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2014年7月17日 (木)

われわれはどこからきたのか われわれはなにものか われわれはどこへいくのか…

弔ふ建築  日本建築学会 編  鹿島出版会

 サブタイトルは、終の空間としての火葬場なんですが、日本だと火葬が当たり前の感覚でいたら、世界はずぇんずぇん違っていたと…死の概念は国や地域によって変わるものなのだなぁとゆー以前に、その火葬、実際に今現在住んでいるとこの火葬場って、どこ?と言われると?はて?人が暮らしていれば必ず必要なもののはずなのに、これまた存在感が薄いのが、何とも…まぁ存在感云々より忘れている、気付かないよーにしているとこもあるんだろーなぁ…

 で、本書はそんな陽のあたらない場所にスポットライトをあてているある意味画期的な本でございます。いや、まさにメメント・モリ…巻頭は世界の墓地(葬儀?)が掲載されていて、こちらは大変おべんきょになりました…印のガンガーのほとりで火焚いて火葬するも、チベットの天葬(鳥葬)もこれがその国の伝統、歴史な訳で…

 印の場合は衛生的にどよ?と英からクレームきて裁判沙汰にまでなっていたりするんですが、結局「川に流される遺体は衛生上、おおいに問題ではあるが、火葬場を現在の場所から移転させるのは無理である。火葬場のマニカルニカー・ガートやハリシュチャンドラ・ガートが街のために存在するのではない。街が火葬場のために存在するのである」とな…これに「イギリスもヴァラナシの街の存在を認めざるを得なかった」で却下するとゆー歴史があったりして…今となると「ハリシュチャンドラ・ガートには、政府が建設した電気炉の火葬場があるが、あまり人気がない」でして、やはり葬儀というのは一朝一夕でどーなるものでもなし…その国の風土に根差したものなんだろか?

 から、始まってメメント・モリの旅は始まると…

 アリス的には、葬儀というと海奈良の赤星のとこか?後はダリ繭の社長の葬儀のシーンがチラっと出てきたよーな?まぁミステリですので…それにしてもアリスはともかく、准教授の死生観って、どーなんだろぉ?何せ天下無敵の無神論者だからなぁ?今は大分まるくなったけど、初期の頃の尖がったキャラだと信長張りの事をやりかなねい雰囲気だったしなぁ…

 さて、そんな葬送の儀ですがチベットの場合、天葬だけでなく、霊塔葬、火葬、水葬、土葬もあるとな…霊塔葬とは「ポタラ宮で見られるように、歴代のダライ・ラマの遺体をミイラにしてまつることである」だそで、「火葬は高僧や身分の高い者、学者に限られる」となり、「あまり裕福でない人や寡婦、幼児などは水葬」になり、「伝染病で亡くなった人や犯罪者は土葬にされる」って…でもって一般には天葬(鳥葬)となるそな…チベットぱねぇ…ちなみに現在、天葬は全面的に見学禁止になっている模様…ハゲタカの生息は勿論、興味本位で見られても困りますという事か…

 お墓的美しさとなるとこれまた印のタージマハルになるんでしょーか?確かにふつくしいでございますが、それにしても「インドではイスラム教徒以外は墓をつくらない」とは知らなんだ…いや、確かにヒンドゥーの場合はガンガーだけど…キリスト教徒とか仏教徒の方もいらっさると思うんだが?どーか?

 そのキリスト教圏の国のお墓は、荘厳系と新しい系感が凄いかなぁ?特に伊は新旧が見事にマッチしている感じか?独のそれは何か荘厳なんだけど未来形な感じでこれまた…で中でも本書的に目をひくのはストックホルムの森の火葬場ですかねぇ…アリス的にはスウェーデン館つながりで、ど?ですけど…

 ちなみにストックホルムの場合は火葬が九割なんだそな…「市内に墓地は11か所あり、そのうち、火葬場を併設している墓地は南北に一か所ずつある」そな…でもって「市の墓地局によって管理される墓地は、市民の誰もが自由に利用できる」事になっているそな…まぁ北欧は福祉国家ですから、まさに揺り籠から墓場まで公共の手が行き届いていらっさる模様…

 で、何が凄いって、現代的でありながら非常に美しい景観なとこかなぁ?で、これみよがしではなくて、日常の静寂を保っているとこもまた好感度高しな側面じゃまいか?森の中にゆったりとお墓と火葬場があるんですよ…しかも「火葬された遺骨の半数はミンネスルンド(墓碑がない墓地)にまかれる。遺族は立ち会えず、どこにまかれたかは知らされない。のちに献花の場がつくられた」って、スウェーデン人パネェ…こー言ったら何だけど、自分が入るとしたら本書に掲載されている中でならこの森でと思ってしまった…日本も山にゴルフ場つくる位なら、この荘厳な森の方が地域社会の為になるんじゃなかろーか?と愚考するんですけど?まぁ霊園造りは色々あるみたいだからなぁ…

 本書後半は、日本の葬送の現状が歴史と伝統も踏まえて掲載されています。ついでに現実の問題点なんかも…詳細は本書をドゾですが、ちなみに「統計上の火葬場数が減少している一方、死亡者数は増えていることもあり、都心部では葬儀を含めた予約がとりにくいこともあり、火葬場不足が指摘されている」そな…

 後まぁ日本独自の文化的なとこもあると思われで、「日本の火葬はひとつの葬法として長い蓄積があった。拾骨の方法なども異なるものであり、火葬率も圧倒的に日本が高かった」とな…そんな火葬場の建設や運営は「地方自治体が行う業務である」となる模様…しかも「自治体が国から補助金を受けない建設・運営事業」でもあるそで…でもって「火葬場は設計基準や構造指針のない施設である」そで、この許認可権も「都道府県知事の裁量に任されている」そな…まぁこの手の事は地域性も鑑みないとアレだけど、これまた地方公共団体だけでのソレは財政的にどよ?という内実もある訳で…色々とある模様ですので詳細は本書をドゾ。

 さて、本書豆知識も満載で、例えば「平安時代以降、火葬場のことを三昧もしくは三昧場といってきた」とな…ちなみに「三昧場とは仏教用語で、火葬場だけてなく葬儀場もしくは墓地を指す」そな…で、江戸時代には「火屋・火家・龕屋が普通となった。これらは荼毘所、火葬寺などとも記された」そーな…これまたちなみに明治初期の地図には火葬場は焼場と記されていたとか…ネーミングの変遷についての詳細も本書をドゾ。いや、何とゆーか実に日本的です…

 それにしても、人の営みの上で絶対に必要なものでありながら、殆どスポットライトを浴びた事がない火葬場(斎場・墓地)であったんじゃまいか?で、それに一石投じている本書はマジ希有な本ではなかろーか?死をあだやおろそかにしてはいけないはずなのに、忘れているというか、気にしていない事って多いもんなんだなぁ…

 てな訳で詳細は本書をドゾ。人としてドゾ。 

 掲載されている各国の場、
マニカルニカー・ガート、ハリシュチャンドラ・ガート(ガンガー/ヴァラナシ/印)、天葬台(ラサ/チベット)、タージ・マハル(アグラ/印)、サン・カタルド墓地(モデナ/伊)、ブリオン・ヴェガ墓地(トリヴィーゾ近郊/伊)、サン・ミケーレ島(ヴェネツィア/伊)、バウムシユヘレンヴェグ・クレマトリウム(ベルリン/独)、森の火葬場(ストックホルム/瑞)、弘前市斎場(弘前/青森)

 目次参照  目次 庭園・建築

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