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2013年10月10日 (木)

エリートの責務は公益への奉仕にある。

ローマ人の物語 19 悪名高き皇帝たち 三  塩野七生  新潮社

 前巻で暗殺されたカリグラに代わって四代目に即位したクラウディウスの治世がメインでしょーか?それにしてもローマ帝国の為に新たに始まった皇帝としての統治、帝政ですが、これは皇帝の資質がモロに出る職業という事でしょーか?出来が悪かったら、国が立ち行かなくなるんですよ、カエサル、アウグストゥスと超人なら何とかなったかもしれないけれど、あのティベリウスでさえ、最晩年はカプリ島に逃避しないとやってられなかった職業…これを普通の人に、もとい多少頭のいい人がやっても、才能ないと国家転覆しかねない話に…

 カリグラはむしろ頭いい人らしかったが、徹底的に統治能力がなかった人だったのが悲劇の誕生…そして、その後を継いだクラウディウスは皇帝職棚ぼたラッキーなお人ではなかったよーな?ちなみにティベリウスの甥にあたり、という事はあのゲルマニクスの弟にある人…この時、50才となっており、それまでローマの公職らしい公職についた事のない人だったと…では何をしていたかというと今で言う歴史学者、歴史家として地味に生きていたみたいなのでした…

 ちなみに、ローマでは名門のクラウディウス家出身者、ここでは筆頭といっていい立場にありながら、ローマでの成人男子が目指す公職から遠のいていたのは何故かというと、身体的に今で言うならやや身体の不自由な人と言っていいのか?だったせーらしー…当時のローマ的理想が、健全な肉体に健全な精神が宿るですから、クラウディウスは好きな歴史に囲まれてひっそりと生きていた模様…

 そんな彼が紀元14年に皇帝に即位する訳です…若い男に懲りた元老院は50才過ぎなら逸脱しないだろーと安定政権を望むで継承はスタートしたとな…

 アリス的にローマ…今回のクラウディウス帝は、こー言っては何だけどミステリ的には死体役がよく似合うタイプかなぁ?最初に殺されて、何故彼が?とミステリ的文脈が流れていくと、動機のある人がたくさん浮かんでくるよーな(笑)皇帝なのに不遇の人生だったよーな気がするけど、彼の治世で前任者のカリグラの失政はほぼ修復しているんですよね、行政能力としては歴史学者だっただけに前例にことかかないから、一つ一つクリアしております。ええ、それは熱心に、真面目に取り組んでいたんですよ…

 まず、カリグラが残した負の財産、財政破綻を増税ほぼ無しで再建します。税務の公正性を徹底させもするんですね…そして頓挫していた外交問題に着手すると…一つはマウリタニア王国(北アフリカ)の反乱、クラウディウスは反ローマには断固とした姿勢を貫き「力を借りての反乱を起す相手には、こちらも力でもって対す」というローマ式対応でクリアすると…次にユダヤ問題、緩やかなといっていいのかローマ帝国圏内でユダヤだけは異質の存在の最高峰といっていいのかもの世界ですかねぇ…政治は政治、法は法、神は神と分離していたローマと違って政教一致って、まさにドンダケェー…でクラウディウスはどーしたかというとティベリウス方式を徹底させたとな…水面下では不満があったものの取りあえず表向きは落ち着きを取り戻した、と…

 そして、残るはブリタニア問題とな…ティベリウスの治世の頃にガリアで反乱があったとな…その中心人物達がドゥルイデス教の祭司達だったと…で彼らの逃亡先がブリタニアだったとな…そして歴史は繰り返すってか、ブリタニアがケルトの中心地になるのはローマの安全保障上も宜しくないと、あちらの部族にローマ覇権下が脅かされているとなれば、ローマ軍団の出番なんですよ、奥さん(笑)てな訳で、ブリタニアもローマに下る訳です…

 何のかんのと言いつつ、仕事は真面目にクリアしていたクラウディウスでありました…元老院にも真面目にちょくちょく顔を出し、裁判なんかも出席して、そのマメさ加減はティベリウスの対極にいる感じでしょーか?ただ、これだけ頑張っているのに、評価されない人というか、ついでに言うと人との縁の薄い人だったのがこの人の最大の不幸だったんだろーなぁ?と…

 まず、幼少期からそんな生活だったのでクラウディウスの味方って兄のゲルマニクス位しかいなかった模様…クラウディウス家、名門中の名門の御曹司なのに日陰者みたいに陽光の外にいた人というか、人に顧みられる事がなかった人だったのに、皇帝になっちゃった…スポットライトの下で、良かった探しはそんな人生だったので権力者にありがちな派閥に一切属してこなかった事…そして悪かった探しは人材がいないですかねぇ…

 今まで身の回りにいた人達はほぼ家に居て采配してくれていた奴隷達だったりするんですよ…彼らは殆どギリシア人で、能力のある人達だったんだけど、身分的には奴隷だと…さて、皇帝業務をするにはその雑務をする人がいないと成り立たないと…今で言う秘書的な存在というか、官僚的存在というか、これをクラウディウスはこの奴隷達に割り振ってしまうんですね…となると、元老院の議員が皇帝に面会となっても奴隷を通さないと会えないみたいな話しになって、何で奴隷に頭下げなきゃならんねんという不満が内包されていくと…まして奴隷、よるべき家系もないとなればすがる先はマネーとなり、金権政治に流れていく傾向も出てくると…官僚が金に走るってローマの昔からそーなのか(笑)

 更に、当時の皇帝の妻メッサリーナも悪妻の道にレッツラゴーとな…この方、クラウディウスの三番目の奥さんになるのだけれど、何と年の差35才、ピチピチの16才ってか…全くもてなかったらしークラウディウスなんですが、それでもこのクラウディウスという家門は名門中の名門、嫁のきてはあった模様…ええ、政略結婚そのものですが、何か?ですね…それでも日の当たらない歴史学者やっている分にはまだ平穏だったんだけど、夫がある日皇帝になったら、セレブな生活というより天井知らずの生活が待っていたと…これにこのメッサリーナも溺れてしまう訳です。まるでカリグラを見るよーだが、若さってこーゆーとこに出やすいんだろーか?

 とはいえ、クラウディウスは奥さんの行状には関心が全くなかったと見えて、放任主義の限りを尽くしていたんですが、仕事も忙しいしね…ところがメッサリーナは愛人と結婚式を挙行してしまう事態に…どんだけ夫をないがしろにしたら気が済むのか?ちなみに皇帝なんですけど(笑)さすがに重婚はやばかったと見えて、これにて失脚…自死という名の処刑ですかねぇ…ただこれで皇帝は奥さんすら御せないと市民の笑いものになってしまうんですが…

 続いて郵便制度やらオスティア港の造営とか、ガリアの議員の受け入れとか、歴史的業績を残してはいるんです。後から考えたら、凄い事業なんですが、クラウディウスの名声は今一なんですね…それはというと、やはり悪妻ですか?そーですか?

 男60才にして愛人も二人はいたと言うから、別に再婚急がなくてもよさそーなもんなんですけど、独身だと落ち着かない男って何だろ?とにかく自分とこの秘書官達が選択した嫁と再婚する事になる訳です。これがゲルマニクスの娘アグリッピーナなんですね…そしてこのアグリッピーナは秘めたる野心満々の烈女だったとゆー事でしょーか?

 皇帝の妻になって、いずれ皇帝の母になり、帝国を牛耳る。ローマの統治を夢見てのご登場でございます…その駒一が叔父であり、結婚相手のクラウディウス、駒二が息子のドミティウス、彼を即位させて自分の采配でローマを動かす…その為にはまず連れ子のドミティウスに皇帝にふさわしい教育をと文ではあのセネカを、武ではブルスを配置するんですね…そしてまんまと連れ子のドミティウスをクラウディウスの養子にしてしまうんですよ…

 クラウディウスには実子のブリタニクスがいたにも関わらず、ついでに言うとその姉のオクタヴィアとドミティウスを結婚させる訳です。外堀は殆ど埋まったってか(笑)

 権力を我が手にとなれば、後は邪魔な夫を排除するだけ、クラウディウスの好物だったきのこ料理を出させ、毒殺してしまうんですね…そしてドミティウスが皇帝に即位すると、ちなみに養子になった時に改名していてネロ・クラウディウスと言いますよって…これを元老院も市民達も歓迎する訳です…元老院的には秘書達、所詮は奴隷の傲慢さにカチンときていたし、昔から官僚って嫌われる存在だったのか(笑)市民達は妻にあしらわれていた皇帝を軽蔑していたそな…うん、自分達の皇帝はどんな時も人々の上に君臨するでっかい太陽な存在プリーズですかね…小者感漂っていたクラウディウスは、幾ら統治能力発揮しても、人気なかったんですよ…

 かくして紀元54年、人々の期待を受けて、五代目皇帝ネロが舞台に登場すると…その活躍は次巻を待てってか(笑)

 さて、カエサル、アウグストゥス、ティベリウス、カリグラ、クラウディウスと見てきた訳ですが、この中で一番同情しちゃうのは、今のとここのクラウディウスでしょーか?いえ、皇帝なんかなりたくないではティベリウスもあると思うんですけど、クラウディウスはこの中で感性が一番普通のおじさんだったよーな?やるつもりもなかった皇帝職を身の丈に合わないと分かっていながら、コツコツと務めた人ですかねぇ…本人的にもー少し他人の視線を気にするべきだと思うけど、ずっと日陰にいたら他人の冷たい視線も流す方向でになってしまうんでしょーか?

 せめて奥さん運だけでも人並みであれば、また違った人生だったと思われですけど、ついでに言うと一人で生きられるタイプだったら、これもまた違った人生だったと思われなんですけど、歴史にIFはないからなぁ…それにしてもローマの皇帝職、人気と実力が問われる過酷な商売ときたもんだ、とゆー事なんでしょか…

 目次参照  目次 文系

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