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2014年5月22日 (木)

外から見て、中から見て、そして(笑)

フランス料理を築いた人びと  辻静雄  中央公論新社

 所謂一つの料理エッセイ本だと思われですけど、うーん…仏料理の伝道師を求めての世界かなぁ?いやぁ料理、作る事も大切ですが、その神髄に迫ろうとすれば、山の彼方の空遠くの世界が展開している模様…まして、それを仏人じゃなくて、日本人がやろうとすれば、どこでも立ち上がる疑問が出る訳で、本物の仏料理って何?みたいな(笑)いずこの国も皆それぞれに、料理だって皆それぞれにで、グローバルなとこと、ローカルなとこはいかんともしがたいとゆー事なんでしょか?

 まぁそれはともかく、本書で思ったのはやはり一番大切なのは人生の(その道の)師との出会いと質だなぁと(笑)というのも、著者に最初に西洋料理の手ほどきをしたコックさんは「気の弱い、うそつきの、生活のちゃらんぽらんな人だったようである。しかし、日本人の料理人の中にはこういう人もいるんだということを教えてもらっただけでも値打ちがある」そな…まぁ値打ちがあるは今だからこそ言える事だと思いますが(笑)

 でもって、ひょんな事から知った「アン・エピキュリアン・トゥアー・オブ・ザ・フレンチ・プロヴィンシズ」(サミュエル・チェンバレン/MIT教授・建築・仏民家史)でしょか?なんで建築学の先生が料理?となると、民家を求めてどこへでもで仏中くまなく歩き回って仏の生活に、料理にと視点がいっても不思議なしですか(笑)かくて、著者は米はマサチューセッツのチェンバレン先生の下に訪れる事にる訳で、これまた先生だったという事でしょか?素直に頭を垂れる者には、知の世界が開かれんの世界で、何と仏に行くならと名刺や紹介状まで書いてくれるお人だったんですねぇ…米にも紳士っていたんだなぁ…

 で、その先生が是非読んでおけと言った本が「ル・キュイズィニエ・フランセ」(ペルトラン・ゲガン)…前書きだけでも90ページもある本なんですが、「ゲガンを読んだおかげて、以後、どんなフランス人が書き残したフランス料理の歴史の本にも驚かされなくなってしまった」そで、「現代フランスの評論家の先生方がお書きになるものは、みなゲガンの剽窃にさえ近いといえることすら知ってしまったのである」とな…

 本(歴史)から知る仏料理あると思いますの世界か?いえ、現地に行けば行く程ベースがあるかどうかという事は大きく作用する訳で(笑)

 アリス的にフランス料理となると、ダリ繭の准教授のお誕生日会でしょーか(笑)34才独身男性、男二人でフレンチレストラン、記念日でっせって普通にある事なんだろか?と実に謎なんですけど、関西圏ではこれがジャスティスなのかなぁ?

 まぁそれはともかく、仏料理の歩みというか現状…ミシュランを見るだけでも初っ端の頃のパリの三ツ星レストランはその三十年後には一軒もなくなっているとこが、栄枯盛衰、パリも競争の激しい世界なんですよ、奥さん(誰?)そーゆー変遷を見ていくには、賛否両論いろいろあれどミシュランのそれも定点観測的にはあると思いますなのか?

 で、これまたありがちのネタだと思うけど、「料亭の料理を主人が作っている、あるいはその料亭に君臨している料理長がわざわざ手を下してあなたのために作ってくれていると考えるほうが思い上がっているのであって、私たちは毎日何十、何百と訪れるお客さまの一人にすぎないのだから、あまり期待してはいけないと言ったりするのは、皮肉に過ぎるであろうか」ですかねぇ…いや、全くその通りですけど、料理も、特に三ツ星レストランなんてそのファンタジーで成り立っている訳で、下っ端の新人の兄ちゃんが作った料理に幾ら原価が高いとはいえ、有り難がって頂く事は…ねぇ(笑)

 本書は有名人もたくさん出てきて、例えばあのアントナン・キャレームも出てきます。ちなみに1816年には英のあのプリンス・リージェントお抱えシェフしてたりするし…尤も八か月で退散しているみたいですけど(笑)プリンスから給料増額の引き留めがあったにも関わらず仏に帰国すると…仏人は仏人、仏料理は仏料理という事か?ちなみに皇太子殿下が国王陛下になった時も勧誘されたみたいだけど断っているそーで(笑)

 ちなみにキャレームって料理人のイメージがあったんだけど、元はパテシェエだったのか?自身でお菓子の本も出している模様…で、仏料理の組織序列みたいなのを見ると、まず「シェフがいてその下にスー・シェフ、次にトゥーリェ、そしてマルブリエこれはデコレーションをしたり大きなお菓子を作ったりする地位だが、その下に小さなお菓子やパルケットを作るギャトティエ、一番下にプティ・フールを作る連中がいた」とな…何つーか男社会という感じだよなぁ(笑)

 キャレームの逸話ではヴェルテュ平原での宴会が秀逸でしょか?最初に断っているとこですねぇ「外国駐留軍の士気を高め、ひいては祖国フランスの屈辱の上塗りをするような目的を持った示威運動に腕をふるえといってもそれは無理というものです」と答えたそな…で、時の仏外相(だったと思うが)タレーランのとりなしはともかく、ロシア皇帝のした事がこれまた「ツアーは将校に指揮をさせたコザック騎兵小隊をキャレームの家に派遣し、引っ捕らえてきたという」だそで、今も昔もロシアって…ついでに言うと料理をするにしても「音に聞こえた無法者の集団ロシアのコザック兵が群がっている中を通るのだからパリから運ぶ材料、食品など、へたをするとこの連中に掠奪される恐れまであったので、並み大抵の心労ではなかったようだ」そで、今も昔もロシアって…

 で、更に後にロシア皇帝から宮廷料理長に要請されるみたいだけど、それも勿論断っているそで…英であれなら、露なんて、ねぇ(笑)まぁでも研究熱心だったのでキャレーム自身は露宮廷料理も研究していたみたいですけど、「鷹揚に見せかけてはいるものの材料はあまり使うななどというケチの見本みたいなことを言い出す始末なので、ロシアの宮廷人たちのみせかけの善意に愛想を尽かして、パリの帰ってしまった」とな…今も昔もロシアって(笑)

 キャレームの目、例からすると世界最悪みたいに言われる英料理だけど、露と比べればアレなのか?まぁキャレーム的には露は「とにかくなにもかも気にいらなかった」になる訳ですから点が辛いには致し方ないにしても、いやまぁ何とゆーか、おべんきょになるなぁ(笑)

 過去ばかりではなく、現代の料理人達もたくさん出てきて、かのポール・ボキューズやラポルトとか出てきます。この時からバスク料理的なとこもフォローしている著者パネェ…はともかく、このラポルトの仕事事情がこれまた現代仏的なのか?というのも氏のレストランの隣でスナックをやってるで、オン・シーズンには午前四時まで営業しているという、「安くて、おいしく、手軽な食べものを提供しているこのスナックの方が、一流の料亭を経営するよりももっと実入りのよい仕事であり、これがあるからこそ一流の料亭を保っていくことができるのだということを強調している」とな…成程、世の中一握りの食の世界じゃなくて、大量消費、大衆社会だという事ですかねぇ…

 も一つ面白いのがポール・ボキューズのエビ、マック食べますか?に実はマックのミルク・シェークがお気に入りなんだそな…そーだったのか?ポール・ボキューズと言えば仏では人間国宝みたいな人だと認識していたけど、そこはやはり現代人だったのか(笑)

 レストランができたというのがかの仏革命以後という事になっているけど、比較対象という点では、当時のお抱えシェフだった時の方が「まだまだ幸福な時代に生きていた」とゆー事になる模様、というのもシェフが作っていたとしてもそれはその家庭料理という事になる訳で、これが外に開かれたそれになっていけば、客は毎回変わるやんけ、そしてその客は他店の料理を口にしているやんけと、となればミシュランじゃないけど比較は可能だよねの世界到来ってか(笑)

 後、伝説の料理人という事でフェルナン・ポワン、かのピラミッドのシェフ…これ仏的には金字塔ですよねぇの世界か?何にせよ、ここの門下生がこれまたパネェで、ボキューズやドロワグロといった人達も入る模様…うーん…仏の料理道も続く続くで続くなぁ…詳細は本書をドゾですが(笑)

 仏料理の金言としては「安くておいしい料理などということは、どの時代にも存在しないのだ」でしょか?大阪人のアリスが聞いたらどー答えるか見ものだと思うんだけど、まぁそれはともかく「高い材料費を使っておいしい料理を作るということは、これを食べることのできるお客さまが来るという前提の上にたつ」そで…何にせよ、客あってこそというか、所謂需要が供給を支配するじゃね?じゃね?あれ、仏ってまず供給ありきじゃなかったのけ(笑)

 料理人の職としての歴史も面白いというか、まさに歴史、13世紀の昔から記録残っているみたいですけど、王侯貴族のお抱えシェフから民間の料理人から、肉焼くとかソーセージ作るハム作るとか、鶏肉の権利とかまぁ色々細かいのは一つに税金問題が絡んでいた模様…実に仏的だなぁ(笑)これお店的なとこもアレでキャバルティエだとテーブルクロスをかけたテーブル、ナイフ・フォークで料理とワインの権利があったって…欧米の権利意識ってパネェ…

 後、昔のディナーって昼だったんですねぇ…どゆ事かというと、ヘンリー八世の時だと朝食が七時、ディナーが十時、サパーが午後六時となり、エリザベス一世だとディナーが十一時、サパーが午後五-六時となり、チャールズ二世になると午後四時半の前にディナー、劇場はねてからサパーとなった模様…まぁこれ王侯の動向ですが、18世紀の場合、職人はディナーを午後二時、商人は午後三時、事務員が午後四時、実業家が午後五時、上流階級は午後六時と時間によって身分格差が分かるってか?食習慣ってパネェ…

 その他、伝説の料理人やお店についての詳細は本書をドゾ。綺羅星のごとく並ぶでござるってか(笑)でもって、本的なそれは「十八世紀の風俗」(ビブリオフィル・ジャコブ)とか、「ミスフィカトゥール・エ・ミスフィカティェ・イストワール・コミック」(ポール・ラクロワ)とか「イストワール・ドゥ・ラリモンタシオン・エ・ドゥ・ラ・ガストロノミイ」(アルフレッド・ゴットシャルク)とか「フランス料理史」(クリスチャン・ギー)とか「イストワール・ピトレスク・ドウ・ノートル・アリモンタシオン」(ジョルジュ・エ・ジュルメーヌ・ブロン)とかetc.出て来る出てくるでして詳細は本書をドゾ、これでも多分まだ氷山の一角なんだろなぁ…

 とまぁ、色々色々ほんとに色々ありますので、詳細は本書をドゾ。ミクロな仏料理のエッセイは多いけど、こーゆーマクロのお話はなかなかないのではないか?と思うので、仏料理のおおまかな流れ、昔も今も知るならば本書を見たらとお薦めしとこー(笑)いえ、実に平易で軽く書かれているんですけど、奥行きがこれまた凄いんですよ、姐さん(誰?)

 目次参照  目次 食物

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