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2014年7月21日 (月)

共和国よ、永遠なれ…

海の都の物語 下  塩野七生  新潮社

 サブタイトルはヴェネツィア共和国の一千年でして上巻と変わらずの世界か?とゆー訳で、トルコが台頭してきた1300年代から、ナポレオンによって滅ぼされる1797年まででしょーか?いやもー激動につぐ、激動は今更なので詳細は本書をドゾですけど、この回り中が大国、しかも戦争おたくな、領土的野心満々な国々を向こうに回しての小国の独立自存って、何か他人事に思えないとこが切ないのぉの世界かも…ヴェネツィア的視点からモノを見れば、この世から陸軍国家がなくなればいいのにの世界ッスかねぇ(笑)

 それにしても当時のトルコってパネェ…これが歴史的事実だとすると、EUの曖昧な態度もなるほろなぁと思わさせるものがあると…とにかく戦争国家だったという事ですかねぇ…戦えの世界が展開していく模様…かくて「良識とは、受け身に立たされた側の云々することなのだ。行動の主導権をにぎった側は、常に非良識的に行動するものである」というヴェネツィア人の手紙の一節は、今でもよくわかるの世界だよなぁ…本当大国っていつの時代もはた迷惑以外の何物でもないんだな、と…

 でもってヴェネツィア側も裏庭の整備に邁進していくと、これが1400年代の話…干潟のちっちゃな人工島から、伊本土に進出しましたが何か?の世界が展開、というより北伊の各地がヴェネツィアの属州になる方を選んだと言った方がいいのか?そこはヴェネツィアなので自国とはいっても自治は現地人に任せるとこ多しである意味緩い共同体的国家誕生なんですかねぇ?

 アリス的にヴェネツィア…その内ヴェネツィアン・グラスの謎とか出て来るのかなぁと思いつつ、この海を前にした商業都市、交易都市という点ではアリスのお膝元の大阪と似たよーな文化と見ていいのだろーか?しかも、専制君主を嫌い、街の自治は協議制の合議制な、個人に権力が集中しないつくりのとこも、身分も当時にしてはかなりフラットだったのも気質的に似ているんだろか?

 さて、ヴェネツィア史に戻ると、東地中海で交易にせいをだしていたという事はオリエントの情勢に左右される運命にあるという事なんですよね…商売が成り立つならキリスト教徒だろーと、イスラム教徒だろーと、ユダヤ教徒であろーと全く構わなかったヴェネツィア商人の皆様でしたが、トルコによるコンスタンティノーブル陥落、ビザンチン帝国崩壊と15世紀半ばから怒涛の歴史の渦に真っ逆さまに突入か?

 かくて外交と戦争の世界に以後明け暮れることになるんですね…ちなみにヴェネツィアは主要国に大使を常駐させた世界最初の国だったそーで…弱小国に残された切り札は情報戦なんですよ、奥さん(誰?)てな訳で、ヴェネツィアの外交官達が残した報告書は「この時代の全ヨーロッパ、全地中海世界を語るうえで、絶対に欠くことのできない第一級の資料とされている」そな…15-18世紀末までその史料が残っているだけでも歴史的にはラッキーな事なのか(笑)ちなみにトルコでは「賄賂なしではこの国ではなにごとも動かない」と在トルコ・ヴェネツィア大使はお嘆きのご様子(笑)

 これに対してスルタンの方は黙ってても情報が集まってくるというのだから、何とも…というのもトルコ宮廷に訪れる西欧の知識人(学者)達、ギリシア人(主にギリシア正教会の僧侶達)、売り込みをはかるヴェネツィアの海外基地の住民達、フィレンツェのスパイ…西欧の国益より、自国のというより自分の利益なんですね、分かります…

 で、15世紀半ば、トルコの西方への進軍が始まる訳ですね…しかも「世界は、ただ一つの宗教、ただ一つの帝国、ただ一人の支配者のもとに統合されなければならぬ、と高言してはばからない、イスラムの若者が健在であった」とな…ハンガリーやアルバニアは矢面に立つ事になると、昔からバルカン半島って…

 しかもスルタン・マホメット二世という人は「戦いに負けたといっては指揮官の首を斬り、気にいらないといっては宰相の首を斬るほどで、彼にいく分でも影響力のある人物は、トルコの宮廷には一人もいないというのが定説になっていた」そな…専制君主とか、独裁者の国って、どーしてどこも血なまぐさくなるんだろー?

 そして戦闘は物量の時代にシフトしたという事がヴェネツィアの悲劇の誕生ってか?で、15世紀末となれば世界史的に必ず出てくるコロンブスの新大陸発見ですよ、おぞーさん(誰?)更にヴァスコ・ダ・ガマがインド行ってくらーもある訳で…胡椒貿易を一手に引き受けていたヴェネツィアは、どーなるの世界が展開すると…スペイン・ポルトガルの独占で独り勝ちになるはずが市場を知らないという事はこーゆー事と、やがてヴェネツィアに戻ってくるとこが凄い…商売も一日にしてならずか…

 尤も、そうこうする内にスペイン無敵艦隊がアポーンして英と蘭の時代来たぁーとなるからこれもまた凄い…欧州の西も激動の時代でございます…対トルコ問題は続くだし、大航海時代にも乗り遅れて、交易の独占から外れる事になるヴェネツィアの16世紀は、自国の物産の多角化でしょか?海上交易だけでなく、自国の産業にも着手していくと…毛織物、絹織物、石鹸、ガラス、レンズ、出版…

 アリス的にはこの出版文化は特筆するに値するんじゃなかろーか?中世に言論の自由があったのか多分ヴェネツィア、他国では発禁処分の本もヴェネツィアでは手に入れられたとな…更に小型本を世界で最初に発行したのはもヴェネツィア…ある意味出版文化発祥の地と言っていいのではなかろーか?

 さて、16世紀はスペインとトルコの二大国家によって悩まされるという展開にヴェネツィアは陥るという事ですか…ヴェネツィアの政治体制についての詳細は本書をドゾ。当時としては画期的な政治機構だったと言うべきなんだろなぁと…何とゆーか、能率化とか効率化に邁進するヴェネツィア人ってパネェ…ついでにこんなに働いているのに「権力を持つ者ほど地味に装う傾向があったのである。しかも、対面維持費のかかる元首を除いて、他はみな、無給であった」とな…貴族の、政治家の務めだった訳ですねと…

 この仕事に対するプロぶりって他にも波及していて、例えば医者、ヴェネツィアの場合は「卒業時の国家試験だけでなく、一年に一度の試験を義務づけられていたのである」とな…そりゃ「水準は高く」になるでしょーよ(笑)公務員も「海外基地や本土の属州統治に派遣される役人も、公正な勤務ぶりは評判であった」とな…何せ「役人の賄賂は、ヴェネツィアでは死刑であったからである」は素晴らしスっ!いやーこれどこかの国で施行したら、どこかの国の永○町とか霞○関の人口ってどーなるんだろぉ(ウットリ)そして誰もいなくなったにはならないと思いたいけど(笑)

 外交報告書の類については、考えちゃ駄目だ…優秀な外務省があるなんて、テラ羨ましスだよなぁ(笑)ヴェネツィアの場合はちゃんと自国の国益の為に働いているんだもんねだし…

 さて、再び対トルコ戦線に戻りますが、トルコという国はマキャアヴェッリによると「ただ一人の主人の他は、全員が奴隷の国」と言っているそな…有名なハーレムの女性も全員が奴隷…てな事でスルタン自身も実は奴隷女から生まれたという事に…トルコ人を奴隷にする事は禁じられていたからトルコの血は薄いという事になるとな…で、スルタンの家臣も「全員奴隷」だそで…「数年ごとにトルコ領内のキリスト教国で定期的に徴集されてきた十歳ぐらいの男子を、完全に親許から引き離して教育するからである」とな…出来の良い子はエリート教育を、その他は軍隊へと、「スルタン一人に忠誠を誓い、妻帯も禁じられていた狂信的反キリスト教兵士」それがイエニチュリ軍団の実体だったとな…

 何かどこかの国の洗脳なんちゃらに似ていると思うのはきっと気のせい…いやー、昔からこんな事が続いていたとは…

 ちなみに絶大な軍事力を持つ大国を相手にヴェネツィアは生き残り戦術をとっていく事になる訳で…「戦争でも平和でも、思いどおりに決められるのは、統治的能力によるものではない。軍事力である」という著者の言葉は重いよなぁ…まさに外交とはパワーゲームなんですよね、古今東西…

 とはいえヴェネツィアもやられているばかりではなくてかの有名なレパントの海戦なんかも出てきます。詳細は本書をドゾ。地中海の覇権争いは大航海時代を経ても続く訳なんですね、分かります(笑)

 現実的に考えれば、戦争より平和と安全でしょーというのが正論ですけど、ヴェネツィアが「勝手に平和宣言をしただけでは解決しないところが、問題なのである」という事に尽きるよな…戦争なんて無駄の極致なのに、権力者は戦争がお好き…ですからねぇ…そしてクレタ島攻防戦が始まり、25年も続く事になると…これまた詳細は本書をドゾ。いや、もー壮絶すぎて何も言えねぇ…

 さて、17,8世紀のヴェネツィアの衰退についての詳細は本書をドゾ。対トルコ戦役もありますけど、一番の原因としては社会のシステムの硬直化ですかねぇ…一言でいえば格差社会到来、固定化…これが政治の硬直化、権力の集中、賄賂に腐敗へと…となると人材も減少すると…社会全般的には出産数の減少、結婚の減少が進む事になると…社会が競争力を失うと人は減るという事ですね、分かります…下剋上まではいかなくても、循環しないと皆やる気なくすという事ですよ、姐さん(誰?)

 かくて18世紀は、観光と快楽の都ですか…ゲーテ他、世界各国からセレブやってくるの世界に突入…そしてナポレオンがやってきて完全崩壊する訳ですね、後は仏と墺による分割、その後の伊の独立という流れに…いやーナポレオンとの攻防の詳細は本書をドゾ。最後のヴェネツィアの意味のない中立発言というより、中立と心中、軍備なくして中立を叫んだところでナポレオンとしては痛くもかゆくもないと、ただ軍を進めるのみですから…平和も中立もいくら叫んでみても相手次第なんですよ、奥さん(誰?)

 とまぁ駆け足でヴェネツィア共和国を見てきましたですか?いや、本当に凄い国だわと…小国の生き方としては日本は大変おべんきょになるんじゃなかろーか?ヴェネツィア専門学部創って研究した方がいいと思う位…損はないよ、多分(笑)著者によると「歴史は娯楽である」だそーだけど、これは娯楽と言うには軽さというか、重さというか、時間というか、概念というか、桁が違い過ぎるよな…地中海の島々の歴史一つとってみても凄い事になりそーな…

 他にも面白エビ満載ですので詳細は本書をドゾ。特に観光都市、立国ヴェネツィアの面目躍如のトロマーリオとか、聖地巡礼パックツアーありますとか、お祭り天国とか、いやその用意周到さ、さすが商人の国(笑)このかゆいとこに手が届くサービス精神が中世の頃から整備されているとこがパネェっす…文化とか芸術もヴィヴァルディの国だものですし(笑)ヴェニスの商人位の頭でいたら、ガツンとカウンターパンチ来たぁーっ、ですかねぇ(笑)

 目次参照  目次 文系

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