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2015年11月14日 (土)

分離し、統治せよ。

ローマ人の物語 33 迷走する帝国 中  塩野七生  新潮社

 紀元235年、マクシミヌス皇帝に…一般にはトラキアの人マクシミヌスの方が通っていたらすぃが…今までの歴代皇帝達も、貴族階級的にどよ?とか元老院議員的にどよ?とか属州出身者的にどよ?とか、色々ありましたが、マクシミヌスは本当に正真正銘の庶民から叩き上げとゆーノリのお人だったらすぃ…何せ、父親は羊飼いでしたから…

 そしても一つ、一本気なお人でもあったらすぃ(笑)マクシミヌスに目をかけてくれたセヴェレスに恩義を感じ、それを全うするんですね…「紀元二一七年、カラカラが殺され、皇帝には近衛軍団長官のマクリヌスが就任した。カラカラ謀殺の裏にはマクリヌスがいたことは将兵たちも創造していたのだが、パルティア王国との戦役中の出来事である。全員が新皇帝の許で闘うことを承知したが、マクシミヌスだけはちがった。恩人の息子を殺した人の許で闘うことはできないと、忠誠宣言も拒否して故郷のトラキアに帰ってしまったのである」とゆーエピからも分かるんじゃまいか?何より、マクシミヌスは兵士の間で人気が高かったとゆー…ある意味、現場の神みたいな人だったのか…

 ちなみマクシミヌスが復帰するは紀元222年、ヘラガバルス殺害の後、アレクサンデル・セヴェルスが皇帝になった時で、この時マクシミヌスは「50歳になろうとしていた」そな…で、新兵訓練の責任者になったとな…で、そのマクシミヌスが帝位に就く頃は62歳になっていた…とゆーから、まさに遅咲きの皇帝という事になるんだろぉか?というより、マクシミヌス自身は皇帝になるなんて思ってもみなかった人生だろけど(笑)

 まっ現場の兵士達が担ぎ上げてのソレですから、何より「皇帝アレクサンデルの弱腰に不満を抱えていた将兵たち」による支持となるのか…とかく、弱腰外交って現場にはウケが悪いのは時も場所も選ばないんだなぁとゆーのはよく分かる(笑)

 で、現場の人というのはこれまた中央には嫌われるというのが世の常で、元老院は承認を与えはするけど、「陰ではマクシミヌスを、「半蛮族」と呼んではばからなかった。新皇帝が首都ローマに来るのを、本音では誰も望んでいなかったのである」とゆーのがローマの現状だったとな…

 アリス的にローマ…何かもー斜陽に向かっていくローマを見るのは何かとアレだなぁ…帝国と外交、これは現代にも他人事ではないよーな気がするのは気のせいか?成程、大国とは舵を常に前に向けていないといけないとこなんだなぁと思いますた…一つでも間違えたら影響が大きすぎるとゆーのが何とも…これを修正できるか?否か?が国が生き延びるか?否か?の別れ道なんだなぁ…

 そんな訳で、決して歓迎されないローマへ向かうより、現場に留まった方がマシというのは感情的にもよく分かるけど、何より、ゲルマン民族の戦闘は全方位的に終わる気配ありませんで、マクシミヌスは前線に留まり常に戦闘中という事になる訳で…とにかく積極戦法で、敵地を叩く、焦土化作戦を遂行し、それから3年間常勝の名の下にで、元の無敵ローマ軍団じゃね?に成りつつあったとな…

 さて、そんな紀元238年北アフリカ属州で抗議デモが起きたとな…事の起こりは皇帝財務官による税金の話だそで…税金払え、払わないでもめるっていずこの国も皆同じか?特に、大農園主達とゆー、お金充分に持っている層が一番シブチンなのはこれまたアレか(笑)しかもその小競り合いで「もみ合っているうちに財務官を殺してしまった」って、どゆ事?自分の身が危ないと若き農園主達は、自分とこの農民を武装させてカルタゴの属州総督に訴えに行くとな…でもって免税と免殺人罪のお願いのはずが、何故か「総督に、皇帝に推挙するから受けてくれるように頼んだのである」とな…そりゃ誰だって自分に都合のいい皇帝の方がいいやんけ、ですよねぇー(笑)

 ちなみにその推挙を受けた総督とはゴルディアヌス、御年80歳のエスタブリッシュメント…よーするにマクシミヌスの正反対のお人だったとゆー話(笑)家柄良し、財力良し、趣味良し、芸術・文化のバトロンの責務を果たしているとゆー実に貴族的なお人だった訳で…ある意味ローマ帝国のサラブレッド中のサラブレッドだったのかもしらん…勿論、元老院的には、この人こそローマ帝国の鑑みたいな人物だった訳で…「「トラキア男」を嫌悪しきっていた元老院は、これに乗ったのである」満場一致でゴルディアヌスを皇帝に、でもって憎き野蛮人マクシミヌスには「国家の敵と決議」してしまうんである…まさにぶぶづけでもいかかどすの世界か?

 かくて内乱の狼煙は上がったでしょか?さて、詳細は本書をドゾですが、ゴルディアヌス対マクシミヌスの直接対決の前に、ゴルディアヌス父息子は地元のヌミディア属州の第三アウグスタ軍団に蹴散らされてお亡くなりになり、ひと月もしないうちに次ぎの皇帝を元老院は選定する事になってパピエヌスとバルビヌス…対するはマクシミヌス…ただ伊半島に入っての問題は、帝位についてから一度もローマ入りをしなかったマクシミヌスはパンピーには無名だった事じゃまいか?ですかねぇ…前線で歴戦し、しかも常勝して帝国を守ってきた皇帝も、周知徹底してなければただの人だったりするんですよ、奥さん…

 地元の協力が思うように得られなかった場合どーなるか?これまた動揺した身内の兵士によって就寝中に暗殺さるで一件落着ってか?ところが、今度はパピエヌスとバルビヌスの二人が対立してしまうのであったとな…これまた詳細は本書をドゾですが、この二人も結果的には暗殺さるで…舞台から退場となり、そして誰が皇帝になったか?というとゴルディアヌスの孫、ゴルディアヌス三世、13歳が帝位につく事になるのであったとな…

 さて、今まで、十代、二十代の皇帝とゆーのは必ずと言っていい程、悲惨な最期になるパターンなんですが、今回のゴルディアヌス三世には懐刀というか、宰相というか、参謀というか、顧問というか、相談役というか、まぁ何でもいいけどティメジテウスがキタコレとなったりして、どゆ人とゆーとローマ帝国の行政官僚の鑑みたいな人であったとゆー事…そして有能だったとゆー事ですね…

 彼がラッキーだったのはマクシミヌスのゲルマン狩りで、ゲルマン問題はひとまず小康状態であった事じゃね?でして、国境問題で次に問題になるのは対東…ササン朝ペルシア問題が浮上してくるんですね、分かります…ちなみシャブール一世がやってくるの世界に突入したと…

 紀元243年、「名目上は皇帝ゴルディアヌス三世が率い、実質上はティメジテウスが率いた」ローマ軍が、ユーフラテスに渡る事になると…戦場はメソポタミアってか…さて、優勢に戦っていたローマ軍に一つの不幸が襲うと…何かと言えばティメジテウスの突然死だったりして…そして、それまで有機的に機能していたローマ軍があっという間に瓦解してしまったとな…冬が来て一時退却、春を待ての間に、こんな子供の皇帝についていけるかじゃまいかでゴルディアヌス三世も暗殺さる…でして…

 紀元244年フィリプス・アラブスが帝位に就く事に…ちなみにこの人近衛軍団の長官、しかもゴルディアヌス三世暗殺の影の首謀者…一応戦闘中なので、誰かがすぐに帝位を継がねばでどさくさで名乗りを上げたこの人が皇帝になるとゆーだけの話…

 で、何をしたか、シャブールとの休戦協定である…しかもこれが「皇帝として首都ローマ入りをなるべく早く実現したかったフィリップスは、シャブールの要求をすべて受け入れたのである。ローマ・ペルシア間の講和は成った」とな…

 意外な事に、皇帝と元老院の蜜月は続くだったりして(笑)内心は「新皇帝を、ベドウィン族の出身と軽蔑していた」のに、何故かと言えば、一、ペルシアとゲルマンが静かであった事、二、皇帝の元老院に対する徹底謙虚、三、政策面で皇帝は何もしなかった事、よーするに元老院の俄か天下だったとゆーだけの話じゃまいか?戦争さえなければシビリアンコントロールは元老院のもんじゃいとゆー事じゃね?

 まぁそんな中ローマ建国一千年祭が開催されるからこれ如何に(笑)ちなみに時は紀元248年の事でございましたとな…

 そして国境防衛線では、ゲルマンの略奪が続いていたのであったりして…ドナウのソレはやはり帝国の争いの導火線じゃねで、現場としてはローマ皇帝の出陣を願った訳だが、フィリップスは「首都長官の地位にあったデキウスを、ドナウ前線に派遣したのである」とな…よく考えなくても初っ端のシャブールの時から、フィリップスのやってる事は己の戦争回避で、ローマで豪遊じゃね(笑)しかも、平和外交でローマに利があるならともかく、むしろこちらが譲歩している条約や状況じゃね?で、現場的にどよ?というか、現場の空気の下地はできたとゆー事でしょかねぇ…まぁ現場にしたら、現実見ろよの世界だろーし…

 かくして現場はデキウスを皇帝に推挙し、フィリップスはデキウス討伐軍を率いて北上する事になると…そしてヴェローナで開戦となるはずが、敵味方関係なく皆デキウスの側についてしまい一件落着、フィリップスは自死…紀元249年デキウスは帝位につく事になると…

 そして、ゲルマン民族の略奪の波がやってくると…「紀元二五〇年、ゲルマン民族のうちゴート族とヴァンダル族が、大挙してドナウの下流を渡ってローマ領に来襲したのは、大河でも水量が減少する夏であった」とな…フィリップスと違って、デキウスは自分の責務から逃げなかった訳で、結局どーなったかとゆーと、息子もだけど本人も戦闘で死亡とゆー事に…「皇帝デキウスは、蛮族との戦闘中に死んだ最初のローマ皇帝になった」しかも、まだ「蛮族相手の戦争は継続中」とゆー状況に…

 そして「遠モエシア属州」の総督で蛮族相手の戦闘にも参加していたトレポニアヌスが、将兵たちの推挙を受けて帝位に就いた」で、この人は何をしたか、「戦闘続行よりも蛮族との講和を結んだのである」とな…しかも「ローマ側が求めたことはただ一つ、ローマ領内から去り、ドナウ河を渡って彼らの地に戻ること、だけである」「その代わりに、ゴート族の要求はすべて受け入れた」って、フィリップス再びか(笑)略奪品は、人も物も持って帰っていいよ、しかもこれから毎年年貢金も支払うよって…ドンダケェー…でもって、とトレポニアヌスが次にした事が、遠モエシア属州総督にエミリアヌスを任命して、自分はローマに帰還とな…どこまでもフィリップス、分かります…

 さて、エミリアヌスはどーしたか、復讐戦を敢行したのである。現場としては身内を奪われたのに講和なんてやってらんないなんであったりして…それにしても弱腰外交というのは現場の士気を物凄く落とすものなんだなぁとゆーのがよく分かる…結局、これでトレポニアヌスも現場からは見放され、しかも条約を結んだゲルマンたちにも「ローマ弱し」の印象を与えただけとゆー事態に突入しちゃうのである…結果、どーなったかとゆーと、ご近所の蛮族の各部族の方々が、年貢金の値上げ要求に走り、受け入れられないと一斉蜂起に至ってしまうとはとはとは…

 「紀元二五二年からはじまり翌年の二五三年にかけて、ローマ帝国を震撼させた三十万もの蛮族の大挙侵入である」しかも、陸地の防衛線だけでなく、海からもとゆー…黒海からエーゲ海へとゆー話であるとな…ここまできても皇帝動かずで、現場ブチ切れ、かくて上ノエミリアヌスとヴァレリアヌスをそれぞれに現場が皇帝に推挙する事態となり、これに現皇帝のトリポニアヌスの三つ巴の内戦が勃発するはずが、トリポニアヌス対エミリアヌスではトリポニアヌスの軍の兵士がエミリアヌスの軍へつき、エミリアヌス対ヴァレリアヌスの場合はエミリアヌス側の兵士がヴァレリアヌスにつきで紀元253年秋、皇帝ヴァレリアヌス誕生となる訳だったりして…

 「皇帝ヴァレリアヌスは、六年前の即位当時から、息子のガリエヌスを共同皇帝にしている。この六年間は、父親は首都で帝国全域の統治を担当し、息子の皇帝は、ライン河、「ゲルマニア防壁」、ドナウ河とつづく北の最前線の防衛を担当していた」とな…そして、「ペルシア軍が帝国の東方に侵略して来ようという今、二人のうち一人は、東方の前線に駆けつける必要があった。それで、父のヴァレリアヌスは東方へ、息子のガリエヌスは西方に残る、と決まったのだ」何とゆーか、皇帝が最前線に立つ、戦争をするならば、国のトップならばそれが一番大事とゆー事になる模様…かくて戦端は開かれたってか…

 何をしても勝てばいいとゆーシャブールにより、紀元260年「ローマ皇帝ヴァレリアヌス、ペルシア王シャブールの捕虜になる」に至る訳で…あんびりーばぼおーじゃまいか…詳細は未だに不明ですけど、相当に汚い罠にはまったのは確からすぃ…ええ、約束は破るものなんですよ、奥さん(誰?)

 かくて、残された共同皇帝の一人、息子のガリエヌスはその弔い、報復合戦に挑んだか?というと、ノーと言えるローマ帝国ってか…それは何故か?と言えば「ガイエヌスはそれをしなかった。いや、したくてもできなかったのである」とな…

 どゆ事とゆーと「西方の現状が、それを許さなかった。皇帝捕わる、の報は、北方の蛮族たちにも伝わっていた。ゲルマン人たちの来襲が、これによって一層激しさを増すであろうことは、予想するまでもない現実だった」でして、「東方に向かうには、西方が安全な状態にならなければならない」よーするに二正面作戦を展開する余裕はローマにはなかったとゆー事じゃね?でして…軍事力っていうのはいつも圧倒的じゃないか我が軍はじゃないと、なめられたら終わりなんですね、分かります…

 かくて「四十二歳になっていた皇帝ガリエヌスは、父を見捨てた」…帝国の安全保障の前には非情の決断を下した事になる訳で…いやもー何とゆーか、ローマ皇帝職、フィリップスやトレポニアヌスみたいな似非平和主義者とゆーか、前線に立たない皇帝、自国の安全保障に何も手も打たない皇帝もいるけれど、マジ、それを遂行しよーとしたら親子の情どころか、命を投げ出す覚悟が必須になってくる訳で…厳しい職業だよなぁ…

 そして毎度の事ながら、いざという時に全く役に立たないものが、ローマの元老院でござるとは…何だかなぁ…やっぱ本田宗一郎方式か、現場とトップどちらの意見を取るか?となれば現場じゃね?と…ただ、軍人皇帝には軍人なりの限界があるとゆーとこもまた何だかなぁではありますが…

 そんな激動の中のガリエヌスの明日はどっちだ?で次巻を待てですかねぇ(笑)他にもたくさんたくさんエピ満載ですので、興味のある方は本書をドゾ。特にこの辺りから表面化してくるキリスト教関係のお話は本書をドゾ。実にパネェでございます…

 最後に一つ、本日の豆知識、「健全な国家とと不健全な国家のちがいは、その国が持っている軍事力が国の外を対象としているか、それとも国内を向いているのかを見れば分かると思っている」そな…成程、自国民を戦車引きにするよーなのはゴホンゴホン…

 目次参照  目次 文系

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