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2015年4月15日 (水)

バリの空の下?

パリが愛した娼婦  鹿島茂  角川学芸出版

 舞台は19-20世紀前半のパリでしょーか?娼婦稼業とは何ぞや?というと、これ世界最古の職業の一つと言われて久しいけど、よーく考えよーで「前資本主義的段階の農耕社会では娼婦の数は多くない」けど、「資本主義が加速して都市化が進むと娼婦は急増する」そな、でもって「資本主義が爛熟しすぎると逆に娼婦の数が減り始める」のがパターンだとな…まぁ数の是非という以前に、娼婦とは都市に集中してるものというのは、確かに、で…野中の一軒家的なイメージというよりも、都会の真っただ中の不夜城ってイメージじゃないか?まぁそれ以前に所詮客商売だから、人がたくさんいるとこに、需要のあるとこにというこれまた経済原則が息づいているよーな?

 でまぁ、その時代のパリには娼婦がたくさんいらっさったとな…というのも「十九世紀のフランス社会、とりわけ資本主義の坩堝であったパリにおいては、民衆階級の働く独身女性ないしは手元不如意な主婦が物欲を、完全に充たすには「娼婦になるしか」道はなかったのであり、さらに一歩進んで「主婦でない女性は娼婦」だったとさえ極限してもかまわないのである」まで、いっちゃってたと…仏パネェ…というより著者パネェ…ある意味パリジェンヌ総娼婦宣言って、コード的にオケなんでしょか?

 都市生活、そんなに甘いもんじゃなしなのはいつの時代でもそーだろけど、それにしても性差問題、格差問題って、根が深いなぁ…底辺の話かといえば、これ結局政治・経済政策・状況の有無にもつながる訳で…花の都バリで繰り広げられるそれも、パネェとしかいいよーがないよーな…さすがおフランス様は違う(笑)

 アリス的に娼婦…というより、何でコレなんだというと、今日は准教授のお誕生日だからです。永遠の34歳万歳(笑)で、准教授というと、46番目のアリスによる立て板に水のごとくの紹介によって、もー准教授というと変態性欲の権威とインプットされて久しい…とゆー訳で、何か毎年准教授の誕生日の頃はこの手の本ばかりチョイスしているよーな気がする…有難う、准教授、新たな知の地平へ誘ってくれて(笑)

 本書的に娼婦というか、高級娼婦についての項がなるほろと感心しますた…高級娼婦というとピンとこない人でも椿姫と言えば分かるんではなかろーか?というか、本書、さすが仏文学者なのか、その19世紀文学が縦横無尽に登場しまする。よく考えなくても、仏文学ってこれまたある意味、コキュ文学か娼婦文学なんじゃあるまいか?総じてそれ不倫文学という?

 で娼婦のお相手はというと「もっぱら金持ち連中で、外国の貴族、金融界や産業界の大ブルジョワ、パリの「ボンヌ・ブルジョワジー」のメンバー、および容色の盛りを過ぎた娼婦たちのお得意客であった地方の金持ちがそうであった」とな…で、これが高級娼婦となると「たくさんの愛人を会員組織で共有し、監察もちの街娼たちの一部がやっているように、各自、相手の一人ひとりに昼とか夜とかの時間をそれぞれ割当てて稼ぐのである」とな…ただ、「ファム・ギャラントは、絶対に街頭の客引き行為はしない」とな…(以上、「娼婦」アラン・コルバンから)

 娼婦と高級娼婦の違いといえば、客の選択権の有無でしょか?高級娼婦の世界では完全に売り手市場、選択権は高級娼婦にあると…となれば、手にいれる為には「市場は青天井」に突入し、「上限はないのが普通だ」に行き着くと…

 で、そんな高級娼婦達のエピも出てきまする。マリー・デュプレシスとか、ラ・パイーヴァ、リアーヌ・ド・プージィなど、当時の高級娼婦の代名詞だった美女がズラリ…ちなみにこのマリー・デァプレシスは椿姫のモデルとも言われている人…ラ・パイーヴァの方は後にポルトガルの侯爵夫人にもなったし…リアーヌ・ド・プージィはあの失われた時を求めてのオデットのモデルの一人だそで…パリの高級娼婦、並じゃあないんですよ、おぞーさん(誰?)

 で、まず高級娼婦への道は、子供の頃にある程度教育を受けた事があるか?せめて読み書き位はね、と…で、次に成金をステップアップとして、真の上流階級の男と接触、またはゲットする事…でで、その男が所謂ヒギンズ教授じゃないけど、教育者、特に「女を磨く」教育者である事が肝心な模様…ここまでなら単なる囲われ者だけど、ここで一挙に文化・教養キタコレで身につけられるか?否か?が高級娼婦の別れ道らすぃ…その手の教養って、何か花魁、太夫の世界と似ていると思うのは気のせい?

 ででで、高級娼婦に超がつくとなると、どーなるのか?というと、男のファム・ファタル願望を叶える女という事になるんだろーか?「男を誘惑し、骨の髄までしゃぶりつくし、奈落の底にまで突き落とすファム・ファタルというのは、男の心の奥底に存在する密やかな自己処罰願望が、それを察知する能力に長けた女によって現実化したもの」だとな…

 まぁある意味、M男の夢の具現という事にもなるのかと(笑)男の破滅願望ってある意味、M的属性なのか?頂点からどん底へって…個人の性癖についてはアレですが、それと高級娼婦に入れあげる男の属性として、も一つ、「有名な高級娼婦の愛人となって、湯水のように金やモノを消費し、広く名を知られるようになることを、一つのステータス・シンボルと見なす見栄っ張りの男」という需要もあると(笑)「自己愛の充足としての「破滅」なのである」とな…俺って凄いってか(笑)

 何かもー建前なのか、本音なのか、言い訳なのかはともかく、「いったんこの手の超高級娼婦の毒牙にかかったら最後、引き返すことは絶対に不可能だということである」に尽きるのかなぁ(笑)結局、何のかんのと理屈をつけても「男というのは、金満家になればなるだけ、その分、巨大な破滅願望、いや死への願望を抱くらしい」とな、太く短くが恰好いいと思っている辺り、青いと思うのは気のせいか(笑)

 その他、ヒモ、女衒、レズビアンなどについての詳細は本書をドゾ。何とゆーか、娼婦…一番必要なのはカウンセリングじゃまいか?と思うのは気のせい?何でも損得づく、欲得づくの世界だから、そーじゃないものに憧れるんでしょかねぇ…

 それにしても金言だと思うのは「金銭を媒介としてセックスを取引する娼婦にとって、客というものは、セックスであれ愛情であれ、すべて労働の対価でしかないわけだから「苦痛」であり、「疲れさせる」ものでしかないのである」は、仕事の本質をついているんじゃまいか?どんな仕事も仕事であれば、苦痛と疲れでしかないんですよねぇ…給料もらわなくてもやりますな仕事(好き)なんて、そんな人どれ位いるのか?考えなくても分かるよな(笑)世の中、仕方なく仕事している人が大半なんですよ、姐さん(誰?)

 後、「売春の歴史というのは資本主義の発達史とパラレルな関係にある」という件、ある意味、資本主義の申し子、売春というのは「商品の売買に金銭が介在するれっきとした゛商行為」」なんだそな…ちなみに売春の正式名称は「売買春」だそな…

 そんな訳でパリの売春宿についての詳細も本書をドゾ。やれればいいという物理的なソレから男心をくすぐるファンタジーに変遷していく有様は見ものです(笑)よーは娼婦らしい娼婦がいるソレではなくて、「娼婦らしからぬ娼婦がいる、娼家らしからぬ娼家」がいいと、性のソレではなくて、疑似恋愛を錯覚させてくれるとこ…何かもー男のモテ願望の充足の為にある世界でしょーか?でもリアルでモテるなら、わざわざ娼家に足を運ぶ必要なしだから、結局それは…

 まぁそれもともかく、客商売なので娼家も不景気の波が襲わない時はなしで、そゆ時娼家はどーしたか「その度に、顧客の議員や有力者に働きかけて、なにか、大きなイベントを開催してくれるように政府に働きかけた。メゾン・クロース業界からの政治献金は馬鹿にならない規模に達していたのである」って…政治家って…まぁある意味正直者乙か?金くれるとこの為に働きますだしなぁ…

 で「一八七八年、一八八九年、一九〇〇年と十一年おきに第三共和政下で開催されたパリ万博は、こうした不景気からの回復策として、ケインズ的発想から生まれたものなのである」って…娼館の要請によって万博が開催されたとも言うという事か…やはりおフランスってパネェ(笑)

 そして、ここからが准教授お立合いの世界が展開していく模様…何がと言えば、「衣食足りて、変態を知る」に走る事になるからだったりして、変態性欲の権威キタコレぇー(笑)資本主義が進んで持てる者が増えた、もしくはバトンタッチした後に、富裕層は衣食は足りた、そして礼節を知るじゃなくて、「自己の脳髄に宿った淫らなイメージに興奮する男たちが増加していったということである」に突っ走る訳ですね、分かります…所謂、覗き部屋、SM部屋、スワッピング・ルーム、イメクラと、全面展開キタコレになる訳ですよ、奥さん(誰?)いやもー何かあまりに凄い世界ですので詳細は本書をドゾ(笑)

 それと地方における娼家は、「常連客の集まる社交場」だったそーで、「常連客の酒を介した社交が第一で、売春は二の次だったのである」とな…英のパブ的な酒か、酒なのかに特化したのに対して仏では性に特化した方に走ったって事なんでしょか?うーむ…どちらにせよ、対象は男性客って事で、確かに戦前の女性の立ち位置って相当にアレだったんだなぁ…まぁホテル・リッツのエピもターゲットは一般婦人客って市場開拓的にはあってたのか?

 も一つアリス的なとこで法律的なソレ、日本だと売春は禁止されているけど、何と仏は「いまも昔も「売春それ自体は犯罪行為ではない」という法的に認識されている「事実」があるからである」って…さすが仏、どこまでも仏、だって、今現在、もなんですよ、おぞーさん(誰?)自由、平等、博愛の国はやはり一味違う(笑)ただし、「売春それ自体は禁止ではないが、それを実践しようとして行動を起こすことはほとんどが禁止となっている」そーで、話はそー簡単ではないんですね…この辺りの詳細も本書をドゾ。

 まぁ時代の変遷で娼家の四散や、ブローニュの森でむふふ系の詳細は本書をドゾ…法的なとこでいけば、1946年4月の「公娼廃止法案」が憲法制定国民議会で可決して、ジ・エンドとなるとな…よーするパリ解放の後に、ナチと通じた奴許すまじの果ての出来事というべきか「ドイツ軍将兵の「慰安」を担当していたメゾン・クローズに向けられ、経営者がナチと共謀して純粋なフランス娘を堕落させ、ナチ将校の歪んだ性愛に奉仕させていたとして告発された」とな…どこも軍が絡んだ、性問題は、後を引くのぉ越後屋の世界か?

 さて、実に仏的というのがこの法案の立役者だったマルト・リシャール市議がどゆ人だったかというとこですかねぇ…この女史の経歴がこれまた半端ねぇでございますよ、姐さん(誰?)詳細は本書をドゾですが、いやオチ的にこれ程パネェってそーはないんじゃなかろーか?仏って国は、どこまでも仏なんだなぁと痛感させられるお人でございます、うん…

 てな訳で、他にも色々色々、本当に色々エピ満載ですので、本書を覗いてみて下さいとしか言えないよな(笑)いやぁ王政の頃、王様の愛人は公務員というだけでも、仏パネェでしたけど、市井の方もこれまたパネェでどこまでもパネェとこだったんだなぁ(笑)やっぱ、エロスは仏に訊けがジャスティスってか(笑)

 とはいえ、著者によると「娼婦は世界で最も最後まで残る職業かという問い」に対して、著者は「どうも、そうではない、という気がしてくる」と序文で推測している辺り、資本主義(黎明期・繁栄期)のあだ花なんですかねぇ…

 目次参照  目次 国外  目次 未分類

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