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2013年8月19日 (月)

ザ・日本の食卓(笑)

食べ物日記  池波正太郎  文芸春秋

 サブタイトルが、鬼平誕生のころだそで…池波作品をあまり知らないので全然存じ上げていなかったのですが、池波正太郎が作家としてブレイクしたのが鬼平犯科帳からなんですねぇ…それ以前に直木賞とか受賞しているんですけど、某文芸誌で連載打ち切りになっていたり…作家の道も厳しいのぉの世界か?まぁそれはともかく、作家にとっての分岐点となった鬼平犯科帳を執筆し始めた年に池波正太郎は何を食べていたのか?という疑問にお答えしますの世界か?

 何が凄いって一年の元日から大晦日までの三食が殆ど全て掲載されているんですよ…作家自身が毎日手帳につけていたとな…手帳ですから、どこ行ったとか、映画何見たとか、誰に会ったとかという日々の事も書いてはいるんですけど、圧倒的に比重を占めているのが、朝のメニュー、昼のメニュー、夜のメニュー…いや、これだけ並んでいるだけでも壮観です。

 例えば本日8月19日には「朝、平野、生藤出迎え。八時三十分の飛行機にて大阪へ…早し。京都へ出て、ツボサカで昼食。PM、二時三十分ひかりにて帰京。実に疲れたり。」と徳島に阿波踊り見物に行っての帰り道の様子が分かります。それにしても何故徳島空港から直で羽田に飛ばないで、わざわざ大阪・京都経由で帰っているんだろー?謎だ(笑)

 アリス的に、ご飯…アリスもなぁ生粋の大阪人だから食はおろそかにはしませんでぇーの世界だと思いたいけど、でも自炊能力は…インスタントスパ食べている位だしなぁ(笑)まぁでもアリスのご飯日記があったら面白いと思うんだけど、途中で准教授のダメ出し出そうだけど(笑)

 さて、池波先生のご飯で疑問に思ったのが、大阪寿司をよく食しているところ…寿司じゃなくて大阪寿司と表記している位だから、江戸前握り寿司とは違うはずなんですけど、ちなみに池波先生生まれも育ちも東京下町のはずなんですが、それが何故に大阪寿司?好物だったのかなぁ?ちなみに本書によると1/31の昼食、4/28の昼食ここでは阪急とどこで食べたかも掲載されています。5/29の夕食、6/3の昼食、ここではすいもの付、12/3の昼食、三ツバとトリの吸物付と食卓に上る頻度が結構高かったと見るんですが?どでしょ?都内で大阪寿司というと、神楽坂のお店を思い浮かべるんですけど、阪急とあるという事は有楽町阪急に大阪寿司のお店があったという事なんだろか?うーん(笑)

 も一つ面白いのは、自分しか見ないであろー手帳に表記なので食事の正直な感想も時々書かれているんですよ(笑)例えば1/30の夕食について「夜、つまらぬもの」とあってその後に「食欲なし」とあったり、2/6の夕食は「夕→夜、いろいろつめこむ」とか、4/27なんて「PM、オール・花田来。食事まずし」のこれだけだったり、5/13になると後半「つまらぬ。帰宅。夕飯ひどし」とな…ちなみにこの日池波先生は台東区美女コンクールに審査員として招かれているんですけど、美女に囲まれてウハウハじゃなかったのか(笑)

 更に続けて6/10の夕食は「夜、(古川蕉水亭)タイの松皮つくり、焼物(エビ)、ナメコの山かけ、とうふのあんかけ、タイのあら煮、ポークカツレツ(すてきにうまい)」とかあって、先生ポークカツレツが気にいった模様(笑)6/14の夕食も「(帝劇地下スコット)サーロインステーキ、パン、サラダ、コーヒー(二千円余だが大変うまかった)」とか、6/15の昼食は夫妻で釧路旅行で「東屋という古いそば屋でそば料理。おいしかった」とな、六月は体調良かったんだろか?それとも外食好きなのか(笑)

 11/12の夕食も外でで「夜、新潮社の招宴(四谷、丸梅)。うまかった。佐藤専務、川野、仁尾。酒、ぐじのつくり(わさび)、おわん、ずいきのあえもの、子持ちあゆ、キュウリ、ウド、水貝のすのもの、うずらのつけやき、めしにかけて食べる、千枚漬、みそわん、三年ごしの白菜かくや(ゴマ)、デザート、メロンとクリーム」と、やはり接待は料亭か(笑)

 とはいえ、先生、庶民性も忘れてはいませんというか、3/8の夕食は「夜、インスタントやきそば」とか食べているんですよ…億万長者でもカップヌードルをすする夜もあると(笑)も一つこれも人間的で面白いと思われたとこが8/8に彦根に行っているのですがその晩「夜ふけ、池の蛙の合唱がうるさくてねむれず」とあったりするんですね…近くに池があったのでしょーか?今時だと、蛙の鳴き声のライブなんて聞く機会もないよーな?

 さて、本書は前半がこの一年のメニューブックみたいなノリなんですが、後半は、数編の池波先生のエッセイもあるんですけど、その他に池内紀と山本一力の対談と、各社の池波先生の担当編集者による座談が掲載されていて、この池内・山本両氏の対談が底抜けに面白い…編集者の方がどーも奥歯にものが挟まったよーな雰囲気が否めないのに対して、池波正太郎ファン、大ファンを自認しているお二人の話しは、もーファン心理が如実に出ていて、池波あるある、の世界炸裂(笑)聞くも笑い、語るも笑いの物語というか、お話でこれは興味のない人でもここだけは斜め読みした方がいいと思うよ、の世界(笑)

 いやー、いい年したおじさん二人がこんなにミーハーだと、何となく安心しちゃうよね、うん、日本も大丈夫だって(笑)例えば、田沼時代の賄賂について「あれ、賄賂と言うからいけないのであって、意味としては一種の交付金なんですよね。だから゛特別交付金(賄賂)」と書いたほうが分かりやすい(笑)社会を動かす非常に大きな要素だったんです」(@池内)とか、「非常に不思議なのは、この「鬼平」の読者だと言っている人たちの中に、鬼平さんと全然違う生き方をして恥じない連中が多いんだ(笑)「おまえ、もうちょっとちゃんと読めよ、鬼平さん、それ、やらないだろう」と言いたい」(@山本)とか、池波作品の言うのはおじさんの生き方指南だったんですねぇ…

 ミーハー的なとこでは物の食い方について池波先生に学んだというのがあったりするんですよ…蕎麦は真ん中から手繰れとか(笑)「天麩羅でしたかねえ。親の敵に出会ったように食えっていう」(@山本)とか、古き良き日本についても「例えばこのへん(御茶ノ水)に来ると、すぐに僕は、池波さんが地名のことを何か書いていたな、「名前は変わっちゃっているけど、俺にとっちゃ連雀だ」とか。改名を担当した町の役人も決して傷つけないような表現だった。その言い方がまた心にくいんだよな、なんて自動的に思い出します」(@池内)とか、大人が大人の感覚を普通に持っていたという事でしょかねぇ?変に若い大人は増えたけど、そーゆー大人らしい大人はいなくなっちゃいましたよね、確かに(笑)

 てな訳で、詳細は本書をドゾ。メニューもここまで並ぶと凄い迫力です(笑)

 目次参照  目次 食物

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