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2013年10月23日 (水)

美味しいは正義っ(笑)

食卓の風景  池波正太郎  新潮社

 作家のエッセイ、食編でしょーか?でもどちらかというと日常そのもののよーな気がする?子供の頃に食べたご飯、青年期の頃のご飯、戦中・戦後のご飯に、座付き脚本家の頃のご飯に、作家になってからのご飯とそれぞれに違う側面があり、そして、それでも池波節は終始一貫してるかなぁ?一番顕著なのは、戦中、物資乏しく、著者は海軍に所属して山陰地方にいたみたいなんだけど、港で鯖を購入して一夜干しならぬ一塩でしめて、酸味に夏蜜柑を使用して隊員中に好評を得るなんて生活しているんですよ、戦況思わしくなく、絶望的に暗い状況の中でも著者の視点には、にちにちの事が普通にあると…美味しいものは、どこでもいつでも美味しいですよね、それが生きているって事でしょか(笑)

 で、まぁ時代小説家だし、東京生まれの東京育ちだし、戦前の生まれだし、京都に通うように旅行していた人だし、と何となく和食、それも山海系のご飯かなぁと思うやんかぁー?でも、その実、本書を拝見していると成程、寿司好きなのは分かるにしても、かなりの頻度で肉食系が出張っているよーな気が?明治の維新後、昭和に入ればもー肉文化は末広がりに広がっていたとゆー事が分かる気にさせられるよな?

 ちなみに著者は子供の頃、祖父と二人で牛鍋(すき焼き)食べに行っているみたいだし、しかもじー様、他の家族には内緒だよと孫に念をおしているし(笑)

 アリス的に肉となると、ダリ繭のフレンチレストランのステーキがまず浮かぶんですが、それ以外でも海奈良で鶴橋に焼肉食べに行きましょうと言う位だから、肉も日常身近だよね?異形でもサイコロステーキやボタン鍋食べているし、ローストビーフもあちこちに出ているよーな?でも、こーして見るとアリスのお肉ってまず牛肉なのか?と思ってしまったり?さすが、関西、肉と言えば牛なんですね(笑)

 著者の子供の頃のお気に入りが、カツレツ、シチュー、カレーライスとある辺りは、まさに昭和の男の子そのもの(笑)その中でもこのカツレツ、トンカツとポークカツレツは違うそーで、その違いが分からないとアレですか(笑)ちなみに著者は、豚肉を揚げるだけの簡単な調理のはずなのに家庭ではその味が出ないとして、うちで食べたいと思った時はお肉屋さんでカツレツ買って帰って家でカツ丼にして食べるのだそーな…カツレツ道も厳しいものが(笑)

 そんな訳で自然外食となる訳で、その著者的双璧が、煉瓦亭(銀座)ととんき(目黒)という事になる模様…お味は勿論の事だけど、著者が薦める、もしくは贔屓のお店は、どちらかというと雰囲気が良いお店というか、従業員がサービスを分かっていて、それでいて楽しい雰囲気のとこなんですね…どんなに美味しい、評判のお店でも店員さんの態度で二度と行かなかったり…センセー人を見る目が鋭すぎますっ(笑)逆にそーゆーお店に遭遇すると「未来が信じられてきます」(@常連)となる訳で、この頃はリストラと無縁の従業員を大切にする風情があったのかなぁと…

 あちこちで結構、凄いお店にも行かれている著者ですが、それでも京都でコロッケとか、スパゲッティとか、ビーフと野菜のサンドイッチとか、カツレツとか、インデアン・チキンとかとゆー街の洋食屋さんメニューもお気に入りみたいで…そりゃ、毎日仏料理のフルコース、懐石料理のオンパレードみたいな生活はないよねぇ…三食お寿司とか…ある意味、トースト一枚の朝食もあれば、お茶漬け一杯の夕食もあるとゆーのが、現実って事じゃなかろーか?と…著者は億万長者のはずなのに、どこか庶民臭さが抜けていないというか、地に足がついたごく普通の生活をしている感じかなぁ?見栄張らないっていうか(笑)

 だからって妙につましい感じでもなくて、昼からステーキだっガオーッの日もあると…料亭行って、美味しかったし、サービスも良かった、ちょっとお高めだけどそれだけの値打ちはあると判断して、すぱーんと通っていたりするんですよ(笑)こーして見ると生活に大切なものはメリハリかもしれないなぁと(笑)

 アリス的には、京都や大阪の名店についての話しもあるんですが、詳細については本書をドゾ。で、どーしてもアリス的に一つ上げない訳にはいかないだろーというとこは、カレーライスの章ではなかろーか?しかも、著者のカレーの思い出も小学校とつながっていたりして、カレーとは学校との縁が強いものなのか(笑)それにしても戦前の小学校の先生はあんなにデキタ人ばかりだったんだろか?仁徳が今とは全く違う気がするのは気のせい?単に著者の先生運が良かったのか?カレーというより、この先生特集だけで一冊本が出来そうな気がするんですが?

 他に著者的に思い出のカレーというと銀座モナミのカレーライスだそな…後は渋谷のムルギーのチキンカレー…ちなみに著者宅の自宅カレーは、カレーライスではなくて、ライスカレー…言葉の違いにご注意を(笑)

 アリス的にも一つというと、酒の章の飼い猫の件…「ところで、私が飼っているシャム猫は、清酒が大好きだ」って…猫ってお酒飲むんですね?著者の膝にのって酒を飲む猫…それを見下ろしている先生…何か北白川でもそんな風景ありそーな気がするのは気のせい?ウリとコジの二匹が下戸で、モモちゃんがウワバミだったら面白そー(笑)

 後、どーしてもアリス的に上げておかないといけないとこは梅雨の湯豆腐の章なんですが、湯豆腐の話しというより著者の短編小説のタイトルなんですね…で、その主人公の彦次郎の裏稼業が殺し屋で、彼が夜中に悪夢を見るという件を説明しているんですが「これまで自分が金をもらって殺した人たちの流血が、夢の中で彼を苦しめているわけだが、これは実際、この小説を書いているとき、私が、そうした夢にうなされたのであった」とあるんですよ…海奈良再びですか?ここは素直に准教授のソレと重ね合わせるか?それとも、アリスの執筆時はどーよの妄想してみるとか?気付かないフリをしているアリスも相当ストレスためていそーだけどねぇ…

 個人的に、本書で一番おろろいたのは東大寺の結解料理の章でしょーか?「むかしむかしから、東大寺の重要な法会が終わったときや、村方が年貢を納め終えたときなどに、寺が出したものだそうである」で、食事だけじゃなくて演出も昔基準なので座布団一つないそーな、暖房は手あぶりのみ…菜の酢味噌和えと奈良漬、白砂糖をそえた小豆餅、揚豆腐の澄汁、お酒に、ほうれん草のひたし、そうめんのだしかけ、凍豆腐、煎餅麩に針生姜をそえた吸物、薩摩芋に揚物、浅草海苔、陳皮などなど…この数だけでも大変な大御馳走のはずだったと思われなんですけど、味はというと「もちろん、私などには、「おいしい」とは申せない」というのが正直な感想…ただ、味以上のその場の雰囲気とか、人とかがこれまた全く違う、別世界の話しのよーなんですね…幽玄とでも言うべきか?日本人としては一度はこーゆー世界を垣間見とくべきじゃないかなぁ…「得るところが、すくなくなかったのである」だからこそ…

 さて、最後に相変わらず著者の昭和な女性観もところどころで炸裂していたりしますが「女が専門の料理人になれないのは、ここのところであって、毎日、神経を一点に集中し、昨日も今日も変わりない美味さで料理をつくることが、実は、生理的・体質的に、女にはむりなのである」とかね…本書の女性登場指数第一位は堂々著者の母親でしょねぇ…何とゆーか、さすがバツ2で息子二人女手一つで育てたお人という、東京下町のオッカサンって感じでインパクト大なんですけど、その中でも秀逸なお言葉を一つ「母は眼を細めて、甘鯛を食べ終え、「もう、死んでもいいくらいにうまかった」と、いいさし、ちろりと私をぬすみ見てから、こういった。「でも、私が死んだあとで、テレビが、どんなにおもしろい番組をやるかとおもうと、こころ残りがしてねえ」」お後が宜しいよーで(笑)

 目次参照  目次 食物

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