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2013年5月10日 (金)

10年、100年、200年、それとも?

食べもの屋の昭和  岩崎信也  柴田出版

 サブタイトルが、30店の証言で甦る飲食店小史なんですが、今となると老舗の部類に入ると思われの料理屋さんのお話でしょーか?今のご主人に伺って、先代、先々代の頃のお店の話題がメインと思われですが、聞き取り調査を行ったのが昭和の終わりというか、平成の頭位なので、その頃から遡っての先代、先々代頃というと戦前の話しからになる訳で、激動の昭和史とでもいいましょーか?特に東京の飲食店の場合は、関東大震災で焼け野原、東京大空襲で焼け野原となっている訳で、その再建と復興で随分と様変わりしている事が分かりまする…伝統を続けるって、それなりにアレなんですよ、奥さん(誰?)

 初っ端が天ぷら屋さんから始まっているからと言う訳ではないんですけど、ここに明治・大正・昭和が集約されている感じかなぁ?まず、天ぷら屋というのは明治の中頃までは屋台だったと…こちらのお店は明治40年に店をかまえたとな…でもその頃のお店は立食、屋台文化が残っているという事でしょーか?ちなみに店で売ってはいたが、お客さんはその軒下で立ち食いとな…

 やはりファストフードだったと言う事なんでしょか、手軽な食べ物として位置づけられていたから「いい料理屋さんでは出さなかった」とな…だからお座敷なんかで出す時の金ぷら伝説に行きつくなのだろか(笑)ちなみにお店にカウンターが出来るのは関東大震災後なんだとか…

 ちなみにこちらはゴマ油で揚げる江戸前の天ぷら…だから東京の天ぷら黒いんですよ(笑)戦前は一人当たり天ぶら3、4個をつまむ程度だったらしー、ただし一つ一つのネタは大きかった模様(笑)ちなみにたねの種類はというと、えび、きす、めごち、はぜ、あなご、いか、小柱、しゃこ、しらうおだったとか…更にしけがあるとたねがないので鶏のささみとか揚げた事もあったとな…昔は冷蔵庫もないし、養殖もないから年中無休で海老があるなんてなかったとな…

 一番ヘェーと思わされたのは、燃料のとこでしょか?ガスじゃなくて炭を使うという事は火力の調節が非常に難しいという事なんですね…天ぶらを揚げる温度調節も並ではなかったという事なんでしょか?揚げたてなんて、まず鍋の温度からなんですよねぇ…と、天ぷら屋さんの証言だけでも凄い情報量です(笑)

 アリス的にとなると朱色その他の蕎麦で池の端藪蕎麦とか、推理合戦の焼き鳥でつるやとか、スウェーデンのすき焼きで米久とか、異形の饅頭で竹むらとか、ダリ繭の寿司折で弁天山美家古寿司とか、すし萬とか、異形のボタン鍋でもゝんじやとか、後二人のソウルフードのカレーでニューキャッスルとか、ロシア紅茶でロゴスキーとか、201号室その他のバーという事でやまざきとかになるんでしょーか?

 地理的なとこで行くなら、大坂なら松葉家、すし萬となり、京都ならぎをん梅の井、麩嘉、大市、フランソアになるのかなぁ?まぁアリスならこの辺りはクリアしてそーな気がするのは気のせい?

 それにしても先代、先々代の思い出話は皆興味深いものばかり…例えば池の端藪蕎麦の先代は趣味蕎麦を通すんですね…盛りは少ない、値段は高め…でその根拠が「親父は昭和のはじめ頃にすでに、そば屋の上・中・下と三つあれば、中がなくなって趣味のそば屋と大衆食堂に分かれるんじゃないか、と書いてましたが」なんだとか…先が読めないと経営者にはなれないという事ですかねぇ…

 後、関西のお味を表現するのによくはんなりを使うけど、それはまったりとこってりとあっさりの三位一体な味らしー…「三妙法の味いうんです」とな…味的な話ではないのですが、昔の店員さんは「どん、吉、すけ(助、介)」と呼び名で階級が分かるとな…どんって一番下だったんですねぇ…ついでに奈良的には柿の葉寿司って家庭料理なんだそー…で、大坂寿司っていうのは手土産とか贈答用なんだそな…寿司に歴史ありなんでしょか?

 冷蔵庫が無い時代、魚の対応ってどーしていたんだろー?という素朴な疑問もあるんですけど、江戸前的にはヅケ関係なんかもその一つだろーし、自分家の生簀でというのもあるし、ちなみに川魚料理は死んだ魚は使いませんの世界とは知らなんだ…も一つ、鰻の山椒、あれ養殖ものの鰻の臭い消しの為に始めたとか?…

 他にも面白エピ満載…皆さん一家言のある人ばかり、そりゃ老舗の看板背負っているんだから主人の生き方が過去、現在、未来と繋がる世界で…誰もが一本通っている感じなんですよね…ですので、詳細は本書をドゾ。結構ボリュームあるよーに見えるけど、読み始めるとあっとゆー間に進んでしまう生きた昭和史でござります(笑)

 本書に登場してくる人々は、奥田宣男(天茂/日本橋本町)、堀田鶴雄(池の端藪蕎麦/湯島)、金本兼次郎(野田岩/東麻布)、高橋熊雄(つるや/新橋)、家室泰治(伊せ /高橋)、山田耕路(玉ひで/日本橋人形町)、茂出木雅章(たいめいけん/日本橋)、丸山海南夫(米久/浅草)、堀田喜久雄(竹むら/神田須田町)、内田榮一(弁天山美家古寿司/浅草)、立川源次郎(いせ源/神田須田町)、中江隆一(中江/日本橋)、外山新吉(言問団子/向島)、大野佐吉(鮒佐/浅草橋)、天野彌一(天野屋/外神田)、吉田龍一(もゝんじや/両国)、宇佐美辰一(松葉家/船場・大阪)、小倉恒子(すし萬/高麗橋・大阪)、加藤定巳(丸ごうし/浅草)、竹内喜代(魚十/日本橋大伝馬町)、三好閏三(ぎをん梅の井/祇園・京都)、小堀正次(麩嘉/西洞院通・京都)、天宮美恵子'川甚/柴又)、吉田徳太郎(にびき/下谷)、渡辺誠之助(鳥安/東日本橋)、柳田喜兵衛(ニューキャッスル/銀座)、堀井真澄(大市/下長者町通・京都)、立野留志子(フランソア/西木屋町・京都)、長屋隆(ロゴスキー/渋谷)、山崎達郎(やまざき/ススキノ・札幌)

 目次参照  目次 食物

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