなら、まだ救いもあるんだろーなぁ…

 「現代社会は文明的とかなんとかいっているけれども、われわれの租税でバカみたいな議員どもの高い給料を払っているわけでしょう。結構な話しだよね」って、本音すぎて付け加える言葉がございません(笑)国の経営に失敗しても給料は出る訳だからなぁ(笑)「一つ法律をつくったことで役人がふえたわけだ」とでこの法律は「勝手に法律をつくって、他人が自分のつくった法律を破ると容赦しない。それで自分がそれを破るのは一向に平気という」たがための法ってか(笑)先生まさに舌好調ぉーっ(笑)

 究極なのが「官僚の社会というのは、自分の生命をかけて何かをするということじゃない。いかに自分の生命を長引かせるかということのために何かをする。それが官僚の本性なんだ」って…さすが大作家の洞察力というか、発言力…おみそれしました…世の中何がこあいって真実の連射砲ですか、先生ぇ…も一つ教訓は、大阪の陣といい、奴問題といい、攘夷運動といい、失業問題をないがしろにする施政者は手痛いしっぺ返しを受けるという事でしょーか(笑)

 さて、最後に一つ上げるとしたら、「男は顔だのなんだのじゃないんだ、男というものは働きなんだ」とか、「死ぬということよりも金のことばっかり考えているらしいよ。高校生ぐらいになると」とかメメントモリですかの世界なんですが、本書イチオシは「日本語の読み書きはろくにできないで、そのくせ英語なんかだけはしゃべれる…そういう奇怪な日本人がふえたようだね」じゃないでしょーか?その他の至言の嵐ですので、詳細は本書をドゾドゾドゾ~骨のあるお言葉がお待ちしております(笑)

 目次参照  目次 文系

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