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2014年1月27日 (月)

信用第一(笑)

名銀行家列伝  北康利  中央公論新社

 サブタイトルが、日本経済を支えた"公器"の系譜とな…それにしても日本の銀行の系譜って、「明治五年(1872年)、江戸時代までの両替商に代わり、アメリカのナショナルバンク制度に範をとった近代的銀行制度が導入されてからなのである」だそで、まぁ日本的に何か来たぁーっは、幕末・維新後か、WWⅡ後かが多いからなぁ(笑)

 かくて、戦後の固定金利の時代となれば「預金をたくさん集め、たくさん貸せば、利ザヤは一定だから自然と収益が出た」の世界だったんですねぇ…不動産も自然と上がっていけば、それを担保に幾らでも貸せた時代だったと…ある意味「銀行員が最も勉強しない時代だった」とな(笑)まぁ護送船団方式の終焉で、銀行も格差社会ですか(笑)

 で、結局「銀行がバブル膨張の先兵となり、それが破綻した際には、つぶれるはずのない銀行がつぶれていった」とな…「まさに日本経済の地獄絵図を、金融機関自身が演出してしまったのだ」とな…でもその自覚ある銀行というか、金融会社ってあるのか?と素朴な疑問が(笑)

 まぁ何にせよ、かのギリシャ危機を見るまでもなく「危機の発火点が国家の財政赤字である場合でも、まず問題になるのは金融機関が健全でいられるかどうかだ。血液の流れが滞れば、企業は死に、国家も死ぬ。そういう意味でも、間違いなく銀行は"公器"なのだ」とな…まぁ貨幣経済の世界ですけん、流動性はまさに流動性なんですよねぇ(笑)

 ででで、本書はそんな社会責任を背負い込んで、国の発展に尽くした男達の歴史ですかねぇ?いやもー荒波の中を行くぜというか、行くしかなかったというか、凄い人達がズラズラと並んでおりまする…こーして見ると昔の日本人が凄かったのか、今が情けなさすぎるのか?それが問題だっ問題だってか(笑)

 アリス的に銀行…営業時代的にはありえるのか?作家時代的には税金のお話なんでしょかねぇ?まぁ本書は個人的なお話より、むしろ国家レベル的なお話でして…何つーても初っ端が澁澤栄一ですからねぇ…「わが国資本主義の父」だそで、そしてその規範となったのが「論語と算盤」とな…ちなみに澁澤が設立、支援した組織って、第一国立銀行、日本銀行、東京銀行集会所、大阪銀行集会所、東京海上保険、日本郵船、日本鉄道、東京地下鉄道、東京石川島造船所、鐘紡紡績、札幌麦酒、東京瓦斯、大阪瓦斯、東京電燈、帝国ホテル、東洋紡績、日本製紙、王子製紙、太平洋セメント、清水建設、澁澤倉庫etc,と今でも聞けば成程なビックネームがズラリ…

 しかもこんだけつくって、財閥形成した訳でもなく、むしろ業績が安定してきたら自分はさっさと身を引くって、どんだけぇ…ちなみに今に残る家訓「澁澤家には、"投資の業または道徳上いやしむべき職につくべらかず"という家訓があるんです」(@)澁澤健)とな…とはいえ、「イノベーションなしに経済の継続的発展はない」でして、チャレンジあるのみの世界か?何にせよ、明治のお人は近代化の急務を熟知していたという事でしょね?マネーゲーム的なギャンブルではなくて、国の存亡を賭けたギャンブルに生きたというべきか?

 更に目指したところが「民を富まして後に教えん」という孔子のお言葉の実践ですか、「ビジネスに社会性やモラルを求め、恵まれないもの慈愛の心を示し、国に頼らずに民の立場で国家を支える」って、これぞ男の生きる道ってか…ちなみに日本初の社会福祉施設「東京養育院」を設立したのも澁澤なんですよ…

 まぁ何にせよ、社会あっての銀行である事を自覚していた人かなぁ?決して銀行あっての社会じゃないよな(笑)「銀行と社会が"win-win"の関係であることこそ、サステイナブルな銀行経営であろう」は確かにと頷くしかないよーな…勝ち組だの、一人勝ちだの高らかに叫んでいる人が多い昨今だと、澁澤的健全性はどこにいったと思うものじゃね?

 次に出てくるのがこれまた安田善次郎…安田財閥の創始者という事になるんでしょか?今の富士銀行の創始者となるのだろぉか?これまた何とゆーかスケールが違うの世界でして、こちらに掲載されている人達は皆大物ばかりなりだけど、先の澁澤とこの安田がその中でも頭抜けてパネェと思うのは気のせいか?

 アリス的なとこでいくと大阪銀行の頓挫というか、空中分解か?なとこで「政府としては同行(第三国立銀行)を商都・大阪に置くつもりで鴻池善右衛門を中心とした大阪の豪商たちに設立認可を出し、紙幣まで刷りはじめていたにもかかわらず、発起人の間で対立が生じ、設立が無期延期状態になってしまったのだ」とな…大阪ェ…で、これを引き受けたのが安田とな…

 そして安田は日本銀行設立にも関わる訳で…この日本銀行の方は「ベルギー中央銀行の組織を範としながらも、両替商の伝統の良い部分を引き継ぐ折衷方式」で設立したとな…銀行つくるに米を手本にして、中央銀行は白を手本にしてって本当日本人って、お手本の良いとこ取りが好きなんだなぁ…

 ちなみに日銀代理店制度も安田案だそーで、これまでの自分とこの銀行に打撃があるのは承知で改革を進めたというから、凄い…しかも日銀が出す「布告文の草案」まで安田が書いたとは…明治の昔から官僚って仕事していなかったんだなあと納得ってか(笑)

 他にアリス的なとこでは「大阪港築港」の件での、当時の大阪府知事だった西村捨三との関係はこれまたパネェので詳細は本書をドゾ。後に第一次松方内閣の農商務次官に抜擢されても安田との融資の約束があると工事の面倒を見続けたとな…かくて西村が生存中は工事は進むだけど、病死後は…皆まで言うなの世界か(笑)「事業の成否は一にも二にもその経営人物の如何にあるという思いと新たにした出来事であった」とな…ちなみにこの縁で「富士銀行が関東系の銀行であったにもかかわらず大阪府のメインバンクの一角を占め続けた」そーで…何事も人の縁と器量って大切だとゆー事か(笑)

 この安田のインフラ整備を大切に、社会資本あっての国の繁栄のスケールは当時的には群を抜いていたんじゃあるまいか?何たって、あの後藤新平の都市計画や、東京-大阪間の高速鉄道案や、小口預金の拡大でお金を世界に回してみんなwin-winを夢見ていたみたいです(笑)しかし、それにしても明治の時代で新幹線を予見していた訳だから、凄いよなぁ…最後はテロに倒れる訳ですけど、社会が激変、格差社会の増大となればセーフティ・ネットが何よりも急務という事なんでしょかねぇ?安田がもー少し長生きしていたら、どんだけスケールの大きい事をしていたのか?と気になるところでもあるんですけど(笑)

 そして三番手にやってくるのが福沢諭吉の秘蔵っ子、甥の中上川彦次郎で、こちらは三井銀行中興の祖、ついで言えば慶応グループの礎を築いた人とも言うのか?まぁ福沢諭吉という人のスケールもこれまたパネェお人であった訳で、彼の構想に生命保険会社、災害保険会社、近代書店兼総合商社、外国為替専門銀行等があって、それを実践していったが慶応大卒のメンバー達、そのメンバーの活躍場を与えたのがこの中上川という事になる模様…

 で、この中上川とはどゆ人かとゆーと「中上川という人は、一旦決めたらテコでも動かない。だからあの人の下に使われておる者は非常に楽です。世の中には計画を立ててやっておるうちに、悪口をいわれるとグラグラする人が多いが、あの人には絶対それがない」(@池田成彬)とな(笑)かよーに気骨のある人がいたんですねぇ、日本にも(笑)エビ的になるほろなぁなとこが、山陽鉄道を敷設する際に「当時は鉄道局経由で購入し、鉄道局の官僚がマージンをとるという悪い慣習があったが、中上川はそれを許さなかったため鉄道局の役人には評判が悪かった」とな…成程、国鉄、国交省昔からズブズフやん、ズブズブやんかだったんですね、分かります(笑)

 アリス的というと鐘紡紡績に端を発した大阪戦争でしょか?経営改善に職工の優遇策を出した辺りが、実に福沢的か(笑)人を大切にしない企業は、皆まで言うなの世界か(笑)歴史ってこあい(笑)で四番手がその中上川の娘婿となった池田成彬なんですね…吉田茂の私的経済顧問とでもいいましょーか?

 銀行は一発屋であきまへんの世界で、まさに継続こそ力なりの住人のよーです(笑)なので「絶えず健全な財務状態でいようとするサウンド・パンキングが求められる」とな…よーはリスク・マネージメントができるか否か、それが問題だというより、銀行の浮沈にかかわる問題だなんですよね(笑)

 かくて、日露恐慌、第一次大戦後の不況、関東大震災と、大嵐がどかんどかんとやってくるとな…そこに東京電燈(東電)の再建でんな…関東大震災で電柱がみんな焼けたとなれば、その再建が大変なのはトーシロにも予測がつくけど、事はそれだけじゃくて「大正十二年に社長になった若尾璋八が乱脈経営を起こしたのだ。彼は甲府財閥のドンとして知られる若尾逸平の娘養子。怖いもの知らずで会社を私物化していた」とな…成程、東電の取締役ご一同様のソレは伝統芸能だったのかぁーっ(笑)この後、WWⅡが来るで戦後復興くると池田の戦い続くってか(笑)

 五番手がコバチューこと小林中、こちらは日本開発銀行の初代総裁となった人物…ちなみにコバチュー曰く「俺は仕事を何一つやっていないが、ただ一つ、政治家が融資を頼んできたら断るという仕事だけはやっている」そで…そー嘯けるコバチューはねぇ…復興期に復興を牽引していく銀行はかくあるべとを実践したお人と言うべきか(笑)「"政府系金融機関かくあるべし"という範を示し、わが国の軌跡の復興を支えた功績は大きい」とな…

 何といっても圧巻なのが、あのドッチ・ラインのドッチを前にして一歩も引かなかったところかも?後にドッチが「何と言っても彼にはフロンティア・スピリットがある!」と絶賛した程だから、わかろーというもの(笑)だから大蔵省に対しても「君たちはなぜわれわれ民間人を起用したのか?そんなことを言うなら明日から君たちが勝手にやりたまえ」と啖呵を切れる人物だったんですね(笑)今も昔も役人って言うのは「強引に指導していこうとする」人達の群れなんだなぁ…まぁそれが当たりならともかく、たいていはドベより悪いんじゃね?か、いらないんじゃね?の世界だからなぁ(笑)

 それにしても鳩山一郎内閣が発足した時って結果、「財界のほとんどすべてを敵に回した」んですね…これも伝統芸能だったのか(笑)そして六番手が財界の鞍馬天狗とうたわれた中山素平、ヒーローなのに影でそっぺいと呼ばれていた男なんですね(笑)

 でまぁ池田成彬が三越再建に日比翁介を信じて大金を勇姿したよーに、結城豊太郎も「担保に頼らず、経営者の資質と事業内容を見て融資判断をするように大きく舵を」切った人だったし、いやまぁ「企業を支えることこそ興銀の社会的使命」ではありますが(笑)そして中山という人はスペシャリストというよりジェネラリストなお人だったと…エリート街道をまっしぐらに進んだ人ではなくてむしろ寄り道が多いんじゃね?な苦労人だった模様…

 世の中捨てる神あれば拾う神ありで、陰日向なく生きれば人望と信頼が集まるんですね…人は見ているもんなんですよ(笑)これが後の中山の口癖「経営者や後継者にはどのような時代にも共通したタブーがある。それはなりたがる人を社長にしたらダメということです」に繋がるんだろか?とかく殿方って、しゃちょさん、と呼ばれたい世界の住人だからなぁ?まず己の分を見ろよってか(笑)

 ちなみにあの山一証券問題も新日本製鐵誕生も第一次オイルショックも引きうけたお方なんですよ…「本業もしっかりせずに財界活動ばかりしていては、勲章ほしさゆえの売名行為と思われても仕方ない。ちなみに中山は、人間の値打ちを役所に決められるのは抵抗があるといって勲章も断っていた」という人物…一民間人に徹するその姿勢はパネェという位じゃ済まないよな…しかもスケールは国単位、経済全体、日本民族ご一同様とな(笑)

 そして七番手に登場するのが磯田一郎、いやまぁ本書的には番外編というとこに落ち着かせたい模様だけど、住友的にはどよ?かな(笑)詳細は本書をドゾ。まぁ結局「ワンマン体制となった時、その権力の頂点に立つ者の人間性が問われる。"権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する"というアクトン卿の有名な格言があるが、自分の意のままに組織が動き、周囲に茶坊主が増えてもなお、自分を厳しく律していられる人間は少ない」に集約できるのか?ちなみに磯田のかつての言が「私心があってはいかん。周りが納得しませんよ。卑しい人はトップになる資格はない」ですから(笑)

 トリを飾るのは松沢卓二、富士銀行に松沢ありとまで言われた御仁ですが、金利自由化の頃に活躍したお人と言うべきか?詳細は本書をドゾ。どちらかというと日本のトップは、義理人情の世界に生きる親分肌な人が多いよーに見受けられるけど、こちらは冷徹な理論家といった向きが強いか?まぁ金融の正論に生きた人かなぁ?他のメンバーに負けず偉大な人なので詳細は本書をドゾですが、個人的には「竹下登首相が消費税導入を行う時、斎藤(英四郎)とともに財界のまとめ役を引く受け、積極的に賛成に回っている」で、うーむ…ですけどねぇ(笑)

 他のも多彩なエビ満載ですので、詳細は本書をドゾですが、まぁ21世紀に入ってからというよりも、上記じゃないけど消費税を導入した辺りから銀行は下り坂というか、合併への道に突き進んだよーな?銀行を支えるものは、歴史の重みと規律だというけど、歴史はともかく規律の方は、ねぇ(笑)「銀行の使命は、高い社会的信用を保持し、豊富な資金を供給することで、経済の支えとなることである。社会の公器として、銀行の使命は重い」と後書きにあるんですけど、信用は既に落ちたし、経済の支えも公的資金投入の世界ですからねぇ…回りを支えるじゃなくて己に注いでもらっている事態は如何なものか?と(笑)その高い規律とやらではどー判断してるんでしょか?とか(笑)

 それにしても今、澁澤や安田のよーな銀行家、金融家というか、トップがいたらなぁと思わずにはいられない気が…アクトン卿は権力は腐敗すると喝破したけど、継続も腐敗するんですよね…銀行業は継続し続けなければならないのも使命ですけど、その継続の為に本書で言うなら規律、組織内の自浄作用がないのならば本末転倒のよーな気がするのは何故なんだぜ(笑)合併しても器が小さくなるばかりじゃ、公器の名がなくと思うんですけどねぇ(笑)

 目次参照  目次 文系

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