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2017年12月 5日 (火)

欲望と言う名の航海?

聖マルコ殺人事件  塩野七生  朝日新聞社

 フィクションきたこれってか(笑)所謂一つの時代小説、歴史小説なんでしょか?時は1530年前後のヴェネツィアって事になるのかなぁ?日本だと、時の将軍の誰それの治世であるみたいな表現でいくならば、ヴェネツィア的には、時の元首はアンドレア・グリッティの治世のお話となるのだろーか?まぁ一つのヴェネツィアの頂点の時代とも言うってか?

 主人公は、マルコ・ダンドロ、30歳?ですけど、どちらかとゆーと、物語の立会人みたいなノリかなぁ?最初から最後まで登場しているけど、回りの人生と歴史に巻き込まれている感じだし(笑)

 そんな訳で、本書の真の主人公は、アルヴィーゼ・グリッティ、30歳じゃね?苗字から分かるよーに元首の息子、でも、庶子で母親はオリエントのお人とゆー設定…しかも、イケメンで、優等生というよりは地頭がいいタイプで、風格もあり、自分でなした資産もあると…幼馴染のマルコからの評価は何もかももっている男なんである…

 で、物語は、そんな二人が十年ぶりに再会したところから始まるでよろしーのでしょか?パドヴァの大学卒業時からとゆー事になるらすぃ…マルコはヴェネツィアの共和国国会の議員に、アルヴィーゼはコンスタンティノープルで交易商人に、しかも今ではトルコ宮廷とパイプを持つ程に…

 かくて、激動の東地中海史?欧州史?と共に、舞台はヴェネツィアとコンスタンティノープルを中心に進むのであった…って二都物語か(笑)

 アリス的には、まずフィクションじゃまいかですけど、やはりミステリ的には、殺人事件とタイトルについていれば、読まねばの世界じゃね?ですけど、冒頭に始まる、殺人事件の謎を解くみたいな本格ミステリの様相は全くありませーん(笑)

 結局、こちらはヴェネツィアという都市国家とは何か?みたいなノリの方が強いと思われで、人的には、ラブロマンスの方が強いのだろか?ある意味、ロミジュリみたいなシチュかもしれないってか(笑)身分違いの恋、萌え、もとい燃えますねぇー(笑)ファイアーっ(笑)

 まぁフィクションなので、内容に触れるとネタばれになるので、豆的なとこを幾つかチョイスすると…

 世界史的な流れでいくと、1453年、コンスタンティノープルの陥落。1470年、ネグロポンテ陥落。1499年、第二次ヴェネツィア・トルコ戦争勃発。1523年、アンドレア・グリッティ元首選出。1527年、ローマの掠奪。1529年、バチカンとスペインの講和条約締結。とな…

 ヴェネツィア的には、「聖マルコの鐘楼」とは「ヴェネツィアで最も高いこの塔は、鐘楼とよばれるだけに、一日に幾度となく鐘を鳴らしては、市民たちの時計の役目を果たしている」し、「聖マルコ寺院附属の鐘楼でもあるのだから、このヴェネツィアで最も重要な教会で行事が行われるたびに、鐘は鳴らされる」し、艦隊の出港寄港時、戦勝祝いの鐘も鳴らされるとな…

 その鐘楼があるのは建物の最上階だそーですが、その下はどーなってるのかとゆーと、「他国の重要人物用の牢獄」だそな…そんな訳で、「「聖マルコの鐘楼」には、許可がなければ入れない」と聞くと俄かに密室物か?と…

 ちなみに最上階では、火が焚かれ灯台の役目もしてますたとゆー事になるらすぃ…その灯の管理をしていたのが「夜の紳士たち」の管轄下だったそな…ちなみに夜の紳士たちとは警察の事でして、そーだったのか?船曳さん(笑)

 ちなみに夜の紳士たちの現場、「刑事や警官たちは、ヴェネツィアの市民権をもつ者の終身雇用」だったそで…ちゃんと警察機構運営されていた模様…

 ヴェネツィア子息のパターン、とゆー事で子供の頃から学校に通っているとこがパネェ…文法とか、簿記とか、ラテン語とかとか習うらすぃ…まぁともかく、14歳になると「商船の石弓兵」になるのが、ヴェネツィア上流階級の息子のならいなのだそで…地中海は勿論大西洋に出て、英とか蘭とかの方まで行きますたの世界になるらすぃ…そして18歳で大学に入り二十歳で卒業するとな…

 二十歳になると、「共和国国会に議席を与えられる。ただ、実際上の決議機関である元老院には、三十歳以上でなければ選出されないと決められていた」そで、じゃあ、二十歳から三十歳までは何してけつかるねんとゆーと、色々なお仕事を担当する事になるそな…その一つが、夜の紳士たちの一人になる事…ちなみに夜の紳士たちのトップ、警察署長は六人いたそな…よーするにこれも現実をおべんきょしてこいとゆーエリート教育の一つらすぃ…「任期は一年。選出は、共和国国会」、何故六人なのかは「ヴェネツィアの市街地全体が六つの行政区に分かれているからで、一区ごとに独りずつで、その区域内に住まう者が選ばれることになっていた」そな…何とゆー合理性(笑)

 その間色々お仕事担当して、キャリアを積んで元老院に選出されるのだそな…

 ヴェネツィア議会のお約束、理由なしの遅刻、欠席ダメ絶対らしく、欠席の場合は「最低生活費の二年分は優に超える額の、罰金を科されると法で決まっていた」とか、元老院議員は120名が定員とか、ヴェネツィア共和国の国政担当者は無給(経費込みの月給は有)とか、ヴェネツィア貴族の義務とは、「無給で政事や軍事にたずさわること」ですねんとか…

 ちなみに共和国国会には、「嫡出の男子ならば全員が議席をもてるが、元老院は一家に一人」とな…よーするにそれ以外の親族は経済活動に励めって事らすぃ…蛇足ですけど、ヴェネツィアの法では「庶子を嫡子になおすことを禁じている」そな…

 共和国国会は、毎週日曜日の午前中に開会。元老院は週二日位あるらすぃ…でもって、元老院が招集されない日はすべて、C・D・X開催とな(笑)

 更に、C・D・X(十人委員会)キタコレってか…簡単に言うと国家安全保障機関だろか?「十六世紀ヴェネツィアの「C・D・X」の真実の顔は、"権限を委託された少数の委員の間で討議するだけで政策を決定する"ことであったのだ」とな…そーだったのか?マキアヴェッリ先生(笑)

 C・D・Xの任期は一年。元首以外は他の役職同様に、「一年間の休職期間をおいてでないと、再選は許されない」とな…任期中の前職者の欠員による補充を受けての着任期間は、前職者の残した任期と同じ…引き受けてから改めて一年間とゆー訳ではないそで…又、C・D・X入りは普通40歳以上とな…

 蛇足ですが、C・D・Xの委員の次の仕事は普通は、他の委員会の席だとな…

 でもって、十人委員会と言いながら、「元老院議員の中から選ばれる十人の委員と、元首一人、それに六人の元首補佐官の十七人でなりたっている」そな…よーするにC・D・Xの委員を連続して続ける事は無理でも、その後を補佐官になるのはありじゃねで、結局同じ顔が並ぶ、あると思いますもでけたとゆー事らすぃ…元首派でそろえるもあると思いますだろか?

 又、「「CDX」が反国家の大罪を裁く機関ならば、「四十人委員会」は、通常の犯罪を裁く機関とされていた。「夜の紳士たち」には、捜査の権限はあっても、裁く権利はなかったからである」で、検察庁キタコレ?

 後、ヴェネツィアの公務員、「賄賂など受ければ死刑と決まっている厳正なヴェネツィアの法」って、テラ羨ましス…これが施行されれば、どこぞ永〇町とか、霞〇関がどんなにスッキリする事か(笑)

 それから、恥じいる乞食、恥じいる哀れな人ってネーミングがアレだが、没落貴族対策委員会とか、この時代にしてちゃんと生活保障制度や対策を築いているとこがヴェネツィアぱねぇ…

 とやたらと法の規制が凄いヴェネツィアのイメージですが、「成文法のないヴェネツィアは、伝統とか慣習を、それらがひどい実害をおよぼすようになるまでは、尊重する傾向が強かった」そな…そーだったのか?アリス?

 後は、地中海での航海は春から秋がシーズン、冬はペケとゆー事らすぃ…羅針盤や航海技術が発達しても、荒れた冬の海はヤバしって事らすぃ(笑)

 ヴェネツィアからコンスタンティノープルへの旅程は、陸路海路ともに一ヵ月か一ヵ月半なのだそな…それにしても、陸路では山賊、海路では海賊くるかもってパネェ…どゆ経路かの詳細は本書をドゾ。

 それとさすがヴェネツィアと言うべきか、通信網というか、郵便網というべきか?通商上の通信の大切さからくるとはいえ、当時で一番郵便制度ありますの世界だった模様…こちらの詳細も本書をドゾ。

 それから、ヴェネツィアのコンスタンティノープルの大使館…「ヨーロッパ様式の建物自体も大きい」「館員と使用人あわせて五十人以上の人間の職場と住居」「敷地内には、葡萄な野菜を植えた菜園」ありますから、大使以外は単身赴任。でも大使も奥さん来ませんで、息子か弟がきますの世界だったらすぃ…

 これまた蛇足ですが、現在、かのヴェネツィア大使館のおもかげは改築と敷地縮小とみるかげもないそだが、「現代でも、イタリア公使館として使われている」そな…歴史パネェ(笑)

 後、本書的に如何にもとゆー地名が、コンスタンティノープルのガラタ地区のベヨグルーでしょか?未だに地名残っているそで、このベヨグルーって「君主の息子」って意味なんですよ、奥さん(誰?)で、こー呼ばれるよーになったのが、「アルヴィーゼ・グリッティがそこに、広大な屋敷を建てて住んでいたからであった」からって、ホンマでっかぁーっ?蛇足ですが、そんなアルヴィーゼは、ヴェネツィアでは「われらが元首の妾の子」と呼ばれていると…

 それから、こちらは経済の事になるのだろか?で、当時のヴェネツィア国債、ドュカート金貨は、国際信用度No.1ってか(笑)こちらの詳細も本書をドゾ。

 それから、当時の離婚事情…一、「ローマ法王が、結婚自体が無効であったと認めてくれること」、二、「僧院に入ってしまい、聖職に身を捧げる期間を経過することで、つまりは別居の既成事実をつくってしまうこと」なんだそな…

 その他、当時、伊ではモレッカというダンスが流行っていたとか…元は戦闘の踊りで、「二人一組になった踊り手は、互いに両手に鈴の束をもち、足ぶみも強く激しい踊りを展開する」のだそな…

 モレッカの後に、燭台の踊りで終わるのが、舞踏会のセオリーらすぃ…燭台の踊りは、「火のついたろうそくが一本立つ燭台を手にして踊る優雅なもの」だそで、一番のポイントは「女が踊りの相手を選べること」じゃまいか?

 名前では、マルコの方はともかく、アルヴィーゼの方は、聞くだけでヴェネツィア人と分かる名前だったのか?よーするにヴェネツィアにしかない名前とゆー…「同じ名前がイタリアの他の地方だと、ルイジとなり、少しあらたまるとルドウィーゴと呼ばれたりする」って、もしやスーパーマリオのルイージって、このルイジ?て、事はスーパーマリオブラザーズは、ヴェネツィア人ではないとゆー事か(笑)

 後、これも豆かで、当時のヴェネツィアでは、日本の事をジパングと呼んでいたのはともかく、中国の事はカタイと呼んでいたそな…

 当時の西がどゆ国かとゆーのは、「他国を領有することで繁栄しようとしていた」そで、「スペイン人にしてみれば、キリスト教の、しかもカトリックの宗派の中でも反動主教改革的な厳格な宗教を唯一のものと信じているので、それが受けいれない異教徒は、ただ単に「敵」なのである」そな…

 そして土の方はとゆーと、「トルコは、軍隊でもっているような国である」そで、帝国って奴は、皆まで言うなか…まして、この当時、オスマントルコは絶頂期にあった訳で…「祖国の衰亡を、気配さえも感じないでいるスレイマンは、幸福な男だ。幸福な男たちには、汚い手段も人道にはずれた行為も、非難する贅沢が許される」の件は、しみじみと奥深いなぁとしか言えねぇ…

 後、土でロッサーナが皇后になるとこでの詳細は本書をドゾですけど、その中の一つに「トルコの法を破ることに眼をつむっていてもらうために、イスラムの高僧たちに多額の金をおくった。反対の声は、それが起こる前に沈黙させられたのである」でしょか…

 それにしてもヴェネツィアぱねぇというのは、国家機密というか、国民の帰属意識というかの件のとこでのヴェネツィア人的価値観かなぁ?「ヴェネツィアの人々の分別とは、求められるのは国がそれを必要としてているからだ、と考えることであった。そして、国家は彼らに対して、善政を報いたのだ。知る権利を要求するのは、政府を信頼できない国民の言うことなのかもしれない」も、含蓄深いお言葉じゃまいか(笑)

 他にもたくさんたくさん本当にたくさんエピ満載、というか、お話のメインの流れはラブ・ロマンスのよな?何か、歴史と国に翻弄される恋人達ってか?二人は如何にのドラマの詳細は本書をドゾ。

 最後に一つ、本書で一番なるほろと思わされた一言。「戦争か平和か決めることができるのは、圧倒的に優勢な軍事力をもつ国だけです」…お後が宜しいよーで(笑)

 目次参照  目次 フィクション

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