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2015年9月 8日 (火)

魚は頭から腐る…

ローマ人の物語 31 終わりの始まり 下  塩野七生  新潮社

 かくて、振出に戻るってか?マルクス・アウレリウスの悲願であった内戦状態だけは回避の為の世襲の息子皇帝で何とか延命のローマ帝国の夢もつわものどものゆめのあとってか(笑)コモドゥスの暗殺の後、皇帝は誰がつぐか?はそれこそ大問題になる訳で、ましてやローマ帝国で空位のままで政治的空白なんて、あってはならない事じゃけんでして、どーなったか?近衛軍団の長官レトーの推挙により、ローマの長官だったペルティナクス66歳にお鉢がキタコレになった模様…

 当初、ペルティナクスは自ら皇帝になるつもりなんて毛頭なく、むしろそろそろ引退じゃね?な状況だったらすぃ…でまぁ故事にならって自分の役どころは、70歳で帝位についたネルヴァで、次期皇帝までのつなぎ役に徹すればいいじゃないと理解していたお人だった模様…よーするに野心家でもなく、物事を良く見えていた人だった訳で、このままこの人の治世が何年か過ぎてスムーズに権力の委譲ができれば、ローマ帝国的にどんなに良かったかしれないのに、ああそれなのに、それなのに…運命の輪って生半可なものじゃないんですよ、奥さん(誰?)

 とにかく、この国家の一大事に、もめている場合じゃない訳で、マルクス・アウレリウスの一の忠臣ポンペイアヌスも70歳を越えているお年齢であろーが駆けつけて、ペルティナクス皇帝就任やたーっと盛り上げた模様…紀元193年の1月1日事でございましたとさ…所謂、現場たたき上げのツワモノ、しかも兵站のエキスパートとはこれ如何に…で、このベルティナクスの経歴の詳細は本書をドゾ。出来る男は転勤族というか、帝国全土をまたにかけて行くぜの世界だったんですねぇ…まぁ「元奴隷の子は、皇帝にまで登りつめたのだ。それも、階段の一つ一つをまじめに確実に登っていくことで、自分だけでなく、自分の属す共同体の役に立ちながらの成果であった」とな…庶民派、たたき上げ、実力ありの皇帝がたったとゆー話となるかな(笑)

 アリス的にローマ…今回は本当に格闘系なので、アリス的というより、実に男臭い世界かなぁ…権力というか、パワーというものを考えた時に、人はどー動くか?でしょか?そゆ意味ではミステリーの動機くさい話でもあるのかなぁ(笑)

 さて、ペルティナクスは国家運営の「最優先政策として、国家財政の健全化をあげた」とな…その他、前政権で虐げられた人々の名誉回復とか、各地の将兵達の待遇改善とか、諸々の問題を迅速に展開していった模様…ついでに言うと「帝位の世襲はしない」と明言してもいたりして…妻にもアウグスタは贈っていないし、娘と息子には「皇宮に住まうことを許さなかった」とな…きっちり公私を分けて、自分の役、つなぎの皇帝を全うする所存を明確化したとゆー事らすぃ…実に潔い人だったよなぁと思ふ…

 よーするに何もかも透明化、一昔前に流行ったグラスノチな世界に突入した訳で、正しい政策に邁進していった訳ですね、ある意味、物凄く素晴らしいでござるなんですが、問題が一つ、そこには近衛軍団長官のレトーの存在なんですよ、奥さん(誰?)

 レトーの推挙によって皇帝になれたペルティナクスな訳で、たとえペルティナクスにその気がなかったとしても就任した以上、功労者にはおみやげあるよね、の世界が待っていたと…ポっと出のペルティナクスが元老院や市民、及び軍団ご一同様から一定以上のお墨付きを戴くまでは、取りあえず待ての姿勢だったよーなんですが、これにしびれを切らせてしまっのが、レトーご本人、すぐに利権よこせとゆー事ですよ、おぞーさん(誰?)レトーが欲しかった利権とは何か?エジプトの長官になりたい…ローマの役職的にうまみがいぱーい、よーは賄賂いぱーいとゆー職だったらすぃ…

 まっこれも半年とか一年たってなしのつぶてなら、ちょっと待ったぁーっもあると思いますだけど、レトーは僅か三ヶ月でうってでる訳だったりして…「紀元一九三年三月二十八日、レトーに煽動された近衛軍団の兵士たちが、大挙してパラティーノの丘の上の皇宮を襲った」「一人残ったペルティナクスは、隊長の一人の剣の一突きで死んだ。八十七日間の皇帝だった」とな…金の恨みって恐ろしス…レトーにとってはローマ帝国の行く末より、己が蓄財だった訳ですね、分かります…

 で、返す刀でレトーが次に選んだのがディディウス・ユリアヌス…ところがここにフラヴィウス・スルピチアヌスが立候補してきたらからこれ如何に…で、どーして決めたか?近衛兵の投票によって、そしてその選択の基準になったのが、どちらが一人一人に賄賂、お金を払ってくれるか?で、ディディウス・ユリアヌスが競り落とした模様…近衛一人につき6250デナリウス差し上げまっせってか(笑)

 これにて一件落着かと思いきや、ユリアヌスの登位にはちょっと待ったっとものいが入ってしまったんですね、それは誰が?といえば、「辺境の防衛線を守る将兵たちだった」とな…そしてここから内乱の狼煙が上がったとゆー事になる訳ですよ、姐さん(誰?)「三月二十八日、ディディウス・ユリアヌス、皇帝に就任。元老院も承認」したにも関わらず、「四月九日、「近パンノニア」属州総督のセプティミウス・セヴェルス、軍団兵の推挙を受けて、皇帝に名乗りをあげる」とな…そしてその後にも、「ブリタニア属州総督のクロウブィウス・アルビヌス」「シリア属州総督のペシェンニウス・ニゲル」が次々と名乗り上げてきたでごさるとな…

 まずは金の力で人は動く、次には軍の力で人は動くという事ですね、分かります(笑)この辺りの詳細は本書をドゾ。結局どゆ事かとゆーと「前皇帝の指名とか前皇帝と血のつながりがあるとかで示される正統性がなくなり、実力で帝位を争う時代に入るや、ローマ帝国でモノを言うのは軍事力である」となる訳で…でまぁ途中経過の詳細はこれまた本書をドゾですが、よーはより多く味方、この場合は将兵をつけた方が勝ちなのは当たり前でして、最終的にセヴェルスが勝ち残る事になる訳だったりして…まぁ一番若く、一番野心家だった男が残る、これ鉄板ですかねぇ…

 ここでも、個人的にはニゲルに皇帝位に就いて欲しかった…結局、皇帝職というのは究極のバランサーで、有事もそうだけど、平時もクリアできる人じゃないと続かないとゆーか、パンピー的にどよ?という事になりかねなくね?じゃね?どゆ事とゆーと、この四人はどの人も現場を知り尽くしていた属州総督で、有事のソレならば日常茶飯事なんですよ、奥さん(誰?)でも、ミリタリー的なソレだけが世界基準かというと、そーじゃなくね?とゆー事に…やっぱ世界の基本はシビリアンなんですよ、おぞーさん(誰?)政とは、その両方を上手く動かせる、見通せる人にできる事なんだなぁと…軍の世界もあれば、財界の世界もあり、ハレもあれば、ケもあり、ローマ市民もいれば、蛮族もいると…

 セヴェルスがトップになって何が起きたか?の一番のそれは、この時よりローマ帝国皇帝は軍事独裁政権の様相が濃くなったとゆー事でしょか?まぁ、セヴェルス自身は真面目に仕事をする人であったとはいえ、兵達の発言権が力を増し、軍事政権色が強くなったとこでヤバしでしょねぇ…かくて本書のタイトルが生きてくるとゆー事になるんじゃね?軍隊が政権を取るのはどこの国もある程度容易いと思うんですよ、その兵力をバックにすれば、銃で脅してとればいいだけですし…ただ、軍事政権の存続となると、どこの国も右肩下がりになるだけの事で、長期的に見れば国が衰亡していくばかりなりなんですよね…

 これらを鑑みて、思うにやはりここは清濁合わせ飲むというか、酸いも辛いも経験値高そうなニゲルの方が、まだローマ帝国的に平和であったんじゃなかろーか?と愚考するんですが、どーなんでしょねぇ?

 そして何より、問題なのは、ローマ帝国が誇る優秀な人材の宝庫、本来は元老院がそのプールであったはずですが、現実的には属州提督達のキャリアの方が現場を知っている実力主義なだけに段違いで違うよーな気配が(笑)そゆ、貴重な人材が内乱・内戦によって失われていく事じゃまいか?これを怖れてマルクス・アウレリウスは、内戦はあかんと遺言した訳ですけど、おてめえの息子のあまりのふがいなさの後始末に内乱期を迎える事になる訳で…優秀な人材をプールできない、適材適所に配置できない、もしくは枯渇していくという事は、国として一番立ち行かない事につながっていくんじゃまいか?なんですよねぇ…国とはまず人ありきなんですよ、奥さん(誰?)

 かくて紀元193年から、実質的には197年6月以降からセヴェルスの統治が始まる訳で、詳細はこれまた本書をドゾですが、一口で言うと、軍事独裁政権樹立に近いものがあるのかなぁ?セヴェルスが真面目に仕事をしたのには間違いはないと思われですけど、古今東西、独裁政権、軍事政権が政権とって真っ当に機能した事などあるのだろーか?じゃね?で…社会が硬直化していけば、己ずと国も以下同文で…

 まず、何よりもアレなのは、言論の自由が制限されていったじゃまいか?な傾向になってゆくとこでしょか?今までは、皇帝に対する反対意見もオケ、更に皇帝のバカヤロー的な悪口だって言えたじゃまいか?ですけど、ローマ最大の特徴、何事も寛容なソレがなりを潜めていく事でしょかねぇ…風通しの悪い社会がどーなっていくかは、これまた今も昔も変わりなしで…

 後、軍の待遇改善も行っていまして、これが後に軍部の独走を促す結果というか、軍事ロビーの誕生でしょか?よーは、軍の発言権がぐっと増したとゆー事らすぃ…対キリスト教問題はいつものよーにローマ風な対応を取ったりとか、故郷に錦を飾ったりとかあるんですが、これも歴代のローマ皇帝的にどーよ?かなぁ?

 というのも、今までの皇帝達は自分の故郷の一大開発なんて真似はしていないんですよね…あくまで帝国全体の見渡して、土木、開発、維持を行ってきている訳で…しかし現皇帝派こゆ我田引水な真似を平気でできる人だったらすぃ…

 かくて、帝位に就くまでのレースでは俄然トップだったセヴェルスも、就任して以降は右肩下がりの治世だった模様…属州総督としては優秀で、それなりの器もあり、国を回す事も可能だったけど、資質的に、そして器的に、皇帝としてどよ?となると、どーなんでしょねぇ…少なくともカシウス・ディオ(歴史家)の評判は頗る悪かったりして(笑)

 また、セヴェルス一家も、二人の息子カラカラとゲタの兄弟仲も悪ければ、カラカラの義父、近衛軍団長官とも悪いと…ちなみにカラカラはその義父を切り殺していたり、ゲタと妻を追放していたり、更に後に暗殺していたりしまする…ローマ皇帝の家族って…

 それはともかく、セヴェルス最後の皇帝としての仕事が、ブリタニアの征圧だったりする…例のハドリアヌス防壁の向こうですね、分かります(笑)帝国的には対蛮族は常に仮想ではなく敵国なんですよねぇ…で、マルクス・アウレリウスよろしく、彼も現場でお亡くなりになると…皆さん道半ばで終わるのは何故なんだぜなんですけど、ハドリアヌス以前と時代が局面が変わってきたとゆー事でしょか?

 本書的に面白エピというか、ためになるなぁ的なエピとでも言うか?では対オリエントの件かなぁ…「オリエント人とは、パワーで押されてはじめて交渉の席に着く、という考え方をする人々である」だから歴代ローマの重鎮達も「「軍事を先行させた後に外交」の政略で一貫してきた」とな…よーするにまず力ありきの世界だった模様…でも、それって「指揮系統が統一されている国家であったから」交渉の余地があっただけの事で、これが「国家の形を成していない蛮族が相手の場合は、戦闘に勝ってもそれがただちに交渉には反映しない。どこを押し誰と話せばよいかが明確でないのが、多くの部族に分かれている蛮族の集団を敵にした場合の不都合であった」の件は、何かもー今のテロリズムにつながる話じゃまいか?と思うのは気のせいか?後に、パルティアが弱体化してササン朝ペルシアが台頭してくると「オリエントは、ローマ帝国にとって、仮想敵国ではもはやなく、敵国になってしまうのである」に至るとな…ローマの対東方政策も、何だかなぁ(笑)

 他にもたくさんエピ満載ですので、興味のある方は本書をドゾ。最後に本書で一番、なるほろなぁと思わされたとこを一つ、それは実力主義のプラマイ(笑)「実力主義とは、結局は実力でカタをつけるしかない解決法なのであった」のとこでしょか?ガチンコ勝負と言えば聞こえはいいが、よーはつぶし合いだからなぁ(笑)究極の椅子取りゲームは、殺しの匂いって奴ですしょか…教えてエロイヒト(笑)

 目次参照  目次 文系

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