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2013年5月26日 (日)

鏡よ、鏡(笑)

美男の立身、ブ男の逆襲  大塚ひかり  文芸春秋

 タイトルがすざまじーが、日本文学史の男性像の変遷とその時代ですかねぇ…リアルとフィクションは別物であるにはあるけど、現実とリンクしているのもまた当たり前という事で、それこそ飛鳥・奈良の古事記から、江戸の四谷怪談辺りまで網羅している感じかなぁ?いやもー倫理的には「人を見た目で判断してはいけない」とか言っても、そりゃ建て前にしか過ぎないだろーと言うのは誰しも熟知している事柄か(笑)メタボよ、さらばかというか、見た目至上主義がまかり通っている今日この頃、これはいつからなんだぁーっと古典を繙いてみたら、日本って美男から始まった国だったのね、ですかねぇ(笑)

 男性と美、とは現代だと二つに分かれるのかなぁ?一つは階級差の為にですか?「現代でも、イギリスでは長身であることは上流階級の証明であるといい、アメリカでは歯並びが悪いのは貧しい証拠、太っている人はエクゼクティヴになれないというふうに、見た目と階級が連動している」とな…アングロ・サクソンって…それにしてもこーゆーのは差別と言わないんだろーか?いえ、区別ですってか?

 で、も一つが老い、老化…よく聞く中年の危機って奴ですか(笑)所謂「若い女にとって、自分は「対象外」になるのではないか」とか「男としてもうダメなのではないか」という「オスとしての終わりの気配」に敏感になるというか、抗う訳ですね、それこそ必死に…美というより若さが欲しい、維持したいが心の叫びであるとな…かくて「男が見た目を気にするのは、思春期になって「女にもてたい」と思ったり、四十代後半にさしかかって「若い女の対象外になってしまう」と焦ったり、きっかけはいつも女絡みというえ、要するに性絡みだ」というのが何とも…つまるところ若さ=美というのは男性の方が意識が強いのではないか?という事で、それだけに「「若い女」というだけで、目の色変えて喜んだりするのだろう」とな…

 でで、「基本的に一生受精可能な男は、いつまでも若さにとらわれて生きていかざるをえないのだ」となる訳ですか、そーですか(笑)一生現役主義を掲げるのは本人と自然の勝手だけど、何分、相手のいる事ですからねぇ…女性側の意志はどーなる?の対抗策が、美男か権力かなんでしょか(笑)

 そんな男の生きる道1300年以上の歩みを、どーぞってか(笑)

 アリス的に、江戸辺りで近松が出てきたりするんですけど、まぁ美男と言えば、准教授ですかねぇ…あまり本人は気にしていないよーな気がしますが?イケメンと言うと森下さんの気がしないでもないけど(笑)むしろ、美しい者好きという点ではアリスの方が敏感か?すぐに美女に靡いているもんなぁ(笑)分かり易いメンクイというべきか?まぁ美に敏感という点では職業柄からいくと天農画伯ですかねぇ?どーいった審美観をお持ちかはアレですけど?

 それにしても古事記にしても、日本書紀にしても、ブスはいてもブ男はいないお話だったとは?日本の神話はイケメン文学だったのか(笑)大国主神も、山幸彦も、倭建命も、皆イケメン…女性の(嫁の)力を借りて成功するという話しのスジなんですよね…いや言われてみるまで気づかなかったんですが(笑)ちなみに、このイケメン路線、平安の源氏物語まで続くだそーで、著者的にはそれまで主な読み手が女性だったからではないか?的な推測をなさっているみたいですが、まぁ確かに男性ならフツメン(ブサメン)が美女をゲットするお話の方を選ぶだろーし、女性なら並顔(ブス)が美男をゲットする話しに傾くだろーなぁというのは想像に容易い訳で(笑)やはり何事も需要が供給を生むという事ですか(笑)

 そして、女性が選択する美男の条件の中に、美しさとマメさもある事にはあるが、比重的に大きいのは優しいではなかろーか?という指摘にもなるほろなぁと…DVとか、体罰とか、パワハラとか、セクハラとか、多分男性諸氏が考えている以上に女性は毛嫌いしていると思われですかねぇ…

 後、醜は異形パワー的な指摘もあったり、例えばニギギのみことのイワナガ姫とか、少彦名とか、醜いとか小さいは、異形として絶大な力があったんですねぇ…詳細は本書をドゾですが、奈良から平安へで例も空海とか道真とかその他おおぜい出てきますけど、頭の男の台頭はそれはそれで葛藤生んでいたんだなぁと(笑)それでも時代は美男な訳で、インテリ男のやっかみとして、美男とは無学で歌が上手いだけじゃんと顔で負けているのが相当に男の自尊心にきてた模様…

 とゆーのも何でこんなに美男が氾濫しているのか?というか、美男至上主義で突き進んでいたかというと、仏教思想が入ってきて、「身分も見た目も、前世で犯した行いの良し悪しによる」となって、奇麗な人、身分の高い人というのはそれだけで善人なんでござーるですか…前世で余程よき行いをした人だよね的な…美しいは正義なんですよ、奥さん(誰?)それが通用したのが光源氏以前まで、以後となるとその天下無敵の美にも陰りがさしていくと…

 その辺りが、政治権力が男性に完全に移行していったのと、院政と武士の台頭ですかねぇ…まぁこの辺りからゲイ文化も入ってくる訳で、特に院政なんかだとゲイ友じゃないと出世しない世界だったみたいで…でまぁマッチョ思考というか、男性思考というか、大男だっていいじゃない、ブサメンだっていいじゃないの世界が徐々に浸透していく訳ですね…ブ男の下剋上、リアル俺にも当りがあるかもな世界到来ですか?

 で、そーなると今までの「平安女流文学では、男女の性愛が描かれていながら、それは「恋愛への興味」であったのに対し、院政期の男性文学では男女の性愛は「性器への興味」となって現れることが多いのは、女と男の性愛のあり方の違いを示しているのだろうか」となる訳だったりして…リアルというか、元祖写実主義とでも言えば聞こえはいいんだろーけど、よーは心より体という事じゃね(笑)

 でで、これが院政の頃だとどゆ事というと忠実の言語録「富家語」なんかが一例として掲載されているんですが、忠実のお言葉「源信雅は顔が良いが、お尻が良くない。その息子の成雅は顔は劣るが、お尻はその父に勝っている。そのため甚だ寵愛したのだ」と書いてあるとは…日本の男色文化半端ねぇー…そして男性的視点でいけば、まさに顔より性器なんですよ、おぞーさん(誰?)翻って考えてみると「男は顔より性器を気にする。それは女のためというより男自身のためだったんだな…」はけだし名言ではなかろーか?いやー勉強になりますよ、本書は(笑)

 この後、義経とか、敦盛とかの話しも出てきて時代は武家へという流れですが、圧巻なのが美男代表世阿弥で、ブサメン代表は秀吉ですかねぇ…それにしても全然しらなかったのですが、能でお面つけるよーになったのは世阿弥からなんですね、で、これまた何でというと、老化を隠す為なんですね…面被っていたら年齢なんて関係ないですから、舞手の加齢関係ないと…絶世の美少年だった世阿弥だけに、老いは相当問題視されていた模様…

 かくて江戸に入るともー美男受難ですか?道成寺とか、心中ものとかで四谷怪談までいくんですが、江戸的美男の宿命は「優男、金と力はなかりけり」が定番化したという事ですか、そーですか…詳細は本書をドゾ。モテの変遷というか、思い込みの変遷というか、世の中パネェ…

 最後に、アリス的なとことちょっと被るかなという事で、著者の学者観がこれまたスゲェ…「学者というのは、自分以外はみんなバカだと見なしているような、傲慢で排他的で、攻撃的な人なのだというイメージが頭に沁みついた」とか、「学者というのは、子供っぽくて自己中心的で、ほとんど怨念で生きているような人たちなんだというイメージが心身に植えつけられた」とか、「学者というのは、ほとほと特権意識の固まりのような人たちなんだと心に深く刻まれた」って、著者はいったいどーゆー学者陣を相手にしてきたんだろーと、ちょっと心配になるが…「学者の多くが人を小ばかにするのが得意な、ゆがんだ精神の持ち主だと私は思っている」って…いやまぁー気持は痛い程分かるけど(笑)

 それにしても准教授もそーなのだろか?とは思いたくないけど、そーゆー人達に囲まれているんだろーなーというのは容易く想像できるってか(笑)まぁ何がって、既得権益の集大成のよーな場所は異物と異端排除に血道を上げている人達ばかりなりだからなぁ(笑)いやはや、いやはや…

 てな訳で、最後は本書で一番へーへーへーと感心したお言葉でしめたいと思いまする。「真の教養人は人を不快にさせない人だ」…お後が宜しいよーで(笑)

 目次参照  目次 文系

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