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2013年11月17日 (日)

そして本は巡る?

パブリッシャー  トム・マシュラー  晶文社

 サブタイトルが、出版に恋した男なんですが、英大手の出版社ジョナサン・ケイプ社の出版人(社長?)だったお人の自伝…出版者としては「2000年末、イギリスの業界誌「ブックセラー」に「今世紀の出版界でもっとも影響を与えた十人の出版人」の一人の選ばれた」お人なんですね…まぁ著者の下で本出した作家、十人以上がノーベル文学書をとっていらっさるそーなのでおしてしるべしですかねぇ(笑)成程ストックホルムというより、欧米か(死語?)なんだろか(笑)

 ちなみに著者はブッカー賞の創設者でもありまして、この辺りは英国の菊池寛というとこか(笑)とにかく、英と米の作家遍歴が凄くて登場する作家の数が尋常じゃないんですよ、奥さん(誰?)フィクションには全く無頼漢の己でも知ってる名前がぞくぞく登場してきまする…その他、演劇、映画、画家に写真家、絵本、料理etc.まで手広く出していらっさいます(笑)

 まぁ、この手の本というか、男の自伝というと、仕事の話か、趣味の話か、家の購入(男の城)がメインの話が多しなんだろなぁと思ったら、その通りでした(笑)生い立ち的にはベルリン生まれでごたぶんにもれずWWⅡで英に脱出してきた一家から、出版界に入って成功しました、挫折もあります、でも大丈夫みたいなノリっすかねぇ?まぁ、とにかく一時代を築いたお人ですから凄いお話でございます。例えばロアルド・ダールとか、カート・ヴォガネットだけでも一冊本になる位の交友があるみたいだし(笑)

 ただ、まぁ個人的好みというか、読後の正直な感想から言わせてもらうと、仕事に生きた男性というので思うのは家族と社員は大変だろな、と…著者とお近づきになるのなら作家以外、もとい才能のある作家以外ではアレなよーな気がするのは気のせいか?いえ、悪い人ではないですけどね、むしろとてもいい人のよーですけど、まぁこれが英米的なんだろなぁと…後、男の自伝に添えるなら一昔前は華麗なる女性遍歴もあったけど、こちらはそれはないと…既婚者の場合はなくなったよねぇ(笑)

 アリス的には出版業界の話がメインですので、きたこれになるのだろーか?作家的なではなくて、編集者的な視点というか、まさに業界の中の人的なそれですから、むしろここでは片桐さんにご登場願った方がいいのか(笑)後アリス的なというと、トム・ウルフのとこかなぁ?何がと言えば「当時も今もトムのトレード・マークは真っ白なスーツだ」でしょ(笑)しかし、本書にも出てくる素朴な疑問、染み一つない白のスーツってあるんですか?な世界が展開、オチは本書をドゾ。

 本書の初っ端が、ヘミングウェイの遺稿集めを手伝う若き日の思い出から始まっているんですが、かの移動祝祭日の舞台裏ですかね…文芸的には暴露話になるんだろーか?残された奥さんとか、残された家とか、残された原稿とか、いやまぁ米的なんだなぁと…

 こーしてビックネームから始まったそれはアンドレ・ドイチェ社に入社し、次にマクギボン・アンド・キー社に転職し、ペンギン・ブックスに行き、ジョナサン・ケイプ社に行き着くとゆー職遍歴なんですね…この間にも作家や出版人の名前がズラズラ出てきまする…例えば若き日のコリン・ウィルソンのエビ「作品は魅力的で、同時に読む喜びがあった。この作品をドイチェにもっていくべきだと思うかい、とコリンに聞かれたが、ドイチェについては含むことがあったので、ほかの出版社へもっていったほうがいいと思うな、と答えた」とな…ちなみにこれが後のベストセラーとなった「アウトサイダー」だそで…出版人のアレについての詳細は本書をドゾ。

 ケイプに入ってからの作家との交流の詳細については本書をドゾ。綺羅星のごとく世界的に著名な作家陣がズラズラズラりと並んでおりまする(笑)例えばウィリアム・スタイロンのとこでは「ナット・ターナーの告白」原稿について、「あれほどすばらしい作家に、新作の冒頭部分を読んでほしい、と言われてどんなに鼻が高かったか、想像していただけるだろうか」とか、「ノーベル賞は自分がその作品を出版した作家に授与される賞というより、自分に授与された一種の戦利品だと思っている出版人は多い」とか、ちなみに「残念ながらイギリス人作家がスウェーデンの芸術協会に気に入られることはめったにない」そな、ホンマでっかぁ(笑)これまたちなみに英で一番権威がある賞はサマセット・モーム賞だとか…

 まぁ基本著者は前向きにのお人らしー「出版にたずさわっている人ならほとんど誰でも、60年代の終わりから80年代初期にかけてのジョナサン・ケイプはイングランドで最高の文芸出版社だったと認めるだろう」だそーなんですよ、おぞーさん(誰?)この価値観に立脚して本書全般が成り立っている訳で、よーするに多少紆余曲折があったとしても勝ち組の本だという事でしょか(笑)「大げさな言いかただということはわかっているが、ケイプで仕事をしていた三十年のあいだに、一週間に一時間以上、わたしが積極的に楽しめないことをしていたかどうか怪しいものだと思う」そーですよ、姐さん(誰?)他にも、「わたしがいなかったら、いま観たばかりの映画は絶対に制作されなかったからだ」とか(笑)

 で、やはり作家も税金問題には敏感と見えて、レン・デイトンのとこで「彼ののように大当たりした作家がイングランドで支払らわなければならない税金は納得がいかないほどの金額になる」そで、そのせーかは知らないけどアイルランドに引っ越ししたそー…他にも税関連のオチっぽい話がチラっと出てきますが、結構有名作家たちが国外に脱出しているのはお陽さまだけじゃなさそーだよなぁ?この辺りはグローバル化の一端なんでしょか?成功したら海外に住もーってか(笑)

 作家エビでも色々本当に色々掲載されているんですが、一番らしーというか俗っぽいとこでジェフリー・アーチャーのエビかなぁ?「それはわたしが「発見した」どこまでももうけ主義の作家は彼だけだったからだ」で、そのアーチャーはというととある駅の売店にアーチャーの本だけが人目を引くように並べてあった件で「どうしてこういうふうにしたんですか、と店員に聞いてみないではいられなかった。店員の話によると、ジェフリーがわざわざランチに招待してくれたので、お返しにこうしたまでだということだった」とな…ベストセラー作家の道ってこれやったんやぁーってか(笑)アリスも、ど(笑)

 後、これまた時代的な事になるんだろーけど、インドにわざわざ自然の虎を見に行って、「マリファナが手に入らないだろうか、と聞いてみた」とか、アレン・ギンズバーグとのトレッキングのとこではLSDが出てきたりします。他にも、サンローランのとこにチラっとあるよなですけど、一昔(?)前ではこれが普通だったのか?何か自然に出てるよなぁ?

 さて、本的には豆知識も満載で、例えば世界最大級のフランクフルト・ブックフェアとか、英でも科学者がパンピー向けの本を書けば「許しがたい罪」だとなり、しかも売れたりしたら「厳粛な科学界で威信を失う」だろーなんですねぇ…どこも権威主義は同じか(笑)後、英では翻訳小説は「まったく採算がとれない」のが普通らしー…まぁ米でベストセラーでも英では売れないがよくある話みたいで、同じ英語でも壁はあるって事ですかねぇ?お得意のグローバルはどこぉー(笑)

 メイヨー・クリニック(米・ロチェスター)は世界最大級の医療センターだとか…米つながりでいくと「ワインを飲まないアメリカ人の自宅では自分のことしか考えない」という説があるそーで、別にワインに限らないんじゃゴホンゴホン…他に英的なとこではウェールズでコテージを購入する談のエビ…既に2000£で売約済だった場合、どーするか「二千ポンドより高額で買うといったら売る気になりますか」と訊く事なんですね、分かります…だってその答えが「すべては金額によりますね」なんですものぉー…さすが紳士の国は違う…

 紳士の国という事で、「若き世代の発言」の中のジョン・オズボーンのお言葉「彼は、イギリス女王を、「一本残らず虫に食われてしまった歯にかぶせた金冠である」と定義したのだ」の件とか、マーガレット王女とディナーのとこでは「王女がどの程度スノードン卿をきらっているのかわからなかったし、初対面の人間に彼のことをえんえんと話すほど嫌っているのかどうかはさらに謎だった。夫として、一人の男として、さらに父親としての彼を王女は口汚くののしっていたが、あれほど的を射た言葉はわたしには思いつかない」とな…英国王室のお家騒動ってダイアナだけじゃないんだぁー(笑)

 最後に日本的なとこで、「悪魔の詩」(サルマン・ラシュディ)のとこでラシュディ自身は常に、出版社(ペンギンブックス)の社員自身も「身の危険を感じていた」とあり、「この本を出版したノルウェーの出版人に銃弾が三発撃ち込まれて死体が自宅の前で放置され、日本の翻訳者は刺殺された」とな…確か筑波の先生だったよーな記憶があるんだけど?英はともかく全世界的にもアレだったのか?これまた詳細は本書をドゾ。

 とはいえ、著者はどちらかというと日本が好きではないのだなぁかなぁ?一つはピーター・メイル、あの「南仏プロヴァンスの12ヶ月」の作者のとこでメイルが南仏にいられなくなった事情を説明する件があるのだが「想像していただきたい。たとえば、団体旅行者を乗せたバスがあなたの家の車寄せで停車し、降りてきた40人の日本人全員がカメラを向けるのはもちろん、サインをもらおうとあなたの著書をにぎりしめているのだ」とな…何故に突然日本人、しかも観光客のステレオタイプ?メディアの最前線にいる人も日本ってこの認識なのか?メイルのファンは日本人だけなんだろーか(笑)

 で、真打はジョン・レノンのところ…ビートルズの頃のレノンのあの絵本なのか?イラスト・エッセイ本といった方がいいのかの本を出版したのもケイプ社だそーで、世界的ヒットになった模様…で二冊本を出してしばらく後にレノンから「グレープフルーツ」の原稿とオノ・ヨーコを紹介される訳ですね…「わたしは引き受けなかった。著者もだ。著者の名前はヨーコ・オノ。ジョンがオノのように冷やかで、ユーモアもわからないような感じがする女性にのぼせあがっているのは火を見るよりあきらかで、そんな彼を見るのは悲しかった」そな…

 更にオノ・ヨーコと結婚する件に至っては「ジョンは愛すべき妻シンシアと別れて「われわれの時代における屈指の大恋愛」を開始し、ジョンとたいへん親しかった大勢の人間ですらすっかり当惑してしまった」となるよーです。英の文壇?文化界はそゆ雰囲気だったのか?何かどこぞの監督を見るよーなんて言ってはいけないか(笑)

 で、レノンが射殺された後に弔問に行くシーンがこれまた凄い…「彼女に会うのは、奥まったところにあるマフィアのボスの私室に入って行くようなものだった。壁は黒っぽく、かすかな明りがついていて、気味が悪いほど静かだった。幅が狭くて座り心地の悪いベンチに座ったまま四十五分も待たされたあげく、ようやく案内されて彼女の前に立ったが、自己紹介するよう求められた。わたしがジョンの著書を出版した人間だということを百も承知のうえでだ」と恨み節がパネェ…

 かくて「彼女と心を通わせることはまず不可能だと思った。だから会う約束を取り付けるのに数か月も折衝を重ねてきたが、十分そこそこでその場を辞した。悲しみをともにできればと思っていたのだが、彼女はそんな思いをまったく受けつけなかった」とな…さすが有名人、アポイントメントだけで数か月とはおそれいったけど、それって遠回しにお会いしたくありませんって話じゃなかろーか?と思うのは日本人的な気のせいか?多忙なので、もしくは悲しみに取り乱しているのでそのお気持ちだけ頂戴しますみたいな?

 まぁ著者の中でドイツと日本のイメージは相当にアレみたいだからなぁ?独的なとこはブックフェアの章をドゾ。ただ、も一つ言えるのは著者は一段上にいる女性は苦手だったんじゃなかろーか?かなぁ?たいていの殿方はそーだとしても(笑)なんたってローレン・バコールのとこでもヴァネッサ・レッドグレイヴのとこでもアレというか、本人的にはオケでも女性側からしたらどだろ?的な何かがあるよーな気がするのは邪推のしすぎかなぁ?

 何はともあれ、他にも著名作家目白押しですので、興味のある方は本書をドゾ。

 目次参照  目次 文系

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