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2013年5月 6日 (月)

悪いは、具体的なことは何一つともなわず、イメージのみが独り歩きする場合である(笑)

ローマ人の物語 14 パクス・ロマーナ 上  塩野七生  新潮社

 前々巻でカエサル暗殺、そして前巻でカエサルの後継者争い終結、となれば、本巻からはオクタヴィアヌス改めアウグストゥスの治世のお話になる訳でござーるの世界か?まずはアントニウスとクレオパトラを破り、ローマに凱旋した紀元前29年からなんでしょかねぇ…

 ローマのスーパースターだったカエサルのネームバリューはそれこそ今でも通用する位だから、カエサルの偉大さ、天才さについては語るまでもない気がするけど、その後を受けたアウグストゥスは日本的に言うなら石橋を叩いて渡るタイプだった模様…だから、彼の治世は非常に長いのですけど、非常に地味に見えるよな…でもその実は?というと実に強かなタイプだったよーで…ローマ凱旋時でまだローマ的にはひよっこの34才…これから彼は元老院及びローマ特権階級並びに市民達を含めた長い戦いが始まる訳なんですね…それも、深く静かに潜行せよの世界が…

 まぁ何にせよ、この年齢で己の分をわきまえていたのは凄い事…あのアントニウスでさえ自分に驕ったのに、そして滅びたけど(笑)アウグストゥスは自分が天才でない事を骨身にまで染みてしっていた人なんだろなぁ…だから地道に一歩一歩、そして改革を達成させる為に死ぬ事を許されなかった人であり、許さなかった人だったのかも…カエサルとローマの十字架を背負って、まぁまだこの当時はキリスト教なかったけど(笑)進むしかなった人のよー…

 アリス的にローマ…いや、何というか、カエサル辺りのドラマチックな展開から一転してオクタヴィアヌス…頭脳戦というか、なるべく目立たない方向へシフトしているので、作家的にアレかなぁと思うけど、庶民的にはこーゆー平時のと言っていいのか、未来を見据えて改革を断行できる手腕を持った、ついでに実行した政治家が一番必要ではなかろーか?と思う…やはり国は統治者が真っ当か、どーかが運命の分かれ道だよなぁ…

 取りあえず、彼は改革を進めていく訳で、ただそれが時系列的というより、時に同時多発的に、時に何も変わらず、まさに嘘は言ってないが、真意は何一つ漏らさずに進めて行く訳ですよね…だから、カエサルみたいに盤上の駒が動くダイナミックさは全くないんで…あらすじ的に困るというか、やった事を羅列すると、軍備削減、国勢調査、霊廟建設、情報公開のめくらまし、元老院議員の削減だとか…まぁ平時になれば財政問題は大切にでしょか(笑)

 そして、この後に共和制復帰宣言をかますと…一応、内乱終結したからオクタヴィアヌスの持つ権力を全て元老院に戻すよという話しなんですが、内容はというと三頭政治権、イタリア誓約、世界的賛意という事で、どれも国家緊急時の特権で平時に戻った今必要のないもの、もしくは持っていてもやっかいなものだっただけの話し…勿論、手放なかった権力もあって、執政官職、インペラトールの称号とプリンチェプス(第一人者)の称号があるんですね(笑)執政官はともかくこの時点では単なる尊称もしくは愛称に近いそれらだけに、誰も気に留めなかったとな…

 で、この復帰宣言の余波に乗って、彼はアウグストゥスの尊称を元老院から受ける事になるんですが、勿論これは水面下でオクタヴィアヌス自身が演出した話し…これもこの時点では単なる尊称に一つに過ぎないはずだったとな…かくしてオクタヴィアヌスの正式名称は、「インペラトール・ユリウス・カエサル・アウグストゥス」となるそーで…この後彼は名は体を表すを実行していく事になるんですよ、奥さん(誰?)

 そして、アウグストゥスは、「中央政府に関する行政上の改革」「属州統治の基本方針の確立」「軍制の改革」を行って行く事になる訳です。まずは内閣的な組織を編成して元老院の力を削ぐ方向に、属州管理を元老院領と皇帝領に分けた、拡大路線を終結して防衛路線に切り替え軍備も縮小した、そして属州の再編を行い、税金改革、国税庁を創設したと…アウグストゥスの場合「重税は課さないで財源確保に心をくだいた人」だそで…いやー何かと増税が好きなどこかの人達を思うと、何故に今彼がいないのだろーと…昔の方がまっとーな人多かったのだろーか(笑)

 かくして、40才になったアウグストゥスは前回手放さなかった執政官職を辞して、今度は護民官特権を得る事になるのでござーる…護民官にはならないけれど、護民官と同じ特権だけくらはいと…執政官の普通選挙復活に、元老院は権力復活きたぁーっと言う事で今回もアウグストゥスの思惑通りに事は進んでいく訳ですね…恐ろしス…

 ちなみにアウグストゥスは通貨改革も実行しまする。よーはローマ通貨の基軸通貨化ですね…額面価値と素材価値が一致していれば通貨として揺らぐ事はないと…政治、軍、属州統治、そして経済にまで見通せた人だったんですねぇアウグストゥスは(笑)著者的に言うなら「経済人ならば政治を理解しないでも成功できるが、政治家は絶対に経済がわかっていなければならない、という一事である」とな(笑)まっ経済音痴が政治を執るとどーなるか?は、この前どこかの国で壮大な実験したばかりだし言うまでもないよーな(笑)

 通貨については著者は「通貨も、その国の人々にとっては、経済上の意味を越えた何か、つまり独自の「文化」、であるからだと思う。円が消え日本中がドルに埋めつくされた場合を考えてみてほしい。国外との経済活動ならば便利になるだろう。だが、経済の活性化とは、ただ単に経済のことばかり考えていては、一部のみの活性化に終わるのではないだろーか」とな…含蓄深いお言葉乙ですかねぇ…まずは円を日本語にドルを英語に替えて読んでみるとか(笑)または、ユーロ圏について思いを馳せるとか(笑)楽しい夢想だってか(笑)

 さて、我らがアウグストゥスは改革実行の鬼でござる、表向きは美少年もとい美青年もとい美中年だけど(笑)次に選挙改革に着手したのでござーるるるるぅ…自由選挙は勿論、定員は削減して、資格年齢の低年齢化や資格保証金はともかく、結局ここで効いてきたのは前の税金改革ですよね…以前は票の売買まで横行した選挙が、公職によって得られる利権か消滅した事で一挙にクリーンな選挙となったとな…うわぁー分かりやすー(笑)

 更にアウグストゥスは食糧問題にもメスを入れるんですね…この時点でローマは国内で小麦を作らずオリーブオイルとワインを主業としていたよーで、主食たる小麦は完全輸入に頼っていた模様…この輸入が滞れば、考えるまでもなく国民はパニック状態に陥るとかな…かくして食糧危機に対応する為に、もしく食の安定供給の為に、政治職であった食料担当按察官から食糧庁長官へ、行政職にシフトするんですね…食というのは一年職ではなくて長期的展望を持たないといけないという事か…

 そして、東側の地中海諸国の再編と安定を運び、この辺りの詳細は本書をドゾ。ローマ的には長年の懸念事項であったパルティア問題もクリアしたのだから、アウグストゥスの政治手腕もたいしたものではなかろーか?まぁ時間かかるというか、時期を見てのそれが彼らしいが(笑)こーして再びローマに凱旋、これが44才の時…

 いやもー何とゆーか時に牛歩の進みでありながらも彼に撤退の文字はなしですかねぇ…少しずつでも、改革は進み、重ねてみるとそれはの世界が進行中…そんな紀元前19年の暮れでしょか?

 いや、まぁ本当に詳細は本書をドゾですね。先を急がないので本当にじれったい気がしないでもないですけど、この忍耐と努力というか、不屈の精神はどこからくるのか?一石一石手をうっていくとこは圧巻でしょか?最終的にどーゆー図になるのか?は神のみぞ知るというか、アウグストゥスのみぞ知るとか(笑)以下次巻を待てですね(笑)

 最後に個人的にハーヘーホーと思ったとこは、マウリタニア王国の王位にアウグストゥスはヌミディア王の遺子を据えるんですけど、この王子に何とエジプト王女(アントニウスとクレオパトラの娘)を結婚させるんですね。どちらも親なき後、ローマで、カエサルん家で、オクタヴィアん家で教育されてきただけあって、大成功となるそな…国的な方の成功もアレだけど「とくに、母親からは野心ではなく利発さのほうを受けついだ王妃の周辺には、一種の文化サロンが形成され、ローマから訪れる人も表敬訪問を欠かさないと言われるほどであった」とな…文化の伝搬っていうか、時代は変わっても民度って大切なんだなぁと妙に納得してしまったり(笑)

 目次参照  目次 文系

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