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2015年3月22日 (日)

完璧な人間はいない…

ワイルダーならどうする?  ビリー・ワイルダー  キネマ旬報社

 サブタイトルは、ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話なんですが、何とゆーか、これはワイルダーファンによるワルイダーファンの為の対談集かなぁ?実際、この時ワイルダーは91歳ですから、人生を振り返るにはもー何と言っていいのか?でも、この年齢で全然ボケていないというとファンの方に怒られそーだけど、会話だけを読んでいくと年齢は全く感じさせないとこが凄い…頭の冴えは昔と変わらずかどーかは当時を知る人にきかないとあれだけど、いや、まったく普通の会話、しかもテンポよく交わされるいる感じなんですよ、奥さん(誰?)

 ただし、どちらも一連の作品群に詳しいので、しかも双方映画監督という業界の人ですから、内実にも詳しい訳で、そゆ前提というか、共有項があっての会話ですから、ある程度基礎知識がないと、どこに飛んでいっているのか?アレ?な感じも…おべんきょ不足で申し訳ない…

 時代的には、20世紀の欧米史WWⅠ後の欧州、そして米ですし、映画史的にはハリウッド黄金期を支えた巨匠の一人ですから、語る事はそれこそ尽きない訳で(笑)とにかく、無声時代から、モロクロ時代から、カラー時代から、と技術的なソレだけでも凄い変遷な訳で(笑)経験者が語るというのは何事もインパクトあるんですよ、おぞーさん(誰?) 

 アリス的にビリー・ワイルダー、映画的なら紅雨荘か、あるYかなぁですけど、男子ぃ的にはマリリンかなぁ?七年目の浮気とお熱いのがお好きは実はワイルダー作品だったりするんですよ、姐さん(誰?)もー、モンローが出てくる、出ているというだけで、殿方的にはジャスティスでしょお(笑)ちなみに、マリリン・モンローというと必ず登場するあの地下鉄の通風口からのスカートが翻るシーン、あれが七年目の浮気のワンシーンなんですよねぇ…

 尤も、女優的にはオードリー・ヘップバーンの方が世代関係なく受けが広いんだろか?で、そーすると麗しのサブリナと昼下がりの情事がこれまたワイルダー作品という事になるんですねぇ…まぁこの四作品だけ並べても凄い監督だという事が分かるよな…しかもワイルダー作品はこれだけじゃない訳で(笑)

 とはいえミステリ的には情婦だろーなぁ(笑)というのもこれ原作がアガサ・クリスティなんですよ、元は舞台劇だったそーだけど、しかもこれに出演しているのが、タイロン・パワーとマルレーネ・ディートリッヒ…この二人だけでも往年の映画ファン的には垂涎ものじゃなかろーか?ちなみに「チャンドラーはアガサ・クリスティが嫌いだった。でもあの二人は互いの欠けたところをもちあっている。クリスティは構築することを知っている。ストーリーの細部はときにあまりに月並みだったけれど、構成力はあった。詩心にも欠けていたがね」(@ワイルダー)って、そーだったのか?クリスティ?というよりチャンドラーか?

 後は乱鴉絡みでハリウッドスターに対しての「彼女は彼女の時代に永遠に存在する。その複製を作ることも、その時代から外に彼女を取りだすことも不可能。特別な資質というものを抽出して、クローン羊を作るみたいに、好きなだけモンローやヘッフパーンを作ることができるか?できやしない」(@ワイルダー)の弁は完全に真理という奴ですかねぇ…今もスターはいるけれど、あの頃のハリウッド・ビューティーのきらめきにはかなわないと…

 46番目のブルース・ウィルスで「例えば「ダイ・ハード」、あれはいい映画だ。おもしろかった。とにかく映画には何か新しいものがないといけない」(@ワイルダー)とあって、暴力映画やパニックものばかりなりの昨今を否定しているワイルダーでもいいものはいいと(笑)も一つ、切り裂きジャックを待ちながらのネーミング元ネタから「観客に深遠な啓示を与えるようなものとか、「ゴドーを待ちながら」のような劇を書く人間ではなかった」(@ワイルダー)とか自称する件があったりして(笑)

 他にというとクリエイター的なとこで、「私にとって楽しいのは見ることじゃなく、作ることだから」(@ワイルダー)のとこは作家的にもそーなんでしょか?アリス(笑)また、映画の対象者に「地下鉄や食堂で見かけるような普通の、中産階級の人たちに観てもらうものだし、そういう人たちに喜んでもらいたいと思っている」(@ワイルダー)のとことか、アリスの読者対象も那辺にありや?ですかねぇ(笑)尤も、これまたワイルダーらしく地獄の英雄で不発だったのを受けて「以来、観客に対する考えが変わった。意義ある仕事をしても、物事の本質、実体、実相を暴きだしても、認めちゃくれない」(@ワイルダー)となる訳で…まぁある種メディアの腐敗を描いた作品ですから、メディア受けは悪かったのはよく分かるというか、これが公平、公正、中立の実態って、どーよ(笑)

 さて、で二人の米人監督同士の対談となるんだけど、何回に分けて対談しているのと、作品の時系列的に進んでいる訳でもないので、そーしよーとはしているのかもしれないが(笑)実際の話題はあちこちに飛んでいる感じで、映画、もしくは業界を知らないとちょっと待ってプレイバックな世界かなぁ(笑)逆に分かる人は物凄く濃いお話なんだと思ふ(笑)

 でもってインタビューの初期の頃は「自分の本はもうまっぴらとワイルダーは思っていた。そういう類の本には不満をもち続けてきた」事から、あまり乗り気でない感が漂っているのがよく分かる(笑)それが最後の方になると、率先しておしゃべりしているから不思議(笑)圧巻は理学療法士とこの対談の予定がかちあってしまって、両方いっぺんにこなすとこ…ええ、ストレッチしながら対談している訳で…多分傍から見たらコメディの一場面のよーに見えただろーなぁーなシチュなんですよ(笑)

 で、中身はどよ?というとワイルダー節というか、皮肉とジョークがふんだんに散りばめられている感じが随所に出てくるとこでしょか?例えば、監督とは何ぞや?で「内側から自分を喰いつくしていく職業だ。何から何まで呑みこまなきゃいけない。他人のクソまでも。要はかんたんなことで、いったん仕事を始めた相手とは人生をともにしなくちゃいけないということだ。もし途中で映画に支障ができたら追いだされるのはこの私で、俳優じゃないのだから」(@ワイルダー)とな…ハリウッド的にはまずスターありき、それがジャスティスってか(笑)また別のとこでは「監督の重要性が影をひそめた。今は名前を知られた監督なんていない。いてもほんのわずかだ。スターが力をつけるにしたがって監督が消えていった」(@ワイルダー)の件は何も映画業界だけの話ではないよーな(笑)

 映画のつくりについてで音楽とは「もちろん意識されないのがいいが、そうとばかりもいえない。例えばリヒャルト・シュトラウスのオープニング、蛮人が棍棒でたたきあう、「2001年宇宙の旅」だ。じつに衝撃的だし、目の覚めるような開巻劈頭の音楽だ」(@ワイルダー)とな…ワイルダーはキューブリックが好きな監督だったらすぃ…ちなみに好きな映画で他にも色々出てくるんですが、その中の一つに「Shall we ダンス?」も出てきたりして、日本映画も見てたんですねぇ…

 また主演俳優に求めるものは「コメディアンであることだ。コメディアンはシリアスなものもこなせるけれど、逆はめったにいない」(@ワイルダー)とな…後、一般的な事とゆーくくりではあるけれど天才について「もって生まれたもの…そう、もって生まれたものだ。といってもよくはわからない。」「ただ学び取れるものではないことはわかっている」(@ワイルダー)のとこは意味深だよなぁ(笑)

 サンセット大通りの初っ端を五分カットした件があるのですが、観客にうけなかったからというのが理由らすぃ…というのも「私は死人がストーリーを語るのだから、死人同士語り合うのが名案だと思っていた」(@ワイルダー)とあるんですが、サンセット大通りは業界内幕もので確かヒットしたはずなんですが、このエピ的にいくとすると能なんかも米人には受けないのかなぁとふと思ってみたり…何せあれたいていの導入部って幽霊系じゃなかったっけ?

 ちなみにいい映画をつくるには「髪の白くなった重役の言いつけに耳を貸さないことが肝要だな。ああいう連中は、冒険はするなといつもうるさく言ってくる」(@ワイルダー)は、やっぱハリウッドも組織が大きくなるにつれ、そゆ事の世界だったんだなぁと(笑)

 何気なさそーにワイルダー人生を振り返るに「ひとつ前の映画よりいいものを作ること。けれども、私の人生は、まあどちらかというと…一家の四分の三がアウシュヴィッツで灰になったことを別にすれば、まあそれほどはね…」(@ワイルダー)の件は、コメントのしよーがないよーな…ちなみにワイルダーはオーストリア生まれ、長じてベルリンに出て新聞記者にその後脚本家に、ここでヒトラーが政権をとった時パリに移動し、これまたその後米にでハリウッドで監督となり現在に至るというのが、物凄く駆け足のワイルダーの半生ってか?

 凄いなぁと思わされたのはワイルダー家の親子関係ですかねぇ…ワイルダー的には母親より父親との関係の方が上手くいっていたと認識しているんですが、「私は母よりは父のほうを身近に感じていた。うちは三人がひとつに結ばれた一家ではなかった。母を愛してはいたけれど、母は強い人間だった」と回想するんですけど、この後に「父にはハガキの件で一度貸しがあった。つまり父のしっぽをつかんでいた。でも母の弱みは何もしらなかった」と続けるんですよ…親子関係、家庭内で弱みを握る握らないってのが凄すぎると思うのは気のせいか?で、この弱みってのが「父に隠し子がいるとその時悟った」とゆー、人目に触れないよーに父親宛てのハガキを郵便物から抜き取って「父と二人きりのときに「これ、きっと間違いのハガキだよ」と言って手渡した」って言うからワイルダー少年もパネェ…事の真相にはうすうす察知していながらもこの行動…しかも齢10歳かそこらの時なんだぜ(笑)ある種、事が表に出ないでこの場での離婚危機を回避したとも言えるが…殿方的にはよくある話じゃまいからすぃ…その後秘密は保たれたまま、ワイルダーのベルリン時代に父親が亡くなり、母親はその後再婚してその再婚相手と共にアウシュヴィッツへという流れになる模様…

 それにしてもこの弱みの握る握らないが後のギムナジウムでの失態の後始末まで貸し借り的な話に、揶揄かもしれないが出てくる辺り…欧米の親子関係って弱みを見せたら負けって事なんだろか?と勘繰ってしまふのは邪推のしすぎか?

 とはいえ恋愛感がこれまた秀逸で「女性を愛していて、五年後にも愛がまったく変わらず、結婚初夜のときと同じ愛情が続いていれば、それはこそほんとうの愛と呼ぶべきだろう」(@ワイルダー)の件は、全くもってご尤もなんですけど、そんな人どこにいるんだぁーっ(エコー付/笑)是非拝んてみたいものよぉ、越後屋ってか(笑)

 他についても色々エピあって、例えば「ゴダールは好きじゃない。ソフィスティケイトされているのは仮面で、ひと皮むけばただのディレッタントだと思う」(@ワイルダー)とか、俳優ではハンフリー・ボガートとはかなり軋轢があった模様…それでも死に際のボガートと和解していたりして…「私もはじめて彼に同情した。何といっても、彼はユダヤ人嫌いなのにユダヤ女性と結婚した男だ。それ以上の思いやりに満ちた行為があるだろうか?」(@ワイルダー)って…サブリナの制作現場は相当なものだったんだなぁ…まぁ本当はボガートじゃなくてケーリー・グラントを使いたかったみたいだし…

 さて、時代的な歴史の証言の重さがパネェでございます。何せ実体験ですからねぇ…例えば「強制収容所のことは知らなかった。隠されていたからね。ローズベルトが情報を抑えていた。彼は不可解なことのある政治家だった。ドイツ客船の話がある。難を逃れたユダヤ人がいっぱい乗りこんだ船で、キューバに向かった。ドイツの舟だ。乗客はパスポートもピザももっていない。彼らはワシントンに懇願した-「お願いだから寄港を認めてくれ」と。この事件の本もあって、私も読んでいる。ローズベルト夫人は跪いて夫に哀願した。イエスと一言、そうすれば乗客はアメリカの土を踏める。「考える余地はない」とローズベルトは言った。「選挙が間近にせまっているんだ。考える余地はない」そんなわけで悲しい結末が待っていた。ドイツ人船長は船をアントワープにつけた。乗客はベルギーやフランスやオランダに散っていった。でもこれらの国々はほどなくナチスの手に落ち、乗客だった人たちの半分は収容所で果てた。これは実際にあったことだ」(@ワイルダー)とな…成程、米にユダヤ人強制収容所はなかったけど、ユダヤ人入国拒否はあったとゆー事でしょか?

 またベルリン脱出の件でも「そのときにはナチスの一党独裁になっていた。共産主義と同じ。政党はひとつだけで、他のすべてはご法度。だから私は言った。「逃げるしかない。とんでもないことになるから」」(@ワイルダー)そしてワイルダーは当時の恋人の手を取ってパリに逃げる事になると…何にしてもワイルダーの予感通りにその後が進むのが…

 も一つ、墺の独併合の件…「今になってオーストリア人はいったい何と言っているか。自分たちはドイツに最初に占領された国民だと。占領とは恐れ入る!偉大なドイツ帝国の一部にしてほしいと懇願していたのに。それが一九三八年。そのあとすぐにチェコスロヴィキアが征服され、ズデーテン・ドイツが征服された。ヒトラーが来たときのオーストリアとウィーンの歓迎ぶりといったらなかった」(@ワイルダー)何だかなぁ…憤るワイルダーばねぇでございますが、世間ではよくある事と言い切るにはあまりに重いもんなぁ…

 更に当時のソレで「騒々しく、狂乱的だった。麻薬が大はやりしていた。二〇年代のベルリンはヨーロッパ随一の都会だったんだ」(@ワイルダー)だそーですよ、奥さん(誰?)WWⅠとWWⅡの間のベルリン…すざまじい変貌だったんだろなぁ…と部外者でも想像していまふ…

 監督的名言としては、「経験したことでも再現はできないものはある。もう一度やってみるのが不可能なものが。それでもそう、私の映画のなかでは人は大なり小なり現実生活と同じようにふるまっているといえるだろう」(@ワイルダー)とか、他にもいぱーいエピ満載、何せB5サイズで450頁強あるんですよ、読み応えばっちりです(笑)最後に一つ、監督の科白を上げるとしたら「くだらない質問というのはあり得ない。くだらない答えがあるだけだ」(@ワイルダー)でしょか(笑)何か実にワイルダーらしいと思うのは気のせいか(笑)

 ワイルダー監督作品、悪い種子、少佐と大佐、熱砂の秘密、深夜の告白、失われた週末、皇帝円舞曲、異国の出来事、サンセット大通り、地獄の英雄、第十七捕虜収容所、麗しのサブリナ、七年目の浮気、翼よ!あれが巴里の灯だ、昼下がりの情事、情婦、お熱いのがお好き、アパートの鍵貸します、ワン・ツー・スリー ラブ・ハント大作戦、あなただけ今晩は、ねえ!キスしてよ、恋人よ帰れ!わが胸に、シャーロック・ホームズの冒険、お熱い夜をあなたに、フロント・ページ、悲愁、バディ・バディ

 目次参照  目次 文化・芸術

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