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2013年11月27日 (水)

しかしまあ、そんなことはどうでもよいのである(笑)

快楽図書館  澁澤龍彦  学研

 タイトルがタイトルなんでアレなんですが、これまた著者が著者なので、まっそーゆー本です(笑)21世紀になっても澁澤節は変わらずでしょか(笑)内容はとゆーと、本の解説、感想、紹介、総じてエッセイになるのかなぁ?で、その本はというと古今東西何でもござれという感じだろか?洋の東西を問わず、デカダンもあれば、ミステリもあると…相変わらずの博覧強記振りはオサスガとしか言いよーがありませんが…

 うーん、今にして思うと発禁のボーダーラインって何だ?の世界ですけど、当時はワイセツだそーで…「ワイセツ以外の理由で発禁処分をくらわせることは、憲法で許されていないのである」そな…そーだったのか?

 当時、著者は丁度それで被疑者だか、被告だかにかかわずらっているとこもあったりして、勢いがふつふつとしているとこもありですか?それにしても知らなかったのですが、日本のソレもアレだけど仏にもその手の感覚ってあったんですねぇ?いえ、愛の国だからオープンマインドだとばかりと想定していたらサド全集とかの海外への発送なんかも「その内容が風俗壊乱のおそれありと認められた場合、税関をパスしないことがある。中華意識のつよいフランスの役人は、そうした種類の本を外国に向けて出すことを国辱だと思うらしいのだ」そな…コキュの国じゃなかったのか?というか、愛に寛容な国だとばかり思ってますた(笑)

 ちなみに日本の発禁の方は裁判まで行くのは珍しいんだそな…理由は「日本の出版人や著作家が一様に腰が弱くて、権力の網の目にとらえられることを極度に怖れているからだろう」とな…本書当時では戦後のソレはチャタレイ事件のみらしい…

 とある某大手の出版社でサド全集を出そうという話になった時に「訳者として名をつらねていた高名な医学博士某は、あらがじめ翻訳文を警視庁の風紀係に見せて、許可を得てから出版したらどうだろう、という奇怪な意見を出したそうだ」とな…言論の自由と表現の自由はどこに行っただの世界か?ちなみにこの件は「それは検閲制度復活をこちらから催促するようなものではないか」という事で却下になったらしー…「このような無節操、デタラメな人間がいるから、ますます官警がつけあがるのである」って、著者は相当怒っていらっさる模様…

 「出版人や作家が卑屈であればあるだけ、取締り当局は陰険になる。現在では、再犯のおそれのない場合には、押収された書籍、紙型を放棄すれば起訴猶予となる、というのが常識らしい」そーですよ、奥さん(誰?)何でこんな事がまかり通るのかと思っていたら、どーも警察はちゃんと取り締まっていますよという「役所仕事の点をカセイでいる」かららしー…はぁもー何だか、なんまいだぁーな世界か(笑)

 で、「今度のサドの場合も、出版社に対して、押収物件を放棄すれば起訴猶予にする、ということを警視庁側はほのめかしたらしい」とな、でも出版社側は、だが断る、で「検察庁はやむを得ず起訴に追いこまれた。じつに、このように腐敗し切った社会では、バラドシカルなことが起こるものだ」って…もー著者は裁判の前から達観の境地に見えるのは気のせいか(笑)

 かのような著者の本のエッセイ…ええ、一筋縄ではありませんの事よってか(笑)

 アリス的に澁澤龍彦…うーん、どなんだろ?本書にも幾つか推理小説のエッセイもありまして、例えば「近年、疑似科学主義的合理性と小市民的首尾一貫性への徹底的な愚弄によって、探偵小説にまったく新しい次元を切り開いてきたのは、ジョン・コリアやサキの系統を引く「奇妙な味」の作者たちと、ある種のSF作家たちである。将来の推理小説は、必ずやここから発展するにちがいない」という件があったり…

 「推理小説を推理小説たらしめる要素を否定したところで成立する推理小説こそ、真に推理小説をエンターテイメントから文学に高める媒介になるような、独創的な作品といえないだろうか」とか…どゆ推理小説という前に、何回推理小説って単語が出てきたんだろー?と気になってしまいますた…他にも「推理小説としての最高の技巧は、読者をしてそれが推理小説であることを忘れさせるような、推理小説的技巧ではなかろうか」とか、繰り返すミステリーってか(笑)ちなみに「文学に改良主義はない。あるのてはテロだけだ。そしてミステリ小説的技巧こそ、このテロリズムを決行するに最も有力な武器なのである」とここまでくるとアジっているよーにしか見えないんですけど、澁澤先生(笑)

 とはいえ「推理小説という言葉は、本格長編だけに限定したいものである」というのは、アリスも手ばなしで賛同してくれるのではなかろーか?でもって「探偵小説が市民社会の健全娯楽でなければならないという不文律」があるとは知りませんでした…そーだったのか?アリス(笑)

 ポーの項ではポーと比肩する作家は「彼以前にあっては「天地の結婚」を書いたウィリアム・ブレイク、彼以後にあっては、多少の躊躇を怖れずに言えば、「木曜日の男」のG・K・チェスタートンのみであろう」と言い切っていらっさるし、「ポオ、コリンズ、ディスクン・カー」の名を上げていたり、翻って日本のミステリ界で「戦後五人男」として名があがるのが「香山滋、山田風太郎、島田一男、高木彬光、それに大坪砂男」という事になるそな…そーなのか?アリス?と人間データベースに問いかけるとか(笑)

 ちなみに「小説というものは、読んでおもしろくなければ仕方のないもので、おもしろくもない小説を我慢して読むやつは、よほどのバカと考えなければならぬ」という事になるそーな…先生、手厳しい(笑)「げんに発表されている日本の多くの文壇小説は、しみったれた平均人の日常をだらだらと描写しただけのもので、義理にもおもしろいとはいえないものが多い」って、先生、手厳しい(笑)何か泣きが入りそうですが、そんな著者が太鼓判を押す作家が「夢野久作、久生十蘭、そして小栗虫太郎」だそな…

 小栗は黒死館殺人事件とかあって、この〇〇殺人事件というタイトルだけでアリスは反応しそーだけど、先達のそれの解説なんかお願いしたら凄い事になりそー…特に小栗の場合はリファレンスの方が凄い事になりそー(笑)ある意味、ユリシーズより楽しめるかもしれないってか(笑)

 ミステリのお話が出ているとこだけでもこれだけありますよって、ええ著者の本領発揮なとこはそれこそいぱーいありますので、詳細は本書をドゾ。その手のそれとしても豆知識満載で、例えば「「浮気」という言葉は、たしかに日本語特有のものであって、ヨーロッパには、これに相当する言葉がないのである」とか、「フランスはむかしから、高名な作家や詩人が匿名でポルノグラフィーを書くという、はなはだ文化的な伝統があり」だそで…メリメ、ミュッセ、ゴーティエ、マラルメ、ヴェルルーヌと日本だと袖の下出版だけど、仏的にはマントの下出版があるそーな…そーだったのかぁ(笑)巨匠のポルノ…何か聞くだけで凄そーな気がするからアレだなぁ(笑)

 殿方の下半身事情としては「男である以上、ゲーテ、ミケランジェロ、バルザックなどよりも、むしろカザノヴァになりたいと思うのは当然であろう」(@シュテファン・ツヴァイク)というのが一番正直な告白のよーな気がする…ただしこれ38才までのカザノヴァだよなぁ、きっと(笑)

 他に著者らしーお言葉としては、翻訳に対する評価というか、スタンスでしょか?「山崎庸一郎氏の訳文はきわめて明晰で、よどみがない。とくにラテン語の固有名詞の表記が正確で、よく統一がとれているのに感心した。一般に日本の外国文学者は、この点に非常に無神経で、英語読みや仏語読みをごちゃまぜに使うことが多いのである」とは…そーだったのか?日本の翻訳技術は世界一とまではいかなくても相当高いレベルにあるとは聞いた覚えがあるんだけど、そーでもないのか?でも日本の知性のトップの人達が翻訳して下さるのはありがてぇーの世界だよなぁ…日本の良かった探しというか、良心ですか?ちなみに著者も自分が訳したバタイユのとこで「ぜひもう一度、私の訳で読んでいただきたいと思う」と言い切っている位だし…「翻訳の問題は、出版社と翻訳者の良心の問題であり、あいまいにすべきではない。私にしたところで、いつでも自己批判する用意はある」とこれまた言い切っていらっさるし…うん、読み易い翻訳本がある日本で良かったってか(笑)

 まぁ啖呵を切っているとこでは科学者に対してのとこで「「科学の進歩には想像力の限界以外に限界はない」かどうか知らないが、いやしくも科学者である以上、このくらいのタンカが切れるようでなければ、情けないような気がする」とはけだし名言ではなかろーか?

 どこを開いても名言の嵐で、しかも本人が「わたしは人間観察にも心理分析にも文明批評にも、もういい加減退屈している男」なのだそーだが、これもなかなか言える科白ではないよーな気がするが、最後に一つ、真打はこれだ的で「今日、商売繁盛しているかに見える多くのやくざな小説家諸君は、あと二十年もすれば、すべて泡沫のごとく消え去るであろう。しかし稲垣足穂さんの業績は、作者が好むと好まざるとにかかわらず、消えないであろう」と稲垣足穂の項にあるんですけど…作家の普遍性というより、作品の普遍性がどこまで続くのか…知る人ぞ知るといったとこなんですかねぇ?

 他にもたくさんたくさんたくさんエビ満載ですので、詳細は本書をドゾ。ドゾ。ドゾ。

 目次参照  目次 文化・芸術

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