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2014年2月24日 (月)

幽霊の正体見たり枯れ尾花?

毒婦伝説  大橋義輝  共栄書房

 サブタイトルは高橋お伝とエリート軍医たちでして、明治の女パネェというのが世間に席巻しているソレだろか?日本最後の斬首刑のお人ですが、まぁ所謂一つの殺人犯という事になるんでしょーけど、この毒婦だの淫婦だのというレッテルは、メディアの飛ばしだったよーで、それに世論もついていき、更に舞台で上演されると…

 で、本当はどゆ人だったというと、男運のなかった人かなぁ…最初の結婚はすぐに離縁したけど、まぁ14才だしねぇ…次の結婚では旦那さんがハンセン病に羅漢して、最後まで看病して看取っているし、ここまでは貞女の鑑とな…その後、内縁の夫の事業を助けて奔走するけど、これまたその男に能力がなく遊び人だったよーで借金がかさむばかりなりと、でそのお金の融通に一晩アレなら出してやるよと、これまたありがちなネタ…でもって、更に翌朝そんな金出す訳ねぇーとなって、カッとなってやった後悔はしているになった模様…ちなみにこの男との縁が異姉が愛人だったからなよーで、しかもその異姉も排除する為に男が殺していた可能性高しという間柄…

 なのに、世間では男を次々を引き込んで、殺しているという連続殺人犯にしたてあげられている訳だったりして…でもって、世間では皆それを信じていたとな…明治大正というか、戦前のジャーナリズムとか、脚本とか…やりたい放題だったのか?

 でで、話はそれだけで終わらない…斬首刑になった後、腑分け、死体解剖が行われて、そんなに淫婦ならという事で下腹部、所謂局部を取り出し、しかもホルマリン漬けにしたとな…そして、それを巡っての旅というか、本書は明治、大正、昭和、平成と続く数奇な話なんですよ、奥さん(誰?)

 アリス的にお伝…まぁアリスの雑学データベースにはありそーなだし、ついでに言うと犯罪絡みだからミステリ的にもあるのか?というより、むしろ准教授の方が専門に被るのか?世間的には美女が、色に絡んで殺人犯というとこれだけ尾ひれがつくというか、盛られるのが何とも気の毒…

 さて、そのお伝の解剖を行ったのが、執刀医が正原桂仙、八杉利雄、坂井直常の三人、助手に松井順三、江口譲、参加者に緒方惟準、足立寛、小山内健、小泉親正、伍堂卓儞、渋谷彦一、森正多太郎、高田忠良という面子…皆さん軍医というか、経歴的には錚々たるメンバーという事になる模様…でもって何故にといえば解剖実習だったとな…しかも千住のお寺の境内で…

 で悪趣味極まりない下腹部のアルコール漬け(ホルマリン漬け)は高田談によると「ついでにやった」程度の話だったよーで、著者によると「原桂仙と八杉利雄がお伝の腑分けではチーフ的な存在で、下腹部を抉り取りアルコール漬けにするというプランを実行をしたものと思われる」とな…

 ちなみに原の恩師が松本良順、この人十四代将軍徳川家茂の御典医だったお人…後に大日本帝国陸軍軍医総監(初代)となったそで、どもこの方の命令の下にこの腑分けが行われたのではないかと著者は推測していらっさる模様…

 八杉は二年後に陸軍本病院治療課長になったそで、その時の部下が森鴎外とな…伍堂は金沢医学館でオランダ医学を教授した人だとか、緒方は陸軍軍医学校の初代校長、足立は二代、五代の校長を務めていたそで、この腑分け、当時のトップクラスの医師達による解剖実習だった模様…

 さて、そのついでにやったアルコール漬けだかホルマリン漬けだかの下腹部の変遷はこれまた数奇な運命をたどるで、その後どこに保管されていたのかで戸山の陸軍軍医学校の病理教室に標本として陳列されていたよーで…ちなみにこれまた、1923年に創刊された人類学・考古学・民俗学等を扱った学術誌に「阿傳陰部考」なる論文が掲載されているんですよ、ちなみに書いたのは清野謙次…この方京大教授、病理学の世界的な第一人者という人だったとな…しかも人類学もやっているぜという方だったよーで…

 論文の詳細については本書をドゾ。性犯罪の解剖的見地とはこれ如何にの世界ですが、当時は大真面目にあると思いますの世界だったんでしょか?准教授(笑)で、この下腹部各所の数値が羅列されているそーでこれまたそれを計測したのが、中留金蔵一等軍医となる訳で、清野先生の数奇な結末の詳細も本書をドゾですが、この中留、何とあの731部隊に所属…ちなみに731部隊とは石井部隊と言われる程石井四郎は有名らしーけど、この石井も何と清野の教え子…731部隊って「清野-石井ラインの京都帝国大学医学部主導で作られた」とは知らなんだ…それに東大医学部と金沢医大の系列だとな…そーだったのかぁーっ?

 でまぁそんな陸軍にあったソレは戦後のどさくさで無くなっているんだろーか?と言えばさもありなん…何とデパートの催事に出店されているんですよ、それも「性生活展」の展示品として…そんな凄い催事やったのはどこじゃといえば松屋浅草店…しかも主催が総合科学研究会というのはともかく、後援が厚生省、文部省、労働省、東京都、日教組…なんじゃそりゃあでしょ(笑)でもって当時の記録、昭和28年以前の記録は松屋にはないそーで、まぁ今となってはどこも知らぬ存ぜぬ、皆GHQのせーという事になると(笑)「明治の毒婦高橋お伝昭和の浅草に正体現す!」でついに見世物ですよ、おぞーさん(誰?)

 更にお伝は巡るで昭和31年になると港区田村町のごみ捨て場に「ガラス角瓶に入った女性の下腹部の標本」が捨ててあったというからこれ如何に…ちなみにこの中身はええ、お伝さんでございますよ…で、持ち主が出頭する訳だけどこれが二木秀雄…「政界恐喝事件で家宅捜索を受けそうになった某氏は、この時、右翼系出版を経営していたという。部下が気を利かして証拠隠滅のために遺棄した」というのが事の真相らしーんだが、どーしてそれが一民間人の手にというとこちら「金沢医科大学で細菌学を学んだ元軍医で、731部隊では「結核研究」班の班長をつとめていた、という」人だったんですねぇ…またか731部隊…

 で戦後は何していたか?というと「右翼系の雑誌を発行する傍ら、731部隊の中心人物らと共に日本で初めての血液バンクを設立し、その役員におさまっていたのだ」とな…それが「日本ブラッドバング」…詳細は本書をドゾですけど、1950年に設立されて後に社名を変更するとそれがあの「ミドリ十字」…何かどこぞで聞いた覚えがあるよーな名前じゃね?となれば「1987年には米国アルファ・セラピュウテック社を買収。この子会社は、アメリカ貧民層の血液を安く買い集めて、親会社のミドリ十字に送ったといわれている。これが薬害エイズ問題へと広がり、社会問題となっていく」って…ちなみにミドリ十字って吸収合併の繰り返しで今は田辺三菱製薬となっているそな…

 まぁそれはともかく、角瓶の行方的にはどーも戦後のどさくさで二木が秘匿していたという事らしー…ちなみに二木の最晩年は大学の後輩の病院、医療法人Rクリニックに医師としてつとめていたそーだとな…既にお亡くなりになっているよーだけど、生前に離婚、子供にも敬遠されていたよーで、しかも引っ越し多しと、今となってはお伝の角瓶はいずこへ?の状態だとな…

 いやまぁ何ちゅーか、何ちゅーか?お伝のホルマリン漬けを巡る旅は、裏日本史というか、医学史、もしくは男のエゴ史かにつながる道だったんですねぇ…いや凄い…これを歩いてコツコツと一つ一つ探しあてた著者の根性もパネェと思いますが、これまた登場する人物達がこれまたアレで、R病院の院長先生の件もアレですが、東大の標本室の見学申し込についての責任者の博士が何とも…この会話が真実だとすれば東大薬学部にだけは近寄らない方がいーと思われ…

 逆にお伝の故郷の関係者はしみじみと古き良き日本人してて、泣けてくる…事実は小説より奇なりとはこの事を言うんじゃなかろーか?本当に凄いエビ満載ですので、詳細は本書をドゾ。ホントにドゾ…

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