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2014年12月 6日 (土)

創業は易し、守成は難し…

白洲正子の贈り物  白洲信哉  世界文化社

 所謂一つの対談集と思われなんですが、普通の対談本と違うのは、タイトル通り白洲正子に縁の人達ばかりなりでしょか?まず、著者が名前からも分かる通り、白洲正子の孫でして(ちなみに小林秀雄の孫にもあたる)、その対談相手が生前白洲正子と付き合いのあった人ばかり…そして、それらの人達は皆、日本を代表するその道の一人者というか、貴方しかいないの世界か(笑)

 かくて、祖母の足跡(文跡?)を追って、著者は対談の旅に出るぅーのノリかなぁ?どの人もその道のプロ中のプロですから、一家言あるのは当たり前の世界なんですが、それを発掘したというか、そーゆー人と交友を持った祖母の偉大さ、先見の明が如実に出ていて、まさに巨人というのはこの人にありかなぁ…

 とはいえ、著者にとってはどんなに偉大な人でもただの祖母というイメージもありで、中の人なりのギャップ、日常が垣間見えて、いと面白スにどっぷり浸っている感じかなぁ?

 まぁ孫が大学で考古学を専攻したら、その内実を聞いて「そんな出ないとこばかりじゃ面白くないでしょ。本場でやらなきゃだめよ」って「橿原考古学研究所の末永(雅雄)先生を紹介すると言って、こちらの返事を聞くまでもなく、先生のご自宅まで連れて行ってくれた」というとこからして分かろうというもの(笑)子供の教育にここまでするというか、できる祖父母、親っているのだろぉか(笑)

 ちなみにその末永先生の有り難いお言葉は幾つかあるんですが「現代の学問はあまりに細分化され過ぎているからだめだ。もっと雑学をしなくては文化も教養も育たない」は、成程、どこぞの最先端を見るまでもなくゴホンゴホン(笑)

 アリス的には、うーん…ある種京都的な雰囲気なとこが、どかな?かな?交遊録の人々は、東の人というより西の人が多いよーな気がするのは気のせいか?いやまぁ、維新前の文化的なものとなれば西になってしまうんだろか?な日本かな(笑)

 文化的なそれというか、環境的なそれでいくと陶工の家に行くと「子供さんが四人いて、いつ行ってみても、自分でこねた器で、ままごと遊びをしているのだから、こういう人たちにはか叶わないと思う」というのは、まさに環境が育てたじゃね?英才教育って意識しなくても成り立つものは成り立つんだなぁ…「「子どもに教える」という姿勢ではだめだって。子どもがそれを求めたときに初めて「教育」というものが成り立つと。それはちゃんと「易経」にも書いてあるんですよ」(@安土)とな、でもそんな教師もしくは親どこにいるんだぁ?(エコー付/笑)ついでに「子どもの味覚かなあ。一二歳か一三歳ぐらいが一番味覚がいいときなのね。そういうときはできるだけインスタントを食わさん生活をせないかん、親が」(@光永)は、今はもーそれ以前に食の安全からしてアレですから…

 環境じゃね?では、現代老人論(笑)「昔の日本の老人というのは、あるオフィシャルな仕事を終えた後は国土を清める存在になって、老いた時間を過ごしてきたから、非常に美しい姿と清らかなものを残したまま我々の体の中に存在していたけど」(@川瀬)「なんか今はきれいなお年寄りって少ないですよねえ」(@白洲)「もうただの欲望のじいさん、ばあさんだから(笑)」(@川瀬)のとこは老害以前の問題か(笑)

 その白洲正子の環境的には「祖母は「もしかすると一番知識があるのは中国の古美術かもしれない」と言っていたが、それは中でも細川護立さんに可愛がられたからで、大人になってからも目白の細川邸をしばしば訪ねたそうだ」って…門前の小僧?それにしても骨董は見る目がないと話にならない訳で…目利きは一夜にしてならずってか?でも、そんな正子コレクションも孫によると「祖母が残したものは目利きの器ではなく、もの言わぬものと付き合うその姿勢であった」になる模様…

 さて、白洲正子の思い出ですが「美味しいものは美味しいし、悪いもんは悪いし、いいもんはいいし、もうはっきりしているからね、これがもう楽しかったですねえ」(@福森)とか、白洲正子のお花は「"おかまいなし"です(笑)」(@川瀬)とか、「白洲さんほど、作った人間にとって張り合いがない見方ってないですよ」(@菅原)「ハッハッハハハ…もう怒っちゃいますよねえ」(@白洲)って、白洲正子は目で見ていないとな、こーしてみると感性が並じゃなかったって事だろか?「白洲正子さんは、すべて直球の人でした。そういう気持ちのいいコミュニケーション、なかなかないじゃない」(@仲畑)逃げも隠れもしないってか(笑)

 で「死の間際まで死ぬことを恐れず、懸命に生きた姿勢は、最後まで「遊鬼」であった」お人だった模様…

 面白豆知識系では、伊賀に丸柱というとこがあって、なんでその地名やねん?というと「東大寺建立にあたり、その柱を切り出したところから由来した」って、ドンダケェー(笑)とか、「イタリーのヴァレンツァは、人口三万人くらいの小都市だが、昔から町全体が宝飾に従事しており、世界各国から志望者が集まってくる」(@正子)でそこの国立美術工芸大学があったりしてとか、日本の場合は甲府の水晶で石器時代からの伝統があるみたいだけど、江戸は徳川だったので、「今日の繁栄をみたのは、明治以後のことである」(@正子)しかも「甲府の人口の約三分の二は、何らかの形で水晶に関係」(@正子)しているというから、一大宝飾地という事になるんだろーか?

 で、「日本の花というのは基本的に人間が花を観ているんじゃなくて、花から観られることなんですよ」(@川瀬)とな…鮎釣り名人の話は「教えてくれたその豆腐屋のお師匠さんが、「きよちゃん、鮎は絶対売ったらあかんえ」って言うて、最初にクギ刺されてね、「鮎売ると、釣りが汚うなるさかいに」て言うて」(@加藤)とか、昔は余技の在り方を市井の人がちゃんと心得ていた時代があったんだなぁ…

 でで、「見ててわかるのは、木というものはねえ、枝の角度、幹の直径の真っ直さとかね。水平であるとか、下を向いているとか。これらは遺伝的なものなんですね」(@高橋)って、そーだったのかぁーっ?また、薄墨桜や臥龍の桜も「あれは見つけるという類のもんじゃないの。昔から伝統的に守られてきたものだから」(@安土)「どんなものにも寿命があるけど、桜が千年もつということは、人間が桜の育つ環境を常に保護してきたからそれだけもっているんです」(@安土)辺りは、もー日本の国の人だものの世界か(笑)

 それにしてもここに出てくるのは良くも悪くも職人気質の方ばかりで、究極の職人とはの世界を実現している人ばかりなりかなぁ?例えば染色のとこでは「いつか京都の染物屋さんに見せたところ、「わい等はようせん。馬鹿馬鹿しうて商売にならん」と、一言のもとにはねつけられた」(@正子)「「そのものが世の中にある以上、墓の中に入るまで責任負わなきゃならない」と、この無責任な世の中で我々もよく嚙み締めたい言葉である」辺りは、どこぞの永田町とか霞ヶ関とか新橋には絶無の言葉じゃゴホンゴホン(笑)

 そして白洲正子は言うなんですよね「私には職人さんの友達が多い(中略)どちらかといえば、貧乏な生活をしているのに、あせらずむさぼらず、実に悠々と暮らしており、その暮らしの中から美しい物が生まれる」(@正子)セレブという名の強欲がはびこっている世界ですからねぇ(笑)

 人に対しては「好きとはいえないけど、ばか野郎が多いから。だけど、それでもいいやつがいるじゃない。数は少なくても」(@仲畑)はけだし名言でしょかねぇ(笑)もしくは「今はPTAの時代でしょ。酒飲んで酔っ払った、それで:減点(笑)。変わったこと言ったら減点。それがない人が勲章をもらえるという(笑)。そしたら面白くないのだけ残る」(@前)って、大阪はともかく面白いも褒め言葉じゃなくなった感が…もしくは褒めているよーに見せかけて上から目線乙みたいな…

 お寺を再建したら「きれいに再建したら自然に人が来るようになった」(@光永)「でも、来てもらいたくないかたもいるんじゃないですか」(@白洲)「あっ、たくさんいる、それは(笑)」(@光永)って、何て正直なお坊さんなんだ(笑)ちなみに「「生活できたらいいんじゃないか」っていうのがお坊さんの本来の姿だと思う。で、皆さんの役に立つように努める」(@光永)まぁ日本のお寺はファミリー・ビジネスですからねぇ(笑)

 また美についても「「美」というのはまず品があって格がある。だから品格というけれども、それに加えて味わいの深さね。これが美の三要素だと」(@菅原)品、格、味、違いが分かる人って…今いるのか?

 まぁ美つながりというかアリス的にかも?で「福森さんは「今は皆すぐに芸術家になっちゃう。"プロの基本"というものを十分身につけて、それから自分が自由になったらいいんやけど」という話をされたことがあった」辺りは、天農画伯に意見を聞いてみたいところかな?

 も一つ美つながりになるんだろーか?で「昔は求めれば応じてくれるサロンのようなものがたくさんあったんですね。実に羨ましい話ですよね」は、今のプチブルやセレブに求めても…今でしょ、もとい無理でしょ(笑)

 女性的なお話では、お嫁さんになる人への仕事に理解があり、結婚後も大丈夫だという話について「お寺は、大分県の佐賀関にあり、浄土宗の寺となれば、檀家の勢力は強いに違いない。話はついているといっても、いざとなれば、お寺の用事を放ったらかして、染めものに没頭する暇はないと思った。世間知らずのお嬢さんには、そういうことはわからない」(@正子)の件は一昔前の結婚観がよく出ているかなぁ?と(笑)結婚する前は幾らでも空手形切って、結婚後は嫁に泣き寝入りさせればいいって商法もとい結婚事情…結局、このだまし討ちが効かなくなったのが、今の少子高齢化以前の結婚する人の減少を生んでいる一因じゃまいか?やっぱ、何事も信頼と実績だよなぁ(笑)

 他にも名言が山のよーにありますよってにでして、詳細は本書をドゾ。で、最後に二つこれだけは上げておきたい名言一、白洲正子の場合「祖母は日本のことを「日本の国そのものが、世界のかくれ里的存在といえるのでないだろうか」と「かくれ里」の中で記している」のとこでしょか?やっぱ、日本ってトリックスターか(笑)

 でもって究極名言はこれ「祖父の次郎は僕を呼んでよく囁いていた。「あの婆さんは、自分のために地球が廻っているとほんとうに思っている人なんだから」と」…いやもー白洲次郎、正子、この二人がこの日本にいたというだけで、20世紀後半は奇跡的な世界だったんじゃなかろーか?

 他にもたくさんたくさん本当にたくさんエピ満載ですので、興味のある方は本書をドゾ。ドゾ。騙されたと思って重ねてドゾ。 

 登場される方は、福森雅武(陶工)、朝山早苗(ジュエリーデザイナー)、川瀬敏郎(花人)、古澤真千子(染色工芸家)、関野晃平(漆芸家)、菅原匠(藍染作家)、加藤静充(小児科医)、仲畑貴志(コピーライター)、高橋延清(森林学者)、前登志夫(歌人)、安土孝(農業)、光永澄道(僧侶)、青柳恵介(古美術評論家)&寄稿文として多田富雄(免疫学者)

 目次参照  目次 文化・芸術

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