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2013年7月22日 (月)

木の朽ちていく文化、水の流れていく文化、志が不滅の文化…

俵屋の不思議  村松友視  世界文化社

 タイトルで分かる通り、京都にある老舗旅館のお話というか、エッセイというかなんですが、場所が京都というだけで一筋縄ではいかないのに、更に老舗、京都で老舗ですからねぇ…で、よくあるホテルや旅館の紹介かというとこれまた全然違うと…むしろ、俵屋は殆ど出てこないよーな気がする(笑)では本一冊丸々かけて何が書かれているのかと言えば、俵屋を中心にしての職人の輪でしょーか?京都という土地柄がそーさせるのか、次から次へとそんな職人がいたのか?という方々が登場します。俵屋の女将といっていいのか、主は彼らがいなくなったら俵屋も終わりだと断言する世界…

 宿屋一つを活かすも殺すもその宿の住人だけでなく、それ以外の人々の層が物凄く分厚いというのが分かりますの世界かなぁ?そして、これが所謂西洋的な主-客の関係ではなくて、皆その輪の参加者的なとこがこれまた、実に日本的です(笑)多分、この感覚って日本人の、そして京都人じゃないと細部まで理解し辛いんじゃなかろーか?

 それを著者は部外者として、客人として、友人として、知人として、傍観者として、観察者として、旅人として、そして非京都人として綴っている感じかなぁ?いや、果敢にアタックしているのはよく分かるけど、相手は千年の都のそのど真ん中ですからねぇ(笑)玉砕しなかっただけでもみっけもんですよ、と(笑)

 アリス的に京都は英都大があるだけでそれですけど、俵屋についてはあの雑学データベースのアリスが知らない訳がないと…もしかしたらこっそり泊まっていそーだけど、後学の為に(笑)ちなみに、そんな京都の老舗旅館に宿泊している人達の3割が海外の方らしー…俵屋の名は外に向けてもあるんですねぇ…まぁ常連客でいぱーいなイメージがあるし、ついでに京都だから一見さんには簡単に行けるのかどーか?躊躇するものがあるし…日本人的には敷居高いよな(笑)

 さて、そんな俵屋を巡る人々ですが、本書の主人公は俵屋主人の佐藤年、そして俵屋出入りの職人の皆様ですが、中村義明(中村外二工務店)、野口米次郎(洗い屋さん)、中島文雄(静好堂中島)、千田堅吉(唐長)、栗山ハルオ(和染工芸)、井居二郎(井居畳店)、平田佳男(平田翠簾商店)、平野良明(平野屋)、浅野富三(湯葉平)、富川保(富川)、西川幸(丸弥太)、林昭一郎(四寅)、羽田益(羽田酒造)、明貫厚(明貫造園)、柳孝(古美術柳孝)、佃達雄(佃)、塩見忠央(青華堂)、貴道昴(てっさい堂)、藤田修作(花政)などなどズラリと京の職人が居並んでいらっさります。

 これに熟練の従業員の面々は勿論、京都ですからお寺さんとの関係も忘れる訳にはいかず、こーいっては何ですけど出入りの業者は全国区のメーカーであっても、俵屋クオリティの前にはアレなんですよ(笑)

 各社、各人のエピは本書をドゾ。内容が濃いぃぃぃぃので、というより一人一人の職人さんの仕事が、プロ中のプロなので言葉一つ一つが重い、そして深い…トーシロにはたちうちできない世界が展開している模様…いやー、京都の底力は違う、ただひたすらに違う…最初はハハそこまでやるのと笑っていられるけど、段々そこまでやるか?マジか?に突き進んで顔がこわばっていく気配が…

 例えば本書に出てくるペニンシェラ…著者が香港返還前に泊まった時にはチェックインを済ませるとボーイがソープ・ワゴンを押してやってきて宿泊客が好みの石鹸を選択できたサービスがあったそな…ただし「香港の中国返還時にペニンシェラ・ホテルに泊まったとき、その習慣はすでになくなっていた」そー…ホテルの変わっていくのね、じゃないけど、古き良き伝統というものを残す、継承していくという事はそれ一つでも大変な事なんですよね…合理化とか、効率化という言葉はとても響きが良いけど、それで無くしたものは還らないんですよ、奥さん(誰?)

 ちなみに俵屋に似ているとことして、ホテル・アマンダリ(バリ島)が出てきます。どこかどー似ているのかについては本書をドゾ。たかが、ホテル、たかが、旅館、でも奥が深い…その昔、俵屋をパリ、ニューヨーク、オーストラリア、韓国などにつくりませんかぁーという話しがいぱーいあったそな…それには「アーネスト・サトウ氏は猛反対したという」とな…「「俵屋」を味わいたければ、この「俵屋」に来ればいい」…唯一絶対のソレですかねぇ…「この゛俵屋」をニューヨークへもって行ったら、まるで芝居小屋ですよ」とは…世の中にはコピーできないものもあるんですよね…究極のローカルなものが、そこでしか存在できないものが、あるという事を最近の人達は忘れているよーな?

 とまぁ老舗だけあってエピに事欠かないんですけど、本書で一番ハーヘーホーと思わされたのはアーネスト・サトウ氏の項でしょか?ちなみにこの方、俵屋女主人佐藤年氏のご主人、経歴については本書をドゾですが、ご本人も有名人ですので今更でしょか?京都の人間関係についてのアーネスト・サトウの言葉は直球です(笑)

 「「京都という町には長い歴史があって、京都人というのは全部、お互いに親近感を持ってると思うの。その中に入ろうとしたら、はじき出されるわけです。だから、つねに部外者である。これ、つくづく感じることだけど、それでまた良いだろうと思うんですわ」「それでも京都の中に入ろうという努力はしましたよ。だけど、それは不可能であるということが分った。分ったときに、非常に楽になりましたね」というのは、彼がハーフだから(今だとダブルと言わないといけなのだろか?)と言うだけじゃなくて、京都人以外の人は誰であろーと納得の話しのよな、ぶぶ漬けなんて都市伝説ですというのと同じで京都人の言う事を目の当たりにしちゃあきまへんでぇ(笑)

 いやー、もー徹頭徹尾京都京都京都で、そーだ京都に行こーで、京都とは行くところなんだなぁとしみじみと確認する本書かな、と(笑)

 目次参照  目次 宿泊・温泉

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