« メメントモリの向こう側? | トップページ | されど行うは神なり… »

2014年9月24日 (水)

あらゆることは記録しておかねばならぬ、もし、そうしなければ総てが失われる…

カバラ  箱崎総一  青土社

 サブタイトルは、ユダヤ神秘思想の系譜なんですが、カバラ、聞いた事があるよーな?ないよーな?な不可思議な言葉なんですが、人は常に意味を見出していく生き物なんでしょか?ともかく「ユダヤ神秘思想の系譜はユダヤ民族の歴史と重複している」になる模様…なので、本書もユダヤ中世史な感じがなきにしもあらずかなぁ?宗教というより、史実的なんですよ、奥さん(誰?)そんな訳で「本書では、中世ユダヤ民族の離散史を背景に描きながらカバリストの思想と生涯を描き出してみようと計画してみた」結果のよーです(笑)

 かくて本書は非常にシリアスな本になるのかなぁと…というのもカバラというと「現在でもカバラ思想は、これらの数占いまがいの怪し気なものとして受けとられることが多い」とあって、「カバラの語感はなにやら怪しげな雰囲気がまとわりつき、うさん臭い感じが濃厚に滲みこんでいたといっても過言ではない。魔術師、詐欺師、ペテン師、狂人などといったカテゴリーのなかに一緒に放り込まれていたというのが十九世紀から二十世紀初頭までの受けとめられ方であった」とな…

 ちなみに著者は精神科医らすぃが、でもって何故にカバラとなれば、若き日の著者がNYに留学・研修に行った際、周りの人々、同僚・先生達の殆どがユダヤ人だったからという事になる模様…そんな訳で、米の医学界というか、精神医学界は大なり小なりユダヤの影響かに免れる訳にはいかないんじゃまいか?で、そのユダヤとはがこーしてカバラにまでつながっていった模様…ある意味、著者の探究心パネェという事になるのだろーか?

 そーして、本書のラスト現代編になるのですが、フロイトやユングなんかも出てきて、なるほろユダヤなお話に帰結しているところ、パネェなんでございます…とはいえ、トーシロ的には何が何だかずぇんずぇん分からんで…カバラ奥が深くて何も見えませーんな世界か?文章は大変平易なんですけどおつむがついていかない…でも何故か最後まですらすら読める不思議な書です(笑)

 てな訳で分からない時にはいつものパターン目次に逃げるで、第一章 カバラの起源。Ⅰシルクロードのユダヤ人、Ⅱタルムードの成立、Ⅲ死海の書、Ⅳメルカバの秘儀、第二章 創造の書、Ⅰ宇宙創造、Ⅱ象徴の言語、Ⅲ母なる文字、第三章 預言者たち、Ⅰカビロールの受難、Ⅱ聖人マイモニデス、Ⅲ盲人イサクと聖なる言葉、第四章 光輝の書、Ⅰ光輝の書の誕生、Ⅱ旧約とカバラ、Ⅲ隠れたる神、Ⅳ死後の霊、Ⅴカバラ伝承、第五章 カバリストの系譜、Ⅰカロの生涯、Ⅱコルドベロとルーリア、Ⅲキリスト教カバリスト、Ⅳ偽救世主サバタイ・ツヴィ、第六章 カバラと現代、Ⅰカバラ復権、Ⅱユングの幻視、Ⅲフロイトの原風景のラインナップ…

 ちなみに、カバラという単語が出現したのは西暦11世紀以降の事とな…

 アリス的には、夢十夜みたいなのもあるし、准教授の悪夢もあるしで、夢的なそれからすると精神医学、あると思いますなのかなぁ?好奇心の着ぐるみみたいなアリスなら、知らない訳ないだろーし、准教授の研究的にはない訳がない気がするのは気のせい?まぁでもカバラ的な方はアリスの方が熟知してそーだけど?いえ、いつかミステリに使えるみたいな(笑)

 ミステリ的と言えば、カビロールの伝承はまさにミステリじゃまいか?で「ある回教徒がガビロールの持つ素晴らしい詩の才能を深く嫉妬し、彼を暗殺した。その屍体を"無花果の樹"の根もとに埋めた。次の年、その無花果の樹には沢山の実がなり、その甘味があまりにも素晴らしかったので、人々の興味を引きつけた。そのうち、この異常な無花果の甘さとガビロールの暗殺の事件に焦点があてられることになり、暗殺者はついに発見され、処刑された、という」って…無花果は見ていたってか?

 も一つミステリ的というエピで、「頭蓋骨の外側と内側を直接貫通し、結びつけている血管は存在しない。だがその例外的がある。頭蓋骨を貫通して頭蓋内部から直接頭部の皮膚へ血液を送り続けている静脈がある。この奇妙な静脈の名称をなんと"密使の静脈"という意味の学名が使われている」って…この意味深さ、まさにミステリ的じゃまいか?まいか(笑)

 他にアリス的というとカバラの伝承的なとこで「"禿げた男"は、ビジネスで成功を収める。しかし、簡単に成功するわけではない。彼がもし若いうちから禿げはじめるようであれば偽善的人物である。もし、彼が年老いてから禿げるようであれば彼(の性格)は以前と反対のものになる」って…ちなみに「このことは彼の禿がフィラクテリーをのせる頭の上で起こった場合だけに適用されることである」だそな…うーん、船曳警部の場合は如何に(笑)

 後、乱鴉的なとこでは預言者エリヤ(列王記)の件が出てきます。「預言者エリヤはこのようにして神の使者、烏によって生命を保つのである」とな…旧約だと烏も神様の使いなんですねぇ…それとアポロンのとこで出ていたよーなで「世界的に著名な奇術師、手品師の多くはユダヤ人によって占められているが、そのテーマのほとんどが"脱出"であることは興味深い。なかでも十九世紀から二十世紀にかけて活躍した米国の奇術師ハリー・フーディニのことは忘れるわけにはいかない。彼は"脱出の芸術家"とも呼ばれた」とな…フーディニってユダヤ系だったのか?

 序文的なソレで著者とユダヤ人との邂逅、もしくは感想みたいなとこが出てくるのですが、まず「ユダヤ人気質のなかで特に私が注目したのは、彼等がとても迷信深いという点である」かなぁ…時は現代、しかも医学界、最先端にいながらにして、そゆ事という事らすぃ…また「フロイトの精神分析学を勉強しているうちにS・フロイト自身が持っていた典型的なユダヤ気質について少しばかり調査してみようと思い立った」とな…そして本書が出来ると…研究者の本気なめたらあかんぜよってか(笑)

 さて、あの有名な死海の書ですかけど、「死海宗団はユダヤ神秘思想とくにカバラ思想の原理とも見なすことのできる神的霊知に関するかなり発達した秘儀体系をもっていることが判明した」そな…とくに「ダマスコ文書」「ハパタク書注解」は「解読に従事した研究者により「秘儀の書」と命名されたほどである」とな…

 他にも「天の軍・神の家・神の玉座についての神秘的な知識は、西暦紀元前に既にエッセネ派に属する神秘教団(死海宗団)の中で重要なものてして伝承されていたと推定される」そな…

 歴史パネェでございますで、「「創造の書」には古代エジプトに起源をもつと推定されるアブラクサスの宇宙発生論の影響も認められる」で、「文字とそれに付与された数値による神秘的計算法は、古代バビロニヤ地方でも存在した考え方であったことが知られている」てな訳で、出エジプトとか、バビロン虜囚とか、伊達ではなかったとゆー事?歴史的クロスオーバー的な?

 ちなみに「セフィロトの概念はカバラ神秘思想における中核となるもので、数多くの図解が存在する」そーなんだけど、セフィロトって…いやまぁ詳細は本書をドゾ。本書、そゆ固有名詞がパンパン出てくるんですよ、おぞーさん(誰?)

 また「タルムードでは、ゲニザとは聖典に使用に耐えなくなったもの、あるいは異端の書などの、"秘匿すべき書"の収納場所として記載されている」とな…古今問わずユダヤ人街にはシナゴーグがあり、シナゴーグあるところゲニザありという事になるらすぃ…

 で、カバラの系譜はユダヤの鉄人の系譜じゃまいか?かなぁ?「"ユダヤ人のプラトン"と呼ばれたカバリスト、哲学者、そして詩人でもあった」ソロモン・ペン・ユダ・イブン・カビロールとか、ユダヤ思想家モーゼス・マイモニデスとか、「十三世紀当時のナルボンヌ市周辺におけるカバラ思想研究の中心人物」盲人イサクとか、西のカバラ研究家トドロス・アブラフィァとか、モーゼス・デ・レオンとか、瞑想的カバラ思想の創始者の一人アズリール・ベン・メナヘム・ベン・ソロモンとか、「光の門」を発行したヨゼフ・ギカティラとか、ヤコブ・ベン・ヤコブ・ハ・コーヘンとか、ヨゼフ・カロとか、ソロモン・モルコーとか、コルドベロとか、イサク・ルーリアとか、イスラエル・サルグとか、アブラハム・ヘェシラとか、ヨゼフ・イブン・タブールとか、キリスト教カバリストの代表者ピコ・デラ・ミランドーラとか、カバラ思想の再評価を行ったG.G.シューレムとか、フランツ・J・モリターとか、サバタイ・ツヴィ・ベン・モルデカイとか、ナタン・ガザッティ(ナタン・ベンヤミン・レビ)とか、C.G.ユング、S.フロイト等についての詳細は本書をドゾ。いやカバラの歴史は知の巨人、有名人いぱーいでございます(笑)

 さて、今でしょ(死語?)的なエピでだとボクダン・クミルニツキイのとこかなぁ?彼は「ウクライナ地方のコサック騎兵団の指導者であった」そで、「一六四八年ウクライナ地方でポーランド支配から独立をはかる農民一揆が発生した時、クミルニツキイはコサック騎兵団をひきいてこの運動を指導し成功を収めた。現在でもウクライナの英雄とたたえられている。このウクライナ独立運動のあいだに、ウクライナのユダヤ人居住区の六百ほどが破壊され、推定十万人ほどのユダヤ人が殺害された」とな…何かウクライナの歴史もパネェでございますの王道いっているのだろーか?

 他にも興味深いエピが、色々色々本当に色々ありますよってに詳細は本書をドゾ。最後に一つとなると「フロイトは確かになにか隠していた。だがそのなにかを知るためにフロイトの秘儀に近づけば近づくほどカバラの影が濃くなってくる」かなぁ…著者の専門につながるだけに非常に意味深だと思うのは気のせいか?カバラ、一筋縄でいかんぜよってか?

 目次参照  目次 文化・芸術

|

« メメントモリの向こう側? | トップページ | されど行うは神なり… »

文化・芸術」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あらゆることは記録しておかねばならぬ、もし、そうしなければ総てが失われる…:

« メメントモリの向こう側? | トップページ | されど行うは神なり… »