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2013年9月28日 (土)

おれのはなしをきけ(笑)

地震雑感 津波と人間 寺田寅彦随筆選集  寺田寅彦・著 千葉俊二・細川光洋・選  中央公論新社

 寺田寅彦というと、どーも夏目漱石を思い出してしまうのですが、明治というより大正、昭和を生きた人だったのか?それはともかく、本書は寅彦先生の地震関係のエッセイと、日記、手紙をまとめたものらしー…で、先生の地震とはあの関東大震災であり、昭和に入ってからの三陸の地震や東海以下の地震と、よく考えなくても昔から日本は地震国家ですから…そして震災者としての日常についてもあるのですが、科学者の眼としての地震と震災、復興についての着眼点がこれまた寅彦先生らしーと言っていいのか?いえ、今読んでも遜色のない言葉の数々には驚かされまする…マジ、騙されたと思って読んでみその典型な本じゃなかろーか?

 まぁ何より物に対するソレ「現代文明の生んだあらゆる施設の保存期間が経過した後に起るべき種々な困難がぼんやり意識された」とか、「質の研究の出来ていない鈍刀はいくら光っていても恰好がよく出来ていてもまさかの場合に正宗の代りにならない」とか、「永い使用に堪えない間に合せの器物が市場に蔓り、安全に対する科学的保証の付いていない公共構造物が到る処に存在するとすれば、その責を負うべきものは」果たして誰でしょーってか(笑)今だと想定外なので責任ありませーんという、とても素晴らしい論理が成り立っておりますので、大丈夫ですっ先生(笑)

 ちなみにその責任について「多くの場合は、責任者に対する咎め立て、それに対する責任者の一応の弁解、ないしは引責というだけでその問題が完全に落着したような気がして、一番大切な物的調査による後難の軽減という眼目が忘れられるのが通例のようである」とはとはとは…先生、どっかの記者会見見てきたのでしょーか(笑)いえ、絶対に安全なんですよ、想定外以外は絶対に安全なんですよ、おぞーさん(誰?)

 アリス的に地震というと、蝶々か、残酷なになるんでしょーけど、いやーチリ地震、何年前だ?な感覚だったので、関東大震災なんかだともー80-90年前?でして繰り返すソレに言葉も無いよなぁ…当時の問題点だったところは未だに問題点として残る訳で…これが人間の業って奴なんでしょか?

 経験は人を育てると言うけれど「この苦い経験の記憶がいつまでつづき、この心掛けがいつまで忘れられないでいるかということが問題である」って…喉元過ぎたら熱さ忘れる国民性は昔から変わらないのか…寅彦先生は「再び襲って来る災いのために、我々の子孫がまた今度と同じ、あるいはもっと、もっと苦い経験を甞めなければならないような日が来るのではあるまいか」と憂慮なさっておりまする…

 耳に痛いお言葉は更に続いて「今の人間が昔の人に比べてちっとも利巧になっていないのではないか。進歩しているのはただ"物質"だけではないかという気がしてならなかった」と言うのは、いやはや全くご尤も…

 昔つながりでいけば「昔の日本は珊瑚かポリポ水母のような群生体で、半分死んでも半分は生きていられた。今の日本は有機体の個体である。三分の一死んでも全体が死ぬであろう」と、寅彦先生は予測なさっておりまする…だからこその日頃の備えをという話になるのですが…かくて「昔の施政者の中には真面目に百年後の事を心配したものもあったようである」とな…ただし「今の世で百年後の心配をするものがあるとしたらおそらくそれは地震学者くらいのものであろう」とな…ええ、本当に必要なんですかぁーっ?ですからねぇ…現代は頭の中に今しかないんですよ、奥さん(誰?)まっ昔の人は碑を建てて子孫に警告を残していたりするんですよね…多分、国のトップというよりは村の人々によって…

 また、惨事には多い噂の類も「適当な科学的常識は、事に臨んで吾々に「科学的な省察の機会と余裕」を与える。そういう省察が行われるとこにはいわゆる流言蜚語のごときは著しくその熱度と伝搬能力を弱められなければならない」とな…国内国外含めてアレだよなぁ…もちつけという事でしょか?先生?

 自然のサイクルについては今更言わずもがなですけど、平時では人は皆奇麗さっぱり忘れているのもこれまたいつもの事で…警告に耳を貸す人がいないとお嘆きの貴兄ですが、問題なのは「文明が進めば進むほど天然の脅威による災害がその熾烈の度を増すという事実である」はまさにその通りでしょね…

 とまぁ、名言至言の数々ですので詳細は本書をドゾ。物理学者らしー卓見も並べば、庶民の日常生活にも触れるという先生に死角無しか(笑)面白エビも満載なのですが、興味深いエビ的にはどこぞの隣国について「昔から相当に戦乱が煩雑で主権の興亡盛衰のテンポが慌ただしくその上にあくどい暴政の跳梁のために、庶民の安堵する暇が少ないように見える」とバッサリ…4000年だか、5000年それやってる人達ですから、それにしても先生の時代の見解もソレだったのか…

 さて、翻って自国はどーだというと「地震の災害も一年たゝない内に大抵の人間はもう忘れてしまつて此の高価なレッスンも何にもならない事になる事は殆ど見えすいて居ると僕は考へて居ます」って、手紙で愚痴言っている先生、もの哀し…喉元過ぎたら、ですからねぇ…

 まぁでも本書的に一番アレな至言はコレではないか?と「日本人を日本人にしたのは実は学校でも文部省でもなくて、神代から今日まで根気よく続けられて来たこの災難教育であったかもしれない」って…ある意味打たれ強いのか?ただし喉元過ぎれば、ですけど…さて、どーよ(笑)

 目次参照  目次 理系

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