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2018年2月 8日 (木)

海賊というテロ?

ローマ亡き後の地中海世界 4  塩野七生  新潮社

 サブタイトルは、相変わらずの、海賊、そして海軍なんですが、プレヴェザの海戦(1538)から始まるってか(笑)でもって、ヴェネツィア、法王庁、スペインの連合艦隊はいつもよーに足並みそろわず、対土戦で敗戦にきす…もーこれが欧州のバターンとなってきたよな?大国小国関係なく、いずこの国も長期的展望なんかよりも自国の利権、それも超短期的な利権しか頭にないとこが凄い、でもって、それに躊躇なしなとこが凄い…

 こちらの連合艦隊の奇妙な敗戦についての詳細は本書をドゾ。対土の前に、連合内の対国家間の対立というより相手に利する事は嫌という、ただそれだけよの世界が席巻していた模様…

 このヴェネツィアと西と仏の足並みの合わなさは傍から見る分には異常に見えるんだが、当時の当人、当国的には当たり前な感覚なんだろか?でもって、西側連合に愛想をつかしたヴェネツィアは、一早く終戦処理に進む訳で、土との講和を取りつけ、通商条約を結ぶに至ると…

 ところが今度は、その他の西側がキリスト教圏からの逸脱だ、裏切りだと騒ぎ出すから凄い…ちなみに仏は、土との間に通商ではなくて、軍事同盟を結んでますが、何か?状態なんだが(笑)

 まぁ足並みと思惑が揃わないのは西側のさだめなんでしょかねぇ?何はともあれ、「ローマ法王の提唱によって当時のキリスト教世界の海上戦力を総結集した正規の海軍が、トルコ海軍とはいえ実質的には海賊にすぎない集団に敗れたのだ」という一事は変わらない訳で…地中海は海賊のヒャッハー状態がエスカレートする一方になると…

 でもって、キリスト教圏は海上ばかりを気にしていられない状態ですけんだったらすぃ…何せ陸上では、カトリックvs.ブロテスタント、ファイっの嵐ですしおすし… 

 アリス的に、地中海…海賊…うーん、そーいや准教授が伊での学会に行かなきゃなエピはどこかにあったよな?

 とはいえ、西も新大陸帰りのお宝いぱーいの船が、ジブラルタル海峡に入ってから土の海賊に略奪されるとなれば黙っている訳にはいかなくなったと…誰しも自分の損には我慢できないって奴ですか?そーですか(笑)プレヴェザの時はあんなに消極的だった西が今度は俄然をやる気を出して音頭までとってリベンジきたこれってか(笑)

 かくて1540年、その海賊の頭目ドラグーも捕まりますたとなる訳で…ところが、そのドラグーの処遇を一任されたドーリアは海賊と約束し、身代金を受け、彼を釈放するというからこれ如何に(笑)

 でまぁドラグーがいなくてもポストドラグーがいるじゃまいか?で、北アフリカは今日も海賊業で繁栄してますの世界がつつがなきやと(笑)

 こーして今度は西国王カルロスも参戦してのアルジェ攻略、海戦じゃラチあかないので海賊の本拠地叩きに行きますが、何かの世界に突入した模様…1541年の秋の事でございました…で、結果は見事に敗戦でござるっで、こちらの詳細も本書をドゾ。

 まぁある意味物凄い敗戦なんだけど、キリスト教圏では「誰一人、表立ってカルロスを非難した者はいなかった」そな…と言うのも「キリスト教世界の統治者は、その中でも神聖ローマ帝国の皇帝はとくに、神によってキリスト教徒たちの統治を委託された人なのである。ということは、皇帝の責任を問うとすれば、神の責任を問うことにもなってしまうのだ。信心深いキリスト教徒に、神に責任を問うことなどできるわけがなかった」って、一神教の論理ってパネェ…こーなってくると何の責任も問われないキリスト教圏のトップって、どこぞのフクシマもまっつあおの世界だったのか…

 対土、対海賊てそちらの人達が更にヒャッハーになったのは分かるが、「カルロスの失策を誰にもまして喜んだのは、フランス国王である」って、欧州の中の人事情的には当然の成り行きなのか(笑)でもってフランソワ的には今でしょ(死語?)って事で「ライヴァルのカルロスの勢威が落ちた今が、ドイツとスペイン合同軍の勢いをはね返す好機に思えたのだ」そな…

 で、「トルコとの軍事同盟がより実施力を発揮することだと考える」に至ると…こちらの紆余曲折というか、詳細は本書をドゾですが、1543年、マルセイユに国賓待遇で赤ひげ@土海軍(中身は海賊)キタコレになるとな…

 ちなみにこのガレー船の漕ぎ手って、拉致誘拐されて奴隷にされて鎖に繋がれたキリスト教圏の人々なんだが、その人達を見てもフランソワ的には、でもそんなの関係ねぇー(死語?)って事らすぃ…なるほろ人権って本当にパンピーにはなかったんだなぁ…

 まぁそんなの関係ねぇー(死語?)では、「トルコ海軍総司令官」の赤ひげも同じと見えて、国賓だって海賊しちゃうを展開した模様…よーするにマルセイユから、近場のニースやサン・レモetc.に海賊始めましたとな…

 かくて仏は他のキリスト教国の人々か非難難轟々を浴びるでござるに至った模様…「非難というよりも憎悪」とな…で、お客様にお帰り願いたい仏ではあったが、そんな空気を読むなんて海賊がする訳ないですよねぇ…で、仏は「結局、八十万スクードもの大金」をお布施してやっとこ帰ってもらったとな…「これが、鳴り物入りでくり広げられた、フランス・トルコ同盟の結末であった。かつてマキアヴェッリが、フランス人は政治を知らない、と書いたが、その一句がいまさらのように思い出される」って事じゃね(笑)西憎しの一念でやった事とはいえ、今も昔もこれが仏の伝統芸能って事らすぃ…かくて仏の評判は、皆まで言うなか…

 そして帰って来たドラグーで、赤ひげの後、彼が土の海軍総司令官に就任する訳で、「一五四五ねんから一五六〇年までの十五年間というもの、地中海の西方は「ドラグーの海」になる」とな…

 西も仏も法王庁もアテにならない地中海情勢ですが、そんな中で一人気を吐いていたのが、マルタ騎士団とな…マルタ騎士団の詳細については本書をドゾ。いえ、まぁ一口で語れる履歴じゃないよな(笑)

 取り敢えず、1550年、西と他で「ドラグーの本拠マフディーヤへの攻撃」陥落キタコレ、翌1551年今度はドラグーが「ジェルバ島で雪辱戦の準備」キタコレ…

 で、この頃までに西側のトップの世代交代キタコレも同時進行してまして、こちらの詳細も本書をドゾ。仏王も、西王も、ローマ法王も、そしてあのアンドレア・ドーリアも皆お亡くなりになって次世代キタコレってか?で、紆余曲折の激動の政権交代の詳細は本書をドゾですが、結局のとこ「ヨーロッパ第一の実験者は、スペイン王のフェリベ二世になったのであった」とな(笑)

 まぁともかく、1560年フェリペ二世、トリポリ奪回を指示、1561年進軍…でまぁジェルバの虐殺キタコレにもなる訳で、何か西っていつも負けてね?

 ちなみにこれも「この敗北の責任を、スペイン王に問う声すら怒らなかった。その王の代理として参戦していたメディナチェリの「副王」の地位もゆるがず、以後もシチリアの統治者でありつづける。ジャンアンドレア・ドーリアも、スペイン王の傭兵隊長でありつづけた」って言うから、なるほろこれがキリスト教の正義と責任なんだなぁ…

 一方、土の方はスレイマンまだ頑張っていますで、「陸上ではベオグラード、ブタペストと征服し、ウィーンですらトルコ軍を遠望するのが普通という状態」「海上でも地中海の東方は「トルコの海」と言ってよかった」状態ですねん…そして、そのスレイマンの次の目標がマルタ島とな…

 でまぁこちらの詳細も本書をドゾ。1565年のマルタ戦記というか、攻防キタコレってか?何とゆーか死闘でございます…何とゆーか、やっぱ物事って何事も修羅場を潜り抜けてきたトップを持つって絶大なんだなぁ(笑)

 取り敢えず、マルタ攻防戦に騎士団側勝利って事でヨロ(笑)ちなみに「トルコのスルタン・スレイマンは、攻防戦の翌年に世を去った」とゆーから、ここから地中海のというか、キリスト教世界vs.イスラム教世界の分岐点になるんじゃなかろーか?

 その後の諸事の詳細も本書をドゾですが、一番大きいのは「海賊たちも、長期にわたる攻防戦では、戦況の決定要素になれないということも、庶民の眼にさえ明らかになる」訳で…結局、海賊のやっている事って弱者を襲うだけの事と見切られたしまったとこも何だかなぁ…

 そんな訳で以後、立て万国の労働者じゃなくて、パンピーの皆様も「逃がすのは女子供で、少なくとも武器を手にできる男たちは逃げなくなったのである。城砦にこもって、領主の指揮下、海賊を迎え撃つように変わったのであった」とな…

 とはいえ相手は土ですから、しかもイスラム教徒の…よーするに一神教に他教徒との共存共栄という概念は、全くないに行きつくだけとゆー事らすぃ…「信仰に熱心であればあるほど、自分とは異なる信仰を持つ者を同等には考えられないのである」の件は、今でもワロエナイお話だからなぁ(笑)

 そしてスレイマンから代替わりしたセリムはキプロス島を我が手にと侵攻する事にしますたってか(笑)ちなみにキプロス島はヴェネツィアが領有してます(笑)それが1570年の事…ですし

 まぁこちらの詳細も本書をドゾ。何とゆーか、ヴェネツィアと西の攻防とも言うの世界かもなぁ…でもって、西っていう国は徹頭徹尾、西の利権の為だけにしか動かず、そして誰もいなくなったの世界に突入していくんだなぁ…というのも「この時代のスペインは、ヨーロッパ一の強国であっただけでなく、新大陸までも支配下に収め、軍事面に留まらず経済面でも超がつく大国であったのだ」にも拘らず、「スペインは、大植民地帝国にはなった。だが、「パクス・ブリタニカ」になる以前に、「パクス・ヒスパニカ」の時代は訪れなかったのだ。その要因の第一は、近視眼的。とするしかないスペイン人の政治感覚、にあったのではないかと思う」ですしおすし…帝国は帝国としてのふるまいとかわきまえが必須なんですが、それを忘れて自国だけ、しかも短期の自分だけをチョイスすれば、それはねぇ(笑)

 取り敢えずキプロス陥落、そしてかの有名なレパントの海戦もキタコレで、こちらの詳細も本書をドゾ。いやまぁ何とゆーか、ヴェネツィアだよなぁとゆー…この海戦で勝利したとしても、それ以後の事をどげんとせんといかんですしおすし…この辺りの継続性のなさが西とゆー事らすぃ…

 まぁ土は土で、「「オスマン帝国の偉大なる海軍」と言われたトルコ艦隊は、レパントの海戦の直前に出現し、レパントの海戦とともに消滅したのである」とな…どこも無傷では済まなかったとゆー…

 そして「有名なスペインの無敵艦隊がエリザベス女王下のイギリス海軍と衝突して完敗するのは一五八八年、レパントからわずか十七年後のことであった」とゆーからお察し下さい(笑)

 それにしてもヴェネツィアの対応は、何とゆーかリアルなんだろーけど、対土では土を完膚なきまで叩きのめす事ができないなら、後は素早く講和、通商条約締結の流れなんだなぁ…まぁこちらの詳細も本書をドゾ。ヴェネツィア貴族の娘チェチリアの件とかは、これだけでハリウッド映画できるんじゃね?パート2的にはジョゼフィーヌの従妹もどよ(笑)

 さて、国の勝ち負けがあろーと海賊業にかわりなしらすぃが、それでも「強大だった資金を始めとするあらゆる面での援助が、先細りし始めたのは事実であった」そで…

 まぁとにかくそんな調子で地中海はゆっくりと(?)衰退していきますが、何か?らすぃが、海賊関係でいけば、「一七四〇年、トルコは、海賊行為を全面的に禁じた「海賊禁令」に、国として調印した」そな…だからといって海賊がいなくなった訳ではなくて、海賊業も公的な「コルサロ」ではなくなって、民間の「ピラータ」に戻っただけに過ぎないそな(笑)

 「一八一六年、トリポリ、チュニス、アルジェでも、つまりかつては海賊の三大基地であった北アフリカの主要都市でも、海賊禁止法が実施に移される」そで、地中海って、19世紀になっても海賊の世界だったのか、とちょっとおろろいた…

 ちなみに「一八三〇年、フランスによる、アルジェリアの植民地化が始まる」そで…「一八五六年、「コルサロ」であろうが「ピラータ」であろうが、あらゆる海賊行為の厳禁を宣言した、「パリ宣言」が成立」して、ようやく地中海から海賊いなくなったとゆー事になったらすぃ…て、事は地中海って150年前位までは海賊いたんだの世界だったんだなぁ…凄いぞ文明開化ってか?

 豆知識的には、伊の有力貴族とは、たいていその都市内で対立しているという事らすぃ…例えば、ローマの場合は、コロンナ家vs.オルシーニ家、ジェノヴァの場合は、ドーリア家、スピノラ家vs.フィエスキ家、フレゴーゾ家、フィレンツェの場合は、メディチ家とストロッツィ家という構図になるらすぃ…何が凄いって、これらの一門が仲が悪いのは当たり前だけど、「血で血を洗う内部抗争の歴史」ってドンダケェー(死語?)でもって、その一門の裏にはもれなく西派か、仏派とゆーのもついてくると…

 どゆ事かとゆーと「自分で権力を獲得できない者は、常に自国以外の国や人の助けを借りてそれを成し遂げようとする」そで、「このイタリア人の性向への怒りが、マキアヴェッリに、「君主論」を書かせたのだ」そーですよ、奥さん(誰?)ローマはとほくになりにけりってか?

 更にセレブな豆では、「モナコ公国も、もともとはジェノヴァ市民であったのが、抗争に敗れてモナコに移ったのが起源になっている」って、そーだったのか?モナコ公国?

 後、騎士団というとマルタなイメージがつおいんですけど、聖ステファノ騎士団もありまっせという事で、「トスカーナ大公のコシモ・デ・メディチの熱心な関与でつくられれた」騎士団だそな…本部はピサですけど、騎士団所属の船の基地はリヴェルノに設置された模様…こちらの詳細も本書をドゾ。

 人で豆というと、米というとキタコレのアメリゴ・ヴェスプッチってフィレンツェ人だったのか?他にも「今なおニューヨークのハドソン河にかかる橋の名に残っているヴェラッツァーノも、フィレンツェ近郊のキャンティ地方の生まれであった」って、そーだったのか?フィレンツェ?

 逆に、北アフリカの海賊産業に従事する人々って事で…よーするにイスラム圏、土圏では、土の皇帝以外はみんな奴隷で、故にみんな平等という、マキアヴェッリが言及した通りの世界となるらすぃ…とゆー事は、イスラム教徒であれば能力で幾らでも自由に生きられたとゆー事にもなるらすぃ…ゆえに赤ひげはギリシア人だったし、シナムはユダヤ人、ウルグ・アリはイタリア人とゆー、国際色豊かってか…で、そーゆー人が頭目になってキリスト教圏へ海賊しに行く訳ですしおすし…とはいえ、イスラムの寛容はイスラム教徒にのみ、「イスラム社会の要職は、あくまでもイスラムに改宗した者にしか開かれていなかったのである」ですけん…

 それに対して、西というとこはどよ?とゆーと、「スペインとは、スペインを征服したナポレオンによって禁止されるまで、異端と疑われた人々の詮索をやめなかった国である。それどころか、ナポレオンが失脚したとたんに、異端の詮索を再開した国である」とな…イベリア半島の通常運転って…かくてイスラムに改宗したキリスト教徒の場合、帰国は無理ゲという事らすぃ…どっちの陣営も一神教って片道切符しかありませーんとゆー事なのか?のか?

 蛇足ですけど、昔もハードカレンシーって概念あったんだなぁと(笑)というのもウルグ・アリがサヴォイア公国への身代金の請求の時、「サヴォイア公国の通貨ではなく、お手持ちの金銀の道具や宝石でもなく、ヴェネツィアかジェノヴァの金貨」で払えって要求してたりして…国の信用というか、通貨の信用というか、やっぱ経済は信用第一ってか(笑)

 これも今でしょ(死語?)な豆になるかもですけど、「現代国家イタリアの海軍兵学校は、リヴォルノにある」「イタリア海軍の海兵隊の本営はヴェネツィアにあり、海兵隊旗は今でも、かつてのヴェネツィア共和国の国旗が使われている」って、ドンダケェー(死語?)さすが伊と言うべきか(笑)

 他にもたくさんたくさん本当にたくさんエピ満載ですので、興味のある方は本書をドゾ。それにしても、本書で一番なるほろと思わされたとこは「良識とは、受け身に立たされた側が口にする言葉であり、行動の主導権をにぎった側は、常に非良識的に行動するものである」(@ヴェネツィアの外交官)というお言葉じゃまいか(笑)まっヴェネツィア共和国は、そんなんでも外交官が自国為に決死でお仕事しているから、まだマシなんだと思うけど(笑)

 目次参照  目次 文系

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