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2013年7月 5日 (金)

聖人はだれでも奇跡をおこなうことができるが、ホテルを経営できる聖人はほとんどいない(笑)

ザ・ホテル  ジェフリー・ロビンソン  文芸春秋

 サブタイトルは、扉の向こうに隠された世界なんですが、これは一つのドキュメンタリーなんでしょか?ノンフィクション小話ですかねぇ?舞台はロンドンにある超一級ホテルの日常でしょーか?格式と伝統がドドドドドーンとあり、英国だけでなく世界的にもその名を聞けば、ああと納得のホテル…勿論、王室関係者もお使いになっていらっさるホテルでござります(笑)

 で、そのホテルで何が起きているのか?更にどんな人達が働いているのか?それはどんな仕事か?みたいなのが、エピソードの合間合間に出てくる感じでしょーか?ちなみに主な登場人物のとこだけでも、総支配人、シニア・コンシェルジェ、保安係、宿泊支配人、主任技師、エグゼクティブ・ハウスキーパー、夜間支配人、料飲支配人、宴会支配人、会計主任、レストラン支配人、総料理長、情報技術支配人、副総支配人ですから、この人達の下にそれぞれの部門の部下がついている上に、ホテルの会社、経営者達などの上層部もある訳で、一つホテルの話しなのに働いている人達は物凄い人数になると思われ、ですけど、そこはホテルですから顧客の数もまたそれぞれにでして、その人一人一人のエピを拾っていったらいつ終わりが来るのだろーな量になりそー…むしろ、ここまでまとめた手腕の方が凄いのか?著者的に(笑)

 アリス的にホテルとなれば、ホテルシリーズの暗い宿になるんでしょーか?今回はホテル的な要素でいけば201号室に一番近いのかなぁ?さて、伝統と格式にのっとった超有名ホテルも時代の波には逆らえないと見えて、効率化、経営刷新と中の人達はてんやわんやの大騒ぎな感じでしょーか?ここで実に英的だなぁと思うのば、それまでの非効率なやり方を重視している従業員一同もそーなんですが、やってきた総支配人が仏人なんですよ、その他役職についている人も殆ど純イングランド人という人達ではないとこが何とも…そしてその人達が英国を代表する最も英国的なホテルを運営しているんですから(笑)英国的なおもてなしと、場を提供して…

 も一つこれもとっこくらしーなーと思わされたとこが、中の人のトップ達も動きが激しいといったとこでしょーか?まぁホテルの支配人って2、3年で代わるのが普通とどこかで聞いた覚えがあるが?次々転職、というか栄転するのがエリートの証で、そのままずっとそこにいるというのはキャリアの終わりみたいな感覚のよーで…まぁ新陳代謝が激しいという事は宜しとみるのも一つ、も一つは長期的な展望が立てにくいんじゃなかろーか?と…設備投資とかね…今すぐ効果があるもの以外かどーなのか的のよな?まるで、どこぞの議員さんのよーで、桜植えました、見頃は十年、二十年後ですって、今植樹した己の評価にしないといけないから、すぐに咲かせろっ俺のポイントにしろの世界になりかねない気がしないでもないけど?物事はどこも長短ある訳で(笑)

 ホテルの日常についての詳細は本書をドゾ。にちにちの細々した話しが続くのですが、大きな山場は二つあって前半は韓国大統領御一考様御宿泊編、後半はクェート首長による晩餐会、英女王その他一同を招待して、の世界か?セキュリティー関係は両者共に大騒ぎなので、ホテルの保安部から警察まで出て大わらわなんですが、後半は晩餐会だけあってメニューを決めるのから実行までこちらも物凄い展開が(笑)

 で、この間にホテルとしての営業を止める訳でもないので一般のお客さんも普通にいる状態での、前、中、後とそれぞれにコメディ映画を見ているよーな進行でしょか?いえ、現場にいる人には少しも喜劇ではないと思われですけど、他から見る分には問題、問題、また問題でよく中の人、ちゃぶ台返ししないなぁと…キレていいなストレスマックスな気がしないでもないんですけど?ホテルマン稼業も並の神経じゃ務まらないよな(笑)

 面白エピというか、表現も満載で例えば「ホテルビジネスはマフィアの取引にひどく似ているところがある。世界中にボスが散らばっていて、たがいに張り合いながら、それでも常に連絡を絶やさないのだ」とか…外国大使館からの予約について「主賓がだれなのかをあかさず、秘密めいた雰囲気をかもしだすのだ。たぶん、毎日退屈な仕事をしている大使館職員にはこんなことがいくらか刺激になるのだろう」とか…ブラックリストの事を「お引き取り願い張」とか…

 ホテルにはロイヤル料金というのがあったとは知らなんだ…「爵位をもつヨーロッパの名家の人びとのためのロイヤル料金を、付加価値税をふくめて一泊わずか二五ポンド(約5000円)という特別価格に設定してそれを維持していた」とな…セレブ特権って奴ですか(笑)更に「ロイヤル料金で問題なのは、王族たちは絶対に小さなシングルルームには泊まらないことだった。ちやほやされつけている彼らは、かたちばかりの料金を払うだけでスイートを期待するようになっていた」とな…スイートが一泊五千円って、それってアリですかぁーっ(笑)ちなみに、こちらのルームサービスの朝食、「一杯のジュースとコーヒー二杯、トースト二枚が一五ポンド(約3000円)」だとな…適性価格について考えるとか(笑)

 食と言えば韓国の大統領の食事は調理する時は必ず試食係の前で、しかも全く同じものを試食係にも提供する決まりだとかで、これを聞いたホテルの総支配人は「試食係は生命保険に入れるのだろうかと思ったが、そんなことを聞くのは失礼かもしれないと思ってだまっていた」ですから(笑)客室のテレビがソニー製なので三星製に変えたりとか、自前の武装護衛団とか、細かいエピがちりばめられているのでずか、著者的限界はこの一言に集約されているよーな…「日本の着物に似た華やかなガウンを羽織った韓国女性が二人いた」…

 そして米人については宿泊客の米人夫婦のエピが凄い…大統領が泊まっているの?に「クリントンが?」と訊く米人、「韓国です」「コリア?」「クリントンですって?」「コリアだって」「だれ、それ?」「大統領…」「コリアの」「コリアです」「そんな人、聞いたことないわ」「わしも聞いたことないね」…ポーターと米人夫婦の会話とな…米人にとっての大統領って米だけなんですね、そーですか(笑)

 職員的なお話も色々あるのですが、昔は総料理長の職の上がりが料飲支配人だったのですね…だから内輪で回っていた感じですけど、今はそれぞれに効率化で部門別につく感じになっている模様…かくて内部の部署の対立もまた激しいと…例えばウェイターと厨房の対立もまたすざまじいものがあるよーで…「ウェイターはなんでも二種類の人のせいにしている。顧客と総料理長である。自分たち自身の非を認めることはない」そな…チップ生活らしーので、厨房の要望より顧客の要望が先決、できるできない、美味い不味いより己の懐が大切という事らしー…また、上級経営幹部はホテルのレストランで客と一緒に食事していたけど、こちらでは「昼食も従業員食堂で食べることにした」とな…ホテル内の身分差もあったという事ですかねぇ…

 面白エピと言っていいのか?服装基準で晩餐会を迎える時の総支配人達の服が燕尾服…なのはとても英国的ですね、な話しだと思うんですけど、更に彼らは鬘どーする?と話し合うんですよ(笑)で、「鬘は匂いがすごいからなあ」で「そうですね。鬘はなし、と」と鬘却下しているんですが(笑)ここで、鬘まで話しが自然に行くとこが腐っても大英帝国という事か?それにしても鬘って臭いのか?とすると、英国国会って確か鬘被っていなかったっけ?もしかして英国議会って臭いのか?

 も一つ英国的なというより欧州的な限界エピで、クェートが米料理にこだわるとこでの総支配人の疑問…「ところでコメの料理について教えてくれ。なぜそんなに重要なことなのだろう?」に、「象徴的な意味があるんです。できあがると、黄金のように輝く豪華な料理です。伝統に深く根ざしていて、繁栄のしるしとされています」とな…日本的に言うとサフランライスもどきみたいなんだが、中東でもお米ってそんなに重要アイテムだったとは知らなんだ…チグリス・ユーフラテスって小麦発祥の地だからてっきりパンばかりと思ってました…クェートは米の国だったのか?

 食事続きでアレだけど、英国では「王室の儀礼として、女王が食事をされているところは写真やフィルムに撮ることは決して許されない」そな…ちなみにこのクェート首長主催の晩餐会、正味96分なりの費用は「約十七万ポンド(約3400万円)」とな…さすが世界に冠たる大英帝国の晩餐会は違う(笑)

 その他、コンシェルジェが一番微妙で難しいのがレストランの紹介だとかあるんですけど、最後に本書で一番ホンマでっかなエピはというと、アラビアからの客の問い合わせ「私がラクダをもっていったとしたら、どこにあずかってもらえるのだろうか?」…ラクダと共に宿泊とか、あるんですかぁーっ?とおろろく前にホテル側の従業員も頑張った。そーだロンドン動物園に訊こう?「そのお客が税関でそのラクダを通してもらえたら、ここであずかってもいい」とな…さすがロンドンズー、ラクダのお泊りも出来るんだぜ(笑)ちなみに象の貸し出しも動物園的には可能みたいです。ただし、外に出すにはお役所の許可が下りればですけど(笑)

 とまぁホテルの日常って凄いわぁーと驚く事ばかりなので詳細は本書をドゾ。毎日が、戦いとお祭りの日々に見えるのは気のせいなんだろか(笑)

 目次参照  目次 宿泊・温泉

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