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2013年8月18日 (日)

この国の風土?

言葉と礼節  阿川弘之  文芸春秋

 サブタイトルが阿川弘之座談集とあって、対談、鼎談ものでして、昭和の香りがというより著者は大正生まれ、第二次世界大戦の時は海軍大尉だったそーで、何かもー生き方というか、空気感が全然違うよーな?生ぬるさがないと言ったらいいのか?ご本人も戦前の記憶ははっきりしているのに、戦後は日付の記憶が曖昧だみたいな事を言っているし(笑)

 作家らしいのか、言葉にとても敏感で、嫌いな言葉なんていう話しも出てきます。例えば、こだわりとワンランク上…「池田勇人の「貧乏人は麦を喰え」の反対で、「金持ちだけが買いなさい」と」(@阿川)に「そこまではっきり言えないから、「こだわりの一品」」(@村上)となるとか…その他、最近の言葉はごまかしが多い模様(笑)

 も一つ今っぽい話しではテレビで東京大空襲(3/10)の番組に出演していた時の話し、「局の若い人たちがのんきなことに、そのときの写真を見せてくれと言うんですよ。そんなものあるはずないのに、今の人は何でもあると思っていますからね」(@半藤)は現場にいた人の科白は重みが違うと…ちなみに関東大震災の時もとにかく逃げる事、走り続ける事、歩き続ける事だそーで、逃げてここで大丈夫だと足を止めた人は皆助からなかったとか…これも歴史の証言でしょーねぇ…

 アリス的に対談とか、鼎談とか、座談とかは一つや二つはやってそーなんですけど、一番ありそーなのが朝井さんとの対談本だよなぁ(笑)ミステリより、酒にいきそーなのが、何とも(笑)

 作家的なとこでは「原稿を書くというのは健康に悪いね。多作した人はみな早く死んでいるように思う」(@阿川)だとか、准教授にからかわれても今のペースで宜しいんじゃないでしょか?アリスとか(笑)文学としてユーモア文学は二流に見られがちだけど「本当に優れたユーモア文学はよほどの資質と学識と、物事を冷静に見る眼がなかったら生まれないんですが」(@阿川)とな…日本にはユーモア文学が今一少ない気がするもんなぁ…

 著者の「舷燈」のシーンで奥さんを殴って顔が曲がる出だしから始まるそーで、それに「それで僕が、このごろの女流文化人たちは自分で皿一つ洗ったことはないのに、日本の女性は虐げられているなんて年中書くから、戦後の女たちはつけ上がって、と言ったら、丹羽さんが「いま時、女房を殴ったりするのはお前と阿川くらいなもんだ」」(@大久保)とあったり…著者の著作って多分一冊も拝読した事がないんですけど、成程男性文学だったんでしょか?日本文学とフェニミズムも結構大きなテーマになるのか?それともDVか?

 殆どフィクション系は読んだ事がない人間としては「志賀直哉などを読まんという人たちはたいてい文章が下手だ。やっぱり文学はまず文章ですよ」(@大久保)だそで、やはり文豪って違うって事なんでしょねぇ…編集者のお仕事ってか?片桐さんもそーなのかなぁ?はともかく「流行作家のお宅では、編集者は出入りの植木屋と同じように扱われると言っていました」(@大久保)そな…女中さんにもバカにされるとか…竜胆先生の担当も苦労しているんだろか(笑)

 ちなみに編集の苦労は更に例の右左もあるみたいで「左翼は敵が味方になったり、味方が敵になったり、よく変わるから、今、誰がどの派にいるかわきまえていないといけないんです」(@大久保)文士の中でも左翼系って年中仲間割れしているって事なのか?あの同族嫌悪というか、他者を徹底して排除しないといられない気質ってどよ…

 編集的に左翼作家への疑問というのが、共産圏から招待されると左翼系作家は皆行ってしまうとこだそー…「埴谷さんだけが行かなかった」(@阿川)だそで(笑)ちなみに埴谷さんは招待反対派だった模様「招待されて行ったんじゃ、その国を批判できないじゃないかって。埴谷さんはスターリン批判をやったし、僕に、次に毛沢東批判をやると言っていた」(@大久保)まあ、どんな職業についていても招待とか、接待は皆大好きだもんなぁ(笑)そーやって懐柔される事に矜持なんて、そんなの関係ねぇーってか(笑)

 ちなみに現代文学全集なんかを発刊する事になって、「戦前・戦中の行動を、たとえば情報局よって行われた全国をまわる講演旅行のことを年譜に載せると、「こんなことまで載せるなんて馬鹿じゃないか」と言って削ってしまったり、収録する文章も、戦意高揚の文章など都合の悪いところを削る人もいた。でも大正作家はそれらを削らなかったですね。志賀さんも削らなかった」(@大久保)だとか…何となく、大正作家の方が昭和作家よりおおらかというか、器がでかいよな(笑)

 この辺りについては「戦前の文士は自分の駄目なところを正直に言っていたし、自分がこんなに恥ずかしいことをしてきましたということを書いてきていた。隠すようになったのはやはり戦中戦後、特に戦後からじゃないですか」(@大久保)に「そうだねえ、特に私小説作家の場合がそう」(@阿川)だそーなんですが、一口に作家と言っても色々あるんですねぇ…

 さて、アリス的に被るとこといえば文士は食べ物にうるさいのとこでしょか?「食べ物の味がわからん奴には文学の微妙な味わいがわからん、という考え方が文士たちの間にはありましたからね」(@大久保)だそで、魚、魚、魚のアリスもやはり文士の端くれか(笑)日本人だと皆、それなりにグルメなとこありそーで(笑)「南蛮、狄北、東夷、西戎、みなな中華に朝貢してくる周辺国は、料理もだいたい支那料理の系統なんだけど、日本ははっきり違うスタイルを作り上げたね」(@阿川)と…日本料理、和食とは世界的に見ても異質なのか?まず水ありき、だからなぁ…外ではうかつに水にさらせないってとこが、もーアウトでしょ(笑)

 他にアリス的なとこでいくと教育問題のとこでしょか?准教授、というとこで、昔の留学とはどーゆーもんだったのか?というとこが出ています。杉田主馬がケンブリッジに英語学と戦時行政学を学びに渡欧する時の大臣の言葉「「おッ、そんなことは何ァんにも勉強せんでいいぞ。ただ彼らがどういうものの考え方をするか。それだけしっかり身につけて帰ってきてくれ」と言われたそうです」(@阿川)何とゆーか、昔の方が教育の王道が分かっていたのかも(笑)

 翻って最近の教育はとゆーと「日本の財界や経済界には、ほんと腹が立ちますよ。浅知恵、思いつきで教育に口を出してくる。小学校で起業家精神を育め、金銭教育をしろ、パソコンを教えろ、英語を必修にしろ、大学では卒業して産業界ですぐに役立つ人材を養成しろとか。傍若無人です。国賊です」(@藤原)と先生、歯に衣をきせないきせない(笑)教育界も思うところが物凄くあるみたいで更に、「ちょっと経済界は図に乗っています。バブル崩壊以降、不況克服のためなら何をしてもいいんだと、政府も官僚も国民も信じ込んでしまった。それに乗じたのか、経済人は不況の責任を感じることもなく、むしろ自らの責任を糊塗するがごとくに、社会を変えろ教育を変えろと、昔から日本の美しい国柄を片っ端から壊そうとしている」(@藤原)、たかが経済のくせにふざけんなっという事らしーです。儲かれば全てが許されるって、セレブ気取ってもやはり成金にかわりなしなんでしょかねぇ…

 ちなみに「文科省は弱小官庁ですから、経済界の意向を受けた内閣府や経産省、金融庁などの言いなりなのです」(@藤原)は昨今のどこぞの経団連を見るまでもなく、何となく納得かなぁ?教育どころか、島よりも国よりも金だもんなぁ…どこから変わってしまったものか?「日本では金持ちは威張らないし貧乏人は卑下しない」(@チェンバレン)とか「日本に貧乏人は存在するが貧困は存在しない}」(@モース)だったのに…金に使われるよーになっちゃー人間おしまいだよと昔の人は知っていたとゆー事か?

 英が出てきたところで、英で米人か?と訊かれたら、心の底からバカにされている事なんですねぇ…アングロ・サクソンの同族嫌悪もまた激しいと…ウルフ先生に聞いてもいいんだろうか?ちなみに英人にとっては「危機的状況になったときに最も値打ちを発揮するのがユーモアだという」(@阿川)だとか、「どんなに頭がよくても、家柄がよくても、人格が高潔でも、ユーモアがないと紳士の資格がないと言うんです」(@藤原)うーん、英の教育というか、環境も半端ねぇーとゆー事か?どんなに追い詰められてもいつも心にユーモアをって、英人どんだけぇー(笑)

 同じく教育と言っていいのか?昭和21年に「GHQの指令により日本の修身、歴史、地理を教えることを禁ず、とあるんですよ。私は中学生でしたけど、「日本の歴史を教わらないということは、俺たちは日本人をやめろということか」と言った覚えがあります」(@半藤)成程、日本は歴史を消したとよく非難されるけど、最初の一歩は米だったのかぁ(笑)

 後アリス的なとこというと鉄道関係で(笑)鉄な人にとっては時刻表は愛読するものなんですね(笑)それにしても鉄道系では四国が一番遅かったとは…坊ちゃん鉄道の県じゃなかったのか?未だに電化とか未通なとこありだそで…JR四国は大丈夫なんだろか?ガソリンが不足したらどーするのか?港湾に力入れているからオケという事なんだろか?

 他に気になったとこでいくと海外と日本の記憶関係といおーか?で、「(柴五郎が)義和団の乱で北京の外国公使館区域が包囲されたとき、五十五日間にわたる八か国連合による籠城戦を指揮して、その冷静沈着な指揮振りと清廉な人柄が世界中の賞賛を集めるんですね。籠城して活躍した数十名の日本軍兵士ばかりでなく、救助に向かった第五師団の兵士の、その優秀さや勇敢さ、略奪や強姦を絶対しなかった規律正しさがイギリスやヨーロッパの新聞でも連日のように報道されて評判になった。敗残した清国兵も勝利した欧米各国の兵も、当然の権利のようにそういった蛮行に夢中でした」(@藤原)何だかなぁー…本当に向こうの新聞に掲載されているなら、戦中戦後の掌返しが凄いよねぇ…軍国主義に蛮行の限りを尽くした日本人ですからねぇ…リテラシーについてはどこの国も皆レベル低いという事か(笑)

 更に藤原先生によると卑怯という事では「昭和20年8月9日にソ連が満州に侵攻してきたのは、まさに火事場泥棒です。ソ連は日本がポツダム宣言を受諾した後も南樺太や千島列島に侵攻しています。そのうえ60万人もの人間を抑留し、何年もの間、強制労働をさせました。あれは永遠に許してはいけない卑怯な行為です」(@藤原)戦争とは、掠奪ごっこの事なのか?約束を守らないというのが日常茶飯事の国多しだしなぁ(笑)

 戦争当事者としての言が残るのも今位までかもなぁと思いつつ、「台湾の人たちもあれにはびっくりしたんじゃないかな。日本人がいなくなって解放軍が来たと思ったら、解放軍のほうがずっと残虐で程度が低かったんだから」(@阿川)台湾とどこぞの国の違いはここから来てるとか?

 昔の事ばかり取り上げてしまいましたが、現代のお話もたくさんあります。歴史を振り返れば今が浮き彫りになるのが常道ですからねぇ…詳細は本書をドゾ。対談本なので口調は非常に軽いですが、中身は濃いぃぃぃです(笑)最後に本書で一番ハーヘーホーと唸らされたお言葉は「最近の日本は権利ばかり主張する。昔から日本では権利を主張するなんてのは、さもしい考えだったんです」(@藤原)さもしい、何か久々に聞いた気がするが、さもしい日本人というのは、言いえて妙かもねぇ(笑)自覚しているか、どーかは別にして(笑)

 対談者は、三浦朱門、藤原正彦、村上龍、阿川佐知子、大久保房男、半藤一利、原武史、養老孟司

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