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2013年5月31日 (金)

相続は金銭を浄化する(笑)

蕩尽王、パリをゆく  鹿島茂  新潮社

 サブタイトルが薩摩治郎八伝なんですが、元祖おぼっちゃまですかねぇ…絵に描いたよーな三代目とも言うべきか?幕末にボロ儲けした一代目の資産を、二代目は維持するけど、三代目に潰れてしまうというパターン…何とゆーか、三代目って経営というか、仕事に興味がない人が多いよな?そして恐ろしく文化人って奴ですか(笑)ただ、本書の主人公程、破天荒な人生ってそーはないんじゃなかろーか?王侯貴族を凌ぐセレブから無一文ですからねぇ…この落差って、普通ありえねぇーでしょお(笑)

 何を言っても嘘になりそーな気配なんで、詳細は本書をドゾ。戦前の日本にはこんな人もいたんですねぇ…これも一つの才能だと思われですけど、まさに20世紀型と言うべきか?作る事ではなくて、消費する事が文化なんですよ、奥さん(誰?)しかも舞台が、まずはロンドン、そしてパリ…第一次大戦から第二次大戦の間が主な時間軸でしょーか?

 そして何より凄いのは当時の有名人が、カメオ出演じゃないけどチラチラ出てくるとこでしょーか?今聞いても、えっあの人も?なんてお方が主人公の隣に座っていたりするんですよ(笑)治郎八の人脈、恐るべしです(笑)

 アリス的にロンドンはともかく、パリ…今のとこあまり関係ないか?その内国名シリーズで出てくるのかなぁ?本書的には嘘か真か?ホームズの生みの親、コナン・ドイルと出会っていらっさいます。場所もロンドンのクラブでというのが、いかにもでしょ(笑)まぁ眉唾的な邂逅と言えば、かのアラビアのロレンスの方が上かもしれないけど?いえ、そーゆー人達が跋扈していた時代だったのですよねぇ20世紀前半って…

 他にアリス的なとこというと、治郎八の実家が神田駿河台にあったそな…物凄い豪邸だった模様で、戦前のセレブの生活って…何せ明治の時代にワイン蔵のある生活ですから…ちなみに父親の代になると温室があって蘭が趣味って…どこまでセレブ道いってんだの世界…まぁ都内でも屈指の金持ちの家なんだから当たり前って言えば当たり前なのか?

 稼業は綿織物業の商家だったはずなんですけど、そんなものには見向きもせず幼少の頃から文化・芸術方面にひたすら関心があった模様…美しい物が好きだったと言う事ですね…それも金にあかしたタイプが(笑)だから、貧乏で絵筆一つで美を創出するという話しではなくて、むしろマイフィアレディのヒギンズ教授の世界の方が近い…今なら、ミスコンをこの人に任せたら勝つるの世界じゃなかろーか?どゆプロに任せればどゆ物が出来上がるかを知っていた人だよねぇ…そして、それに湯水のよーに使用できる財があったと…

 とにかくまず人は見かけからですか?「ヨーロッパ社会においての評価は、すべて見てくれから生まれるという冷厳な真理を承知していたからである」とあって、自分に出し惜しみしないんですよ、おぞーさん…だから、後に奥さん貰った時も、徹頭徹尾仕立て上げる訳です…まさに奥さんは着せ替え人形の如くですか?そしてスペインでは主に広野で雨が降るんですよ(笑)

 ちなみにロンドンで泊まるホテルはコンノート、最初は実家の心はロンドン留学、後継ぎのお勉強のはずが、遊学というより、殆ど遊んでいないか?というか、趣味は走っているだけじゃね?な生活三昧して、大英博物館のタナグラ人形とか、ロシアバレエとかに耽溺しているんですけど、その美意識的なものをもっとパァーっと咲かせましょうな世界となれば、いつの世も芸術の都パリなんでございまするよ、姐さん(誰?)

 取りあえず、日本に一時帰国したりしていますけど、殆どがパリ在住でいいんじゃね?の世界かなぁ?特に結婚してパリに戻ってきた時からは、まさにパリの日本人と言えばこの人な人生を謳歌した人だよなぁ…

 とその前にも独身時代にパリで過ごしているんですけど、仏ってガチで大人社会なので、大人である事と妻帯者である事が社交界に入る絶対条件なんですよね…英みたいな男だけのクラブ文化はない訳で、必ず妻もしくは愛人の世界ですか?いやーさすが愛の国フランスだわ(笑)なので、独身時代の治郎八の人脈もそれなりに凄いとは思うのですけど、まだこんなの序の口だぁーなんですね、パリ的には、ついでに治郎八的には(笑)

 ここで、パリの日本人と言えば必ず出て来る藤田嗣治も勿論親交があるし、他現地の芸術家とも、音楽家なんかではラヴェルとかミヨーとか、仏の近代芸術家達揃い踏みの感があるのは気のせいか?サロン文化恐るべしだし、更に芸術家の集まりというの恐るべしなんですよ、奥さん(誰?)まぁ身内だけの集いって、ねぇ(笑)一例を上げれば、マリー・ローランサンのモデルもしていたという人と愛人関係になってしまったり…勿論、相手は人妻ですよ、おぞーさん(誰?)

 後アリス的に作家で言うなら、ポール・モーラン、クロード・ファレル、シドニー=ガブリエル・コレットの三人とは特に親しく付き合っていた模様…まぁ何とゆーか、人脈は半端ネェお人であったんですね、ホントに(笑)

 こー言っては何だけど一生仕事らしー仕事をしなかった人と言っていいのか?な人だけど、日仏文化の懸け橋的なとこは物凄い人ではあったんですね。その代表的な例が、パリ大学都市の一環での日本館を造っちゃうとこでしょか?ええ、これ丸ごと寄付なんですよ、姐さん(笑)元々は国と国との間の話し合いだったはずなんですが、どれだけ好景気になっても文化的なとこでは日本政府って昔からケチ臭いんですね…まぁ賄賂入らないし、身入りないならやる気もないのか(笑)結局、これ当時実家の薩摩商会が全額寄付で建てる事に…バリの日本人留学生の寄宿舎的な存在なんですが、笑っちゃうのは設立してもこれの維持費を払うのも出し渋り、外務省と文部省の間で擦り付け合いで10年近くほっとかれるんですよ、さすが文化国家日本(笑)戦前から官僚ってオステキ(笑)

 細かい偉業と言っていいのか?の数々は本書をドゾ。まぁこーゆー生き方も出来た時代だったという事ですかねぇ…元祖富豪、元祖愛好家、元祖都市人ですか?「研究などという骨の折れる仕事は、下賤の者に任せておこう。オレは大学の教師にも研究者にもなる必要がないのだから」を一生貫いた人でしょね…あるものをチョイスして、評価するだけの人だったよーな気がしないでもないよな?労働なんて他人に任せておけの世界炸裂ですか?そーですか(笑)

 圧巻なのは、戦局が不穏な時であろーと、日本に逃げずにパリに行く人なんですね…いやー凄い…大使館の退去勧告で殆どの日本人が脱出している中、彼は単身、パリに戻り文化的レジスタンス活動しているんですよ…回り中が拳振り上げている時に…しかも、この頃は実家もお店閉めてしまって仕送りが滞る、もしくは無い状態でありなから…まさにパリに生きた男の面目躍如でしょか?この辺りも詳細は本書をドゾ。

 まぁこれだけ放蕩の限りを尽くしたのだから、何も言う事はないの世界ですけど、一つだけ治郎八に同情するとしたら例のパリの日本館の荒廃ですかねぇ…ちなみにパリ占領当時でも「ドイツ軍が日本館に乱暴狼藉を働いたというのではなく、ドイツ軍は至って紳士的で、日本館が荒らされるということはなかった」そな…では戦後、どーして荒らされたのか?というと「被害が出たのは、戦後進駐したアメリカ軍が国際大学都市を接収したからである」とな…どゆ事かというと「米軍は巴里大学都市を微発した。そして、米兵は都市内の各国会館の家具調度品をも掠奪した」とな…「友邦軍、解放軍に対して、都市当局者達は勿論掠奪行為等は予期していなかったので、何等の対策を下す暇なく、この国際都市の財産は、解放軍の手によって掠奪されて了った」とな…今も昔も米ェ…さすが正義の国はやる事が違う(笑)

 それにしても、これだけ波乱万丈の人生というか、本当におぼっちゃまな生活に終始した人なので、戦後無一文になって日本に帰国してくる辺りでというか、無一文が見えてきた辺りで並の小説だったら主人公はピストル自殺とかしてそーなシチュエーションなんですけど、この方は戦後も70年代位までは生き延びていらっさるんですねぇ…そして生ける昭和というか、戦前の生き証人になる訳で…

 男に生まれてこれ以上の人生ってないんじゃなかろーか?と思うけど?どだろ?ある意味男の究極のロマンじゃなかろーか?パリで暮らして、王侯以上の贅沢を尽くし、自分の美とロマンの世界を希求したと…ある程度ならともかく、全てをなげうってですからねぇ…普通の人には出来るまい(笑)ここまで来たら天晴れ以外のなにものでもないと思うのは気のせいではあるまいて(笑)いやー突き抜けていた人は本当に突き抜けているんだなぁと、平成の閉塞感の中に生きている身の上としては、これほど破天荒な人を見る事はないんだろーな、と(笑)文化が小さくなっちゃったのか?人が小さくなっちゃったのか?それが問題だってか(笑)

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