« みる目のある人(笑) | トップページ | ぴかぴか? »

2014年5月 4日 (日)

強弱勝敗を論じない。

身体を通して時代を読む 武術的立場  甲野善紀 内田樹  バジリコ

 所謂一つの対談集と思われなんですけど、武道家二人の…で、カテゴリー的にはむしろ文化・芸術に入れるべきかなぁと思いつつ、スポーツにしてしまいました…でも本書の内容はむしろスポーツとか体育という話より、教育とか、社会とか、これからの日本みたいな話のよーな気がする?かな?

 で、どゆ事というより、何故に武術、武道家?技じゃなくて社会一般?となれば、「武術というのは専門領域ではないからです」(@内田)となるからだ、という事らしー…これまたどゆ事とゆーと「武術家は定義上どのような問題についても適切に対処できなければなりません。極端に言えば、武術家は自分がその答えを知らない問題についても即答しなければならない」とな…何だってぇーっ?は何だってぇー?と思ったら、それは「武術というものの本質に由来する範疇的な要請なのです」とな…

 これまたどゆ事かと言うと、武術家とは「どうすれば自分の心身のパフォーマンスを最高レベルに維持できるか」(@内田)と精進し続ける人だとすれば、「社会全体のあり方についても配慮を怠ることがてきないということになります」とな…って、これ敵を知り、己を知れば百戦危うからずって奴の応用でしょーか?日常常に臨戦態勢とか?情報収集も分析も当たり前だぜとか?

 アリス的に武道、武術…うーん、アリスはどー見ても室内芸術家タイプだからなぁ(笑)いや、確かに趣味は旅行というとこはアウトドアタイプにも見えるけど、でも人里メインって感じだし(笑)ある意味、究極のシティーボーイ(死語?)だからなぁ(笑)身体を動かす、鍛える系ではむしろ准教授の方ですかねぇ?

 アリスに聞いてみたい的なとこではスランプに対する見解でしょか?甲野氏は今まで一度もスランプが無いそーで「スランプがあるというのは、要するに自分で「これはいいな」と認めたことがあって、それと比較してダメだと感じるということですから」となるそで、「これは私が本当に未熟だなと思うからです。骨の髄までそう思っていますから」となれば、精進精進、また精進でNext 1な世界か?武術家とは自分に厳しい人達なのか?

 教育論というか、最近の日本人論については、うーん…教育現場にいる人から見た学生ってこー見えているのか?的なソレがまたアレで(笑)コミュニケーションの作法が「発信することには投資を惜しまないけれど、聴くことにはあまり興味がない」(@内田)これは、己の肉体、末端に対しての自我、自分、脳との対応でも、他人と自分との対応でもそーという事らしー…で、それに絡んだ子育て論も展開してらして、詳細は本書をドゾ。結局のとこ誰もリスクを引き受けたくないという事なんでしょか…

 スケールのある人材をな話では、維新時には山岡鉄舟、勝海舟、成島柳北といった器量の人間が存在しえたという件は、何とも…ポイント1としてはこーゆー人が出てくる地盤が「江戸時代までは日本にも存在した」ということ、ポイント2は今の日本の中央省庁に彼らのよーなスケールに人間が「収まるはずがない」ということですかねぇ…明治以後「日本って、教育を含めて社会制度全体が絶望的に痩せ細っているんだなと思いますね」(@内田)となる訳でして…人を育てる道程のその全てにレッド・アラーム中なのかのか…

 昨今話題になったスポーツの監督・コーチ問題…「彼らにとっては、自分たちが一番いばっていられるか、自分たちの権威を守れるかが常に一番の関心事なのでしょうから」(@甲野)というのは、何もスポーツに限った話ではなくて、世間全般そんなもんに成りつつあるというか、そーだよなぁな世界だからなぁ(笑)国会中継から家庭内争議まで…内田先生はダブル・バインドの話を提示していらっさいまずか、これ教育現場でも、職場でもありがちな話ですよねぇ(笑)

 まぁ何にしても、己を知る、分をわきまえる、謙虚になる、他者に敬意があるというのが廃れて行っている感じかなぁ…武道なんかの流派についても「流派をつくるという人の中には、自己顕示的な欲求の強い人と、自分の中に、ある確信が生まれ、いままでとはハッキリ違ってきたので、そのことに忠実であろうとする結果、ある流派を興す人とに分かれるように思いますね」(@甲野)だそで、目的意識が違うという事でオケなんでしょか?先生…派閥争い好きだもんなぁ、日本人…

 結局、これまた行き着く先は人材のプールになってしまうんだろか(笑)「時代の転換期に体制順応型の生き方が国益にかなった例はあまりないと思います」(@甲野)に「いろいろなやり方がゆるやかに共存する、という社会組織を構想することが日本人はすごく不得手なんじゃないですか」(@内田)とな…固定化、均質化、マニュアル化万歳ってか(笑)

 後は、科学偏重主義にも一石を投じていらっさるとこかなぁ?科学的説明のつかない事はみんなペケとか(笑)「武術で「術」というと昔から、"不思議"というイメージがあるんです。術の妙という言葉もあります。つまり、論理的にはうまく説明がつかないということなんですよ」(@甲野)それが、できた、あった、目の前で展開されていてもそれは論理的ではありませんねで無い事になってしまう世界というのもいかがなものか(笑)よーは社会に余裕、ゆとりがなくなってきたって事ですかねぇ…

 ちなみに多様性について、「剣道や柔道も昔は日本中に何百も流派があったのに、統一させて価値観をひとつにしたもんだから、本当につまらなくなりました」(@甲野)とかもあって、みんないっしょでみんないいなんて世界はどこにもない模様…一つのルールの下に数値化していく事が合理的って奴ですかねぇ?

 さて、面白いと思ったのが天才の生き方でしょか?「一度うまくいったからといって、同じ「サクセス・モデル」を何度も使い回すというようなことは、天才は絶対しない」(@内田)でもたいていの企業って成功体験引きずっているよね?な世界だと思うんだけど?だから、いつまでたっても浮上しないのか(笑)

 さてさて、戦争と平和ではないですけど、これって「「戦争」というのは政治家が切れる一番強いカードですから、政治家がそういうカードを「使えるプレイヤー」になりたいと思うのはわからないでもないんです。これまでの日本の政治家はいわば国際政治のテーブルで「日本だけは切り札なしね」という「子どもルール」でカードゲームをやらされていたようなものですから、「オレもスペードのエースを切れるプレイヤーになりたい」と思うのは論理的にはわかる」(@内田)とな…でもって「ビジネスマンにとつては「戦争」というのは戦後60年間つねにビック・ビジネス・チャンスだったわけですから、「戦争」と聞いて思わず頬が緩むという不道徳な反応をするのも無理はないと思うんです。「国防上の急務」という大義名分がさえあれば、増税し放題だし、公共投資で飛行場も港湾も高速道路もトンネルも作り放題ですから、日本中のビジネスマンが無意識的に「戦争」を歓迎するのも、論理的にはわかる」とな…さて、その利害関係から外れている若者が賛成しているその理由とは何か?みたいな「ロマンチックな好戦気分」についての詳細は本書をドゾ。戦争、そんなに軽いものなのか?でしょか?まぁとにかく内田先生の至言中の至言は「バカは戦争しちゃダメ」に尽きるかと(笑)

 も一つ、内田先生の至言は「日本に限らず知識人の特性だと思うんですけど、自分の言っていることは全部「つじつまがあっている」のでないと気がすまないっていう人が多いと思うんですよ」ですかねぇ(笑)人とは矛盾の生き物であるってか(笑)自覚がないとはかく怖ろしの世界か…

 しかし、それにしても内田先生は今回弁が先鋒化してないか?歯に衣きせないでは「いま子どもたちを傷つけているのは、かたちだけの家庭です。金や権力や威信や情報に価値があるとする資本主義社会の原理をそのまま体現している成員たちが、社会の価値観をむき出しのまま持ち込んできたせいで、命令と要求と叱責のことばだけが飛び交うような家庭です。僕は、そんな家庭ならいらない、と申し上げたのです」と言い切っていいんですか?の世界でしょか?いや、つえぇぇぇ…

 何かもー親になる準備ができていないのに親になってしまった親なんて言葉が昔ありましたけど、人を育てるとはかくも難しだよなぁ…それを言うなら教師になる準備もできていないのに教師になってしまった教師もこれまた、お免状だけはあるけれどの世界か(笑)更に多様な人を許容できない社会しか用意できていない社会とか、それを放置したままの施政者含め大人達とか、問題山積みですよねぇ…

 でもって「中の人間がオープンに批判できる組織でないといけないと思うんです。自己点検の契機が組み込まれていないと組織はもたないです。でも、日本の制度疲労をきたしている組織はどこも自分の組織の問題点を公表するのを避けて、問題点を隠蔽しようとしますね。政党も警察も医療も不祥事があるとまず隠す」(@内田)とそれに今電力会社とメディアも入るんでしょーか(笑)って事は、これらはもたない、つまり終わりという事なのか?

 も一つ、地震絡みで、本書では阪神淡路大震災の内田先生の経験談なんですが、これが凄い…「地震のような局面ではふだん使っているトラブル処理マニュアルは使い物にならない」という事ですね…でも事件は現場で起きているんだぁーっな状況なんですよね…で、どうするか?取りあえず「現場処理」で行くしかないと…で、そんなマニュアル無しの中で最適選択できる人もいるというお話、ちなみに内田先生勤務の大学では二人いたと…

 それが「お魚の研究者」と「植物学者」…お魚センセーは年中海で魚釣って調査している人で、植物センセーは環境全般を管理していた人…魚や木や草花とお話できる人が、自然と対話できる人がいざという時に能力を発揮するんですねぇ…やはり体制順応型ってトラブル時には何の役にも立たないのか(笑)

 豆知識的には薩摩藩の自国民と他国民への認識の違いもパネェと思いましたが、本書まとめ的には「武術とは矛盾を矛盾のまま矛盾なく取り扱うもの」という甲野先生の言葉が全てのよーな(笑)ただ、本書で一番パンチの効いているお言葉は内田先生の問答でしょか?

 学びとは何ぞや?に「学ぶというのは、身銭を切らなくても人に訊けばどんな問いの答えも得られると思っている人間には無縁のことです」と、現代思想を学ぶ意味は何ぞや?には「そのような質問をしない人間になれることです」って、先生、的確すぎて何も言えねぇ(笑)

 てな訳で至言の嵐ですので詳細は本書をドゾ。ドゾ。ドゾ。

 目次参照  目次 スポーツ

|

« みる目のある人(笑) | トップページ | ぴかぴか? »

スポーツ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 強弱勝敗を論じない。:

« みる目のある人(笑) | トップページ | ぴかぴか? »