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2013年7月10日 (水)

ぽてぃーとぉぉぉぉぉ…

じゃがいもが世界を救った  ラリー・ザッカーマン  青土社

 サブタイトルはポテトの文化史でして、軽く南米からヨーロッパにいって今では世界中で栽培されているよ、マルみたいなお話かと思ってみたら…これは、社会史というか、貧困史…女工哀話とか、姥捨山の世界観に近い話しでしょーか?事実は小説より奇なりというより、凄いという事ですよね…舞台は、イングランド、アイルランド、アメリカ、フランスでして、主に18、19世紀でしょーか?後、20世紀前半?これだけでもー悲壮感が漂うのは何故なんだぜ…

 ちなみにスペインがペルーからジャガイモを持ち帰ったのが1570年とな…ちなみに野生のじゃがいもはチリ沿岸部で1万2000年前から生息しているそな…じゃがいもの歴史もパネェってか(笑)西人が初めてジャガイモに出会ったのが1537年前後何年間の間らしーけど、多分気にもしていなかったとな…エルドラドですよ、奥さん(笑)で、1570年になってポケットに入れて持ち帰る珍品として、お土産として西に渡ったとな…当時の西人によるジャガイモの評価「新世界の土着の者どもが、パンの代わりにこの芋に依存しているとするなら、この芋は下等なものに相違ない」とな…無敵艦隊のお人は違うでぇー(笑)

 かくて大陸でのジャガイモの評価は低く、誰が食べるねんの世界だった模様…そしてヨーロッパで畑作としてのじゃがいもを最初に受け入れたのはアイルランド人の方々だったと…17世紀の事でございました…18世紀になると主食にした最初の欧州人という事にもなるそーな…ジャガイモというと何となく独人のイメージがあったけど、愛蘭の方が先なのか?元祖、ジャガイモの国ってか?

 そして、これが愛蘭の貧困と人口爆発の要因となるとは…とは…とは…

 アリス的にジャガイモ?そーいえばどこかでポテトサラダ食べていたよーな記憶が?まぁでも日本人的にはジャガイモというと肉じゃがなイメージなんだけど?どだろ?何かアリスん家のお袋の味といったら、むしろビーフシチューな気がしてしまったりするけど(笑)

 さて、本書ですが、いやー、読んで辛い本というのはあるし、これまた目を背けてはいけない本というのもあるんですが…一応、本書はジャガイモの話しではあるんですが、18-20世紀初頭の欧州の農業史、農民史そのものでして、これがもー貧困貧困貧困の世界なんですよ…それでもまだ米的な方は労働史的な、家庭の主婦の重労働についてのソレ的なとこはアレですけど、栄養的なとことか、空腹関係ではまだマシな世界でして…開拓民は朝から晩まで働いて大変だねぇー…でも奥さんは「男どもはシガーを買い、メンバー制クラブの会員になり、機械や秘書などに気前良く金を使う一方で、妻が召使の手当を増額したいと申し出ると、はるかに小さな額なのにいやな顔をする」とな…家事労働に理解がないのには今も昔も変わりなしって事ですか(笑)

 米の家庭内争議はともかく、仏の場合は農家の節約精神の賜物だとか…大農家ではなくて小農家が多かった仏では、やりくりするのにジャガイモが必然となっていった模様…まぁ他に国に比べれば緩やかなお話になるんでしょーか?いえ、仏の農民もかなり困窮はしていらっさるんですけどね…だけど、イングランドとアイルランドに比べると…

 とは言え、じゃがいもが食卓に上るよーになるまでは、まず迷信的なものや、宗教的なものや、未知のものに対する恐れとか、まぁー障害が山のよーにあるというか…キリスト教だよねぇ的なとこの尤もなとこはパンに対する絶対性ですかねぇ?パンこそ全てですか?何かハイジのおばあさんの白パンが食べたいという話の切実さが今更ながら分かるよな…

 しかーし…近世といっていいのかこの時代…天候が不良の時期と重なるんですよね…かくて収穫がままならぬ…荒地でも育ち、収穫できるジャガイモはしだいに広がっていくんですよ…農家的にも、また産業革命で工場労働なんかになって都市生活していく労働者達にも…それは何故かと言えば、ジャガイモは調理に手間いらずだから…

 パンにするには小麦を製粉して、捏ねて、焼いての手間がいると…朝から晩まて働いているのにそんな調理時間どこにある?というのが一つ、も一つが調理方法を知らない、もしくは習っていない、習う閑もない生活活動になってしまったとな…更に農家だろーと、都市だろーと調理する道具がない…鍋一つあるか?に近い生活だったらしー…しかも、材料だけでなく燃料がこれまた庶民には高価な高根のハナ…

 となれば、ジャガイモならばそのまま薪と一緒にくべて直火で焼くもよし、鍋で茹でてそのまま食べるもよし、皮ごと丸ごとそのままテーブルに出して食べれば手間いらずじゃない?な世界に突入…何せ働くだけで精一杯だからいかに家事労働を簡略化するかが切実な問題だったんですね…栄養価があり、腹持ちがいいジャガイモは労働者の食事にうってつけとなり急速に広がっていく訳です…

 そんな訳で米ではそーでもなかったけど、じゃがいもとは労働者、下層階級の食べ物というニュアンスが欧州では残っていた模様…20世紀になっても「労働党が集会を催すと、フィッシュアンドチップスの店は一般党員で満員になるが、保守党の集会があったとしても、そんな事態は絶対起きない」という英での一事を見ても根深いものがあるよーな…

 本書的に圧巻なのは、やはり愛蘭のジャガイモ飢饉のとこでしょか?餓死者100万人というから、その数は壮絶としかいいよーがないよーな…人口が増えているのに土地は狭いし、何せ島国だしね…痩せた土地で収穫手っ取り早いのがジャガイモ一択となった、その中でのジャガイモのほぽ絶滅は…救済作業が全く追いつかず、政府の措置も、教会、その他の救済の手も焼け石に水的な状況かな?ですか?ちなみに500万人が移民していったというから、人口の半分が移動する事に…

 当時愛蘭の貧困は今に始まった話ではないので、現地では「お互い見て見ぬふり」が「暗黙の成立」だとかで「富者の返事は、あったとしても決まっているからだ。「お前らに用はない」と」とな…度重なるそれに宗主国である大英帝国側も「「タイムズ」紙は激越な反対論をぶちあげた。アイルランドは「常に全面戦争か局地的反乱の前夜にある」ばかりでなく、感謝の念をいっさい示さず、そのくせ援助をかぶ飲みする胃袋たるやまさに底なしである。(中略)これでは「極めつけのお人好しでさえ」自助努力をいっさいしない連中を助けるなど、ほとほといやになって当然だ。他人の義務の肩代わりなどもってのほか」と以下続くんですが、本音ダダ漏れで凄いわ、タイムズ…人口問題と食糧問題は、その頃からアレだったんだなぁと…

 とゆー訳でさわりだけでも凄い話のオンパレードですので、詳細は本書をドゾ。社会史的にシリアスにおべんきょになりますですが、その他豆知識も満載で、例えば薩摩芋…こちらは結構早くに受け入れられているんで、甘いからかなぁと思っていたら…「ヘンリー八世はどうやらこの食べ物を「媚薬」と信じこんだらしい」とな…そーゆー理由が一番男の人にウケルんだろか(笑)ちなみに「薬草学者すべてがこの効能をあらゆる根菜類にみとめたわけではないが、ほとんど全員が「根菜類は性欲を高める」と考えた。大根、玉ねぎ、ニラねぎ、ムカゴ人参、蕪、パースニップ、さつまいもなど、いずれもこの性質があるとされた」とか…凄いぞ、薬草学(笑)

 最後に本書的に一番ハーヘーホーと思わされたとこは序文の「権力者や大金持ちに比べると、この種の人物が自分で書いてそのまま残っている資料はまことに微々たるもの。多くは物見高い傍観者の記録である。これでしばしば見る目が曇る。人生をただ一つの経験に還元することはできない。歴史家としての自戒の言葉である」とな…で著者の分かった事は「公の調査には偏見があること、また日記を書ける農民すべてが日記を残したわけでもないことである」とな…今そこにある歴史、資料、ですかねぇ(笑)どれだけ汲み取れるかもその人次第という事なんでしょか?

 目次参照  目次 文系  目次 食物

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