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2013年7月 1日 (月)

君は人馬鹿だ(笑)

旅の民俗学  宮本常一  河出書房新社

 旅を中心にしてというより、日本の中を旅して考えた、教えられたな話しかなぁ?対談集っぽいのですが、編集者による問わず語り的なとこもありで、うーん、会話文的民族史談かも?で、民俗学とは「常民のくらしを考える学問」だそで、日本だと農村漁村の生活と直結していた模様…今はサラリーマンが殆どを占める日本人も一昔前は第一次産業万歳の住民だった訳で…著者的スタンスが実地主義というか、現場主義というか、現地に行って己の目で見てくる方法論でしょか?ちなみに瀬戸内海の島々をフィールドワークしたら、「一つ一つの島の性格がみんな違っていて、これには驚いた。そのときこれは本を読んでいたのではダメだ。民俗学というのは下実に自分の足で一つ一つ見て歩かないといけない」と悟ったとな(笑)

 世界は広いというか、日本も広いってか(笑)何より、言われてみればその通りなのとこと言うと「結局伝承とか習俗について喜んで話しましょうというのは、その人たちの生活が安定していなければできないことなんですね」と、「古い行事が残っているところは豊かなところなんです」と、「古い習俗や行事が消えたのは貧しいから消えたのだといっていい」となななな…みんなみんな貧乏がいけないんだってか…やはり文化って無駄を許容できる余剰がないとやってられないって事ですかねぇ…

 何はともあれ、著者の潔いとことは「本当の学問というのは、人々のくらしに役立つものであるはずなんですね」と言い切ってしまうとこですか…

 アリス的に民俗学…地方の因習的なとこはよくミステリで取り上げられるけど、アリスであったっけっか?地元っちーが出てきても、わりあい移住してきた人がメインな事が多いよな…46番目も軽井沢も、スウェーデンの福島も、乱鴉の島の人達もそんな感じだしなぁ…まぁアリス自身が生粋の大阪人で、心底都会人だから、ついでに言うとミステリって都市物語なとこもありですから、そーゆー傾向になるんだろーか?後はあるとしたら民俗学と社学の接点で、゛准教授の本業か?

 アリス的なとこでは著者が昔大阪の小学校の先生をしていたそーで、それに伴い関西各地を踏破したみたいなんですが、著者曰く「関西の農村の人々は軽口を叩くというか、冗談のやりとりでまじめな話を笑い話にしてしまうような気さくな性格をもった人が多いんです」とな…お国柄というか、土地柄って出るんだろーか(笑)

 アリス的な話でいいのか?浄瑠璃の普及で、西国の人達が伊勢参りとかで伊勢に行き、帰りの大阪で船を待つとな…下手する一か月位待たないといけなくて、その間に旅人達は何をするというと「毎日のように道頓堀のあたりに芝居をみにいくんです」とな…「そのうち浄瑠璃なんかだと、覚えて語れるようになります」で、結果、地元に持ち帰ってそれが地元の人形浄瑠璃となるとな…芸は身を助くというか、転んでもタダでは起きないというか、文化って伝播するものだったんですねぇ…

 芸能でいくと「民間芸能で太鼓をたたいて飛びはねて踊るというのは稲作の地帯にないんですね」だそで…平地は太鼓叩かないのか?お米と太鼓は結びつかないとは…太鼓の文化も色々ありそーだなぁ…

 他にアリス的なとこというと海奈良の原発のとこですか?若狭のそれは「裏側に原子炉ができたしアスファルトの道ができて、こっちぺたの河野のほうから見ると、政府のゼニでなだれよけの網が張られてましたよ。その網がつまり人造縁。いやらしいことになってしまいました。昔はいいところでしたが」(@水上)とな…赤星ぃ…それにしてもアリス、ここで魚魚魚と言えた貴方は本当に凄い…

 日本人の生活となると農業と漁業とそれ以外に分類されるそで、畑作や林業従事者が縄文文化を伝えてきた人達で、これが後の武士階級に発展するそーです…平地から武士は出ないというか、平地の武士で成功したのは信長と秀吉の二人だけだとか…家康他の皆様は山岳民族の出という事になるとか…こーゆー分け方もあったんですねぇ…

 平地的な話で奈良の話しが凄い…のどかなのは分かるが「奈良県なんて、女は働きゃしなかったです」だとか…これ先の戦中でも続いてたみたいで勤労奉仕で大阪辺りから人から来てもごちそう作って受け入れるけど、来た人達を田んぼに誘導しても、本人たちは働かないとな…「それで飯が食えたんです」って、奈良って豊か土地だったんだなぁ…

 家父長制というのをよく聞くけど、日本全土が家父長制なんてそんな訳あるかと…「西に行きゃそうじゃなかった」そーで、家父長制って東京人の幻想なんでしょかねぇ?「東京というところはそこに住んでいる人たちが自分の思っているとおりに地方の人も思わなければいけないというような押しつけの考え方がある。役人の考え方にとくにそれが強く、役人の一ばん多いのが東京で」と…先生、東京に何かあるのか(笑)まぁ「東日本はあまり好きじゃないです」と言い切っていらっさるから(笑)まぁ確かに家父長制叫んでいる殿方ってたいてい東日本のおじさんに多い気はするよなぁ(笑)

 ちなみに、昔の古文書によると女性の庄屋さんもいたそーで、やはり西日本は「女の地位が、もとは高かったのだろうと思う」だそーな…朝井さん、出番ですというより、アレが普通だったんですよ、奥さん(誰?)ついでに言うと西日本、女性が多かったよーで、婿養子も多かったよー(笑)財布を握っているのも女性だったとな(笑)

 も一つ、日本昔話しではないけれど、山の暮らしは貧しい…で、山の人が蓑のとか作って里に売りに行くと…で、「里の人はそれを必ず買ってあげなければならない」そで…じゃないと恨まれるし、下手すると火付けされるとな…だから極度に貧乏な山暮らしでも生活出来たとな…傘地蔵の話しなんて本来なら売れてなけりゃ嘘だったと言う事か?鶴の恩返しの反物も、もしかしてデキ以前の話しだったとか?

 庶民には庶民の暮らしがあるという話しかなぁ?ちなみに主婦は生産に関与するから常民なんだそーだけど、侍は常民ではありませんだそな…この定義でいくと政治家もヤバシの世界か?「政治家が戦後なにをしたかということです。輸出が伸びたのも大資本のおかげというよりは、中小企業の働きが大きかった。そういう意味でも、常民社会は健全だったとうことで、戦後の混乱を切りぬけることができたわけでしょうね」って…何のかんのと言っても日本って今も昔もパンピーの国なんだろか(笑)

 ついでに「文化財を保存しようと思いと、知事さんは予算はとってくるけれども、実態を知らない」に行きつくみたいです。よーは政治家も公務員も、地元を知らないとな(笑)「市長や町長だのの上京が非常に多い」「課長以上の人たちが自分の管外出張に使っている金が二千万円ぐらいあるのですね。その人たちが自分の管内をどれほど歩いたかというのを調べてみたら、これがない。これは決してあそこだけの問題じゃないんです」って…お役人サマの目線は、地元じゃなくて中央(東京)なんですね、わかります(笑)

 で、旅に関しては許容される国だったという事でしょか?「日本という国は別に異民族が攻めてくるということはない。それを恐れることはないから結局、一人一人の中に一種の物見高さというものがあって、自分の世界だけでなく、ほかの世界も覗いて見ないと気がすまい。また、覗いてもそれが許される」とな…好奇心は永遠に不滅ですってか(笑)まぁ一言で言うと「つまり、よそ者を一応信用する」と、これが日本の文化なんですね、今も昔も…国民総おめでたいかもしれないけど、そのおかげで柔軟さも失っていないよな(笑)

 でで、旅行の好き嫌いについて、旅はみんな好きなんですよという話しになるんですが「旅行の嫌いなやつが、旅行記を一生懸命読んだりするんです」(@丸谷)とな…人生は旅であるってか(笑)

 さて海外から見た日本人というのは、保守的な人もいれば進歩的な人もいる「ふしぎな民族なんです」(@江上)ちなみに「日本人自身もおかしいと思っている」そで…「そういう二つの、全くある意味では性格や、伝統の違うような人間が、ゴチャゴチャにならずに、しかも日本民族ということで統一されていたということだと思うんです」とな…よーは両極端な人達が両立しているというか、併存しているというか、それが日常、普通ですよと…「そういうことは外国では考えられない」そーで…国民性って外の国では一つしかなかったのか?道理で正義も一つしかない訳だ(笑)かくて、世界から見ると「日本人とのつき合いが一番むずかしい(笑)」となるそーな…国民総分裂症じゃないんですよ、ただ生き方も八百万なだけで(笑)

 海外と日本という事で面白いと思ったのが、ものの見方というか、評価の仕方でしょか?例えば「中国でぜいたくをするというのは、材料をよくすることなのです」(@江上)だそーで、ある物があったとすると、その材質をどんどん上げていくと…で、行き着く先は金でござると…形より「一番大事なことは、材料そのものをよくすることなんです」とな…ところが日本の場合、材質にはこだわらないとな…土器は土器で、紙は紙、白木は白木で自然のままでよろし、ただし「それを芸術的にする」のだと…でこちらの行き着く先は「民芸品が芸術になるわけだね」だそ…美意識について考えるとか(笑)

 も一つ、これも実に日本人的な話だなぁと思わされたとこが借金の諸事情…周辺の村にお金を貸している村があって、返済能力がイマイチだから貸し手側に役人がきて「あれをまけてやってくれないかといった」そな…村中で集まって相談の結果、「こちらは余って貸したカネだ、貸すカネがありゃしあわせじゃないか、全部まけてやろうといって棒引きにしたんですね」とな…いやぁー今時珍しい美談じゃありませんかですけど、これ聞いて一番に思い出したのはユーロ危機なんですけど(笑)まぁこーゆー解決は、まぁ、アレっすよねぇ…しかし、貧乏な村と裕福な村の違いが、本書の場合でいくと人口問題に直結しているとこが凄い…産めよ増やせよ地に満ちよの反対というか、土地が許容できる人口密度が貧困脱却の道なんですね…リアル過ぎるとけど、土地の生産高と人口度って密接な関係にあると…

 ちなみに日本の農村社会が封鎖的だというのも「そんなばかげたことはない」そで…「日本の農村はごく最近まで戸もろくに閉めなかったんですね」となるそな…この治安に対するソレって、伝統芸能、日本のお家芸なのか(笑)更にアレなのが左翼系の虚構ですかねぇ…貧しき農村、「外側からみれば確かに一人一人は貧しい。しかし、うちひがれて暗い表情をしているかというとそうではない。敵意がこの人たちにはない」と…民衆とは何ぞや?と今日も先生は歩いて回るという事ですか(笑)それにしても「日本くらい民衆社会のなかで平等が発達していた国はなかったんじゃないかと思いますね」だとな(笑)

 ただ、現実では地方的には「観光客はもうきてほしくないですよ」らしーので…土地が荒らされてしまうとな…「昔からの感覚で、勝手に入っても文句をいわん人たちがそこに住んでいるから自然を楽しめているんですね」とな…他人の土地は土足で入る事に躊躇しない人達が「自分の世界に一歩でも足を踏み込んだからカンカンになる人たちが、地方には絶大な寛大を要求している」とな…で、どゆ事かというと「これは都会に住んでいる人たちの特権意識で、かつてイギリス人が植民地でやった同じことが日本の国内に出ているということですね」とな…オレが行く分にはいっこうに構わない世界ですか、お金落としているからえーやんけだけでは済まない状態にまで突入している模様…観光は観光業で儲けている人以外には有難味が殆どないよーな(笑)

 幾つかあるのですが実例的なとこを一つ上げとくとするならば、上高地の件とか…「あれは国有地なんです。村は安曇村です。あそこにおります観光業者に、安曇村の人は一人もいない。みんな松本と東京の人です。だから地元にとっては税金が一文も落ちないところなんですね」とな…だけど「警察のほうは、安曇村でやらなければいけない」そーで、「いろいろな苦情は安曇村へ来るんです」とな…何かどこぞのア○ゾンを思い出してしまったのは気のせい(笑)

 海文化についても面白い話がいぱーい出てますので、詳細は本書をドゾですが、文化の伝来に何かと朝鮮半島経由というのが学会主流っぽい話ではありますが、その実は直で中国と繋がっていたし、琉球経由も大きかったし、台湾、東南アジアとのつながりもかなり太いラインだったよーで…むしろ太平洋の島々まで行っていたよーな…ハワイまで釣りに行くって、それってアリですか(笑)船に乗る人は行きたいとこに行くと(笑)

 いやー、もー目から鱗な話しがこれでもか、これでもかと続いていますので、興味のある方は本書をドゾ、ドゾ、ドゾ。日本人なら読んで損はない一冊だと思いまするっ。

 本書に登場する対談者は、筑波常治、秋元松代、丸谷才一、紀野一義、江上波夫、国分直一、水上勉、松谷みよ子、松永伍一、杉本苑子、中西睦、河野通博、山崎朋子、茂在寅男、荒垣秀雄

 目次参照  目次 文系

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