« セックス・ドラッグ・ロックンロール? | トップページ | 未来は無秩序にあっという間にやってくる? »

2015年6月21日 (日)

仁義なき戦い?

アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ  ジョー・マーチャント  文藝春秋

 何の本かというと、男のロマンでしょか(笑)今でも沈没船とゆーと、やたらとドラマチックに盛り上がるじゃまいかが常道ですけど、こちらの船も並じゃあなかったとゆー事か?ところは地中海、アンティキテラに海綿とりのダイバー達が古代の沈没船を発見したところから、話は進むってか?まあ色々ありましたが、そこからお宝引き揚げましたマルで普通なら終わるのに、今回は美術品的彫像とかが主だったのに、採集した一つにちょっと変わった物があったからお立合い…それは海の中だから錆びてたり固まっていたりしていたんだけど、どー見ても歯車の集まり、今でいう歯車時計みたいなノリじゃね?とゆーシロモノであったとな…

 ロマンです。それしか言えねぇ…でして、本書の話を牽引していく人達は、ある種憑りつかれた人達の群れなんだろなぁ…そゆ建前と本音が錯綜していて凄いけど…何より凄いこの感覚が欧米か?(死語?)なんだろなぁ…どの人物も濃いぃぃです(笑)

 とはいえ、このアンティキテラの話に的を絞るのならば、本書最初の三章はいらなかったんではないか?と思わないでもないんですけど、時代背景と前振り的予備知識的には必要なのか?多分、物は紀元前百年ちょっと前、ローマ帝国のスッラの頃じゃねで、その沈没船の物を引き上げたのが1901年の事…で、独立したギリシャとしては独自の考古学品キタコレになった訳だけど、考古学者が立ち会っていながら、学術的に現場でも整理していなかった、しかも博物館入りしても放置プレーって、ドンダケェー…

 かくて「第二次世界大戦以前にアンティキテラの機械を調べた学者は、誰もが五里霧中だった」とな…

 「それらは、これが航海用の道具ではなく天文学的な装置であり、船上で使われたのではなく船荷として乗せられていたことを匂わせた。だが、さまざまな憶測はなされたものの、謎の破片については、ギリシアの物であり、年代は紀元前に世紀から紀元前三世紀のあいだ、という以外確かなことはなにもいえない状態だったのである」となる訳で(笑)

 アリス的に古代遺跡というか、機械…謎が謎を呼ぶ辺りで、非常にアリス好みだと思われなんですけど、これが天文関係ならば、准教授もまた関心があるんだろぉか?うーん(笑)後はアリスの好きな月が絡んでいるかもかもか?

 流れ的に見ていくと、ヴァレリオス・スタイス(@アテネ国立考古学博物館館長)によると「アンティキテラの機械が発見されたとき、作られた時代はヘレニズム期、それも紀元前二世紀にちがいないと確信を持った」とな…「ただしそうなると、アンティキテラの機械の文字は三世紀のものだとする古代貨幣の専門家ジョン・スヴォロノスの説と、相容れなくなる」とな…とはいえ「アンティキテラの機械を乗せていたのは、おそらくギリシア各地からの略奪品を積んでいたローマの船だろう」となな…

 時は1953年…「ダイビングの先駆者ジャック・クストーとフレデリック・デュマ」がアンティキテラに潜ってみよーじゃまいか?とか、次はヴァージニア・グレース(考古学者/米)とマリア・サッヴァティアヌー(学士/希)が考古学博物館で「地中海各地で発掘されたあと同館に放置されていた、割れたアンフォラの把手二万五〇〇〇個を目録化する仕事」に着手、海から引き揚げられた物はどっから来たか?で「グレースは、アテネで作業中のアメリカの考古学者仲間に呼びかけて、船の沈んだ時期と、船の出港地を探り出すことにした」とな…これがデータベース化できれば研究は一挙に進むというか、楽になるはずなんだけど、「博物館の倉庫に入り込む苦労は、並大抵ではなかった。ギリシア人スタッフは倉庫に外国の専門家チームを入れることにたいして、猛烈に抵抗を示した」しかも、その倉庫の中身ときたら「沈没船から回収した品はどれもきちんと目録化されておらず、ラベルも貼られていなかった」「第二次大戦がもたらした混乱と博物館の体制の変化によって、一九〇三年に記録された発見物は大幅に失われていたのだ」って…ギリシャ人の管理能力って…IMFに聞いてみよーってか(笑)

 この辺りの専門家の分析云々についての詳細は本書をドゾですが、あの放射性炭素年代測定法もできるよーになってきて、エリザベス・ラルフ(放射性炭素測定法研究所@ペンシルヴァニア大)による木片の調査なんかも出てきます…「ラルフは、木材の年代を紀元前二六〇年から紀元前一八〇年の間と査定した」とな…これによって船が航行している時代が大まかに明らかになったと言うべきか?

 でもって硬貨から「船は紀元前七〇年から六〇年のあいだに死沈んだにちがいない。そしておそらく硬貨の大半が鋳造された小アジア沿岸の都市ベルガモンから出航したのだろう」とゆー事も分かってきたりして…その他色々専門家の謎解きがありますが、丸めるとポンペイウスが自分の征服した東部諸国の品々を、ローマに送らせた時期と一致している」とゆー事らすぃ…時代はローマ帝国帝政前夜ってか?

 さて、ここまでが外堀の話で、ここからが本丸の話…アンティキテラの機械は何なのか?とゆー謎解きの話にシフトすると…で、最初にそれに憑りつかれたのがデレク・デ・ソーラ・プライス、英の物理学者、かな?ちなみに中国科学史のジョゼフ・ニーダムとも親交があった人物…そしてアーサー・C・クラークなんかも絡んできますが、詳細は本書をどぞ。彼の交遊録も面白いと言えば面白いよな(笑)ただ、歴史学と科学が関わるところで、歴史学者の賛意を得るのはむつかしいとゆー事か?プライスのソレは「歴史学者や社会学者と激しく対立することになった」になっていく訳で、結局、彼は科学者に向けて発信する事になる訳ですね…何せ2000年前の歯車による機械ですから、科学史的にどよ?とゆーか、世紀の大発見じゃねになる訳で…

 で、次に今度はX線で測定しよーとゆー話になると…プライスがアルヴィン・ワインバーグ(オークリッジ国立研究所所長)経由で、チャラランボス・カラカロス(アテネの核研究所放射線撮影学部部長)を紹介されてX線撮影決行、かくて歯車が見えたとな(笑)

 こちらの詳細も本書をドゾですが、よーするにこれにてプライスは「ギリシア人からの歯車」とゆー論文を1974年6月に出版するに至ると…まっメトン周期と差動歯車の発見についての詳細も本書をドゾ。何にせよ画期的な事にかわりなし、ある意味世紀の大発見ってか?よーするに「中世からルネサンス期以降のヨーロッパ人のものとされてきたテクノロジーが、じつは古代文明にすでにそなわっていたのだ」とな…

 歴史が変わるか?と言えば、やっぱ学会って旧態依然なので、でもそんなの関係ねぇー(死語?)で黙殺されたに近い話になったらすぃ…「そして問題の多いスイス人作家、エーリツヒ・フォン・デニケンが「未来の記憶」(一九六八年)の中で、アンティキテラの機械を取りあげたことも、足を引っ張る結果になった」どゆ事かとゆーと、アンティキテラの機械は宇宙人が残したものだぁーっとゆーゲテモノ話になってしまったと…それにしてもこんな本が世界で何百万部も売れるベストセラーになる訳だから、出版界って…かくて「まともな歴史学者にまじめに取り上げられなくなった」とな…

 次にアンティキテラの機械に憑りつかれるのは、ロンドンの科学博物館、学芸員助手のマイケル・ライトだったとな…アンティキテラ自体はギリシャの博物館では異質な存在で、余り評価されていなかったみたいだから、ここでロンドンの博物館はギリシャ展でも開いてアテネから物を借り出したら良かったんではないかと後出しじゃんけん的にもは思ふ…しかし、まぁ時代は「新体制になり、博物館では正体不明の遺物を研究するより、見学者(「お客さま」と呼ばれるようになった)を喜ばせるほうがだいじという方針が打ち出された」訳で、ライト氏の密やかな研究も日の目を見ないどころか、やめちまぇな環境になっていってたとな…

 そんな中にアラン・G・プロムリー、シドニー大の天体物理学者がやってくると…バベッジのコンピュータ展で意気投合した二人は、やがてアンティキテラの話もするよーになると…そして何とプロムリーはその研究に割り込む事をする訳で…

 ちなみに「ギリシアの出土品にかんしては、不文律がある。一人の研究者に研究許可が下りた場合、その成果が発表されるまで、ほかの研究者は調査を控えねばならない」それを破って、しかもライトのアイディアまで盗んでの犯行、悪びれない犯行だから凄い…

 何事も肩書がものを言うとゆー事でしょかねぇ…アテネの博物館も許可出すし、このプロムリーはその後も出しぬかれた悔しさを飲みこんで、アテネまで研究を手伝ったとゆーか、協力とゆーか、現場的に仕事したライトを再び裏切って、手に入れたデータを一人持ち逃げするんですよねぇ…オーストラリア的にこれはアリなのか?それとも一人プロムリーの性格、人格のなせるワザなのか…失意のライトはその間に離婚したり、大けがしたりアレですが、やはり神様っているのかい?で、何とプロムリー六年後に癌で死亡…ようやくライトの下にデータが戻る事になると…

 これでようやくゆっくりと研究進められるかも?な話になるはずが、今度はトニー・フリース、映画制作者が立ちはだかる事になると…そしてマイク・エドマンズ、カーディフ大学天文学者に自分のアイディアが盗まれて論文にされてしまう事態も…

 何とゆーか英米の大学教授からしたら市井の意見なんて、そんなの関係ねぇー、盗んだって先に論文にしてしまえばいいんだわの世界がジャスティスなんですかねぇ?ライトが余程運が悪いのか?それとも大学教授の個人主義、ジャイアン主義が徹底しているのかは知らんが…

 で、研究の不文律がある訳で、先に研究をスタートさせたのはライトの方、彼が何らかのアクションを出さない内は誰もその研究に手をつけられないとゆー紳士協定…しかし、「最初のうち、アテネの考古学博物館はフリースとエドマンズの依頼を断った。ライトがまだ研究を続行していたからである。だが、チームには高名な天文学者がずらりと顔を揃えていたため、ライトは彼らが断片の画像化に成功するのは時間の問題だと考えた。で、その後「ライトは彼らが二〇〇五年十月にアテネ国立考古学博物館にいき、破片の撮影に入ることを知った」となる訳だったりして…ブルータスお前もか?じゃないけど、世の中って権威好きなんですよ、奥さん(誰?)

 でで、時代が21世紀ですから、X線なんてちゃちな事を言ってないで、もー最先端機器導入で何でも写すよぉーの世界に突入、X-テク社のマイクロフォーカスX線撮影法やコンピュータ処理、CG…現代最強の布陣で臨めば今まで分からなかった事も分かるはず、でもって、映像として売れるはず、ニュースになるはずとゆー…この辺りの丁々発止の件についての詳細も本書をドゾ。孤軍奮闘のライトに対して、フリースの方は金と人を結集してのソレですから(笑)

 そんな訳でフリースは祝賀会まで開いちゃう、勿論、ライトも招待すると…何とゆーかどこまでもオレ一人のスポットライトの為には邁進するのが英米的な競争とゆー奴なんですかねぇ…いかに相手を出し抜くか?これがフェアって言うのか?彼ら的には?もしくはよくある科白の騙された方が悪いんだってか?「マイケル・ライトは、あらゆる障害と戦いながら孤独な長い歳月を送ったあげく、功績が一瞬にしてトニー・フリースと彼のチームに奪われたのを知った。あまりに耐えがたいことだった」ってててて…

 アンティキテラの機械についてはどっちが正しいとか、何が本当か?は実はまだ夢の途中なのかも?とゆーのも、現物が完璧に残っている訳ではなくて、色々欠けているとこもある訳で…その形や文字からこゆものじゃないかとゆー推測をしている段階じゃね?とゆー…

 とにかく、何かを計測する機械である事は確か、多分天体に関係している事も確か、謎はまだ続いているとゆー事でしょか?うーん…どゆ事とゆーと本書を読んでくらはいとしか言えないよーな?他に似たよーな遺跡、遺物が出てくるか、またはアラビアの文献に出てきてくれるか、いつか本当の事が分かる日もくるかも?でしょかねぇ?

 まぁ最初から最後まで男のロマンですが、ある種我欲との戦い?男の縄張り争いみたいなノリでもあって、何だかなぁ(笑)それにしてもギリシャはこんなに過去の遺産があるんだから、これらで幾らでもやりよーがあるよーな気がするが、現地的にはそーでもないのか?日本人からするともったいないおばけで出そーな気がしないでもないんだけど?

 まっそんな訳で全編アンティキテラの機械の話に終始しているんですが、日本的なとこでプライスの業績の一つにマンハッタン計画は、核兵器開発は米と独の独壇場だったのか?で「自分の弟子である日本人大学院生八木江里(現・東洋大学名誉教授)の手を借り(そしてジョゼフ・ニーダムの言いつけを守って、英語で書かれた文献だけに限らず)、プライスは未発表の歴史資料と日誌を掘り起こし、日本が独自に核爆弾を開発していた事実を明らかにした」とか突然出てくるんですよ、如何にも英米向けの本じゃまいか?しかも「マンハッタン計画にたずさわった一三万人のアメリカ人の努力が、ニューメキシコの砂漠の真ん中で、ついに実を結んだのだ」との表現の対比が核の閃光以上に眩く見えるのは気のせいか(笑)

 さて、本書豆知識も満載で、古代当時の船の木、ローマの船とどーして分かったか?は「中央イタリア産のニレ」で造られていたかららすぃ…ちなみにギリシアの船ならば、「アレッポのマツを使うことが多い」となる模様…成程、素材か(笑)

 も一つ当時の壺…どーもローマに下ってから造られた壺の方が粗雑らしいんだよね…「ロードス島の壺の品質はローマの将軍カッシウスが、紀元前四三年に島を攻め落として以来、大幅に下落した」そで…古代の技術って環境によるとこ多しなのか?

 他にもたくさんたくさん本当にたくさんエピ満載ですので、興味のある方は本書をドゾ。今一、文が若干若い気がするが、物は二千年越えですから、悠久のロマンがお待ち申し上げていまするるるるぅーっ(笑)

 目次参照  目次 理系

|

« セックス・ドラッグ・ロックンロール? | トップページ | 未来は無秩序にあっという間にやってくる? »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

理系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 仁義なき戦い?:

« セックス・ドラッグ・ロックンロール? | トップページ | 未来は無秩序にあっという間にやってくる? »